「365日がハロウィン。そのくらいの覚悟がなきゃ」YOKO FUCHIGAMIが追求する“人とかぶらない”仮装

好きなものと生きていく #34

パリとバリを拠点にランウェイショーを発表し、世界を股にかけ活躍するトータル・ファッション・アドバイザーYOKO FUCHIGAMIさん。このたび「ハロウィンをもっと自由に、もっと優しく。」をテーマにしたオンラインイベント「メルカリハロウィンアワード」の初代アンバサダーに、水原希子さんと一緒に就任しました。審査員として「オシャレ魔女賞」の選考もつとめます。

ハロウィンアワードのために急遽パリから帰国し、キーヴィジュアル撮影に臨んだYOKOさんに独占インタビュー。今年のハロウィンの過ごし方や、サステナブルがテーマのセカンドブランド「RIVER」についてもお話を伺いました。(編集/メルカリマガジン編集部、撮影/いわなびとん)

YOKO FUCHIGAMI、ハロウィンを語る

――YOKOさんは毎年どうやってハロウィンを楽しまれているのですか?

そうですね、正直に申し上げると「この日がハロウィン」っていうイメージで動いてないです。もともと私は服が大好きですから、常日頃から自分を変装させるつもりで「今日はこのテーマの自分を見せよう」とか「明日のコンセプトはこれ」だとか、毎日がお祭りの心づもりで装いを考えてるんですね。逆にいうとハロウィンには「何この日だけ変装しようとしてるんだよ」っていう怒りの方が強いです。
ですから、私にとっては365日がハロウィンです。逆に1日じゃ足りなくない?って。いいのか?って思います。その日に仕事入ったらどうするの? 約束入れてたらどうするの? 忌引だったらどうするの?って思いますよ。何事にも「予備日」ってありますよね。現代人は忙しいですから、1か月くらいないとお気の毒ですよ。今回メルカリハロウィンアワードは、1週間ですか、毎日アワードを開催されるっていうのは喜ばしいことです。1週間がギリだと思います。
――今日のYOKOさんのハロウィンコーディネートのポイントは?

やっぱりなんと言っても、世界的にハロウィンといえばカボチャですね。グローバルスタンダードを意識しています。というか、カボチャはもともと好きな食べ物なので、こんなにカボチャを身につけられるって、幸せでしかないですよ。いまコロナの問題もあって衛生面でなかなか難しいですけれど、本来だとネックレスにカボチャの煮物を結んだりだとか、パンプキンスープで服を染めたりだとか、生地にカボチャピューレを練り込んだりとか、そういうことはよくやっていますね。
あのね、私のファッションのテーマで、季節の旬のものとリンクさせるのが一番お洒落というのがあるんですね。他にも栗とか松茸とかを取り入れてもいいと思う。日本だとたまたま秋の味覚にフォトジェニックなものが多くてラッキーですね。

――そのカボチャは本物をつけていらっしゃるんですか?

これはドライパンプキンと言って、一回カボチャに圧をかけて小さくするんですよね、深海に沈めて。そうするとカップラーメンと一緒で、ぎゅって縮むんですよ。私は駿河湾の深海に2週間沈めてから、引き上げるようにしています。あそこは海底が深いんですね。だから桜えびとかいるでしょう。品質が大事だから、私のアシスタントも一緒に沈めて、しっかり管理させるんです。もちろん上から栄養は送るんですけれども。それで引き上げたものがこれですね。ハロウィンが終わったら一応食べる予定ですけれども、お湯で溶いて。フリーズドライのミネストローネとかあるじゃないですか。あれと一緒で、最後はパンプキンスープにします。

サステナブルなセカンドブランド「RIVER」の斬新なコンセプト

――ハロウィンの仮装が人とかぶってしまうことがあります。より自分らしく、オリジナリティのあるものにするための秘訣を教えて下さい。

人とかぶってしまうのは、リアリティが足りないからだと思います。SNSを見ても、この時期タレントさんなんかでカッコいい方が、みなさんゾンビをやってるんだけれども、カッコよさの方が前面に出ちゃってる。そんなものは所詮ファッションゾンビです。そりゃ似ちゃいますよ。マジであの世に逝きかけたような顔をしてるやつが、本物のゾンビです。飯くらい抜く覚悟がないと。それからピンクのナース服着てらっしゃる方。まあそれもいいですよ。ただ、何人もいるっていうのはどうかしら。私がやっていただきたいのは、市民病院や国立病院のパンツルックの婦長さん。ミニスカートの婦長さんなんていないもの。色もピンクとかじゃなくて、薄い水色の方が私は好きかな。オリジナリティを目指すなら、売っているコスチュームじゃなくたっていいじゃない。身の回りにも使えそうなものが案外いっぱいあると思うんだけども。
――いまモードの世界でもサステナブルが話題ですが、YOKOさんはデザイナーとしてファッションとサステナブルの関係性をどう考えていますか?

まずはっきり言わせていただくと、最近みなさんやたら「サステナブル、サステナブル」っておっしゃるけど、意味を分かって言っているのかすごく疑問です。新しい言葉を使いたがりますけど、地球に優しいじゃダメなのか? エコはどこにいったんだよ?って。それに「サステナブル」なのか「サステイナブル」なのか、よくわからない状態で進むのが、もうすごくよくないことです。
でも、いまおっしゃった環境とモードの関係性っていうのは、重要なテーマです。もうこれからは、地球に厳し目のファッションは時代に合わないんじゃないでしょうか。私が以前立ち上げた「RIVER」というセカンドブランドがあるんですけれど、それはまさに「循環」がコンセプト。「RIVER」では川下に路面店を構えて、川上から流れてくる漂流物だけで服を作っています。流木だとか、よく分からないパイプだとか、スコップだとか。自然界で息絶えた動物なんかもたまに流れてくるんですけれど、それは一回干物にして、毛皮をいただいたりだとか。

――すごい斬新なブランドですね。

もうすべては川次第。デザイナーは“川”ってことにしてしまえば、ものすごくお洒落だと思うんですね。地球上で余っているものや、誰かの必要じゃなくなったもので、ファッションを楽しむ。オシャレって、お金をかければいいわけじゃないんですよ。
私が今日来ているドレスも、もともと白いものを国道に干して、排気ガスで黒く染めてるんです。地球にはさまざまな環境があって、いろんな色を貸してくれるわけですよ。だから地球全体がスタジオだと思って、地球全体がアトリエだと思って動かないともったいないですよ、このご時世。地球にデザイン借りましょうよ。

「本当のエコなファッションっていうのは裸なんです」

――ハロウィンをもっと地球に優しくするためには、何が出来ると思いますか?

工夫すれば、いろんな仮装のやり方があると思うんです。自分の押し入れやタンスを見て、ありあわせのものでコスチュームを作るというのが、一番スマートかなって思います。すごいセクシーなメイドさんの格好をしてて、「それどうしたの?」って聞かれた時「オヤジのボロ服で作ったんだ」って言ってみてご覧なさい。「すごいね」ってなりますよ。真逆のコラボレーションができてこそのセンスだと思いますね。

――YOKOさんご自身の、今年のハロウィンのプランを教えて下さい。

日本でおうちハロウィンを楽しもうかなって思ってます。私はずっと「裸が一番のオシャレです」って言ってきたんですけど、人間は生まれてきた状態でいるのが、最高の姿だと思っています。本当のエコっていうのは裸なんですね。お母さんのお腹の中のブティックでデザインされて、表産道(おもてさんどう)というランウェイを通って出てきたわけですから。今年はせっかくおうちにいるので、私も裸にハロウィンらしいアイテムを取り入れようかな。かぼちゃでデリケートゾーンを隠したりだとか、もしくはもうそんなのいいや!ってなって隠さなかったりだとか。もちろん、外でやってしまうと法に触れますから、気をつけてくださいね。
――今回同じくアンバサダーに選ばれた水原希子さんの印象は?

KIKO MIZUHARAさんはパリでも何度かお見かけしたことあるんです。いつかYOKO FUCHIGAMIブランドのモデルになっていただきたいなと思ってたくらいなので、今回一緒にアンバサダーに選ばれることができて光栄です。彼女の撮影はどうでしたか?

――水原さんは魔女の仮装をされまして、YOKOさんと同じように「家にある服やモノでもハロウィンは楽しめる」とおっしゃっていました。

さすがですね。やはりYOKOとKIKOにはファッションに対する、同じイズムを感じます。でも、ひとつだけ。魔女というのは「魔の女」と書くわけです。ファッション感覚じゃなくて、本当に悪くないとダメなんです。どうしようもない女にならないと。だからKIKO MIZUHARAさんは、撮影にスケジュール通りに来ている時点で魔女としてはどうかなって思いますよ。そこはもう「行かないよ、撮影なんて!」ってなんなきゃ魔女じゃないんです、本当はね。私がもし魔女の仕事が来たら、スケジュールは蹴って「行かないです、だって魔女だから。私、悪いでしょう?」って高笑いしますけどね。でもそんな事するとこの時代、大問題になっちゃうから、彼女の判断はまあ正しかったと思います。

こんな時代だからこそ、もっと自由にハロウィンを解釈してほしい

――YOKOさんには今回、「オシャレ魔女賞」の審査員をしていただきます。

それね、嬉しいんです。もともと魔女って世界的に見ても、実はものすごくオシャレな、最先端のセンスの持ち主なんですよ。だってホウキを持ってさ、あんな尖がった帽子をかぶってさ、なかなか着こなせる人いないじゃないですか。コーディネート的には完璧ですよ。それをみなさんがどうアレンジしてくるのか、楽しみですね。あとはどこまで「魔」の部分を残してくるかですね。それと、ホウキは普段から使いこなしている感じで持って欲しいです。普段掃除しないやつが、ハロウィンの時だけホウキを持って、あたかもいつも使っているような顔されると、後頭部蹴飛ばしたくなりますから。
――「メルカリハロウィンアワード」アンバサダー兼審査員として、YOKOさんがアワードに参加する方に期待することはありますか?

そうですね、やはりこういう機会だからこそ、もっと自由にハロウィンを解釈すべきじゃないかしら。パーティーに行かなくても、誰に見せるわけでなくてもいいわけです。究極、自分だけが「仮装してる」って気づいているプライベート・ハロウィン、楽しいですよ。私も何度もやったことあります。引越し業者の格好をして、知らないお宅の引っ越しを何食わぬ顔でお手伝いして。勝手にお家に入るのはダメですよ、犯罪ですから。みんなで家財道具を運んで、そのまま終わる。誰もハロウィンだと思っていない。本当の意味で変装して、風景に溶け込む。それが真のハロウィンです。もしかして、いまここで音を録ってる音声さんも、ハロウィンのコスプレかもしれないですよね。「お疲れ様でしたー」ってなった時に、「実はハロウィンでやってたんで、音録ってないんです」って言ったら、「してやられた!あっぱれ!」ってなるわけです。

――新しいハロウィンの概念ですね。

先入観のフレームから逸脱して、もっと広い視野を持ってほしいです。山奥の洞窟で逆さ吊りになって、「コウモリ」って言って誰にも会わなくてもいいじゃない。それに生き物じゃないとダメなんてことはないですよ。近所のマンホールに一体化してもいいわけですから。そのくらいの次元で考えないと、もうハロウィンは古いですよ。たとえばこのスタジオにある扇風機になることだってコスプレですから。扇風機になってひたすら左右に首振りをし続けるなんてどうですか、斬新でしょう。昔のモデルなら、たまに「カクッ」って引っかるところまで再現してほしいですね。今の時代、そのくらいの個性を持たなきゃ。そこを恥ずかしがってる人間は、ハロウィンなんかやめたほうがいいです。

YOKO FUCHIGAMI
トータル・ファッション・アドバイザー。デザイナー。日本服飾協会理事長。ジーンズブランド「YOKO IGIRISU JEANS」「KOBOSHI」「FUCHIGAMI DISTANCE」などセカンドブランド多数。パリやバリでコレクションを開催している。

秋山竜次(ロバート)
1978年8月15日生まれ。福岡県出身。98年にお笑いトリオ・ロバートを結成し、TV、舞台、ドラマ、CMなどで活躍する。秋山がさまざまなクリエイターに扮して密着取材を受ける「クリエイターズ・ファイル」は『月刊ザテレビジョン』で連載中の人気企画。YouTubeの公式チャンネルで毎月密着映像を公開している。各キャラクターでTV・CMにも出演するほか、展覧会「クリエイターズ・ファイル祭」は20万人を超える動員を記録。公式グッズやコラボウェアはファンだけでなく、リアルなクリエイターたちからも支持を得ている。

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宮川直実

(みやかわ・なおみ) 編集者。猫3匹と暮らす。好きなものは、コーヒー、プロレス、海外文学、お買い物。

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