第5回はバズレシピでおなじみ、料理研究家リュウジおにいさん。
大好きなお酒にまつわる思い出やリュウジおにいさん流の家飲み、お気に入りのお酒の銘柄などについて語っていただきます。今晩の晩酌に今すぐ使える&簡単に作れるおつまみレシピもご紹介。
(構成/宗像幸彦 料理写真撮影/工藤真衣子、編集/メルカリマガジン編集部)
お酒を飲むのはみんなと一緒にいる時だけ
いちばん最初にお酒飲み始めたときは正直「マズイ」って思って、せいぜいウーロンハイとか甘いカクテルみたいな飲みやすいお酒くらいしか口をつけられなかったけど、年齢を重ねるうちに気づいたら立派な飲兵衛に育っていました。
自分にとってお酒はコミュニケーションツール。誰かと一緒のときじゃないと飲まないから、自宅でひとり晩酌することはないですね。
飲むのはYouTubeチャンネルの収録日と決めています。いつも昼12時頃にスタッフと集合して、収録は13時からスタートするんですけど、所要時間は長くて1本1時間、短いと40分くらい。で、4本分を16時くらいに撮り終わって、その後にデータ処理して17時頃には終了と。僕の動画をよく見てくださる方ならお気づきかもしれませんが、もう収録が始まった時点でけっこうアルコールが入っていますから(笑)
そんな感じだから、自宅でひとり晩酌までしていたら本気で身体がヤバイじゃないですか? 万が一、体調を崩したら「飲みすぎじゃね?」とか「酒のせいでしょ」って言われかねない。酒を悪者にしたくないから、休肝日はしっかり設けて食生活にもかなり気を使っています。最近は、知人の勧めで、「五苓散」っていう、二日酔いの症状が出た人向けの漢方薬をよく飲むようになりました。
「一押しくん」1号はウイスキー用に、2号は焼酎用に
まず、冷蔵庫から賞味期限が近いものをどんどん出してって、余りものの食材でパパッと。必ず作るのが「本日のまかないパスタ」。鍋で3〜4人前の麺を茹でて、キノコがあれば和風にしたり、トマトとチキンのソースで和えたりとか。パスタってだいたいどんな食材にも合うんですよね。あ、話題になった「至高のペペロンチーノ」はあくまで一人向けのレシピだから大人数には向きません(笑)
料理研究家が辿り着いた最高の一皿【至高のペペロンチーノ】『Spaghetti aglio e olio peperoncino』
出典: YouTube
家飲みをやるときに仲間内で一時期流行ったのが「ベク杯」っていう高知のお座敷遊びで使われるアイテム。おかめ、ひょっとこ、天狗の絵が描かれたコマを回して、倒れた先の人が飲まなきゃいけないんです。おかめが出たら小さい杯、ひょっとこは穴が開いた中くらいの杯、天狗はでっかい杯になっていて、おかめ以外はテーブルに置けない形なので、その場で飲み干すしかないんです。皆でやると、もう泥酔まっしぐら(笑)。あ、もちろん無理強いはしませんよ。
家飲みやっちゃうと相当な量飲むので、翌日は百発百中で二日酔いですね。でも、なぜか昔から二日酔いの方がスラスラしゃべれるし、包丁さばきもスイスイできて調子いいんですよ、本当に(笑)。社会人になったときも「リュウジ、今日かなり頑張るじゃん」って言われるときはだいたい二日酔いでしたから。
リュウジおにいさんのつまみレシピ①鯖缶のマヨネーズあえ
【作り方】
鯖缶を開けてそのままお皿に載せる。マヨネーズをまわしかけて、ポン酢をたらし、鯖が見えなくなる量の刻みネギをかける。お好みで七味唐辛子をかけてできあがり。
【リュウジおにいさんコメント】
家飲みのときって、なかなか動きたくなくなっちゃうので、手短に済ませたいときにはこんな一品がおすすめ。鯖缶はキッチンに常備しておくと便利です。
クラフトジン、千葉の地酒……自分史上最高にバズった酒
【神回】全てのおつまみが神がかって旨い串カツ居酒屋に料理研究家と行ったらハイボールが進みすぎてヤバかった【前編】
出典: YouTube
最近よく飲んでるのは、焼酎かな。「鏡月」とか、甲類の焼酎が結構好きですね。ジャスミンハイとか、実家だとドクダミ茶で割ったりしています。
ウイスキーは、ハイボールなら「デュワーズ」、ロックだと「シーバスリーガル」。ただ、ハイボールだとつい飲みすぎちゃうから、凍らせたレモンを多めに入れてカサ増しするんです。コンビニで売ってる冷凍カットレモン、あれすごい便利ですよ。切らなくていいし、腐らないので。
今まで心の底から美味いと思ったお酒ですか? うーん、たくさんありますけど、「季の美」っていう国産のクラフトジン。山椒とか柚子がほのかに香って、ジンフィズなんか作るともう最高ですね。
「ズブロッカ」というウォッカも、ほのかに桜の香りがして好きなんです。アップルジュースで作るシャルロッカっていうカクテルがあって、高い度数なのにアルコールをほとんど感じない危険なお酒になります。
あ、あと「キャプテンモルガン」っていうラムのシリーズを忘れてました。甘いお酒はそこまで好きじゃないけど、あれはほのかにバニラ香がしてロックでも全然いける。
洋酒系ばっかり挙げていますけど、日本酒もガッツリ飲みますよ。レアものなら、地元・千葉の「八犬伝」。今流行ってるサラサラでスッキリしたタイプじゃなくて、日本酒らしいとろみを残しつつ、飲みやすい。チーズとか、めちゃめちゃ合いますよ。ただ置いているお店がホントに少ないですね。
手軽に美味しい日本酒を飲もうと思ったら、コンビニで売ってる菊水のふなぐちで十分満足できます。
リュウジおにいさんのつまみレシピ②「紅生姜のツナマヨ和え」
【作り方】
適当な大きさに刻んだ紅生姜にツナ缶のツナ、マヨネーズを加えて和えてでき上がり。
【リュウジおにいさんコメント】
普通の紅生姜を使ってもいいですが、個人的には「岩下の新生姜」を使うのがおすすめです。
じいちゃんが作ってくれた謎のカクテル「バクダン」の思い出
自分がラッキーだったのは、先輩から酒席での振る舞い方を教えてもらったこと。自分にとっての酒の師匠みたいな存在のバーのマスターから「店で寝るのは失礼」「一杯で粘るような飲み方はするな」「バーで飲むならバーテンダーに一杯ご馳走しなさい」みたいなことを教わりましたね。客としての礼儀を叩き込まれました。
お酒にまつわるいちばんの思い出ですか? うーん、いろいろあるけど、亡くなったウチのじいちゃんとよく飲んだことかな。ものすごい破天荒な人生だったらしくて、ここは書けないような武勇伝もたくさんあるし、孫とサシ飲みをしているのに下ネタをふってくるような人でした(笑)
そうだ思い出した、いちど酔っ払ったじいちゃんが「これが一番うまいんだ」って言いながら「バクダン」っていう謎のカクテルを作ってくれたことがありました。中身は……鏡月のビール割り(笑)。あんなに悪い酔い方をしたのは後にも先にもないかもしれませんけど、もうじいちゃんとサシ飲みできないのかと思うと寂しいですし、今となってはいい思い出ですね。
リュウジおにいさんのつまみレシピ③じいちゃん直伝の「長いものステーキ」
【作り方】
長いも220gはを洗って、皮付きのまま1cm幅に切る。フライパンにバターをひき両面に焦げ目をつけ、こんがり焼く。仕上げに醤油、みりん、酒を小さじ4ずつ、味の素3振り、砂糖1つまみ、おろしにんにく半片を加えて煮詰め、仕上げに黒胡椒を振ったら火を止めてできあがり。
【リュウジおにいさんコメント】
ウチのじいちゃんが一緒に飲むときによく作ってくれた思い出の一品です。外はこんがり、中はシャキシャキホクホクで、晩酌にはピッタリですよ。
リュウジ
ツイッターのフォロワー約100万人の人気料理研究家。多くのバズレシピを生み出し、著書『バズレシピ』は第5回、第6回レシピ本大賞連続入選。無類の酒好きで知られ、部屋には多種多様なアルコール類がズラリと並び、自身のYouTubeチャンネルでは作った料理をツマミに酒を飲む姿も確認できる。また、水を使わずに作れる”無水料理”をよく紹介することから「リュウジさんの家ではたびたび水道が止められてしまっているのでは?」と心配する声が挙がるほど、フォロワーから愛されている。