YOUのオトナ論「尖れなくなっても、いいんじゃない?」

好きなものと生きていく#15

「私は『どっちでもいい』っていうのが昔からないんですよ。好き嫌いがすごくハッキリしてるんで」

バラエティタレントや女優、エッセイストや歌手など、さまざまな顔を持つYOUさん。広いジャンルで自由に活躍してきたように見えるが、常に“好き”か”好きじゃない”かというシンプルな哲学で走り続けてきた。しかし近頃は、”好きじゃない”で割り切れないことが増えてきたという。

歳を重ねるにつれて少しずつ変化した、好き嫌いの感情。自らを”反抗の世代”と呼び、「本当はもっと尖ったままでいたい」と笑うYOUさんに、オトナになるということについて聞いた。
(編集/メルカリマガジン編集部、撮影/三澤亮介)

プレゼントは徹底的にハマりたい

人気番組『テラスハウス TOKYO 2019-20』の収録の前に、時間を作って取材に応じてくれたYOUさん。ストリートカジュアルがとても似合っている。黒いTシャツにパンツの鮮やかな青がかっこいい。これらはすべて私服だ。

「Tシャツは黒柳徹子さんからいただいた、『トットちゃん』公式ショップのニューヨークTシャツで、パンツはMaison Margiela、ネックレスはUNDERCOVERです。ネックレスはこれ、多分『BALANCE』って書いてあるんだと思うんですけど、“バランスを考えたほうがいい”っていうメッセージなのかな(笑)」

足にはタフなデザインが目を引く、acne studioの真っ白なテクニカルスニーカー。最近は仕事もどこでも「ずーっとこればっかり」というYOUさんは、一度気に入ったら同じものをとことん愛用し、それをヘビーユーズするタイプだ。

「だから、気に入らないと使わない。妥協とかしないんですよ。好き嫌いがすごいハッキリしてて、傍から見たら『これも好きそうじゃん』っていうのが、まったくハマらなかったりするので、『プレゼントするのすごい嫌だ』って言われます(笑)。だからみんなプレゼントはだいたい、いいお酒とか、いいオリーブオイルとか、消え物にいきますね。付き合いの長い人は私の好みをよくわかってくれてるんだけど、ちょっと後輩の男の子とかはプレッシャーに感じるみたいで、『YOUにモノは難しい』って思ってるっぽいですね」

だがYOUさんの好みにヒットすると、”ヘビロテアイテム”に即仲間入りすることになる。

「今日持ってきたポーチもイヤホンもTシャツも、ドンピシャなものをいただくとめっちゃめちゃアガります。だから私自身も、プレゼントするのは大好きですね。どうせプレゼントするんだったら、ハマりたいじゃん。相手を思い浮かべながら、いろいろモノを選んで、『これ好きでしょ?』ってハマりに行く。イマイチだったかなってときは、『クッソ〜! 来年は絶対!』って燃えて、また違う手を考えます。それが楽しい」

自分の“好き”を大事にしているからこそ、相手の“好き”も尊重したいという、YOUさんのこだわりが見える。

「このあいだ、後輩の芸人の男の子と、プロデューサーの男の子の誕生日プレゼントをあげたんですけど、それはうまくハマってた。まあ、Supremeだったからね(笑)。なんとなくシュプ(Supreme)とか、オフ(Off-White)が好きそうだなって子は、比較的選びやすいですね」

ところが、そんなYOUさんでも“ハマる”のがなかなか難しい人もいる。

「UNDERCOVERのデザイナーのジョニオ(高橋盾)くんとか、ずっと友達なんですけど、正直、彼の誕生日が一番難易度高いです…」

毎年仲間内で相談し、頭を悩ませているそうだ。

「困り果てて、今年はとうとう現金をあげました(苦笑)。ちょうど50歳の大台になって、キリもいいということで…。もうね、難しすぎる! 超やだ。本当にやだ。本当にやなの。毎年めっちゃやだ!」

たかがプレゼントなのかもしれないが、YOUさんにとってその一手はまるで将棋の真剣勝負。“好き”にこだわるからこそ譲れない戦いなのだ。

ピンポイントの愛車探しは、巡り会い

気に入ったモノなら同じものを何度もリピート使いするというYOUさん。

「私は『う〜ん、どっちでもいい』っていうのが昔からないんですよ。好きなものは本当に好きで、ちょっと違うと興味ないなって感じです。買い物も気に入ったお店にしかいきませんね」

そんな彼女がずっと好きでリピートしているものに、“古いベンツ”がある。

「70年代後半から80年代真ん中くらいまでの、ベンツの旧車を今探してます。26歳で免許を取ってから、ずっとその辺の年代のベンツを、多分、10数台くらい乗り継いできたんですよ。でも息子が免許取ったので、2年くらい前に普通の車にしたんですけど、やっぱり旧車がいいなあって」

また自分の“好き”に戻ったというわけだ。

「ベンツって60年代や70年代のほうが高級で、かっこいいのがいっぱいあるんです。でも私はそこじゃなくて、その時代と、エンジンとかがコンピュータで制御されるようになる時代の“狭間のベンツ”に慣れていて、気に入ってるんですよ。色は気にしてないです。調子さえよかったら、自分で塗ればいいし。とにかくエンジンとかミッションとか、中身で今探してます」

当然ながら昔の車は、市場に出回る台数が年々減っていく。しかもちゃんと走れるものとなると、なかなか見つかるものではない。

「人間と一緒で、もう出会いですよね。誰かが手放す、誰かが買う。タイミングです。もしいいのが入ったら、連絡もらえることになってるので、まず乗ってみて、気に入ったら買うし、違ったらまた次の出会いを待つ。それも人と同じでね、会わないとわからないんですよ」

自分の好みに正直で、お気に入りだけに囲まれた生活。理想の暮らしをしているように思えるが、YOUさんには今困っていることがある。

「モノがなくならない。めっちゃめちゃ溜まる。時間があるときは『これはあの子にあげる』とか『友達がやるガレージセールに出す』って仕分けしたりするんですけど、忙しいとそれもできないし、全然追いついてない!」

ならばメルカリで、と思うのだが…。

「本当は出したいんですけど…面倒くさいじゃん。だって全部値段とかチェックして、全部自分で送らないといけないでしょ? 1個2個だったらいいんですけど、モノがありすぎてできないんです。もうさ〜、誰か預かってくれる人とかいないわけえ〜? メルカリにまとめて送れば代行してくれるみたいなサービスあったら、いーなー! 真面目に考えてください」

人生はだんだん“嫌い”の裏側が見えてくる

もはや偏愛とすら言えるYOUさんのライフスタイル。先ほどのベンツもそうだが、妥協がない。

「お酒も飲みたいお酒を、飲みたいお店で、飲みたい人としか飲まないです。だから初めてのお店に急に入ることはないですね。モノも、店も、人も、同じものが好き。新しい友達を増やしたいとかまるでないんですけど、生きてるから増えてっちゃうって感じ」

自らを“刹那的な世代”だと語る。

「なんかヤンキーみたいですけど、“今を生きてる”っていう感じで、“明日バイクで死んじゃう”みたいな世代なので、先々のことを考える習慣がそもそもないんですよ。未来にあんまり興味がない。将来を語り合ったりするロマンチックな感じではないです。でも今は息子がいるので、さすがにちょっとは考えるようになりましたけど」

今年21歳になる息子さんは淡々としていて、YOUさんの世代とは対照的なタイプらしい。

「うちも周囲もそうだったんですけど、今の子って反抗期もあんまりないんですよね。親も昔みたいに押し付けないし、彼らの世代からすると、反抗って昔ほど意味をなさないんじゃないですかね。変えようとするほどのこともないというか…。私たち世代は全員反抗してましたね。じゃないと尾崎豊は流行らない(笑)」

だが、“好き”を追い求めてきたYOUさんも歳を重ねるにつれて、その反対側にある“嫌い”の見方が変わってきたという。

「長く生きてるということは、それだけたくさんの人に会っちゃうから、『なんだコイツ』と思ってた人とも会わざるをえないんです。でも会うと、いいところが見えるから、悪口を言えなくなる。そんなことがどんどんあるから、人生って悪口が言えないようになってるんだなあって」

つい先日も、ずっと苦手だった人に会ってみたら、以前とは違う印象になっていた。

「30年くらい『なんだコイツ』って思ってた人と、久しぶりにしゃべったら、やっぱりオトナになってたんですよ。10代や20代って尖ってますけど、それで30年会わないと、その間にみんないろいろあって、いい人になってるんですよね」

そしてポツリとこう言った。

「正直、それがつまんない。本当はもっと尖っててほしい、自分も」

好きなものは好き、嫌いなものは嫌いだと、いつまでもハッキリ言える自分でありたい。

「今でも嫌いって言いますよ。作品にしても『クソみたいな作品だな〜』とかって。でも、同時に『一生懸命作ったんだなあ』って思うようになっちゃったの。若いときはその背景なんて感じずに見てたから、それがオトナになるってことなんだなあって…。でも、それでいいんじゃない?」

YOUさんは穏やかな表情で微笑んだ。では恋愛でも、相手のダメなところが許せてしまう感じに?

「自分の男は…ないかな! わははは。やっぱり許せないですね。そういう意味では、そこは昔と変わらない。かっこいい人はかっこいいし、かっこ悪いヤツはずっとかっこ悪い。一生添い遂げたいと思って好きになるわけじゃないし、“今、好き”ってだけでいいじゃないですか、そこは。私はスイッチ入ると一気に恋愛モードですよ。早いですよ、我に返るのも(笑)」

やはりYOUさんは、どこまでも“好き”を追い続ける人だ。

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YOU(ゆう)
東京都出身。O型。1988年にバンド「FAIRCHILD」を結成。ボーカルと作詞を担当。1991年『ダウンタウンのごっつええ感じ』のレギュラー出演で個性的なキャラクターが人気となり、『テラスハウス』や『ねほりんぱほりん』、『セブンルール』など、枚挙にいとまがないほど数多くのテレビ番組に出演。また、女優としても、映画『誰も知らない』やドラマ『陽はまた昇る』などで活躍し、アニメ『地獄少女 三鼎』のナレーションなども務めている。もともとバンド出身だけあってライブ好き。最近はバンド「SUPER BEAVER」にどハマりし、忙しい合間を縫って、熱心にライブやフェスに通うという日々を過ごしている。

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WRITTEN BY

木下拓海

(きのした・たくみ) わけがわからないうちにたどり着いた職業が、編集・ライター。守備範囲は子育てから防衛技術まで。好きなものはハリネズミ。お腹を撫でられて伸びきっている姿を見ると悶え死にそうになる。

好きなものと生きていく

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