電化製品2022.11.29

おすすめの冷蔵庫を家電おじさんがセレクト【買い替え時期や寿命、耐用年数も解説】

冷蔵庫は、洗濯機やエアコンと並ぶ生活に欠かせない家電です。しかし他の家電とは異なり、寿命だけでなく、生活スタイルに変化があった時にも買い替えが必要になります。今回は「家電おじさん」こと家電評論家・藤山哲人さんが、1人暮らしの方から5人家族以上の方に向けて、それぞれおすすめの機種を教えてくれました。

(執筆・写真/藤山哲人、編集/株式会社モジラフ、メルカリマガジン編集部)

冷蔵庫の寿命や耐用年数について【買い替え時期を知ろう】

家電のなかでも、1日24時間365日スイッチが切られることがないのが冷蔵庫です。ごくまれに20年も故障せず動いているという冷蔵庫を見かけますが、冷蔵庫のおおよその平均寿命は10~13年と言われています。また万が一、冷蔵庫が故障してしまった場合にメーカーが部品を保管している期間は8年なので、実質の寿命は10年と見ていいでしょう。

中古の冷蔵庫を購入する際に注意したいポイントは、使用期間です。大半の中古の冷蔵庫は、何年も経過したものが出品されているため、残りの寿命がわずかになっています。必ず年式や購入年を確認してから購入しましょう。

とくに寿命を過ぎた冷蔵庫によく見られるのは「一度コンセントを抜くと、再び動かなくなる」という現象。台風シーズンの停電なども冷蔵庫が壊れるきっかけになりやすいと言われています。これはモーターなどの部品が錆びてしまい、それまで惰性で回っていたモーターでも、いったん電源が切れてしまうと錆が固着して再起動できなくなるためです。出品する側もその点に注意して出品するようにしましょう。

冷蔵庫の消臭対策も考えよう

業者から購入する中古の冷蔵庫は、それまで使っていた時の匂いをきちんと消臭してから販売しています。しかし個人の出品者がしっかり消臭できていることは少ないと思ってよいでしょう。

購入後もし匂いが気になる場合は、市販の塩素系漂白剤で拭き掃除をしたり、市販のオゾン発生装置を冷蔵庫に入れて、密閉したまま1日ほど置いておくと脱臭することができます。

冷蔵庫の選び方【収納力/サイズ/設置場所】

画像提供:ピクスタ

冷蔵庫を購入する際にもっとも注意すべきは、冷蔵庫置き場のサイズです。2〜3人家族向けの冷蔵庫の場合、幅650mm(65cm)が標準サイズですが、機種によっては、幅が大きな冷蔵庫があります。

また冷蔵庫の奥行きサイズにも注意してください。ちょっと大きな容量を選んだりすると、奥行きが長く、家具や柱から出っ張ってしまい、使いにくい場合があります。

次に、冷蔵庫の容量に関わらず注意すべきは、「ドアの開き」です。間取りによっては右開きだとドアの厚みで半分開かないこともあります。間取りが決まらない状態で冷蔵庫を用意する場合は、左右どちらでも開くタイプが多い、シャープの冷蔵庫がおすすめです。

600L以上の大型冷蔵庫の場合は、搬入経路にも注意してください。階段の手すりが搬入路を狭めていないか? 階段でターンできるか? ドアの幅を通れるか? など、チェックポイントがたくさんあります。

またドアがガラス張りの冷蔵庫は非常に重く、1人ではまず運び込めません。搬入路を確保できない場合は、ベランダのサッシを外して入れるなどの方法もありますが、2階以上になると吊り上げ用のクレーンが必要になる場合もあり、引越し業者に依頼する必要も出てきます。大型冷蔵庫を購入する場合は、搬入のことも考えましょう。

なお、冷蔵庫の容量の目安は1人あたり100Lです。食材を多めに買ったり、料理好きな方の場合は、1人分プラス50~100Lほどで考えてみてください。たとえば夫婦共働き+子ども1人の3人家族で、食材を多めに買う場合、1人150Lとすると150L×3人で450Lの冷蔵庫がベストです。

さらに、料理の作り置きが多い場合は1人200Lとして3人で最大600Lの冷蔵庫も視野に入れるといいでしょう。

また、メーカーによって冷蔵庫の断熱材の技術が違ってきます。冷蔵庫の壁部分を薄く製造できるメーカーは、設置サイズが小さくて大容量というメリットがあります。狭いスペースに大容量の冷蔵庫を設置したい場合は、その技術が進んでいる三菱か日立を選ぶといいでしょう。

【おすすめ冷蔵庫】1人暮らしにおすすめのタイプ

1人暮らし用の冷蔵庫なら、容量100~150Lの冷蔵庫がおすすめです。この容量の冷蔵庫は、たいてい上下2ドアの冷凍庫と冷蔵室のタイプです。

ホテルにあるような1ドアで真四角の冷蔵庫は、アイスなど冷凍食品を入れる場所がないので注意してください。

また小さな冷蔵庫は、中国製で価格の安いタイプも多く出回っています。ただこのサイズのものは、性能面でも、省電力の観点でも国産の冷蔵庫とそれほど差はありません。メーカーにこだわらない方は、コスパのいい冷蔵庫を買ってもいいでしょう。

ハイアール 474mm 130L JR-N130A:世界最大の中国家電メーカーなのでコスパ最高

ハイアールは中国に拠点を置く世界最大の家電メーカーです。グローバルに展開しているため、世界共通規格の製品を大量に生産しています。また共通の部品を世界から仕入れており、圧倒的な価格の安さが特徴です。ここ数年でデザインも洗練されてきました。ただ、外壁の断熱材が日本製に比べるとやや分厚いため、設置サイズと容量には注意してください。

AQUA 476mm 126L AQR-13H :製造は中国。でも品質は国産で高性能。価格と性能のバランスが◎

AQUAは元は三洋電機という日本のメーカーでした。現在は中国のハイアールに買収され、資本はその傘下に入っています。

開発・設計は日本で行われており、製造のみ中国のハイアールが行うという特殊な業態をとっています。そのため高性能かつ日本の生活習慣に合わせた冷蔵庫でありながら、価格は国産に比べて安いという特徴があります。知らないブランドだからと敬遠する必要はまったくありません。

【おすすめ冷蔵庫】料理好きな1人暮らしや、3人家族までにおすすめなタイプ

1人暮らしでも本格的な料理を作る方、新婚や子育てを終えた夫婦2人暮らし、また小さな子どもがいる3人暮らしの家庭におすすめサイズの冷蔵庫です。

容量の目安は、およそ300L~450L。幅はおおむね600~650mmの冷蔵庫が多いようです。このサイズになると、冷蔵室、冷凍室、野菜室の3ドアタイプが多くなります。

このサイズの冷蔵庫選びのポイントは、中央の引き出しが冷凍室か野菜室か? という問題。普段から野菜をよく使うなら、屈まずに食材を取り出せる中段が野菜室の冷蔵庫がおすすめです。新婚で共働きなど、冷凍食品が多くなりがちな家庭なら、中段が冷凍室になっているタイプのものがいいでしょう。

三菱 600mm 365L CXシリーズ MR-CX37A:他社と同じ設置サイズよりスリムで大容量

三菱の冷蔵庫は、他社製に比べ設置サイズのわりに容量がワンランク大きくなっています。これは冷蔵庫の断熱材が薄く、高性能なためです。

また冷凍機能が優れているのも三菱の特徴。たとえばひき肉を冷凍しておくと、カチカチに凍らず包丁で切れるほどサクサクした状態に冷凍できます。野菜よりお肉やお魚中心の食卓の家庭におすすめです。

シャープ 600mm 350L SJ-W352F:プラズマクラスターで嫌な冷蔵庫臭を低減し、野菜も長持ち

シャープの冷蔵庫はプラズマクラスターを搭載しているので、冷蔵庫の食品臭を少なくできるのが特徴です。また野菜を長持ちさせる効果もあります。

メーカー最大の特徴は、シャープだけの「左右どちらにも開くドア」。どちら側にも開くため、狭いキッチンに向いているのはもちろん、間取りを考えて右開き・左開きを考えなくても済みます。つまり設置サイズさえ問題なければ、どちら側でもドアを開られるシャープの冷蔵庫を選んでおけば間取りを考える必要がありません。

【おすすめ冷蔵庫】5人家族くらいまでOK。たっぷり収納できるファミリータイプ」

育ち盛りのお子さんがいる家庭では、どうしてもたくさんの食品が必要になります。そのような場合5人家族くらいまでであれば、500L以上の冷蔵庫をおすすめします。

さらに冷凍する食品が多い場合は1人150L×4人で600Lクラスの冷蔵庫も視野に入ってきます。このクラスになると、冷蔵庫を搬入する際の経路を確保できるかも、合わせて確認をしておきましょう。

日立 685mm 567L KWタイプ R-KW57K:中下段の引き出しを、冷蔵・冷凍・野菜室に切り替えOK

日立の冷蔵庫には「ぴったりセレクト」という日立独自の機能があります。この冷蔵庫にもその機能が搭載されており、下2段の引き出しを両方とも冷凍室にしたり、上段を野菜室に、下段を冷凍室に、またはその逆も然りと、お好みのアレンジができます。

子どもの成長に合わせて、ご家庭の生活スタイルが大きく変わっても同じ冷蔵庫で対応できるのが特徴です。

また日立の冷蔵庫は「真空チルドルーム」が有名でしたが、このモデル以降は真空機能が撤廃され、ー1℃でお肉やお魚を長持ちさせることができる通常のチルドルームに切り替わっています。

パナソニック 685mm 550L HPXタイプ NR-F553HPX :冷蔵室の最上段のデッドスペースがない唯一の冷蔵庫

パナソニックの冷蔵庫は、冷気を作るコンプレッサというモーターを上部に配置しているので、下段の引き出しの容量が他社製よりも大容量なのが特徴です。

また引き出しは一番奥までフルオープンできます。一方、冷蔵室の上部にモーターを配置したことで、他社の冷蔵庫では手が届かずデッドスペースになっていた最上段奥が手前にせり出し、大型冷蔵庫ですが奥まで手が届くようになっています。

パナソニック独自の除菌消臭機能「ナノイー」を搭載しており、冷蔵庫独特の匂いを抑えられます。また野菜室は湿度を高めにして野菜をシャキシャキ状態のままより長く保存できるのも嬉しい機能です。

AQUA 600mm 458L Delieシリーズ AQR-VZ46JL:冷蔵室から中段の野菜室が見えるので野菜を腐らせない

AQUA製の冷蔵庫のなかでも、この本機「Delie」シリーズは、冷蔵室の底がガラス張りになっています。そのため、中段の野菜室の中を開けずとも奥まで確認することができます。

日持ちしない葉物野菜を腐らせてしまいがちという方におすすめな、AQUAだけの機能です。ガラス張りではありますが、割れにくい強化ガラスなので安全面も問題ありません。

また458Lという容量なのに幅は600mmとスリム設計なのも嬉しいポイント。ただし奥行きがあるので置き場所のサイズには注意してください。

多くの冷蔵庫はチルド室の左側に製氷用水タンクが配置されているため、チルド室の幅が狭く容量が小さくなりがちですが、この冷蔵庫は左右いっぱいまでチルド室が使えます(水タンクはチルド室の上段に設置されています)

東芝 650mm 508L FZシリーズ GR-T510FZ:野菜長持ちに特化したオンリーワン冷蔵庫

「べジータ」の愛称で有名な東芝の冷蔵庫です。その名のとおり、野菜中心の生活をしている家庭におすすめです。

野菜室が引き出し上段にあり、屈まずに野菜を取り出せるだけでなく、とにかく野菜の新鮮さを保つ機能を特化させています。

特徴的なのは、たまねぎやきゅうりなど、半分だけ使った野菜をストックする「使いきり野菜BOX」。ここは湿度が高めに設定され、底が水切り仕様になっているので、ラップをしなくても使いかけの野菜の鮮度をそのまま保つことができます。なお製氷室は野菜室の下にあるので、一般的な冷蔵庫から買い替えると最初は少し戸惑うかも知れません。

【おすすめ冷蔵庫】5人以上の家族や料理好きの方のための大型タイプ

国内の冷蔵庫では最大クラスの700Lオーバーモデルです。5人以上の大家族や、食べ盛りのお子さんがたくさんいる方、まとめ買いが多い方などにおすすめです。

このクラスの冷蔵庫も搬入経路には十分に注意してください。また重量もあるので、1人で運び込むのはまず不可能です。輸送については引越し会社などに依頼する必要がある点も考慮してください。玄関から搬入できない場合はベランダから搬入することもできますが、2階以上への搬入はクレーンが必要になることがあります。

三菱 800mm 705L WXシリーズ MR-WX71Y-BR:とにかく大容量の冷蔵庫が欲しいという方に

幅800mmのワイドサイズで、両開きのフレンチドアタイプの冷蔵庫です。

三菱の冷蔵庫は、独自の薄型真空断熱材に加えて冷蔵庫の隅々まで発泡断熱剤を使っているため、冷蔵庫の外壁が薄く、他社と同じ設置サイズでも容量が大きくなっています。

また三菱がとくに力を入れているのは冷凍機能。急速に冷凍させることで氷の結晶が大きく成長せず、ひき肉などをパックのまま冷凍しても、凍っているのにサクッっと切れる状態にできます。

また冷蔵室の一部は「氷点下ストッカー」になっており、凍る寸前の状態のままで保存します。お刺身など新鮮さを保ちたい食材に便利です。

生活スタイルが変わったら、メルカリなどのフリマアプリで買取先を見つけて冷蔵庫を売ってみよう

家電業界では、冷蔵庫を買い換えるタイミングは人生で4回あると言われています。

1回目は、1人暮らしを始めたり、パートナーと同居するなどで実家を離れるときです。一般的にこのタイミングでは100~150Lの冷蔵庫が必要です。

2回目は子どもが幼稚園や小学生になったとき。食材をたくさん保存したり、料理を作り置きをしたりと、調理スタイルが大きく変わります。そのため200~300Lくらいの冷蔵庫が必要になるでしょう。

その6年後にそろそろ冷蔵庫の寿命がくるときは、子どもが10代の成長期になり、旺盛な食欲に合わせて大きな冷蔵庫が必要な方が多くなってきます。

その際に買い換える3台目の冷蔵庫は高校生から大学生ぐらいの時期まで使えますが、子どもが社会人になり家を出ると、夫婦2人暮らしで使うには大きすぎるので再び300Lクラスの冷蔵庫に回帰します。これが4回目の買い替えの時期です。

通常はだいたい冷蔵庫の寿命である8~10年ごとに買い替えのタイミングがきますが、子どもの有無などの同居人数や、生活スタイルの変化などは各家庭それぞれなので、つい数年前に購入したのに買い替えしなければならない場合も出てきます。そんなときはメルカリなどのフリマアプリで購入してくれる人を見つけて、新しい冷蔵庫の購入資金にするのもいいでしょう。

藤山 哲人(ふじやま・てつひと)

1967年生まれ。『家電Watch』『現代デジタル』『文春オンライン』など多数の媒体で執筆。あらゆる家電を自分で実際に使い込み、分解して機能を調査・比較する技術系家電ライター。最近は「家電おじさん」「体当たり家電ライター」の異名でテレビなどでの解説も大人気。TBS系列バラエティ番組『マツコの知らない世界』には6回出演。

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