2024.08.21

旧車、モンキーレンチ、ポスター。古さを自由に遊び倒す、千原ジュニアの「ヴィンテージ愛」

本当の「ヴィンテージ好き」とは、単に古いモノを集めるだけではなく、その楽しみ方も知り尽くしている人のことをいうのかもしれません。1960年代や1970年代のいわゆる「旧車」を多数所有し、世の車好きからも一目置かれる千原ジュニアさんもそのひとり。自身のYouTubeチャンネルでは激レアな車やバイクでドライブやキャンプに出かけたり、コーヒーへのこだわりを語ったり、買い集めた古い工具の「モンキーレンチ」でアート作品を作ったり、さまざまな趣味を千原さんなりのスタイルで楽しんでいる様子が伝わってきます。

2024年6月に1940年代のイギリス製バイク「ヴィンセント コメット500」を衝動買いする動画を公開、7月には同じく即決で購入した1950年代のイタリア車・FIATムルティプラが購入から3年越しで納車……と旧車に対する並々ならぬ情熱がたびたび話題となる千原さんですが、そうやって一期一会の興奮を味わいつつ、手に入れたら終わり、ではなく、その後いかに使い倒し愛し尽くすか、というところにこだわるのも千原さん流。古いポスターを探し出してインテリアにしたり、旧車に合う雰囲気のカバンを探し求めてトランクがわりに使ったり。自由に「ヴィンテージなもの」を楽しんでいる千原さんに、その魅力とは何なのかをたっぷり語っていただきました。
(執筆/小川智宏、撮影/藤原慶、編集/メルカリマガジン編集部)

千原ジュニアと旧車。「どこかで止まるんちゃうか」のおもしろさ

旧車にハマったきっかけですか? 20歳のときにポルシェ356スピードスターのレプリカを買って、それ以来旧車しか乗っていないんで、何かがきっかけでハマったという感覚もないんです。現行車は乗ったことがないというか、そもそも興味がない(笑)。ちっさいときに親父がダルマセリカ(トヨタの初代セリカ)に乗っていたので、その影響はあるのかもしれないです。

だから現行車と比べることはできないんですけど、旧車は操縦するのも「どこかで止まるんちゃうか」って気にかけながら乗るのもおもしろい(笑)。実際にガソリンのエンプティーランプが光らなくてガス欠で止まったりとか、出先でオイル漏れが起きて止まったりとか、そういうのはありましたね。手はかかるけど、そういうのはもうしゃあない。だって首都高の大橋ジャンクション(※)なんか、あんなん旧車にとっては地獄みたいなもんですよ(笑)。でもそれも楽しいというか、止まったら止まったでええか、と。だからガンガン乗ってますね。フォードのエコノラインってバスも持ってるんですけど、それでキャンプに行ったりしてます。

※大橋ジャンクション:東京都目黒区大橋にある首都高速道路3号渋谷線と中央環状線を結ぶジャンクション。坂道な上に急カーブが長く続くため、優しい運転が求められる古い車にとってはタフ
この間はヴィンセントのコメット500っていう1940年代のバイクを買いました。見てすぐに決めて買ったんで、よく「即決で買うなんてすごいっすね」とか言われるんですけど、じつは車を買うときは見に行く前にネットでかなり探してます。今持ってるフォードのエコノラインなんかはアメリカのサウスダコタで見つけたんですよ。今は普通にネットで探せるからいいですね。メルカリも見ますし、海外のものを探すときはeBayとかも使ってます。

車を買うときに一番大事にしているのは「程度」ですね。だから、エコノラインはサウスダコダまで見に行けないんでわからなかったですけど、実際に見に行けるのは見に行くようにしてます。エコノラインは写真見て決めたんですけど、向こうの写真でどれくらいちゃんと色が出てるかとか分からないから、「大丈夫かな」と思ってたんです。けど届いてみたら、逆にいい感じで写真が盛れてなかった(笑)。実物のほうがよかったですね。あ、でもヴィンセントは本当に店で見た瞬間に決めました。あれはなんか、輝きが違ったんですよね。まだまだ納車は先なんで、楽しみにしてます。

「古い感じ」がいい。70年代「ボクシングのポスター」、そしてモンキーレンチ

乗る時に気をつけてること? 普通に安全運転(笑)。あと、よく旧車にナビつけたり、CDチェンジャーとかつけたりするのはちょっとそれはいやなんです。ただどうしても要るものはあるんですよ。水温計とか。そこだけデザインが「令和」な感じになってしまってどうしようかなと思ったんですけど、たまたまぴったりのサイズのカメラのレンズキャップがあって、それでちょうど隠せたんですよ。そんな感じでだましだましやってます(笑)。そういう雰囲気みたいなんは大事にしてますね。だから車もレストアと修理だけで、カスタムはしないです。エンジンを載せ替えたりはしてますけど、できるだけオリジナルのまんまで乗ってます。

そういう、古い感じが残っているのがいいなと思うんです。前に昔の、70年代とかのボクシングのポスターをeBayで買ったんですよ。それを額装して、その試合をYouTubeで観ながら酒を飲むとかしてるんですけど、ボクシングのポスターって、80年代後半くらいからめちゃくちゃ大衆的になって違和感あるんですね。でも60年代、70年代は普通にポスターとしてかっこいい。だからそういうのをわざわざ探して買います。映画のポスターとかも、邦題になってると雰囲気変わっちゃうんで、eBayで原題のやつを探したりとか。それがこだわりっちゃこだわりなのかな。額装代とか結構かかってますしね(笑)
あと、コレクションってわけじゃないけど、コロナの自粛期間中に古いモンキーレンチをいっぱい買ったりもしました。それこそメルカリでも買ったのかな。あれは最初、奥さんが子どものために紙粘土買ってきたことがあって、そしたら子どもより俺のほうがハマっちゃったんです。それでいろいろ作ってる中で、犬がモンキーレンチをくわえてるっていう「モンキーレンチ置き」を作ったんですけど、そこから大量にモンキーレンチを買うようになって。今100本くらいあるのかな。それも、今のは滑らないようにゴムのグリップが付いてたりするんですけど、昔のはもっと荒い作りで、変な曲線が出てたりして、武骨でかっこいいんですよ。車でもポスターでも、なんでもそうなんですけど、今っぽいツルツルしたものよりザラザラしたもののほうが好きなんですよね。

「おもしろがれるモノ」と自宅であそぶ

そういえば、この間メルカリで革のカバンを買いました。フィアットのムルティプラって車を買ったんですけど、トランクがないんです。だから屋根のキャリアにそのカバンをくくりつけて、工具とか入れとこうと思って。それで雨に打たれてもいいようなカバンを探しました。あとバスケットも買ったんですけど、それはちょっとデカすぎて、結局どうしようかなと思ってます(笑)
今欲しいなと思って探しているのはギター。グレッチのアコースティックギターが欲しいんですよね。最近バンドをやり始めたんです。もともとはYouTubeでフットボールアワーと小籔(千豊)と4人でバンドを組んで小籔がやってる「コヤブソニック」っていうフェスに出るっていうんでギターを始めたんですけど、それが終わって、でもせっかく始めたから続けたいなと思って新しいバンド(HONEY BADGER)を組んで。そこではエレキ弾いてるんですけど、テレビ観てるときとかにリビングでちょっと触れるやつが欲しいなと思ってて。僕は全然ギターには詳しくないんですけど、いろいろ見たり教えてもらったりする中でグレッチがええなと。俺はエレキしか知らなかったけど、グレッチにアコギもあるって言うのを知ったんで、どうせならグレッチ、それも赤いのがいいですね。BLANKEY JET CITYが好きなんですよ。浅井健一さん(BLANKEY JET CITYのギター・ボーカル)といえば赤いグレッチなので。赤いアコギがあるんかわからないけど、欲しいなあ。

あとはなんかあるかな……モンキーレンチはもう十分やし(笑)。いっぱいあるんで、溶接で何か作ろうかなと思ってるんですよね。モンキーレンチを溶接してくっつけて、なんかオブジェみたいなんを作るとか、ドアノブにくっつけるとかしようかなと思ってます。

千原ジュニア
1974年3月30日生まれ、京都府福知山市出身、大阪NSC8期生。
1989年に兄のせいじと「千原兄弟」を結成。
関西テレビ「千原ジュニアの座王」などをはじめ、レギュラー番組多数。
俳優として、KTV「新・ミナミの帝王」にて主演を務めるほか、「千原ジュニアYouTube」「ざっくりYouTube」などYouTubeでも活躍中。

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メルカリマガジン編集部

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