ホーム2019.12.20

「3時間寝れば大丈夫、新しい世界に出会いたい」オタク気質な佐野ひなこが全力で “遊ぶ” 理由

好きなものと生きていく#19

ゲームに麻雀、コスメにピアノ...佐野ひなこさんのYouTubeチャンネルには、一見バラバラなコンテンツが並ぶ。それらは意外にも、佐野さんがいま全力で追求する趣味の数々だ。20代になり自分の好きなものをオープンにすることで、「リア充感をガンガン出してた」10代には縁のなかった仲間と出会えた、と楽しそうに笑う。貪欲なまでに世界を広げる、佐野さんの「本気の遊び」について話を聞いた。
(執筆/霜田明寛、編集/メルカリマガジン編集部、撮影/伊藤圭)

「私、オタクなんですよ」

「私、オタクなんですよ。凝り性なんで、好きなものはとことん好きになっちゃうんです。反対に、興味がないものにはまったく興味がないので、極端なんですけどね」

女性誌のモデルに、男性誌のグラビアに女優業……ジャンルの垣根を越えて、縦横無尽に活躍する佐野さん。実は、何かにハマると、追求するがあまりマニアックになってしまうというオタク気質だ。
幼い頃にポケモンカードや遊戯王カードにハマり、大会にも出場していたという彼女は、今でもメルカリでレアなカードを物色しているという。
さらに、直近の休みは、朝の9時から夜の10時まで、5つのリアル脱出ゲームをハシゴ。新宿→横浜→新宿と、食事も移動中にすませる過密スケジュールを自ら組んで、遊び尽くしたとか。

麻雀にハマったきっかけは…

好きなものには惜しみなく時間と熱量を費やして生きてきた佐野さん。自身のYouTubeチャンネルで公開している多彩な動画の中でも特に異彩を放っているのが、麻雀だ。

「きっかけは、私が中学生のときに、2つ上の兄が『咲―Saki―』という麻雀のアニメを観ていたこと。私も一緒にハマって、原作の漫画やDVDを買ったりしていたんです。そのうちに、兄に麻雀の本を渡されたりして“教育”されまして(笑)。父と兄と家族で三麻して、簡単な役を覚えるようになりました」

しかし、麻雀熱に火がついたのは20歳を過ぎた頃の、友達とのある出来事がきっかけだった。

「友達5人でご飯してたら、ひとりが『これから麻雀があるから帰るね』って抜けようとしたんです。『私もできるよ!』ってアピールしたら『今日来る人たちはみんな上手だからダメ』って参加を断られてしまって。その悔しさが、私の麻雀熱に火をつけました(笑)そのあとさっそく、残された4人で、学生が行くような雀荘に行ったんです」

今でこそオープンにしているが、20歳当時の佐野ひなこと麻雀はちょっとかけ離れたイメージだ。雀荘でさぞ目立ったのではないだろうか。

「久しぶりだったのでルールを覚えながらやってたんですけど、その最中にTwitterで私宛にリプライがあって。『麻雀、七対子4枚使い禁止ですよ』って。同じ雀荘にいたお客さんが、ルールを指摘してくれたんです。ちょうど『デスノート』をやってた頃だったので金髪で余計目立ったんでしょうね(笑)」

好きなものはオープンにすると世界が広がる

それから数年。最近では、麻雀をはじめゲームや美容などさまざまな趣味を公開するようになっている佐野さん。その根本には『オープンにしたほうが人間関係が広がる』という、10代の頃の感覚がある。

「10代の頃は読者モデルをやったりもしていて、正直リア充感がガンガンに出てる女の子だったんです(笑)。だから学校でも、いわゆるオタクっぽい子たちは、私に近寄ってこなかったんですよね。でも私が『あのゲーム面白いんだよね』みたいなことを言うと『えっ、やってるんですか?』って驚きながらも話しかけてくれる子がいたりして、それがすごく嬉しかったんです。ヒロインを務めさせていただいた映画『魔法少年☆ワイルドバージン』でも、共通の趣味がわかることで急速に主人公との距離が縮まる描写がありますが、好きなものは人間関係を広めてくれますよね」

男性誌グラビアでデビュー後、女性誌、女優と、仕事の幅を広げてきたからこそ、媒体や仕事に合わせすぎず、本当に“好きなものをオープンにする”ことがプラスになると信じている。

「女性誌ではどうしても美容系の話をすることが多いんですが、やっぱり女性誌の読者の中にもオタクの心を持った女の子はいるんです。だから自分の趣味をオープンにすることによって、ファンになってくれる子もいて。誰だって共通の趣味を持つ人がいたら嬉しいじゃないですか。怯えて隠さずに、好きなものはオープンにしていったほうが世界も広がるんですよね」

“教養としての遊び”を増やす

最近の佐野さんは積極的に、新しい遊びや趣味に足を踏み入れて、自分の世界を広げようとしているという。その新しい趣味のひとつが、今年3回足を運んだという歌舞伎だ。

「年を重ねるにつれて、何かを嗜むこと自体を教養としても捉えるようになってきたんです。正直、歴史の勉強も苦手でしたし、どうせ歌舞伎って難しいんだろうなって食わず嫌いでいた部分があったんです。でも1回、音声ガイダンス付きで観てみたらすっごく面白くて。なんとなく“大人な感じ”がして距離をおいていた場所にも、これからは積極的に足を踏み入れていこうと思っています。歌舞伎はもちろん、絵も映画も色々なものを観ることによって、『これとこれは時代背景が共通しているんだ!』なんて気づけるのが喜びでもあるんです」

そうやって新しい世界へのきっかけの種をまいてくれるのは友達だという。

「(友達でモデルの愛甲)千笑美が色々と誘ってくれるんです。『お料理作ろう』『読書感想会やろう』『映画鑑賞会しよう』みたいな感じで。読書会は自分が好きな本を持っていって、それぞれプレゼンするんです。映画は一緒に見るんですが、お互いに興味を持っているジャンルが違うので、自分ひとりじゃ絶対に選ばないような映画に出会えるんですよね。私たちの口癖は『楽しいことしようよー』なんですけど、こうやってなんでも遊びにしてしまうと楽しくなるんですよね」

楽屋で雀士を“逆ナン”

こうして友達に新たな遊びを増やしてもらう一方で、遊びから友達を作りにいくこともあるようだ。

「気になる人は知り合いに紹介してもらうことも多いです。プロの女性雀士の方とクイズ番組で一緒になったので、私から楽屋まで挨拶にいって“ナンパ”しちゃったこともあります。ネットで見てる人と、一緒に麻雀をうてるのはとても嬉しいです。芸能界に入ってよかったなと思う一つに、そういうそれぞれのプロ人たちと出会える機会がありますね」

知り合いのツテを辿っていった果てには、“クイズ構成作家たちとの、早押しアプリを使ってのクイズ大会”や、“舞台版『人狼ゲーム』出演者たちとの人狼ゲーム”などが繰り広げられているという。


「大人の遊びは全部が本気なんですよ」と言って笑う佐野さん。もともと3時間寝れば大丈夫というショートスリーパーだというが、寝る間を惜しんで、本気で好きなものを嗜み、新たな世界との出会いを探し続けている日々。

麻雀という趣味をきっかけに友人も増えていったが、最近ではその輪が広がりすぎて怯むことも。
「私の麻雀の師匠はスピードワゴンの小沢さんなんです。小沢さんは本当に強くて、私が麻雀が好きって言ったら『じゃあ教えるよ』と言って“小沢流”を叩き込んでくれました。小沢さんの麻雀会には何度も呼んでいただいてるんですが最近では『プロリーグの◯◯さんとやるから来てよ』と、本格的なメンバーとの会の誘いがくるんです。さすがにそれは畏れ多くて怯んじゃいますね(笑)」

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佐野ひなこ(さの・ひなこ)
1994年10月13日生まれ、東京都出身。読者モデルなどを経て、2012年に『ホリプロスカウトキャラバン2012』のファイナリストに選出され、2013年に『週刊ヤングマガジン』でグラビアデビュー。『with』などの女性誌でモデルとして活躍するほか、ドラマ『地獄先生ぬ〜べ〜』『デスノート』などで、女優としても活躍している。最新映画出演作『魔法少年☆ワイルドバージン』が公開中。

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スタイリスト:津野真吾
ヘアメイク:宮本由梨(lila)
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メルカリマガジン編集部

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