植物2022.12.21

サボテンの種類について学んだら、ユニークすぎてもっとサボテンを育てたくなった

観葉植物として人気急上昇中のサボテン。実はサボテンとひと口に言っても、その特徴はさまざまです。今回は、そんなサボテンの魅力とおすすめのサボテンの種類について、観葉植物マニアのクロマルさんに解説していただきました。

(執筆・撮影/クロマル、編集/株式会社モジラフ、メルカリマガジン編集部)

主なサボテンの種類。好みのサボテンを探して、インテリアをもっと魅力的にしたい

諸説ありますが、サボテンには2000種類以上の品種があると言われています。形や模様、トゲの形状、花などによってかなり細かく分類されるので、きっと好みのタイプが見つかると思います。

サボテンに共通しているのは、棘座(しざ)やアレオーレと呼ばれる、トゲの根元にあたる器官です。つまり、トゲがなくても棘座があればサボテンであるということになります。逆に、トゲがあっても棘座がなければ、それはサボテンではありません。

【形による分類】

サボテンは進化の過程で成長の仕方も分かれていきました。ここではそのうちの主な3種類についてご紹介します。
ウチワサボテン 球体や団扇のように平らで丸い形状をしており、ある程度大きくなると節を作って成長していきます。
育てるほどに節が増え、個性的な姿になる楽しいサボテンです。
柱サボテン 柱のように縦に成長します。ウチワサボテンからの進化で、水分を多く溜められるように円柱状になりました。
そのまま育ててもいいですが、剪定して枝分かれさせる仕立て法もあります。「接ぎ木」という2種類以上の植物をつなげて育てる手法では、柱サボテンが土台になることが多いです。
玉型サボテン 玉型に成長します。柱サボテンから進化し、表面積を少なくして水分を溜めておける姿になっています。
成熟してからは柱のように縦に成長するものや、子株を増やし群生するものがあります。

【サボテンの変異について】

サボテンを育てると、たまに姿形が変異した個体が生まれます。より個性的な植物を楽しみたい方は、変異したサボテンを育てるのもおすすめです。ただ、変異したサボテンは値段がすこし高めになる傾向があります。ここからは、サボテンの変異として代表的な「斑入り」と「綴化」について、ご説明します。

【サボテンの「斑入り」とは】

本来は全体が緑色であるはずが、部分的に葉緑素が抜け黄色や赤色になったものです。見た目が華やかで人気があります。多くの場合、名前の後ろに"錦(にしき)"と付けて区別されます。色鮮やかなほど、葉緑素が少なく成長がゆっくり。画像は翠晃冠(すいこうかん)の斑入り種、翠晃冠錦(すいこうかんにしき)です。

【サボテンの「綴化(てっか)」とは】

植物には、「成長点」と呼ばれる成長の基点となる箇所(細胞分裂の活発な部分)があります。多くの場合、サボテンの成長点は一箇所です。綴化は、この成長点が線状になった変異のこと。風変わりな見た目の植物に興味がある方はぜひ探してみてください。画像は精巧丸(せいこうまる・学名ペレキフォラ・アセリフォルミス)の綴化個体です。精巧丸は本来、玉型サボテンですが、歪(いびつ)な形になっており、そこが魅力でもあります。

観葉植物マニアが厳選した「インテリアとしておすすめのサボテン」14選

翠晃冠錦(すいこうかんにしき):長めのトゲとピンクの花が特徴的

こちらはギムノカリキウム属の翠晃冠というサボテンに斑が入ったもの。少し長めのトゲも特徴的です。サボテンは乾燥した環境を好みますが、この種類は湿度が高い環境でも比較的育てやすく、サボテン初心者にもおすすめです。春から夏にかけてピンクがかったきれいな花を咲かせます。

海王丸(かいおうまる):超個性的なフォルム。春〜夏に白い大きな花を咲かせる

こちらも翠晃冠と同じ、ギムノカリキウム属のサボテン。深緑肌にうねりながら伸びるトゲが個性的です。こぶのような稜はハリがあり、非常に硬いです。サボテンのなかでも水を好む種類なので、水やり頻度は多めがいいでしょう。春から夏にかけて白い大きな花を咲かせます。

白兜(しろかぶと):白い斑点模様が特徴的な有星類サボテン 

刺はなく、刺座には丸めた綿のような毛が生えています。刺座だけでなく、全体を覆うような細かい毛が白い斑点模様を作っています。このようなサボテンを有星類(ゆうせいるい)といいます。

有星類の代表的な品種に兜丸がありますが、白兜のほうが斑点模様が強く出ます。名前に"兜"が入るサボテンには、他にも模様や稜(りょう)と呼ばれるヒダの数が微妙に違う品種がいくつもあるので、お好みのタイプを探してみてはいかがでしょうか。

また夏と冬は成長が緩慢になります。この時期は水やりを控えるようにしましょう。室内で育てる際は風通しを確保するためにサーキュレーターなどを活用してください。

鸞鳳玉(らんぽうぎょく):星形のビジュアルが魅力のトゲなしサボテン

白兜と同じアストロフィツム属のサボテンで、トゲがありません。稜と呼ばれるヒダが5つあるものが一般的で、上からみると星の形をしています。画像の鸞鳳玉は、稜が4つなので四角ランポーとも呼ばれます。日焼けしやすい品種なので、直射日光には当てないようにしましょう。また乾燥を好む品種のため、風通しのいい場所で管理しましょう。

白星(しろぼし):ふわふわの綿のようなトゲが独特の存在感 

白星はマラミリア属のサボテンで、やわらかい綿のようなトゲに全体を覆われている姿が特徴です。群生するように育ち、白い花が次々に咲きます。日本の高温多湿な夏は苦手なので、水やりを控えて風通しのいい場所で育てましょう。サボテンのなかでは比較的寒さに強く、強い日差しを好みます。必要に応じてLEDライトなどを使って日照時間を確保しましょう。

青竜丸(せいりゅうまる):ゴツゴツとした無骨なフォルムがカッコいい 

青竜丸は白星と同じマラミリア属のサボテンです。トゲは白星と比べて太く硬いタイプで、群生して成長します。画像はトゲが少ない"刺無し青竜丸"と呼ばれる品種です。寒さには強く、風通しのいい環境を好みます。室内で育てる場合は定期的に窓を開けて風を通すか、サーキュレーターを使用しましょう。

希望丸(きぼうまる):その淡麗な立ち姿は思わず見惚れてしまうほど

希望丸はマラミリア属のサボテンで、白い細かいトゲが規則的に生えており、とてもきれいな姿をしています。上に向かってゆっくり成長していきますが、徒長(とちょう:植物の茎や枝が、必要以上に間延びしてしまう状態)には注意が必要。

水をやりすぎたり、日当たりが悪いとトゲとトゲの間隔が広がり、先細りした形になってしまいます。成長点が日当たりがいい方向に曲がってしまうことがあるので、定期的に鉢を回すといいでしょう。細かいトゲに覆われていることもあり、日焼けはしにくいです。春には鮮やかなピンク色の花を咲かせます。

縮玉(ちぢみだま):細かく波打ったヒダと赤いトゲ美しい 

縮玉は稜と呼ばれるサボテンのヒダがとても細かく波打っており、赤みがかったトゲが生えます。ステノカクタス属の一種で、他には千波万波(せんぱばんぱ)という品種も人気です。寒さに強いですが、多湿な環境は苦手です。水はけのよい土で風通しを良くして育ててあげてください。花は紫に白の縦縞が入った美しい模様です。

烏羽玉(うばたま):和菓子のようにポテッとした、愛でたくなるフォルム

ロホホラ属のサボテン。少し白みがかった肌に丸みのあるフォルムが、どこか和菓子みたいですね。触ると弾力があり、トゲはなく、刺座に綿のような毛が生えています。サボテンの中では珍しく、高温多湿な環境でもよく成長します。乾燥するとハダニが付きやすいため、こまめに霧吹きをして湿度を保つようにしましょう。

紅鯱(べにしゃち):赤くて長いトゲが目を引くド派手なサボテン

紅鯱は、なんといっても赤くて長い立派なトゲが特徴的。フェロカクタス属のサボテンで、トゲの色が黄金色の金冠竜(きんかんりゅう)など、フェロカクタス属のサボテンはどれもトゲが立派です。多湿な環境で育てたり、トゲが濡れるほどまで水やりをすると、トゲにカビが生えてしまうことがあります。室内管理の場合はサーキュレーターで空気を循環させましょう。風通しを良くし、水やりも控えめにするようにして育てるのがコツです。

武蔵野(むさしの):白くて長いヒゲが特徴の個性派サボテン 

武蔵野はテフロカクタス属のサボテンです。形状としてはウチワサボテン系であり、ある程度大きくなると節を作って成長していきます。白いトゲは長いですが、触ってみるとあまり硬くはなく、ペラペラとしています。サボテンのなかでは比較的水を好む種類で、元気がなくなるとハリがなくなってきます。このハリがあるかどうかを水やり頻度の目安にするといいでしょう。

エキノプシス:1年に1日だけ咲く大輪の花は必見

エキノプシスは別名「花サボテン」とも呼ばれるほど、株に不釣り合いなサイズの大輪の花を咲かせるサボテンです。品種名としては短毛丸(たんげまる)、花盛丸(かせいまる)などが有名です。

交配種が多く、花の付けやすさ、大きさ、色合いなどはさまざま。耐寒性、耐暑性ともに優れ、雪国のような霜に当たる地域でなければ一年中屋外で育てられるほどです。また、室内で育てるときはLEDライトを活用して日当たりを補ってあげるといいでしょう。花は1年に1日しか咲いている姿を見られないので、見逃してしまわないように要注意。

象牙丸(ぞうげまる):象牙のようにカーブしたトゲが特徴的 

濃い緑色の肌には艶があり、白いトゲが生えています。トゲの形はカーブしており、まるで象牙のように見えますね。ふわふわとした綿毛も特徴的です。

水やりは控えめで大丈夫。綿毛がしぼんでしまわないよう、株元から水を与えましょう。日当たりと風通しのいい場所だと元気に成長します。ピンク色の大きな花を咲かせます。

ブイニンギー:明るい鮮やかなグリーンをインテリアのワンポイントに

明るい緑色の肌に白いトゲが規則的に生えている玉形のサボテンで、和名は獅子王丸(ししおうまる)。もともとはノトカクタスという分類でしたが、現在はパロディア属に変わっています。

大振りな黄色い花を咲かせます。多湿な環境は苦手なので、水はけのいい土と、風通しの良い場所で育ててあげてください。

サボテンの上手な育て方。サボテンを健康的に育てる方法を知っておこう

サボテンを元気に育てるために大事なことといえば、水やりと鉢の置き場所。

水やりは一般的な植物と比べ、少なめで大丈夫です。土が乾いたタイミングですぐ水を与えていると、サボテンにとっては多すぎになってしまいます。ほとんどのサボテンは乾燥を好むので、土が湿っている状態が長く続かないよう、水はけのいい土と鉢に植えてください。

またサボテンは日当たりと風通しのいい場所を好みます。ただし、いつも直射日光に当たるような場所に置くと日焼けしてしまうので、カーテン越しの光にするなどして、適度に遮光しましょう。

サボテンを育てるなら、ぜひ花の咲いた姿を見てみたいもの。花を咲かせるには、成長が緩慢になる冬は断水ぎみにして、しっかり休眠させます。とはいえ、休眠期間中も日当たりは確保してあげましょう。冬は日照時間が短くなりますし、室内は屋外と比べるとかなり暗いので、LEDライトで日当たりを補うようにするといいでしょう。

サボテンは成長がゆっくりで、見た目の変化が少ない植物です。焦らずじっくり育てることがとても大切です。サボテンの成長を楽しむためにも、たまに写真を撮って見返すようにすると、徐々に大きくなっていることに気付きますよ。

この記事が、皆さんにとってお気に入りのサボテンが見つかるきっかけになれば嬉しいです。

クロマル

21年8月よりブログ「Plants Calendar 」を開設。観葉植物が大好きな横浜在住の会社員。 仕事や学校で忙しくても、観葉植物をちゃんと育てたい人へ向けて有益な情報を発信していきたいと思っています。 blog【https://lit.link/kuromaruplants

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