コーヒーの味がひと工夫で変わる、在宅でおいしいコーヒーを飲むためのアイテム

在宅時間が長くなり、少し気分を変えたい、そんなときはコーヒーアイテムで工夫してみてはいかがでしょうか? 仕事のパートナーにおいしいコーヒーが欠かせない、そんな方も少なくないと思います。雑誌『珈琲時間』編集長・高橋さんにおいしいコーヒーの楽しみ方と基本の淹れ方について、教えていただきました。
(執筆・撮影/高橋敦史、編集/メルカリマガジン編集部)

自称テレワーク上級者のコーヒーブレイク

はじめまして。雑誌『珈琲時間』編集長の高橋敦史です。今回は、ちょっと気分を変えたい時に自分で淹れる「おいしいコーヒー」の楽しみ方と、「淹れ方のいろいろ」についてお話しします。
 
さて、いきなり余談ですが、実は僕のいちばんの仕事はコーヒーじゃなくて、旅行雑誌の編集者兼カメラマンです。日本は全都道府県、海外では80ヵ国以上を旅してきました。
 
雑誌『珈琲時間』もここ4〜5年、毎年1号は大海原に浮かぶクルーズ船や旅先のホテルで編集するなど、世界のどこかで作っています。「いつもどっか行っちゃってるけど、仕事はしてる」という意味で、僕の事務所には「移動編集社」という名前がついてます。
 
テレワーク歴20余年の上級者ゆえ、自分で言うのもなんですが気分転換の「うちカフェ」「そとカフェ」もお手のもの。長年にわたって自宅事務所のフリーランスですし、2020年1月には世界的なバンライフブームを受けて移動編集「車」も導入しました。

旅行媒体の撮影や編集に活躍(する予定)の移動編集車

お湯を沸かしてコーヒーを淹れられる、走る事務所なんですよ。

とはいえ導入後ほどなく外出自粛となり、楽しかった公園勤務(近所の公園の駐車場で、緑を借景にして編集・執筆するんです)も我慢して、今はずっと自宅前に停めたままでのプチ改装。この機に乗じて、すごいカフェカーになってしまいそう(笑)。

さてさて、そんな僕ですが、在宅勤務の気分転換に役立つコーヒー用具の話をしてみます。

コーヒー用具集めのポイントは?

コーヒーは(仕事にしていない限り)一般的には趣味のものですし、大事なのは「どこを突き詰め、どこを手抜きするか」です。自分がやりたいところは深追いし、面倒だなと思う部分は端折れば、楽しく気楽にできるでしょう。初心者の方はあんまり肩肘張らないように。いろいろコツはありますが、「こうしなきゃダメ」とか過剰に気にせずとも慣れれば自然に覚えます。

基本的なドリップセットの例。やや高価なのはドリップポットと電動ミル

抽出の基本はコーヒー粉を淹れる「ペーパードリップ」。最低限必要な用具は逆さまの台形ないし三角錐のドリッパー、その中に入れるペーパーフィルター、出てきたコーヒーを受けるサーバーです。
 
1杯だけ淹れるなら、淹れたてのコーヒーを受け止めるサーバーを使わず、直接マグカップでも大丈夫。でも、コーヒーは出始めと後半とでは濃さが変わるので、2杯以上を一度に淹れる時は、サーバーに抽出してから各カップに分けるようにして。じゃないと「濃い人」「薄い人」が出ちゃいます。

右端にあるドリッパーは円錐形を採用するキーコーヒーのクリスタルドリッパーで、1〜4人用。それ以外の4点は抽出口に3つ穴を採用するカリタの台形ドリッパー各種。ふたりまでなら1〜2人用、それ以上は2〜4人用が使いやすい

コーヒー専用ドリップポットが欲しい

ドリッパーやサーバーに加え、細口の「ドリップポット」があればお湯をどばっと注いでしまうような失敗もなく、ワンランク上のうちカフェを楽しむお洒落な趣味人になれるはず。
 
先ほど紹介した最低限の用具は手軽な価格なので(ドリッパーは樹脂製なら250円程度から)、新品を買うのがいいかもしれません。
 
それに対して、ドリップポットなどは比較的高価になりがちで、手軽に探すのであればメルカリなども一案です。
 
ハンドドリップでくるくる回しながらお湯を注ぐあのポットは、コーヒー抽出専用が理想です。注ぐ量を調節しやすい細口で、単なるポットとは違うんです。ちゃんとしたドリップポットはだいたい3,000円以上。あるいは電気ポットで1万円以上。試しにメルカリで探してみたら、マニアが好むドリップポットがけっこう安値で出ていました。
 
おしゃれなものならKINTOプアオーバーケトルなどがおすすめです。電気ポットは、ラッセルホブスのカフェケトル7410JP(1L)、小ぶりの7408JP(0.8L)あたりが定番。コーヒー好きな人の中にはトラディショナルな喫茶店趣味を突き詰めて、お店で使っているものと同じタカヒロ製やユキワ製のステンレスポットを使う人もいたりして、みなそれぞれに「好きなドリップポット」があるものです。

左2点はKINTO プアオーバーケトル。右は電気ポットのラッセルホブス7410JP

僕は仕事の撮影で写真映えするように月兔印スリムポット(これはコーヒードリップ専用ではなく一般用)と、MIYACO(宮﨑製作所)のドリップケトル0.9Lを持っています。後者は自家焙煎店を営んでいる我がコーヒーの師匠から頂いたもので、細口かつ取っ手のアーチがどの角度でも持ちやすく、すごく抽出しやすいですよ。

おさえておきたい基本の淹れ方

ドリップポットを使ってペーパードリップで淹れる場合、まず全体を湿らすように回しかけ、30秒ほど待ちます。この30秒待つ「蒸らし」が美味しさを左右するポイント。あとは粉の中心の500円玉くらいの範囲に何度かに分けて、小さく、くるくると注ぎます。

ハンドドリップは、中心の500円玉くらいの範囲に静かに注ぐ

途中で粉の上にお湯をあふれさせたりするのは、お湯がコーヒー粉を通らずそのまま出て行ってしまうのでNGです。丁寧に注ぐ理由はそこにあります。同様の理由で、注ぐにつれて周囲にできてゆくコーヒー粉の「土手」も、崩さないようにしてください。
 
もうひとつのポイントは、規定量になったら途中でも必ずやめてドリッパーを外すこと。規定量を過ぎてからの抽出は「出しがら」から出たもので、薄くて味が落ちてしまうので、ご注意を。

ツウなら豆で買って、ミル(手動/電動)で挽く

豆を挽くコーヒーミルは、絶対欲しい用具です。「粉」で買うのと、「焙煎豆」のままで買ってきて自宅で挽くのとでは、鮮度(=味と香り)がまったく違います。

「うちカフェのコーヒーは、香りが3回楽しめる(挽くとき、淹れるとき、飲むとき)」。多くのコーヒー店主やコーヒーの達人たちがそんな風に言っています。その3回の楽しみを、みすみす逃すのはもったいない。豆は挽いた瞬間からどんどん香りや風味が逃げるもの。だからちゃんとした珈琲店では、注文ごとにミルが「ゴーッ」という音をたてて回ってますよね。

左の2点は手挽き。オーソドックスなHARIO製とアンティークな雰囲気のプジョーのミル。残る2点は電動。ボダム BISTROコーヒーグラインダーと、フジローヤルみるっこ

豆の鮮度も重要です。極力、焙煎したての豆を買いたい。風味は焙煎したてはベストではなく、少し寝かせて、だいたい購入後1〜2週間が飲み頃だと話すマスターが多いようです。焙煎豆が新鮮だと、淹れる時に粉が「ぷわーっ」っと膨らんでくるので分かります。
 
なお、いまはたいがいの珈琲店が喫茶営業を自粛していますが、ネットでの通信販売や店頭での豆販売を続けている店も決して少なくありません。コーヒー豆だけはこれまで同様に新鮮なものを買えるお店が多いので、取り寄せてみてはいかがでしょうか。
 
手挽きミルは安いと新品で2,500円くらい、通なモノやヴィンテージは概ね1万円以上。コリコリ挽くのは楽しいですし、過程を楽しむ人、たくさんは淹れない人には手挽きをすすめます。
 
一方で、いつも2人分以上淹れたいとか、1日何杯も……となると手挽きはさすがに疲れる。俄然、電動ミルが欲しくなるわけです。
 
電動ミルにはプロペラ式や臼刃式など各種あります。個人的には、挽くときに熱をもたない「臼刃式」が理想。安くて市価6,000円、ふつうで1万円以上、喫茶店仕様のフジローヤル「みるっこ」などでだいたい2万5000円ほどします。
 
臼刃式はたいがい細挽き〜粗挽きを調整する目盛りがあり、ちょうどいい挽き具合になるまでつきっきりで面倒を見続けたりする必要もありません。
 
なので、電動ミルは「臼刃式」「コニカルカッター」などと書かれているタイプを選ぶといいでしょう。

夏は「水出しコーヒー」の季節。抽出法で味も変わります

最近は暑い日も増えてきて、アイスコーヒーも飲みたくなってきましたね。お湯でドリップしたものを氷で急冷する方法のほか、アイスコーヒーならではの「水出し」抽出があります。最近ではカッコつけて「コールドブリュー」とか言われてますが、同じことです。

家庭用水出し器具の例。左はHARIOのウォータードリッパー・ポタN、右はBruerのCold Bruer

透過式の水出しコーヒー器具は水滴をポタポタとたらす大きな砂時計みたいな道具で、数時間〜8時間ほどかけて作ります。器具が個性的なインテリアにもなるほか、味も水出しはクリア感があって独特です。
 
水出し器具はだいたい1万円以上から。季節的にも夏オンリーのアイテムですし、中古で探してみるのも一案でしょう。

本気でやるなら、バリスタ気取りのエスプレッソマシン

エスプレッソマシン。バリスタを気取るならコレ欲しい!  そもそも響きがカッコいい(笑)。
 
新品だと、家庭用マシンの多くが新品で1万円〜3万円くらいします。おしゃれなものほど高く、アナログ感がカッコいいascaso DREAM (アスカソ ドリーム)などは約10万円。「こういうのが安く手に入ったらなあ」と思いますよね。

左からアスカソのエスプレッソマシン、デロンギ・アイコナ、同デディカ

エスプレッソマシンの魅力は、異論を承知で敢えて言い切ってしまうなら、何よりインテリアとして映えること(笑)。置いてあるだけでツウっぽいし、なんかモテそうじゃないですか。
 
実用面では、いわゆるスタバみたいな「シアトル系」コーヒー作りに欠かせません。エスプレッソやフォームドミルクを使ったコーヒーメニュー。エスプレッソマシンには必ず脇に、ミルクを蒸気でかき混ぜて温めるためのノズルもついています。
 
ちなみにカフェで見かける抽出口を複数備えた2連・3連式の巨大なエスプレッソマシン(ラ・マルゾッコなどが有名ですが)、あれってものすごく高価なんです。「いい車が買える」くらいの金額です。

こんなのできたらいいですよねえ。プロのバリスタさんによるラテアート

全自動機などを除けば、家庭用エスプレッソマシンの基本構造にあまり違いはありません。価格帯による性能差はもちろんありますが、エスプレッソ抽出口とフォームドミルク用ノズルがひとつずつあるのは、どのマシンもほぼ同じ。
 
そんな中、僕は個人的にはデロンギ家庭用エスプレッソマシンのアイコナセレクションあたりがほどよい価格でいいなあ、と思って狙っています。かつて使ったことがあり、最廉価なものと違って外装も金属製だし、質感もすごくいいと思います。
 
これを機に、ラテアートとか始めてみてはどうでしょう?
 
ああ、あとひとつ。エスプレッソをブラックで飲んで「苦い!」と思う方、ちょっと飲み方が違うのかもしれません。砂糖をたっぷり入れて飲むチョコレートドリンクのようなもの、という理解が本場流。イタリアで修業したトップバリスタさんにそう聞きました。

まだあるコーヒー関連のアイデア商品

抽出法はさまざまあるので、ほかにも個性的なアイテムは盛りだくさんです。

ハンディな「ナノプレッソ」は手動でエスプレッソが作れるアイデア商品。ポンプを押す動作は軽くて実用的だし、ちゃんとバリスタと同じコーヒー粉を押し固める「タンピング」という作業もします。そんなあたりがツウっぽい。アウトドア用として、個人的に気に入っています。

手動式エスプレッソマシン・ナノプレッソ。アウトドアでなくても便利かも

ミルクフォーマー(ミルクフローサー)もコーヒーアイテムとして人気ですよね。じつはコレ、ダイソーやセリアなどの100円均一ショップにあるんです。

正直、どの程度使うかは人それぞれなので、試しに「100均」で買ってみるのも一案です。「いや、最初から一流のアイテムが欲しい!」というならば、専用容器がついていたりスタンドがあったりするカリタ製やHARIO製、スタバオリジナルなどが妥当です。

いま流行りの韓国発の「ダルゴナコーヒー」、泡立てコーヒーがホットミルクの上に浮いてるやつですが、これも100均ミルクフォーマーでも作れると聞きました。しっかり作るには、やはり電動ミキサーがベストです。

あと意外なところでは、昔からあるマキネッタですかね。古風な直火式エスプレッソマシン。「お湯沸いた=コーヒーできた」が意外に便利で、最近個人的に使っています。コーヒーはややどろっとして濃く、粉っぽい仕上がりになるので好き嫌いは分かれますが、イタリアの一般家庭を気取ればそれもアリかなという感じです。

粉とお湯を入れて火にかけるだけのマキネッタ。意外に便利

番外編 自宅で焙煎、やってみた

「いっそ焙煎もしてみたい!」と思う方も少なくないですが、実際は少しハードル高め。あおいで冷ます時に部屋じゅうにチャフ(薄皮)が飛ぶし、匂いもすごい。ならばベランダで、といっても、隣家の洗濯物が思いっきりコーヒーの香り……なんて惨事すらあり得ます(笑)。

それでもやりたい人は、アルミの弁当箱に取っ手がついたような手焙煎用の調理器具「煎り上手」でチャレンジを。生豆(なままめ)は通販でも少量から売っています。

手焙煎やってみたの図。最後にあおいで冷ます時にチャフが飛び、部屋じゅうがいい香りになります(笑)

「朝にコーヒーを自ら挽いて飲むのは基本的人権。だから遅刻してでもコーヒーは飲む」

……なあんてことを言ったコーヒー好きがいましたが、ともあれ、在宅ワークは上手な気分転換が大切です。自分で淹れるコーヒーブレイクは、きっとそうした役にも立つでしょう。

うちカフェやるならSNS映えも狙いたい!?

うちカフェのヒントは、僕が編集長を務める『珈琲時間』でも実はたびたび特集しています。「やってみました、自分で焙煎」(2014年春号)、「春のアレンジラテ・レシピ」(2018年春号)、「カフェ&料理写真のうつしかた」(2015年冬号)などなど。
 
写真をSNSに上げたいならば、撮影は直射日光ではない窓辺の自然光がおすすめ。ポイントは自分の斜め向こうから来る光「半逆光」を使うこと。セットの素材は「100均」やホームセンターにあるもので十分です。並べるだけで雰囲気が出る床用の木目調塩ビシートは超便利。うちカフェ撮影の実際の場面もここに貼るので、よかったら参考にしてみてください。

撮影は窓に向かってカメラを構え、斜め向こうから光がくる「半逆光」で。木目調シートが便利です

高橋敦史
編集ディレクターで紀行作家、フォトグラファー。雑誌『珈琲時間』編集長。温泉旅行からバックパッカーの旅、世界のリゾートまでを撮って書く。また、クルーズ写真家として3度のワールドクルーズにも同行。これまでの船上生活は500日にも迫るはず。
instagram:@nomadic.editorial_vanlife(バンライフ&日本の旅)
@nomadic.editorial_world(世界の絶景、クルーズ)
@coffeejikan.official(珈琲時間編集部)
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メルカリマガジン編集部

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