辻希美“鋼”の子育て論「すべては成長、諦めて楽しめばいい」

好きなものと生きていく #11

現在、4人のお子さんの子育て中である辻希美さん。家事や育児のことは何ひとつわからぬまま20歳で結婚し、第1子を出産したという彼女は、今初めて子育てをじっくり楽しめているという。今年32歳になった辻さんの12年間には、どんな心境や環境の変化があったのか? 日々成長する子どもたちとどう向き合っているのか? 4児の母である辻さんの、リアルな奮闘を聞いた。
(編集/メルカリマガジン編集部、撮影/伊藤圭)

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子育てに明け暮れた20代

辻さんの朝は、いつも7時の起床から始まる。まずは子ども3人に朝ごはんを食べさせ、朝8時に学校へ送り出し、そしてまだ赤ちゃんの三男を抱っこ紐で抱えながら、家族6人分の洗濯と、散らかった部屋の掃除を開始する。それがひと段落したら、次はスーパーへ買い出しに。そうこうしているうちに3人の子どもたちは下校。そのまま習い事へ送り迎え。その隙間を縫って大量の晩ごはんを作り始める…という毎日だ。

辻さんは夫の杉浦太陽さんとの間に4人の子どもがいる。11歳の長女・希空(のあ)ちゃん、8歳の長男・青空(せいあ)くん、6歳の次男・昊空(そら)くん、そして10カ月の三男・幸空(こあ)くん。辻さんは今まさに一女三男の子育て中である。

「周りからは4人目の子育てが大変だと思われがちなんですけど、私はやっぱり1人目の長女が一番大変でしたね。20歳で産んだっていうのもあったし、全部を100%でやらないといけないっていう気持ちだったので…」

1人目は、とにかく余裕がなかったと振り返る辻さん。

「長女は、今思うと手がかからない子だったんですけど、私のほうがいっぱいいっぱいだったんです。育児グッズをどう使うかも、それこそオムツの前後ろすらわからない状態でしたから」

最初はまさに手探り。相談相手はもっぱら辻さんのお母さんだった。いや正確には、お母さんしか相談できる人がいなかった。

「まだ友達にママになった子はいなかったし、当時はガラケーで今みたいにネット検索もできませんでした。だから自分のお母さんにいろいろ聞いていたんです。でも母の知識ってやっぱりどこか古くて…。長女が熱を出したときは、こめかみに梅干しを貼ったりしてました(笑)」

確かに今時あまり聞かない対処法だが、「梅干しがカラッカラになるまで貼っていた」と辻さんは笑う。そして長女が3歳になったときに、2人目の長男が誕生。

「手がかかったという意味では、2人目が一番大変でした。どこに置いても脱走しようとするし、ご飯もちゃんと食べてくれなくて、毎回全部食べ物を落としちゃうし。そんな状態が2歳くらいまで続いたんです」

そのため長男をおんぶや抱っこしながら家事をする生活が2年間続いた。長女のときとはまるで違う状況に、「男の子ってこんなに大変なんだ」と痛感したという。

「でもその頃には、もう3人目がお腹の中にいたんですよ。暴れる2歳児をおんぶや抱っこしながら、大きなお腹を抱えて妊婦生活をするのって本当に重たくて大変で…。だから3人目も男だとわかった途端、『また男か…』と血の気がサーッと引きました(笑)」

「子育てに追われた20代だった…」と遠い目をする辻さん。同年代の友達はみんな飲み歩いたりしていて、それがとても羨ましく思えたこともあった。しかしヤンチャな長男の様子を見ているうちに、いつしかそんな気持ちも吹き飛んでしまったそうだ。

「男の子ってやっぱりかわいいんですよ。大変なんですけど、女の子とはまた違うかわいさがある。女の子が生意気なことを言うと『もう!』ってなるけど、男の子だと『やれやれ、しょうがないなあ」ってなるみたいな(笑)」

そしてついに迎えた3人目、次男の出産。

「覚悟はしていたんですけど、実際に産んでみたら、めっちゃくちゃおとなしくて、嘘だろ〜!ってなりました(笑)。2人目の大変さは男だからじゃなくて、そういう性格だったんですね」

誰にごはんをあげたのかわからなくなる!

こうして姉と弟2人になった杉浦家。下2人の喧嘩が絶えない日々が始まる。

「もう鼻血のオンパレード(笑)。3人目ってやっぱりタフで、いつも笑いながら鼻血を垂らして遊んでいました。あと、上2人を見てるから“うまい”ところがあるんですよ。『僕はこうしたらダメだ、こうしたほうがいい』っていうのを全部考えて、スッスッスってうま〜くすり抜けて、甘えてくる感じです」

その一方で長女の希空ちゃんが、母代理のような役割をするようになったという。

「私がいないときは、弟2人の面倒をすごい見てくれてます。でも怒り口調が『もうちょーやだー!』とか『マジやめてー!』とか私にそっくりで、あ〜それ私言ってるわ〜って思いながらいつも反省しています(笑)」

そして昨年、6年ぶりに新メンバーが加わった。4人目となる三男だ。

「4人目は…そうですね、勝手に大きくなってます(笑)。これだけ子どもがいるので、自己主張するかのようにピーと泣いたりして“いるよアピール”がすごいです。やっぱり4人目って強いですね。気の強さでいったら多分一番です。自分が持っているものを取り上げられたときの反応が、もう本当にすごくて(笑)。グググーッって、それこそ腹の底から湧き上がるような怒り方なんですよ」

そんな子どもたちに囲まれて暮らす杉浦家の日常は、さぞ賑やかなのだろう。

「もうね、“無音”というものがないんですよ。4人目が歩行器でシャーシャー!って犬を追いかけまわして、バンバンバン!って壁にぶつかっている中で、私はいつもご飯を作っています、『ちょーやだー!』とか言いながら(笑)」

賑やかを通り越して、カオスになっているようだ。

「もう誰にごはんをあげたかわからなくなるんですよ。特に1日中子どもたちがいる夏休みは、“何ごはん”を食べさせたのかワケわからなくなる!」

食パン1斤が1日でなくなる上に、コストコで売っているおよそ日本サイズとは思えない大きなサーモンすら2日でなくなり、「冷蔵庫がパンパンとすっからかんを猛烈な勢いで繰り返している」という。育ち盛りを抱えた6人家族は、やはり想像以上に凄まじい。

すべてが成長の1ページだと思えるように

4人の子どもと愛犬の面倒を見ながら、テレビやイベント出演に加え、ブログにインスタ、そしてYouTubeでの発信と慌ただしい毎日を送っている辻さん。6年ぶりとなる子育てについて、今こう感じている。

「絶対に今のほうが忙しいはずなんですけど、1人目の頃のほうが時間がないっていう感覚でした。料理も家事もやったことがないまま結婚したので、一気にいろんなことを始めないといけなかったんです」

それこそ、洗濯機ってどうやって回すの? りんごってどうやって切るの?というレベルからのスタートだったと、当時を懐かしむ。

「1時間くらいかけてみじん切りとかやってたなあ(笑)。そこに育児も入ってきたから、毎日がもうパンパンでした。今はその頃とは違って気持ち的な余裕があるし、体調崩される前に『こうしておいたほうがいい』とかもわかるようになったので、4人目で初めてゆっくりと子育てできている感じがします」

最近ようやく“大変”よりも“楽しい”のほうが多いと思えるようになったそうだ。夫である太陽さんも、そう感じているのだろうか?

「きっとそうでしょうね。結婚したときはパパもまだ若くて何の知識もなく、子育てを手伝いたくても何をしていいかわからない状態で、お互いがイライラして夫婦喧嘩も多かったんです。でも子どもが成長してしゃべれる歳になると、それまでママがやっていたことを、ある程度パパにバトンタッチできるようになりました」

長男と次男と遊ぶのは、今ではもっぱら太陽さんの担当。そして怒り口調が辻さんそっくりだという長女も、家庭内でその存在感をますます高めている。

「もうすぐ12歳になるんですけど、もう自分で抱っこ紐のエルゴも使えるので、4人目の面倒をよく見てくれるんですよ。だんだん家族みんなで子育てするようになってきました」

これまでの経験値と、家族からのサポート。以前とは比べものにならないくらい精神的に余裕が生まれた辻さんは、子育てに対する考え方も変わってきたと語る。

「今4人目にご飯をあげると、グチャグチャにして顔に塗りたくったりするんですけど、それすらも楽しく見てられるんですよ。前だったら、『わ〜っ、もうこれどうすんの?』って思ってたけど、今は『どんどんやれ〜!』ですね(笑)。どうせそのあとお風呂に入れるし」

自然に“次”が考えられるようになったという。初めての子育てから12年。子どもも大きく成長したが、母もまたそれに負けないくらい成長したようだ。

「強くはなったと思います。無駄な心配はしなくていいって思えるようになりました。もし昔の自分に何かアドバイスできるとしたら、『諦めて楽しむしかない』って言うかな(笑)」

例えば子どものイヤイヤ期も、辻さんはこう捉えるようになったという。

「イヤイヤ期もつかまり立ちができたことと同じで、イヤイヤが”できるようになった”ってことなんだと思います。イヤイヤを覚えたから、イヤイヤしたい。1つのことができるようになった。すべてが成長の1ページなんだと思います」

子育ては毎日が成長の連続なのだ。もう何千ページもめくってきた辻さんは、笑いながら言い放つ。

「イヤイヤされたら、もうほっとけばいい(笑)」

さすが4人の母はたくましい。

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辻希美(つじ・のぞみ)※辻のしんにょうの点は1つが正式表記になります
2000年にモーニング娘。の第4期メンバーとしてデビュー。2004年に同グループを卒業し、2007年に杉浦太陽と結婚。20代はひたすら子育てに没頭する。現在は4児の母として、テレビやイベントなどで活躍。またインターネットでの発信も積極的に行っており、アメーバブログやインスタグラムのほか、YouTubeに「辻ちゃんネル」を開設。ますます注目を集めている。今年はお互い母となった加護亜依とW(ダブルユー)を再結成し、話題となった。なお辻さんのお子さんたちは、お母さんがアイドルだった事実をW再結成まで知らなかったそうで、そのライブに連れていって、初めて「そうだったんだ!」というリアクションをされたとか。
辻ちゃんネル

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WRITTEN BY

木下拓海

(きのした・たくみ) わけがわからないうちにたどり着いた職業が、編集・ライター。守備範囲は子育てから防衛技術まで。好きなものはハリネズミ。お腹を撫でられて伸びきっている姿を見ると悶え死にそうになる。

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