ゲーム歴40年、ケイン・コスギが磨くプレイヤーの品格「絶対に人のせいにしない」

好きなものと生きていく#22

1歳半から武道を習い始め、学生時代にはアメリカンフットボールやバスケットボールに熱中していたケイン・コスギさん。スポーツ系バラエティ番組でアスリート顔負けの運動神経を発揮するなどスポーツマンの印象が強いが、ここ数年、それとは異なる一面が注目されている。

実は、世界最大のe-Sportsタイトルであるオンライン対戦ゲーム『リーグ・オブ・レジェンド(以下、LoL)』のプレイヤーであり、動画配信サイト「Twitch」で自らプレイしている様子を日々配信しているのだ。

いまでは「人生で一番楽しめることはゲーム、配信時にこそ本当の自分を出せている」と公言する。40年以上にわたるゲーム遍歴を聞くと、そこには人生でも常に「プレイヤー」であり続けてきたケインさんの、知られざる熱狂があった。
(執筆/杉山大祐、編集/メルカリマガジン編集部、撮影/いわなびとん)

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トレーニングと仕事以外は、すべてゲームに費やしていた

スポーツマンのイメージが先行するケインさんだが、実はゲーム歴もかなり長い。

「幼い頃からスポーツや武道に触れてきたのと同様に、4、5歳の頃からゲームで遊んでいました。ファミコンやスーパーファミコン、プレイステーションなど、家庭用ゲーム機はひととおり持っているくらいゲームは好きですね」

好きなジャンルは、スポーツをはじめ、アクションやアドベンチャーなど多岐にわたる。なかでも、ファーストパーソン・シューティング(FPS)の『コール オブ デューティー』は4年間遊び続け、大会に参加するなど、夢中になった。

「大会に出場するために、本格的なチームも作ったんです。手榴弾を投げる位置や角度を研究して、うまく敵に当てられるようにチームのメンバーと何度も練習しましたね」

もともと負けず嫌いな性格のケインさんは、他にもさまざまなゲームを徹底的にやりこんだと振り返る。

「ゲームを原作にした映画『DOA/デッド・オア・アライブ』でリュウ・ハヤブサ役として出演が決まった際、キャラクターを深く知ろうと思って、彼が主人公のゲームである『NINJA GAIDEN』シリーズを遊び始めたんです。特に『NINJA GAIDEN 2』は完全クリアの達成がかなり難しいことがゲーマーの間で評判になっていて。でも、それを知ってますます燃えましたね。クリアするまでは結果的に半年から1年近くかかってしまいましたが、絶対に諦められませんでした」

トレーニングと仕事以外は、すべてゲームに費やしていた時期もあった。来日したばかりの18歳の頃は、ゲームセンターによく通い、『ストリートファイターⅡ』や『バーチャファイター』を遊んでいた。

また、ゲームは単なる趣味ではなく、アクション俳優としての仕事にも影響を与えた。

「格闘ゲームでは、空中を飛びながら回転蹴りを出すなど、実際には再現できない技があります。でも、だからこそアクションに活かせるような新たな技やコンビネーションのヒントが得られることがあって。とあるゲームでブレイクダンスをベースにした技を見たときは、その動きをアクションに取り入れたら面白いだろうと思って、ダンスレッスンを受けたこともありました」

あらためてゲームの素晴らしさを教えてくれた『リーグ・オブ・レジェンド』

現在最もプレイしているのは、オンライン対戦ゲームの『LoL』。友人からの誘いで遊んでみたところ、すっかりハマってしまったという。

「当時はゲーム用のPCを持っておらず、自宅にあったMacで遊んでいました。PCゲームを遊んだことはなかったのですが、やってみたらとても楽しくて。オンライン対戦は画面の向こう側にも人間がいて、自分と同じように相手も『勝ちたい』と思っているので、勝つのは難しい。でも僕はそのほうが燃えます」

5人対5人で対戦するLoLでは、チーム内の連携を図るため、ボイスチャットでコミュニケーションしながら遊ぶ。当初はうまくプレイできず、チームメンバーから心ない言葉を投げかけられることもあったそう。

「僕はメンタルが結構強いと自負しているのですが、それでも『何でそこまで言われなきゃいけないんだ』と引きずることもありましたね。今でも年に1、2回は引きずることがあります(笑)。ただ、冷静に話を聞くと、自分のミスの原因に気づかされることも多いので、ありがたい面もあります」

初心者には勝つことが難しく、厳しい言葉を投げかけられる場面もあり、落ち込むことも続いたというが、『それでも遊びたくなる魅力がある』とケインさんは語る。

「僕はチームスポーツが好きなのですが、LoLには共通点が多いんです。たとえば、一定のルールで競い合うなか、まったく同じ試合展開になることはない。また、いくら個人の能力が高くても、チームの連携がうまくいかないと勝てません。さらには、不利な展開が続いていても最後に逆転できる可能性がある。逆転できたときの快感やうれしさは、スポーツに打ち込んでいた頃を思い出します」

「LoLの魅力はそれだけではない」と、ケインさん。性能が異なるキャラクターが150体以上登場し、それぞれの能力を生かした戦術の幅広さは、チェスや将棋のように研究しがいがあるという。

また、勝敗によって昇格・降格するランクシステムも、魅力のひとつ。昨年、ケインさんがゴールドランクになった瞬間がTwitch上で配信され、大きな話題になった。

「ランクは、『アイアン』から始まって『ブロンズ』『シルバー』『ゴールド』、そして『プラチナ』『ダイヤ』『マスター』『グランドマスター』『チャレンジャー』と続きます。ランクそれぞれの楽しみ方がありますし、ランクが上がったときの達成感はスポーツ以上かもしれないですね。初めてゴールドランクに到達したときは涙が出たぐらいうれしかったです」

取材直前、ちょうどLoLのオールスターイベントに参加したケインさん。イベントを通じて、あらためてゲームの素晴らしさを再確認する出来事があった。

「他のスポーツだと難しいですが、ゲームは老若男女が同じ場でプレイできる。今回のイベントでは、今まで配信や大会で見てきた世界のトッププロと一緒にプレイができてうれしかったです。僕みたいな45歳のおじさんだって、若い人たちと一緒にプレイできる。やっぱりゲームは素晴らしいと思います」

ゲーム配信をしているときが一番自分を出せている

ケインさんは、LoLの上達を目指すために、プロゲーマーの配信で勉強していたとのこと。世界中の人と会話しながらプレイする姿に憧れ、ゲーム配信を始めた。

「プロゲーマーの方々の配信を観ていたこともあって、最初は『自分のようなレベルのプレイヤーが配信をしていいのか』と、ためらっていました。もっとゲームがうまくなったら始めよう、と考えていたんですね。でも、配信をすることでいろんな人からアドバイスをもらって成長を見せるスタイルなら、逆にありかなと思ったんです」

実際に配信を始めると、さまざまなメリットがあった。

「まず、知らないことを皆さんから教えてもらえること自体がありがたいことですし、実践してうまくいったときもうれしいです。試合に勝ったときはもちろん、僕がゴールドランクになったときに視聴者の方々が一緒に喜んでくれたのは、感慨深い瞬間でした」

配信をする上で気をつけていることは、できるだけポジティブに考えること。そして、絶対に人のせいにしないことも肝に銘じているという。「配信を子どもが見て、影響されるかもしれないから」と、その姿勢は真摯だ。と同時に、配信では非常にリラックスした姿を見せられている。

「配信を始めた頃はすごく緊張していたのですが、最近は慣れてきました。ドラマや映画では緊張感ある役柄を演じることが多いのですが、友人や家族と話すことが好きな気さくな性格なんです。今では、配信しているときが一番自分を出せているかなと思います」

夢を達成するには、日々少しずつでもいいから続けることが大事

来年の目標は、LoLのランクをゴールドからプラチナに引き上げること。また、LoLに興味を持つ人を1人でも多く増やすことだ。

「今年はプラチナに届かなかったので、来年はぜひ到達したいです。プラチナになれたら、また次のランクと、どんどん上を目指したい。スポーツも俳優も何でもそうですが、突然うまくいくことはありません。夢を達成するには、日々少しずつでもいいから続けること。一生懸命やってもうまくいかない日もありますが、諦めない気持ちが大事だとゲームから学びましたね」

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ケイン・コスギ
アメリカ人武道家。俳優。8歳から子役として数々のアメリカ映画に出演し、俳優としてのキャリアを積む。高校卒業後、エンタテインメント業界でのキャリアを積むためにアメリカを離れ、来日。人気スポーツ番組「SASUKE」や「スポーツマンNo.1決定戦」への出演によって、アスリート俳優としての新たな活躍の場を広げ、その地位を確立する。
現在は日本だけでなくハリウッドや中国等でアクション映画に出演。40代に入った今もトレーニングに励み、トライアスロン等新しい分野に挑戦中。また2018年春からゲームの配信を開始し、スポーツとe-Sportsを両立できる存在として話題となっている。

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メルカリマガジン編集部

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