ファッション2021.05.31

「サステナブル消費をハッピーに続ける」新しい買い物の価値観を楽しむ長谷川ミラの本当に欲しいもの

好きなものと生きていく#41

「SDGsネイティブ」と呼ばれるZ世代を中心に、消費の価値観が変わってきている。彼、彼女らに浸透しつつあるのは生産工程を理解し、地球環境に負荷がかっていない商品を選びたい、というマインドだ。

オピニオンリーダーとして世代を牽引しているのは、コメンテーターやラジオパーソナリティ、コミュニティ運営など「自分ごと化できるサステナブル」をコンセプトに情報発信をしている長谷川ミラさん。

学生時代にイギリス・ロンドンへ留学したことがきっかけで、社会問題への意識が変わったという。「まず知り、体験して始まった」と、長谷川さん自身は海外での暮らしを通して自然とサステナブルな消費が身についたのだそう。長谷川さんは今、社会問題とどう向き合っているのか。そして、欲しいものを選ぶ基準とは? 等身大の言葉で語ってくれた。
(執筆・編集/メルカリマガジン編集部、写真/井上満嘉)

本当に欲しいものってなんだろう

長谷川さんが環境問題に興味を持ち始めたのは、ロンドンへの留学がきっかけだった。
 
「私がロンドンに住んでいたのは約2年前なので情報が少し古いんですけど、当時のロンドンには今の日本で導入されている、レジ袋税がすでにありました。ただ普通に日々の生活をしているだけで当たり前のようにサステナブルかどうか意識を向けるきっかけがあり、自然と興味を持ち始めましたね」
 
そんななか、インスタグラムのフォロワーからのすすめで観た映画『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション真の代償~』をきっかけに、洋服を買うときの基準も変わったという。

映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』予告編

出典: YouTube

「自分が知らなかったファストファッションの生産背景が、ビジュアルでダイレクトに目に入ってきたので、衝撃的でした。労働環境の悪さ、育休が取れないという現実、低賃金労働や小さな子どもが労働している、などを伝える内容で。これを観てから『ただ価格が安いから』という理由でファストファッションは買わなくなりました」
 
ファッションアイテムだけではなく、買い物をするときには必ず、あることを考えるのだそう。
「以前は細々としたアイテムをたくさん、ひんぱんに買っていたのですが、今はいたずらにものを増やさないようにしています。たとえば、バッグ。いまカワイイと思ったものを選ぶのではなく、自分が40代になっていても使い続けたいと思えるかどうか。だから、トレンドを追わなくなりましたね。もちろん、欲しいものを我慢しているっていう感覚よりは、『本当に欲しいものってなんだろう』って考えてから買うようになったという感じです」

シングルユースはしない

価値観のアップデートを続ける長谷川さんはものを買ったあとにも心がけていることがある。

「買って1回だけで使い切ること、つまりシングルユースをしないようにしています。古着屋さんで服を買ったり、メルカリで欲しいものを探しているのも、そこからきていますね。もう着ることがなくなった服をメルカリに出品したり、妹にあげたりとまだ使えるものはできるだけ使ってもらえるように心がけています。ちなみにメルカリは高校生の頃から使っていて、最近では観葉植物を買いました」
「『サステナブルな消費』というと堅苦しそうな印象を持つかもしれないですが、私はマイペースに実践しています。柔軟性を持たせないと、続かない。例えば、いつも持ち歩いているマイボトルを忘れてしまった日は、喉が乾いてしまったらペットボトルのドリンクを買います。そのペットボトルをまた使う工夫をしたり、リサイクルできるような捨て方をすればいいですよね。地球環境に対してのアプローチについて、選択肢を多く持つことでバランスを取ることができる。ものをむやみに買わないけれど、ときめいたものは買えばいいし、長く使えばいいと思っています」
 
今では当たり前のように取り組んでいるサステナブルな活動だが、長谷川さん自身も意識が変わるまでは「自分1人がやったところで何も変わらない」と思っていたのだそう。
 
「どちらかというと社会や環境問題に対しては『どうせ変わらないだろう』とあきらめていました。だからこそ、今自分自身が発信している内容も、できるだけ聞いたり観たりした人が共感できるようなものにしています。正しいとされていることを一方的に押し付けられたら、興味もわかないじゃないですか。だから、情報を知りたいとか、調べてみたいとか、自分から自然にそう思ってもらえるといいなと考えています。アクティビストの人には怒られるかもしれないけど、全部を完璧に変えるのは難しい。だから、できることから始めるんでいいんだよ、っていうのを伝えていきたいと思っているんです」
「NPO法人で活動をしている友人が以前、『1人の100個よりも、1人の1個をみんなで増やしたほうが大きな1個になる』と言っていました。本当にそのとおりだと思っていて、1日1個だけでも何かを変えることができれば、それが将来の大きな一歩につながると思っています」

そんな彼女は自分のことを、「サステナブルと身近な人をつなぐ媒介者」だという。

「私は海外留学したことや映画を観たことがきっかけで、サステナブルな考え方が自然と身についたけど、そういったきっかけがない人も多いと思うんですよね。だから、みんな何かきっかけがあれば、価値観を見直せると思っていて。私はそのきっかけ作りになれればいいな〜と思って、SNSでの発信などをするように心がけています。より多くの人に環境問題の実態やサステナブルなイベントや団体、活動してくださっている人たちを紹介する媒体になりたいですね」

自分の等身大の声を届けたい

スポークスマンとしての長谷川さんの発信がきっかけで、環境問題や社会問題に興味を持ち始めた人も多いはず。彼女はそれが、今の仕事を続けるモチベーションになっていると話す。
「幼少期から海外ドラマなどを数多く観て育ちました。それがきっかけで自然と海外のセレブリティが発信しているSNSをチェックして。それで気づいたのですが、アクティビストじゃなくても大統領選の時期になったら、みんな政治に関する投稿を始めるんです。レディガガやマドンナ、ヴィクトリアズシークレットのモデル…。この人たちが発信していることで、意識が変わった人もいるだろうな、と。政治に関心がなかったとしても、気づき、発見になる。そこで、私は社会が本質的によくなることを発信したいと思いました。ロンドンに住んでいたときに、カフェに入ったら隣の人が当たり前のように社会問題の話をしていたり、タクシーの運転手に政治の話題を振られたりというようなことが多くあったんです。そういう問題点に気づくきっかけになりたいと思っているし、少しずつでも政治のことや社会問題について話しやすい環境づくりをしていきたいですね」

「いつもカバンの中にある」サステナブルアイテム

「続けることがサステナブル。無理をせずできることから、ちょっとした『趣味』としてサステナブルな行動をしています」と話す長谷川さん。「普段の買い物の基準ができたことで、以前より楽しくなった」とも。

そんな彼女のカバンには、自然にマイボトルや環境に配慮されたコスメが入っていた。長谷川さんの愛用するサステナブルアイテムを3つご紹介。

スターバックスのマイボトル

「4月に発売されたばかりのボトルで、発売されてすぐに買ったもの。見た目がかわいくてお気に入り。長く使うのはもちろんですが、飲み物を入れる役目を終えたら、今度はペン立てにしてもいいかな〜って思っています」

FENTY BEAUTY GLOSS BOMB FENTY GLOW

「普段から動物実験をしていないコスメを愛用しているのですが、歌手のリアーナがプロデュースするブランドのコスメもその一つ。海外製品なのでオンラインで購入しています」

THE BODY SHOP カラークラッシュ リップスティック 010、同 デュオ アイシャドウ ブラシ

「私がアンバサダーを務めている『THE BODY SHOP』のアイテムも、動物実験をせずに作られているものです。使いやすいアイシャドウブラシと、リップスティックはいつもカバンの中に持ち歩いています」

長谷川ミラ(はせがわ・みら)
モデル、YouTuber、ファッションデザイナー、JWAVE ナビゲーター。1997年7月7日生まれ。2017年にオールジェンダーに向けたブランド「JAMESIE(ジェイムジー)」をローンチ。環境保護のイベントを企画したり、社会問題についての意見をSNSで発信している。

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メルカリマガジン編集部

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