ファッション2021.12.10

「いまでもアディダスのFORUMが一番かっこいい」青春時代に欲しかったあのスニーカーをメルカリで買う

かつて雑誌やテレビで見かけた、憧れの一着。一度は手放したものの、また手に入れたくなったあのアイテム。
たとえ街のショップやオフィシャルサイトからは姿を消していたとしても、再会したくて思わず探してしまうことはないだろうか。

そんなかつての「好きなもの」との再会をメルカリで果たしている人に、その魅力を語ってもらう企画が「あの頃のあのアイテムとメルカリで出会う」シリーズ。

第一回はDJ、ラッパーとして活動しつつ、SNSでは「King of Twitter」の異名を取るshowgunnさん。少年時代、好きなアーティストのファッションの影響からアディダスファンとなり、常時100足以上を所有するスニーカー好きでもある。青春時代に欲しかったスニーカーを、いまメルカリで掘り当てて手に入れるのが楽しいというshowgunnさんに、思い入れがありすぎて思わず2足(あるいは3足)買いしてしまったシリーズや、スニーカーを探す時の検索ワードなどを聞いた。

(編集・取材・構成/宗像幸彦、撮影/松木雄一、編集/メルカリマガジン編集部)

憧れのMUROモデルが「もったいなくて履けない」

showgunn(ショーグン)さんはヒップホップ好きの間ではKing of Twitterと呼ばれる。ツイート数の多さと常に本音べースでつぶやく姿勢が人気だ。

2000年代後半からクラブイベントの主催やDJ、さらに音楽グループMOUSOU PAGERなどの音楽活動を行なってきた彼は、関東のヒップホップ界わいでは名が知れた存在。一方、常に100足近くを所有する無類のスニーカー好きとしての顔もあり、その半数以上がアディダスだという。

「1995年、中学3年生の頃にNIKE AIR MAX95が発売されて大ブームになりました。高校生になると、みんなスニーカーを盗まれないように、下駄箱に入れずわざわざ教室まで持ってきて後ろの棚に置いておくんです。授業中はナイキが横一列にズラーっと並んでショップみたいになっちゃって(笑)。ただ、自分はAIR MAXシリーズにあまりピンときませんでした。それよりもちょうど聴き始めたヒップホップの影響で、アディダス派になって。あの頃のアディダスのハイカットって、ナイキみたいなハイテク感はないし、履くと重いんだけど、コッとしたデザインがたまらなく好きになりました。周囲がナイキ派を占める中でかなり浮いていたかもしれません」

そんなshowgunnさんが10代の頃から心酔し、今もなお尊敬してやまないのがKing of Diggin’ ことMUROさんだ。

「音楽はもちろん、ファッションまでもろに影響受けました。MUROさんからは他人をなぞるんじゃなくて、自分のスタイルを貫くことの大切さを教わった気がしますね。スニーカーだって単に流行ってるものを追っかけるんじゃなくて、自分が好きだと思うものを履けばいいのかなって。メルカリでは、その時に欲しかったけど買えなかったスニーカーを今買っている、みたいな感覚はありますね。たとえばこれとか」

そう言いながら真っ先に挙げてくれたのがadidas Originals for Kinetics×MURO ULTRA STAR XL。(アディダスオリジナルズ・フォー・キネティックス×MUROウルトラスターXL)

MUROさんとアディダス、アパレルショップKineticsが共同開発したコラボアイテムである。もちろん、現行商品ではない。

メルカリにハマるきっかけにもなったadidas Originals for Kinetics×MURO ULTRA STAR XL

「実際にリリースされたのは2011年あたりで、確か値段は1万円ちょっとだったかな。少し高いなと思っているうちにうっかり買い逃していました。それから5年くらい経ってたまたまメルカリで探してみたら、信じられないことに新品未使用で自分のサイズに合う28インチが、6000円くらいで出品されていたんです」

一度目にしたら、いてもたってもいられず即購入。商品が手に届いた瞬間、想像以上にいいコンディションに驚いた。  

が、問題はその後だ。せっかく履こうと思って買ったのに、状態が良好すぎるおかげでもったいなくて履けないのである。

「長い時間ベストの状態で保たれてきたのに、自分の足で汚しちゃうのかと思うと、なかなか踏み切れなくて。結局、まったく同じアイテムで少しコンディションの劣るものを普段履き用として買い足すことにしました」

2足(もしくは3足)買いは、スニーカー好きにとっての「あるある」なのだそう。

手前が普段履き用で、奥が新品で買ったもの。普段履き用もかなり丁寧に扱っているので見分けがつかない

発売に後から気づいたデフジャムコラボ

adidas Forum Mid Def Jam Recordings 25th ANNIVERSARY。最初に手に入れて履いたのがこの黒

アディダスの中でも、昔からハイカットに惹かれるというshowgunnさん。1984年にリリースされ、かのマイケル・ジョーダンが履いていたことで知られる名作FORUMも忘れられない一足だ。

「1999年頃、自分が上京した時にFORUMが初めて復刻版がリリースされてヒップホップ好きの仲間内でも盛り上がったんです。当時、代々木公園で開催されていた音楽フェスB BOY PARKでKICK THE CAN CREW(当時)のKREVAさんがFORUMの再発直後に履いていたのがめちゃめちゃカッコよくて」

これまでもFORUMシリーズはあれこれ買っては履き潰してきたそうだが、どうしても下ろせない1足がある。アメリカの名門ヒップホップレーベル「Def Jam Recordings(デフ・ジャム・レコーディング)」の25周年記念モデルだ。

新品のadidas Forum Mid Def Jam Recordings 25th ANNIVERSARY。まだタグも外していない

「これは2009年頃のモデルなんですけど、発売されていることに全然気づいてなくて、後になってから存在を知りました。(過去に)こんなの出てたのか!っていう。スニーカー好きならよくあることだと思うんですけどね。とりあえず黒い方のユーズドを買って履いていました。その後、もう新品なんか手に入らないだろうなぁ、とあきらめかけてたところに、えんじ色で未使用のジャストサイズが8000円くらいでメルカリに出品されていたんです。デフジャムのレコードってセンターラベル(真ん中の穴周りの部分)がえんじ色なので、自分的に価値があるのはえんじ色の方。だったら買わない手はないな、と」

でも、やっぱり「新しすぎて履けない」どころかタグも外せない。そこで、より低額かつ多少使用感のある同じアイテムを購入することに。

気合いを入れたい時やイベント出演とかのここぞというときに履く一足です。あ、もちろん新品じゃない方を、ですけど」

もし手前の普段履き用が劣化して履けなくなったらもう一足買い足そうと思っているそう

誰も欲しがらないドル札柄

先ほどのデフジャムのFORUMのように「リリースされていることに後から気づいた」ケースもあれば、「いつか見た覚えはあるけれど完全に記憶から消えていて、ふとした瞬間に思い出した」例もある。

「このドル札がプリントされたFORUMとか、そのパターンですね(笑)。高校生の頃、雑誌で見た記憶はあってインパクトあるしめちゃめちゃヒップホップなデザインだったから欲しいなって思ったんですけど、値段が高い以前にどこにも売ってなかったんですよ。上京した後、都内の古着屋さんですら見たこともなかったし。存在自体を忘れていたところに、メルカリで出品されているのを見て『これ昔どっかで見たなぁ、そうだ思い出した!』ってなって」

ドル札柄がいかにもヒップホップなadidas Consortium Forum Hi Money

以来、ドル札柄のスニーカーが出たら必ずチェックするようになった。

「結構好きですね、ドル札柄。手頃な値段の割にはだいたい売れ残ってます。こういう、誰もあまり欲しがらない系のものが好き(笑)。お金とかヘビとか、えっその柄マジで?っていうデザインを商品化しちゃうのもアディダスの魅力なのかも」

ヘビ柄も大好物。ただ、本人いわく「こういうアクの強いアイテムはライバルが少ないので入手はそこまで難しくない」とのこと(写真はInstinctシリーズ)

スターウォーズのコラボシリーズとしてリリースされたAdidas Metro Attitude STAR WARS JABBA THE HUTT(日本未発売)。ジャバ・ザ・ハットの皮膚の質感を表現している

ポップなカラーリングのadidasOriginals metro attitudeは、KinKi Kidsの堂本剛が履いていたことで一躍話題になった

スニーカーをディグっていたら氷室京介グッズに詳しくなった

「自分はスニーカーマニアじゃないので、高値がついた超レアものとかはあまり探さない。ひたすら直感的に欲しいもの、自分の感性に合うものを検索して買っていたらこんなに集まっちゃったっていう感じなので。メルカリでは好みのタイプをピンポイントで検索できちゃうのが自分に合ってますね」

そう語るshowgunnさんのメルカリ検索ワード第1位はやっぱり「MURO」。

「ただ、最近はMUROって検索すると、KOMUROとかAMUROとか、HIMUROまで同時に出てきちゃう。おかげで氷室京介関連のグッズにだいぶ詳しくなりました。眺めていると結構かっこいいのあって、だんだん氷室グッズも欲しくなっちゃうんですよね(笑)」

検索条件はメルカリで保存できる上限件数、100まで目一杯登録し、日に何度もチェックを欠かさない。

「『ヒップホップ スニーカー』みたいな漠然としたワードで検索することもあれば、『アディダス ハイカット』みたいなブランド名やシリーズを入れて探す場合もありますね。出品者によってそのあたりの精度が違うというか、ざっくり商品の情報を入力している人がとんでもなくレアなアイテムをびっくりするくらい安く出していることもあるので」

さらに、欲しい商品が見つかるだけでなく、共通の趣味やセンスで人とつながれるところもメルカリの隠れた魅力なのかも、と話す。

「ずっと検索してると『あ、この出品者、自分と趣味が近い』と思うことがしょっちゅうあります。実際、同じ人から違うアイテムを続けて買ったりすることもあるし。『この人自分とセンス近いし、同じサイズだ』と思ったらフォローしちゃいますね」

King of Twitterは、これからもスニーカーをメルカリでディグし続けるという。

引っ越ししたての部屋はスニーカーでぎっしり埋め尽くされていた。本人いわく「ミニマリストの逆をいく、マキシマリストって言われてます」

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メルカリマガジン編集部

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