趣味2023.02.09

プチプラからハイブランドまで。理想のお部屋を叶える8つソファ【The Choice –プロが教えるインテリアの選び方- #1】

素敵な部屋で暮らしたい。そう思いながらも、部屋のどこから何を変えていけばいいのか悩んでしまう人も多いでしょう。この記事では、そんな人に向けて、プロにインテリア選びのコツを伺います。今回は雑誌や広告で活躍するインテリアスタイリストの竹内優介さんが、理想の部屋を叶える基本となる「ソファ」の選び方を伝授。部屋の雰囲気やシチュエーションにあわせ、お手頃価格からハイブランドのアイテムまで見つかるオススメの検索キーワード8つを紹介してもらいました。

(執筆・取材/飯嶋藍子[sou]、イラスト/佐藤薫、編集/メルカリマガジン編集部)

まずは「大きな面積のアイテム」でお部屋の印象を変える

竹内さん曰く、お部屋を作っていく時の初歩的なポイントは「面積の大きい家具から選ぶ」ということ。今回、おすすめの検索キーワードを紹介してくれる「ソファ」も、お部屋の印象を大きく左右するアイテムのひとつです。

「家に入ってすぐ目につくもの、部屋の割合を大きく占めるソファやカーテンなど大きな面積の家具を変えることで、手っ取り早く部屋の印象を変えることができます。僕の場合、全体感を第一に意識していますが、基本的に選ぶのはやはり好きなもの。ただ、自分の“好きなものの幅”が定まっているので、何を買っても部屋全体の印象が散らからないんです。なので、まずは自分の“好き”を見定めることが大切だと思います」

その見定めには、とにかく「モノを見ることが重要」だと続ける竹内さん。SNSなどを通していろんなテイストのお部屋やインテリアを見ることが、“好き”を見つけるために有効だといいます。

「ミリタリーとかモードとかいろんなテイストの洋服があるように、インテリアにも系統があるんです。いろいろなモノを見ることによって、インテリアのさまざまなテイストを掴んでいける。そのうちに自分がどんな方向性のモノや部屋が好きかだんだんわかってくると思います」

竹内さんが注目する8つのキーワード

それでは早速竹内さんが注目する検索キーワードを見ていきましょう。「こんな空間を作りたい!」とイメージが固まっている人はもちろん、そもそもどんな基準で選べばいいの?と悩んでいる人もぜひ参考にしてみてください。

キーワード1:Cassina / 大人っぽい洗練された空間作りに

高級家具で認知度の高いイタリアのモダンな家具ブランド「Cassina(カッシーナ)」。「カッシーナ」と検索すると、同じくイタリアの高級家具ブランド「DE PADOVA(デパドヴァ)」などを含むモダンなソファがヒットします。大人っぽい洗練された空間にぴったりのソファが見つかります。高価格帯ですが、1人がけのラウンジチェアなら、2シーター、3シーターのソファよりも価格が抑えられるので、手に取りやすいです。たとえば、僕が好きなのはCassinaでも様々なプロダクトを手がけたヴィコ・マジストレッティ(※1)のデザインによる、DE PADOVAの2トーンのレザーソファ。歴史のあるクラシックでかわいいデザインでありながら、うしろにキャスターがついていて機能的なんです。部屋のアクセントになってくれるソファも多いので、他のインテリアは派手じゃないけれど、華のある空間にしたいという人におすすめです。
(※1)イタリアの建築家(1920-2006)。カッシーナをはじめとした多くのメーカーから家具を発表。手掛けたプロダクトのうち12点が、ニューヨーク近代美術館のコレクションとなっている。

キーワード2:Arflex / やわらかくナチュラルな雰囲気のお部屋に

こちらもイタリアのブランド「Arflex(アルフレックス)」。なかでも、イタリアの巨匠マリオ・マレンコ(※2)によるソファ「マレンコ」は最近注目されているアイテムで、僕も使っています。Arflexも高級家具ですが、Cassinaと比べてカジュアルな印象。やわらかくナチュラルな方向性を好む方のお部屋に合うと思います。特徴的なかたちではありますが意外と癖がない。正直、大きめのサイズ感で存在感があるのですが、背が低いのでお部屋に馴染みやすいです。また、マレンコはユニットソファなので、部屋を大きくした時に2シーター、3シーターと増やしていけるのもポイント。カバーを取り外してこまめにお手入れできますし、気分によってカバーだけ変えることも可能です。
(※2)イタリアのデザイナー(1933-2019)。俳優と作家の顔も持つ。1971年に発表したマレンコソファは、一瞬のうちに描いたスケッチから生まれたと言われている。

キーワード3:北欧 ヴィンテージ / カルチャー感溢れるカフェを目指して

「北欧=ほっこり」というイメージを持つ方も多いと思いますが、いまの北欧のデザインはかなりスタイリッシュ。僕もダイニングチェアは北欧のものを使っています。木の家具があるブラウン系の部屋やカフェっぽい空間にぴったりです。ウッドフレームのソファを選ぶ時は、チェストやシェルフなど他の家具の木の色味と合せるとお部屋に統一感が出てきれいな印象に。北欧テイストの部屋だけでなく、ポートランドテイストのカルチャー感溢れるお部屋にも取り入れやすいと思います。ヴィンテージなら、ハンス・J・ウェグナー(※3)やポール・ケアホルム(※4)など、名デザイナーのソファが見つかるはず。もちろん現行品もいろんなところで購入できるのですが、ヴィンテージならではの風合いの良さを楽しんでみてください。
(※3)デンマークの家具デザイナー(1914-2007)。生涯500種類以上の椅子をデザインした「椅子の巨匠」として知られている。その椅子はニューヨーク近代美術館をはじめ、多くでコレクションとなっている。

(※4)デンマークの家具デザイナー(1929-1980)。モダニズムを代表するデザイナーで、1956年に発表したチェア「PK22」は、ミラノ・トリエンナーレでグランプルを受賞したケアホルムの代表作。

キーワード4:ミッドセンチュリー / お部屋にマニッシュ&無骨な演出を

北欧ヴィンテージと比べて素材感が違うのがポイント。北欧ヴィンテージだと木の家具が中心ですが、「ミッドセンチュリー」と検索すると金属素材のものもたくさん出てきます。マニッシュな印象の空間や、無骨でクールなお部屋を目指す人は、ぜひ検索してみてください。なかには70年代に発売されていまは廃盤になっているIKEAのソファなど、珍しいアイテムも。ハーマン・ミラーやイームズなど、良き時代のアメリカの空気感漂うインテリアもヒットするので、USヴィンテージが好きな方にもおすすめです。

キーワード5:Ligne Roset / メタルやガラス、クールなアイテムと相性抜群

海外の雑誌などの影響で、日本でも最近よく見かける「Ligne Roset(リーン・ロゼ)」の「TOGO(トーゴ)」。ボリューム感があってころんとしたデザインなので、メタルやガラスなどのクールな質感のアイテムと相性抜群。印象を引き締めつつもアクセントのある部屋作りをしたい方は取り入れてみてほしいです。TOGOにはカラーバリエーションが豊富なので、とにかく色選びが肝。赤だったら小物が多い部屋、ベージュやグレーなどはシンプルな空間に合いそうです。カバーを変えることができるので、その時々の気分やお部屋に合わせて色を変えてみるのもいいでしょう。

キーワード6:無印良品 / シンプルでどんな部屋にも馴染む入門ソファ

無印良品のソファは、海外のソファと比べてやや小ぶりで、日本の住宅事情にあったサイズ感。なおかつお手頃なので、まさに入門編のソファです。基本的にユニット式で、生活環境に合わせてレイアウトを変えることができるので、一人暮らしの方や、コンパクトな部屋だけどソファを置きたいという方に手に取ってほしいですね。ナチュラル系のお部屋にしたければキャンバス地、スタイリッシュなデザイナーズっぽいお部屋ならグレーなど、張地を選べばどんな雰囲気のお部屋にも馴染みます。お部屋のなかでソファが特別に主張しなくていいと思う方や、モノトーン好きな方、シンプルなお部屋を目指したい方にとくにおすすめしたいです。

キーワード7:デザイナー / アイコニックなソファをお部屋の主役に

部屋のポイントになるようなアイコニックなソファを求める方は、「デザイナー」というキーワードで検索してみてください。インテリアを少数精鋭にして、椅子などもデザイン性の高いものを合わせてみるといいかもしれないです。「同じ空間にどれくらい個性的なアイテムを入れていいの?」と悩む方もいると思いますが、個性的なアイテム同士はぶつけてしまって大丈夫。この手のソファを選ぶ方ってもともと独自のセンスがあると思うので、自然とその人らしい空間にまとまっていくと思いますよ。雑貨を選ぶ感覚で、「これかわいい!」と思うソファを買って空間を作っていくのも面白いと思います。

キーワード8:TRUCK / グリーンが似合うアメカジスタイルを実現

1997年に大阪で立ち上げられた日本の家具ブランド「TRUCK(トラック)」。無印良品は、ソファを置くことでお部屋全体をナチュラルな印象に持っていくことができますが、TRUCKの場合は若干ナチュラル要素を残しつつ、もうちょっとガツンとしたアメリカンカジュアルな部屋作りが叶います。コーデュロイなど素材感に特徴のあるソファが多く、ナチュラルな空間が引き締められてブルックリンスタイルのような印象のお部屋に。インテリアグリーンとも相性がいいので、かわいくなりすぎないお部屋を作りたい方はぜひ検討してみてください。

ソファを買う時に必ずチェック。プロが意識する2つのポイント

普段から、新品だけでなくセカンドハンドのアイテムも購入することがある竹内さん。とくにソファを買う時に注意したいポイントも教えてくれました。

「ソファは衛生的に気になる部分もあるので、カバーを取り外して自分で洗濯できたり、新品に変えられたり、お手入れしやすいものがいいかなと思います。あと、意外と盲点なのがサイズ感。ソファを買ったものの玄関を通らない!みたいな話をよく耳にするので、必ずサイズチェックしてください。僕自身、ソファを置く時にどれくらいのサイズ感になるのか知りたかったので、マスキングテープを床に貼ってシミュレーションをしました。ソファっていざ家に来るとお店で見た時よりも大きく見えてしまうので、的確にイメージすることが大切です」

理想のお部屋を叶えるための「ソファ」にまつわる8つのキーワード。みなさんの目指すお部屋のヒントは見つかったでしょうか? まずはソファでお部屋の表情の軸を作り、自分の“好き”が溢れる空間を少しずつ作っていきましょう。

竹内優介

1993年東京都生まれ。インテリアスタイリスト。株式会社Laboratoryy所属。建築を学ぶ大学時代から、インテリアスタイリストの黒田美津子氏に師事。雑誌や広告ビジュアル制作など、様々なフィールドで活躍中。

41 件

WRITTEN BY

メルカリマガジン編集部

誰かの「好き」が、ほかの誰かの「好き」を応援するようなメディアになりたいです。

RELATED TAGS

好きなものと生きていく

メルカリマガジンは、「好きなものと生きていく」をテーマにしたライフスタイルマガジンです。いろいろな方の愛用品や好きなものを通して、人生の楽しみ方や生き方の多様性を紹介できればと思います。