「芸人なのに」「男のくせに」オリラジ藤森慎吾がメンズ美容で飛び越える“先入観”

好きなものと生きていく #08

お笑い芸人という枠を飛び越え、バラエティやドラマ、さらには映画にまで活躍の幅を広げる「芸能界イチのチャラ男」ことオリエンタルラジオ・藤森慎吾さん。実は今、メンズ美容にドハマりしているそう。その肌はインスタグラムでも絶賛の嵐。なぜ藤森さんは美容に凝っているのか、紐解くと、オリエンタルラジオの歩んできた道と重なっていた。(編集/メルカリマガジン編集部、撮影/伊藤圭)

「美容に1日4時間」本気で美を追求する36歳

その肌は36歳には到底見えない。芸能人だから、というわけではない。日々の努力の結晶だ。

藤森さんのオフの一日はストイックそのもの。毎日5時に起きて10kmをジョギングで流し、日中にはジムで筋トレに励む。夜は深酒を避けて、お風呂上がりにはフェイスパックに乳液・美容液、とお決まりのスキンケアで入念にメンテナンスを施す。本気で美を追求しているのである。

「食事も気を遣ってね。今はコンビニのサラダだって充実してて、キヌアだって手軽に買えちゃう。ジムでのトレーニングやサウナ、丁寧な食事とかも含めると1日4時間くらいは美容について時間を使ってることになるんじゃないかな…」と照れたように笑う。

今では髪の毛と眉毛以外の全身脱毛も済ませている。「インスタに載せたら男性か女性かわからない」という足は陶器のようにツルツルだ。「脱毛?結構痛かったですよ。でも、理想の自分は楽して手に入らない。やっぱり面倒くさいこともやるし、痛いことも、辛いこともやる」ときっぱり。のめり込んだことには手を抜かずやり抜くあたり、やはり“ただのチャラ男”ではない。

「芸人のくせに…」という批判

藤森さんがメンズ美容にのめり込み始めたのは6年前のことだ。「ちょうど30代にさしかかって、かつての回復力がなくなってきたんです。20代は毎日先輩と酒を飲んで夜中まで遊んで、次の日起きたら顔もむくんでパンパン。それで仕事に行ってもなんとかなった。でもある日、鏡を見たら目の下のクマはひどいわ、シワは取れないわで『俺、ひでえ顔してるな』って思ったんです」。

30代にさしかかり、一念発起して始めたメンズ美容。だが、当初は「芸人のくせに…」や「なんやねんそれ。オモロいんか?」と厳しい批判がほかの芸人から寄せられた。それに対して、藤森さんは毅然と反論し続けた。「今までのその人の文脈だったら面白くはないかもしれない。でも、芸人が大真面目に自分の美を追求するために毎日ジム行ってパックしてるっていう面白さがあると思うんですよ。別にいいじゃん、それはそれで面白いだろ?って。エンタメですよ。じゃあ先輩、『何をもって“面白い”んですか』って」。

藤森さんはこう続ける。「メンズ美容って、始めた当初は“キモい”とか“ナルシスト”とか言われる人も多いと思います。でも僕はそれを変えたいんですよ!」

ここまで藤森さんが「見た目」に気を遣うのは、お笑い芸人としてのキャリアと密接に結びついている。思えばオリエンタルラジオほど紆余曲折に富んだコンビも珍しい。2004年のコンビ結成からまもなく「武勇伝」で一気にブレイクし、次々と番組レギュラーを獲得した。

「一気に忙しくなりましたね。でも誰もネタの深いところなんか見てなかった。若い子たちなんかは特に。もちろん、それはそれでいいんだけどね…」

当時は「アイドルと同じような扱われ方だな」と歯痒い思いをしたが、人前に立つ商売である芸人にとって、見た目もいかに重要か、身を持って感じさせられた。

RADIO FISHで気づいた「見た目の重要性」

ド派手なブレイク後は、お決まりの「一発屋」として消費され、仕事は激減した。「明らかに実力も足りなかった。当時のあっちゃん(相方の中田敦彦さん)とはやっぱりケンカが増えた。余裕なくてミスもあって、何かあるとお互い相方のせいにして…」。

だが、それで終わらないのがオリエンタルラジオの強さだ。暗中模索していた2人はRADIO FISHを結成、全く異なる音楽ジャンルへの挑戦をぶち上げた。ラップ担当の藤森さんはここでも「見た目」の重要性に気づいていた。

「これがオリエンタルラジオの2人が禿げて太ってたら、RADIO FISHの意味合いはだいぶ違ってくると思います。コミカル的な面白さになっちゃうんですよね。でもそうじゃなくて、2人で大真面目にカッコつけるってところ。『え?あいつら芸人か?』って思わせたら“勝ち”なんですよ。『俺、芸人ですよ』って言えますし」。藤森さんなりにギャップに宿る面白さを追い続けた結果、たどり着いた答えだった。

今ではスクリーンデビューも果たした。映画「七つの会議」ではチャラ男の皮を脱ぎ捨て、陰湿な経理部社員を演じてみせた。「だんだん経験が溜まってきて、少しずつ自信がついてきたから映画も出れた。七つの会議では香川照之さんにつっかかって、野村萬斎さん相手に怒鳴り散らして…。ホントすごい仕事でした…」。

一方の相方・中田さんはYouTuberデビューを果たし、登録者数はうなぎのぼりだ。「武勇伝」で一度見た“頂上”からの転落、そこからオリエンタルラジオの2人はジワジワと這い上がり、まったく色の違う2輪の花を咲かせた。

藤森さん一人で走り始めた「美容」の道も、今では後輩たちが変わってきたのを感じている。「例えばEXIT、ネタはもちろん面白いけど、やっぱりあのビジュアルあってこそ、でしょ。それにジャニーズアイドルたちも見えないところですごい努力してる。“カッコイイのプロ”は次元が違うな、と」。

藤森さんが考える「メンズ美容の未来」

その流れは芸能界にとどまらないかもしれない。化粧品メーカーはメンズ美容の商品のラインナップを拡大、藤森さんも男性美容の波はもっと広がると予測してる。「例えば営業マンだって身だしなみに気を使ったほうがそりゃいいですよね。髪ボサボサで、だらしない体型の人よりも、やっぱりビジュアルが引き締まってると印象も違う。もしクマを消したくて、ファンデーションをちょっと塗ったりするのだって、それで自分の自信に変わればいいことだと思うんですよ」。

体質に大きな変化が生まれる30代を藤森さんは「面白い年代」と笑顔で語る。「それまで10代20代のポテンシャルで突っ走ってきた天才たちを30代で巻き返すことができる。僕自身、高校・大学時代はまったくモテなくて…」。確かに、30代の男は現状維持をしてれば勝てる、という格言もある。頭が薄くなってきたり、太ったり……。そんな中で維持さえしてればなんとかなるのだ。「メンズ美容は時間はかかるけど、やれば絶対に結果がついてくる。40代、50代になるまで続けてほしいですね」と世の男たちにエールを送る。

5年後の男性美容の未来を聞いた。「石原さとみちゃんとか綾瀬はるかちゃんとかのCMを男がやってたら時代が変わったって感じます。男性タレントがファンデーション塗って、ウルツヤ!とか。パシャッっと水がかかっても“崩れない…!”みたいな(笑)。でも結構大真面目にそういう時代がくると思ってるんですよ」

「芸人なのに…」「男なのに...」という見えない先入観の高いハードルを、軽やかに飛び越えてきた藤森さん。笑いながら世の中の常識を壊してきたからこそ、生き馬の目を抜く芸能界で何度も蘇ってきた。40代の藤森さんの姿はいったい…?その姿は想像もつかない。

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藤森慎吾(ふじもり・しんご)
2001年4月、明治大学政治経済学部経済学科に入学。在学中の2004年にお笑い芸人を目指し、吉本総合芸能学院(NSC)に入学。中田敦彦さんとオリエンタルラジオを結成。2005年3月に明治大学を卒業。2011年には、“チャラ男“キャラでブレイク、流行語大賞にもノミネートされた。2014年に結成した6人組ダンスボーカルグループRADIOFISHの楽曲「PERFECT HUMAN」がレコード大賞企画賞等を受賞し、第67回NHK紅白歌合戦に初出場。現在はドラマや映画、舞台など俳優としても活躍の場を広げている。

WRITTEN BY

武田鼎

(たけだ・かなえ)経済記者だったはずが、気づけば”なんでも屋”の編集者に。好きなものはアメコミとコーギー犬。

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