「メルカリと一人カラオケが好き」高田純次の変化を面白がる生き方

好きなものと生きていく#10

移動の合間にメルカリで「スニーカーをディグる」、そしてオフの日には「一人カラオケ」で熱唱。

なんとこれ、高田純次さんの最近の日課だという。
「その日のファッションは足元から考える」というほど、スニーカー好きな高田さん。多いときで250足を集めたという立派な“スニヲタ”ぶりだが、最近もっぱらスニーカー探しに活用しているのがメルカリ。 1年半ほど前からハマり始め、今では仕事の待ち時間やお風呂上がりに、メルカリでの「ウィンドウショッピング」を欠かさない。そして店の人に「いつもの部屋空いてますよ」と言われるほど常連となった一人カラオケも、ここ最近の趣味だという。

一方、愛用品について伺うと、アンディ・ウォーホールや横尾忠則、ロレックスにジッポーなど、デザイン学校に通っていた若き日の憧れを、いまも大切に持ち続けていることがわかる。

いつの時代も、面白いものが好き。そんな高田さんに70歳を過ぎて得た「新たなルーティーン」について伺いながら、独自のメルカリ術や、変化を楽しむ秘訣を聞いた。
(執筆/紺野銀、編集/メルカリマガジン編集部、撮影/業天大和)

ストーリーのあるモノが好き

「今日はバレエ教室に行ったんだけど、『高田さんも踊ってください』と言われて、適当にグルグル回ってたら、先生が『(映画『ブラック・スワン』の)ナタリー・ポートマンより上手ですね』って(笑)」
 
取材場所に現れるや否や、「じゅん散歩」(テレビ朝日)のロケでのエピソードを楽しげに語る高田純次さん。1980年代に「天才・元気が出るテレビ!!」にレギュラー出演してブレイク。以来、テレビのCMやバラエティ、ドラマを中心に活躍している。古希を越えてなお色艶よく、しかもお洒落。その証拠に、足元には白い靴が映える。

「いいでしょう、これ。コムデギャルソンのウイングチップ。メルカリで10000円で見つけたの。『新品未使用』ではなかったけど状態はいいし、定価は倍以上だからお買い得だよね」

現在72歳、いわゆる「団塊の世代」ど真ん中の高田さんだが、メルカリに「どハマリ中」だという。「時間泥棒だよね。夜、風呂上がりに出物がないかスマホで検索するんだけど、あるわ、あるわ。『おっ、また新しいやつが出ているじゃん』なんてチェックしていると、興奮しちゃってなかなか眠れなくて」と、スマホにインストールしたメルカリのアプリを器用に操作しながら話す。そもそも高田さんがメルカリを利用するきっかけは、スニーカーだったという。

「好きでいろいろ集めていたんです。特に気に入っていたのが、ナイキの『エアジョーダン9』。シリーズの中でもフォルムが断トツにかっこいい。でも、どんどん履いてたら壊れちゃって……。ソールに使われているウレタンなどの化学物質は水に弱いから、加水分解を起こしてボロボロになっちゃう。経年劣化に弱いのよ。それでどうしようかなと困っていたら、昨年の2月ぐらいに『メルカリならたくさんスニーカーが売ってるよ』と知り合いが教えてくれて。気づいたらハマっていましたね」

「メルカリで初めて知った商品も多い」という高田さん。中でも、ブランドとブランドのコラボ商品に惹かれるという。

「ストーリーのあるモノが好きなんです。特にスニーカーはコラボ商品が多いのが魅力だよね。ブランド同士がなぜ手を組むようになったのかを考えるのが楽しいし、そこに新しいストーリーが生まれるじゃない。コンバースがウォーホールのデザインを取り入れたり、ナイキとサカイがコラボしたり。そこが好きなところ」

メルカリを利用し始めて1年半で、50足以上のスニーカーを購入したという高田さん。「コラボ品は高額なものも多いから、全部買っていたら破産しちゃう(笑)」と、最近はあえて慎重に利用しているという。

「とにかくまずはサイズ。僕の場合は、家に飾るのではなくて自分でどんどん履くのが前提だから。できれば新品未使用のものがいいけど、今日履いてきたコムデギャルソンは、『未使用に近い』状態のものを買いました。でも、全然問題ない。いつも出品者から靴が届くと、まずは脱臭剤を入れてその上からラップをかけて1週間ぐらいそのまままにする。いちおう気分的な問題として。スニーカーの匂いも好きなんだけどね。いわゆる『匂いフェチ』じゃないんだけど、なぜかゴムの匂いだけは好きで、よくスニーカーを両頬にくっつけてクンクン匂いを嗅いでるのよ。その姿を見て妻は呆れているけどね(笑)」

目下の悩みは、他の「スニヲタ」同様、収納場所だという。

「スニーカー好きとしては箱を捨てるわけにもいかないじゃない。でもかさばるし、置き場所に困る。一番多いときで250足ぐらいあったかな。家の階段の下のデッドスペースに詰め込んでいたんだけど、ある日雪崩が起きちゃって……。妻には『1日1足捨ててくれ!』と怒られています。今は、引っ越しもあって少し整理したから、全部で150足ぐらいかな。それこそ『メルカリで売ればいいのに』と言われるんだけど、それはまだ僕にはハードルが高くてね。時間があれば挑戦してみたいけど」

芸能界に入る前は、宝石の卸会社でデザイナーをしていた高田さん。「じゅん散歩」では、ロケで出会った人の似顔絵や風景を毎回描いて披露している。

「手先は器用なんです、こう見えて(笑)。購入したスニーカーを自分でカスタマイズすることもあります。以前メルカリで買ったナイキのスニーカーがあったんだけど、フロントのデザインだけがどうしても気に入らない。ある日ハッと思いついて、別の靴をつぶしてその靴のスウェードを貼ってみたら、俄然カッコよくなった。スニーカーは紐の色を変えるだけでも、ガラッと表情が変わるでしょう。そこが面白いよね。
普段のコーディネートもスニーカー次第。足元から逆算して着る服を考えます。かかとにストラップがついているスニーカーを履く場合は、ボトムの裾がひっかからないようにズボンは少し丈が短めのものを穿いたりね。とにかくスニーカーのことばかり考えています。結構な〝中毒〟かもしれない」

愛用品には若き日の憧れを

「それ以外のものに手を出しちゃうとキリがないと思って」と、今のところはメルカリの利用はスニーカーに限っているという高田さん。スニーカーにハマる前は、時計やアンティーク品を集めていたことがあったそう。その秘蔵品の一部を見せてもらった。

BREGUET「AERONAVALE」/ROLEX 「Bubble Back」

「この時計は、アンディ―・ウォーホールが持っていたのと同じタイプのロレックスで、『バブルバック』というモデル。アンティークのロレックスって小さくてかわいいでしょう。もうひとつは、ブレゲの『アエロナバル』。海軍航空部隊のパイロット用に開発された名品で、今はもう生産終了のはず。どちらも20年以上前に買いました。
 ジッポーのライターも好きでよく集めていました。このウルトラマンが彫ってあるものは、20年以上通っていた和食屋さんの大将に譲ってもらったもの。昔、ティファニーとコラボした紺色のジッポーがあって、何とかふたつだけ手に入れたんだけど、ひとつは知り合いのテレビ局の人が異動する時にあげちゃった。今でも後悔してるんだけどね(笑)」

zippo限定品「1996年 ウルトラマン30周年記念・スターリングシルバー」

「ストーリーのあるモノが好き」と語る高田さんだが、それはスニーカーに限らないという。

「やっぱり、自分にとって“意味”があるモノがいいよね。さっき話したコンバースとウォーホールのコラボも、僕らの世代はウォーホールに憧れましたからね。ちょうど僕がデザイン学校に通っていた1960年代に活躍していて、僕も『ウォーホールくらい、いつでも超えられるな』って思いながら絵を描いていました(笑)。
 それになんといっても、僕たちの時代のカリスマは横尾忠則さんですよ。2002年に横尾さんが東京都現代美術館で大規模な回顧展を開いていましたが、そこで見た『Y字路』シリーズにガツンと来てね。『どうしても手に入れたい』と横尾さんの家を訪ねたんです。一番好きだった作品は、3か月の差でイタリアの美術館に買われてしまったんだけど、何とか別の作品を譲ってもらって。今もうちのリビングに飾っています。100号サイズの大きい絵だから、半分は家の外にハミ出ちゃっていますけど(笑)」

ブランドのコラボレーションによって生まれる〝ストーリー〟もあれば、若かりし頃の憧れが〝ストーリー〟となることもある。「平成の無責任男」「適当男」などとも呼ばれる高田さんだが、こと持ち物に関しては、モノが持つ背景を大事にしているのだ。

70歳から始める

メルカリでのスニーカー収集以外で最近ハマっているのは、これもまた意外な「一人カラオケ」だという。

「2年前ぐらいかな。食事の後に娘とカラオケ屋に行ったんだけど、『なんでお父さんと一緒に歌わなきゃいけないのよ』とか言われて、それぞれ別の部屋に入ったんだよね。でも、それからハマリましたね。誰かとカラオケに行くと、他人が歌うのを聞かなきゃいけないけど、一人だったら思う存分歌えるってことに気づきました(笑)。2時間ぐらいあっという間ですね。最近は店に行くとフロントの人から、『あ、高田さん、今日はいつもの203号室空いています』って言われるようになって、すっかり常連になっちゃった。
 歌うのは、森進一から福山雅治、AKBにワンオク……まあ『ワンオク』はちょっとカッコつけて言ってみただけだけど(笑)。実は、持ち歌も結構あるんですよ。番組の企画でデュエットすることが多くて、上沼恵美子さんに多岐川裕美さん、B.B.クィーンズの近藤房之助さんとか。実は『デュエットの帝王』なの。相手がメインで、僕はいつも刺身のツマなんだけどね」

一人カラオケとメルカリを利用してのスニーカー収集。どちらも高田さんが70歳を過ぎてから始めたこと。

「特に構えてるわけじゃくて、単純に面白いものが好きなんだよね。そういう風に生きてたほうが楽しいじゃない。それに、いつでも身軽に新しいことを始めないと老けちゃうしね。とはいえ『今から弁護士になろう!』と思っても、さすがの僕でも大変だから(笑)。
同世代の人たちにもメルカリはおすすめします。70歳だろうが、80歳だろうが靴は必要でしょ(笑)。特にお年寄りは、靴をオシャレにするだけで全体の印象がガラッと変わりますから。メルカリを使えば新品同様のものが半額で手に入ることもある。最初は操作に戸惑うかもしれないけど、すぐに覚えますよ」

高田純次(たかだ・じゅんじ)
1947年、東京・調布市生まれ。都立府中高校を経て、68年に東京デザイナー学院を卒業。『適当論』『高田純次のチンケな自伝』など著書も多数。現在テレビ番組「じゅん散歩」「ぴったんこカン☆カン」にレギュラー出演。

30 件

WRITTEN BY

メルカリマガジン編集部

誰かの「好き」が、ほかの誰かの「好き」を応援するようなメディアになりたいです。

好きなものと生きていく

メルカリマガジンは、「好きなものと生きていく」をテーマにしたライフスタイルマガジンです。さまざまな方の好きなものや愛用品を通して、自由な人生の楽しみ方や多様性を紹介していきます。