アメリカの最新ハロウィン・トレンド2020「こんな時代でも“楽しむ”を諦めたくない」

アメリカ人にとって一大イベントであるハロウィン。11月のサンクス・ギビング、12月のクリスマスに向け、ホリデーシーズンの幕開け的行事として、毎年さまざまなパーティーや催しが行われる。コロナ禍の今年は、多くのイベントが中止を余儀なくされる中、ローカルレベルで工夫が凝らされた「新しいハロウィン」のかたちが次々登場している。我慢を強いられ続けている2020年。なんとしても楽しんでやるという気概さえ感じられる、アメリカの最新ハロウィントレンドとは?(執筆・写真提供/井原由佳、編集/メルカリマガジン編集部)

ソーシャル・ディスタンスに配慮 「トランク」・オア・トリート

車のトランクをデコレーションし、子どもたちが自分でお菓子を取りに行くスタイル。デコレーションアイテムを扱うOriental Tradingでは、「トランク」・オア・トリートの飾り付けキットも販売されている

ハロウィンを目前にした10月半ば、カリフォルニア州は今年のハロウィンについてのガイドラインを発表し、子どもが近所の家を回ってキャンディをもらう「トリック・オア・トリート」に関して今年は控えるようにと通達した。そのため困った大人達が計画しているのが「トリック・オア・トリート」ならぬ「トランク」・オア・トリートだ。車のトランクをデコレーションしてお菓子やおもちゃを設置し、集まった子どもたちは自分たちでキャンディを取りに行くというスタイルだ。家々の距離が離れている地方ではお馴染みの方法だそうだが、今年は都市部でも流行の兆しがある。その他、自宅の庭にお菓子を隠し、それを宝探しのように見つける「エッグハント」的なスタイルを計画している家庭もあるようだ。いずれにせよ、なんとか子ども達に楽しんで欲しいという大人の気持ちが伝わってくる。

ハイブリッドなハロウィンパーティ

学校で行われるハロウィーンパーティ。みんなコスチュームを着て参加します(写真は2019年の様子)

学校からパーティをLIVE配信

6月から再開している私立の幼稚園や小学校では、例年は仮装した子どもと一緒に親も参加するハロウィンパーティが行なわれていた。しかし、今年は子どもだけ仮装して登校し、少人数のハロウィーンパーティを学校から生配信。親はその中継を見ながらオンラインでパーティに参加する形式で行われるという。

IT企業「box」社員のガチハロウィン。チームメンバーでテーマを決めて、みんなで一つの仮装を作り上げる姿は仮装大賞に通じるところがある

オフィスでの仮装はチームビルディングに

アメリカでは大人もハロウィンに本気。例年さまざまな会社で、チームメンバーでテーマを決めた仮装を行い、社内で優勝を競うコスチュームコンテストが盛んだ。また企業によっては、会社に移動遊園地が来たり、ちょっとしたテーマパークのようなイベントが行われるなど、大人も童心に返って楽しめる企画も満載だ。

まるでテーマパークのようなGoogle本社での社員向けハロウィンイベント(2018年、2019年)

今年は会場がオフィスからオンラインへと移行。アメリカのパロアルトに本社を構えるメルカリUSでは29日の夜、オンラインでの「ハロウィン・コスチューム・コンテスト」が開催された。社員はもちろん、ペットの仮装もOKで、オンライン会場には個性あふれる装いをした社員が集結した。

メルカリUSの「ハロウィン・コスチューム・コンテスト」オンライン会場のワンシーン

イベントでは「Never have I ever(私は今まで一度も◯◯したことない)」というゲームが行われ、CEOのジョン・ラーゲリン氏も参加し盛り上がったのだとか。リモートワークが長引く中で、仮装コンテストは楽しい時間を共有しながら、お互いへの理解を深める交流の場となったようだ。

メルカリUSの社員たちも、家から思い思いの仮装を楽しんだ

シリコンバレーにあるGoogle本社のとある部署では、事前にサインアップすることで希望した住所に「ミステリーボックス」が届き、そのボックスのアイテムを活用してオンラインのイベントに参加することで、参加者の一体感や特別感をさらに高める仕掛けが企画されているそうだ。

Google本社のある部署で有志の社員に送られてくる「ミステリーボックス」。中身はハロウィンクッキーが作れるカスタムクッキーパック、在宅勤務に役立ちそうなスマートマグウォーマーなど

乗車したまま参加できるドライスルーハロウィン

車社会のアメリカらしい「ドライブスルーハロウィン」なるものも企画されている。極力、人との接触を減らすために、仮装して車で出向き、指定されたフォトスポットで撮影&コスチュームコンテストに応募、その後オンライン投票で優勝者を決め、賞金を獲得するというものだ。どうにかして仮装大会に参加しようとするアメリカ人のガッツを感じるイベントだ。写真撮影した後に車に乗りながら楽しめる、ドライブスルー・ホーンテッドハウス(お化け屋敷)も計画されているのだとか。

車に乗ったまま体験できるお化け屋敷

進化するホームデコレーション

例年、故スティーブ・ジョブス氏の自宅周辺2、3ブロックほどは、まるでテーマパークのようになる

今年はパーティができない分、例年よりさらにホームデコレーションに気合を入れている家が多い。故スティーブ・ジョブス氏の自宅を始め、多くのIT長者の家が並ぶシリコンバレーの住宅地一角では、この時期テーマパーク顔負けのホームデコレーションを楽しむことができる。

シリコンバレーのIT長者達による市民のための無料ハロウィンイベント(2019年)

毎年彼らの自宅周辺でジョブズ氏の家族や、Yahoo!の元CEOで、Google元副社長のマリッサ・メイヤー氏、Googleの共同創業者のラリー・ペイジ氏など、シリコンバレーのIT長者たちが一般市民のために行うハロウィンイベントは、あまりに豪華で行列ができるほど。しかし今年の実施に関してはまだ発表されていない。また、仮装コンテスト同様にホームデコレーションの優勝を決めるコンテストが行われる地域もある。

リサイクルショップ「スリフト」はサステナブル仮装に人気

サンフランシスコ、ヘイト・アシュベリーにあるスリフト・アンティークショップ。他ではなかなか出会えないアイテムも揃う

サステナブルな考え方が根付く西海岸では、「スリフト」と呼ばれるお店で掘り出し物を見つける「スリフトパトロール」なるものが人気。「スリフト」とは寄付で集められた古着や家具、生活雑貨などが安く売られている店のことで、ちょっとしたアンティークにも出会えたりする。もちろん綺麗な状態のものも多いが、中には汚れ方や年季の入り方が、新品には真似できない味のあるアイテムも。1950年代などのアンティークを扱う店などもあり、人とは違った仮装を楽しみたいという上級者にも人気。着なくなった服やシーズンを終えたアイテムも引き取ってくれ、その店で使えるクーポンをもらえることが多い。ハロウィンが終わったら、仮装に使った衣装やデコレーションアイテムを寄付し、もらったクーポンでサンクスギビングやクリスマス用のアイテムを購入する人も多いのだとか。

エコ・フレンドリーなハロウィンの動き

アメリカではこの季節の風物詩である「パンプキンパッチ」は、元祖サステナブルハロウィンと言えるかもしれない

ホームデコレーションやパーティーアイテムなどもエコ・フレンドリーなものにシフトしようという働きかけもよく目にする。たとえば、ホームデコレーションは本物のかぼちゃ、藁や干し草、トウモロコシのヒゲなど、自然に還るものを利用し、パーティーでも使い捨ての皿やカップではなく、再利用可能なものや本物の銀食器などを積極的に使うなど。一年に一度のイベントのために保管が必要なものや使い捨てのものを選ぶのではなく、シーズンが終わったら他のものに再利用できるようなアイテムを選び、ゴミを減らす取り組みを推奨する動きもみられる。

今年の人気は「フルフェイス・マスク」コスチュームのトレンドは?

今年はフルフェイスタイプの被りマスクが人気だそう

8月半ばごろから店頭に並び始めるハロウィングッズ。ポップアップショップも数多く見られ、ホームデコレーションからコスチューム、メイクアイテムなどが幅広く揃う。中でも全米で展開するショップ「Spirit Halloween」では、今年はフルフェイスタイプのマスクがよく売れているそうだ。「せっかくコスチュームを着ても、外に出るならマスクを着けなきゃいけない。だからなのか、今年はマスクが必要ないフルフェイスタイプのものがよく売れています」とのこと。

大統領選とハロウィン

トランプ大統領、バイデン大統領候補(2020.10.30現在)の仮装アイテムも

アメリカでは4年に一度の大統領選を3日後に控える今年のハロウィン。クライマックスを迎える大統領選目前のハロウィンとあって、もちろん関連した仮装アイテムも多く登場している。
新型コロナウィルスの影響で10年に1回の国勢調査の締め切りも延期されるなど、今年のハロウィンはさまざまな苦境や混乱の中でも「なんとか楽しみたい」という人々の気持ちで支えられている。「新しいハロウィン」が気の張り続けた2020年の空気を少しでも和らげつつ、ホリデーシーズンの幕開けによって感染が拡大しないことを祈るばかりである。

井原由佳(いはら・ゆか)
ウェブメディアにてコンテンツディレクターを務めたのち転職し、都内の出版社にて女性ファッション誌デスクを約6年間担当。結婚後に単身渡米し、現在はサンフランシスコの現地メディアにて、編集者としてローカルのニュースやシリコンバレー情報を担当する。趣味はローカルのクラフトビールと美味しいハンバーガー屋巡り。

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