メルカリ2020.12.09

レッドブルも渋谷もメルカリも。「体験」からはじまる新しい未来。カケルメルカリ03:長田新子

ファッション・音楽・アートなど、さまざまな分野で活躍しているトップランナーを招いて、これからの買い物やメルカリの進むべき方向について考えていくトーク企画「カケルメルカリ 」。

第3回目のゲストは、「渋谷未来デザイン」理事兼事務局次長の長田新子さん。「渋谷未来デザイン」とは、行政と企業、個人を繋ぎつつ、オープンイノベーションによって渋谷から日本全体の青写真を描く一般社団法人だ。最近の代表例が、KDDIとの協業によって生まれた「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」においてバーチャル空間上にもうひとつの渋谷を生み出す「渋谷区公認バーチャル渋谷」。コロナ禍によって需要が増したバーチャルとリアルの接続は先日、6日間で40万人以上の“動員”を記録した「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」でひとつの結実をみせた。

さて、そんな長田さんは2007年から2017年までレッドブル・ジャパンに在籍し、「エナジードリンク」というカテゴリそのものを日本に初めて浸透させた実績を持つ。そのアプローチは現在、未来の街づくりにどう生かされているのだろうか。また、メルカリもまさに「二次流通」という新たな価値を打ち出しているが、そこに何かしら共通する考え方はあるのだろうか。今回は、前回から引き続きメルカリジャパンCEO・田面木宏尚が聞き手となり、「レッドブル」と「渋谷」をテーマに対談を行った。(執筆/長畑宏明、撮影/玉村敬太、編集/メルカリマガジン編集部)

※対談・取材は飛沫防止シートの使用や除菌を徹底した上で行っております。

長田新子(おさだ・しんこ)

2007年にレッドブル・ジャパン入社。最初の3年間をコミュニケーション統括、2010年から7 年半をマーケティング本部長(CMO)として、日本におけるエナジードリンクのカテゴリーを確立およびレッドブルブランドを日本市場で浸透させた実績をもつ。9月末にて退社し独立。現在は、一般社団法人「渋谷未来デザイン」にて理事兼事務局次長を務める。今年5月には書籍『アスリート×ブランド 感動と興奮を分かち合うスポーツシーンのつくり方』を上梓。

田面木 宏尚(たものき・ひろひさ)

早稲田大学を卒業後、GMOクラウド株式会社へ入社。CS業務、サーバーホスティング事業、および新規事業の立ち上げ等に従事。2010年にピクシブ株式会社へ入社し、取締役としてシステム開発、マーケティング、グロース等の事業統括に従事。2016年1月より株式会社アニメイトラボ代表取締役社長CEOに就任し、小売領域におけるIT事業推進を実行。2017年2月に執行役員としてメルカリに参画。2018年10月、執行役員メルカリジャパンCEO就任、2020年9月より上級執行役員 メルカリジャパン CEO。

ブランディングに必要なのは、大きな戦略と小さなこだわり

まずは、今春発売された書籍『アスリート×ブランド 感動と興奮を分かち合うスポーツシーンのつくり方』でも話題となったレッドブル時代のお話から。入社当時、まったくと言っていいほど国内で知名度のなかったレッドブル。そもそも、クールでエッジーな「エナジードリンク」という存在そのものに馴染みがない状況からのスタート……現在に至るまで、どんな手法の積み重ねがあったのでしょうか。
田面木 今日は長田さんをお迎えするということで、レッドブルを用意しています。さっそく乾杯しましょう。かんぱ〜い!

長田 かんぱい!

2人 (ごくごく)

長田 これでエナジーチャージ完了ですね。ふだんからレッドブルって飲まれます?

田面木 最近は主にレッドブルウォッカで摂取しています(笑)。

長田 そういう方、多いんですよ。カラオケとかクラブでよく飲まれているんです。

田面木 「エナジーチャージ」という言葉自体が、長田さんたちの発明と言えますよね。あらためて簡単にご紹介させていただいただくと、長田さんはレッドブル・ジャパンのCMOとして数々の功績を残された方であり、現在は「渋谷未来デザイン」にて理事兼事務局次長を務めていらっしゃいます。まずレッドブル時代の話を伺いたいのですが、長田さんが入社された頃、レッドブルの知名度はどのくらいだったんですか?

長田 レッドブル・ジャパンに入社したのは2007年。私のまわりの人は誰もレッドブルなんて知らないという状況でした。コンビニのドリンクコーナーに並ぶのは日本の栄養ドリンクばかりで、レッドブルはわずか一列だけ展開していました。まだエナジードリンクというジャンル自体を誰も知らなかった。親に転職先を伝えた時も「なんでそんな無名なところに?」と文句を言われたくらいで(笑)。

田面木 当時のレッドブルの課題は、どういったところにあったのでしょう?

長田 すぐ手の届く範囲に殆ど商品がなく、そもそも価値が伝わっていない。つまり、マーケティングとセールスの両軸で不足がありました。ただ、レッドブルが主催するスポーツ大会の映像コンテンツなど、マーケティングに活かせるアセットはあった。たとえば空のF1とも言われるエアレースという、飛行機を用いて飛行技術や機体性能、そして知力や体力等を競い合う3次元モータースポーツとか。自分も知らないエクストリームなスポーツばかりだったんですけど、それをみんなの心に浸透させようと思ったんです。

田面木 当時はYouTubeもまだ浸透していなかった頃だと思うんですが、どうやって映像を広めていったのでしょう?

長田 拡散に関しては、さまざまなメディアに協力を仰ぎましたね。世界中から映像が集まってくるので、ネタには困らなかったんです。テレビに取り上げてもらったり、Twitterと口コミで広まっていったり。これがなかなかうまくいきまして。

田面木 世界から届く映像コンテンツをローカライズすることがかなり重要なポイントだと思うのですが、ここにはどのような苦労が?

長田 おっしゃる通りで、日本では海外で流行っているものをそのまま紹介してもダメ。本社から「日本でも同じイベントをやればいいよ」って言われても、例えばクリフダイビング(崖や城壁に設けられた飛び込み台から海や湖に飛び込み、華麗な技を披露するエクストリームスポーツ)のシーンは日本にないわけで。向こうの担当者は「日本には良い崖があるじゃん!」って言ってましたけど、そういうことじゃないぞ、と(笑)。

田面木 良い崖はあるけれども、競技自体の認知や、器具やノウハウなどがなさすぎて、前提が全く違うっていう話ですよね(笑)。

長田 そうなんです。また、海外ではスポーツ利用における場所の許可取りがけっこう楽なんですが、日本は公道ひとつ使うだけでもすごく大変なので……。環境の違いは大きなハードルでしたね。

田面木 日本と海外のギャップがあったわけですね。人って、馴染みのないものはなかなか受け入れられないじゃないですか。たとえば、アメリカでお寿司が浸透する大きなターニングポイントになったのが、カルフォルニアロール。海外の人々にとっては海苔が内側にあるのが重要だったそうなんです。なにしろ、「海苔って黒くて怖い」という感覚が抵抗になっていたそうで。エクストリームスポーツを日本で根付かせるためにも、文化的な差異を踏まえなくちゃいけないわけですよね。そんな中で、スムーズに受け入れられたスポーツってあったんですか?

長田 空のスポーツは思いのほか反響が良かったです。ブルーインパルスが空をかけていく様子が人々を盛り上げるように、日本人って空とか飛行機とか好きなんだな〜と。あとはバイクのようなモータースポーツは安定して人気。ブレイクダンスなんかも持ってきてみたら、眠っていた熱狂的なファンがたくさん出てきてくれました。あとは、日本人が出ているかどうかがすごく重要です。

田面木 「日本人を応援する」というマインドが強いんですね。

長田 例えば、エアレースって、日本での競技人口がたったひとりなんです。そのひとりが室屋義秀さんという方なんですが、彼が2009年にアジア人で初めて世界大会に出て、2017年にワールドシリーズ優勝を果たすまでのストーリー込みで伝えたところ、ものすごい反響があったんですよ。
田面木 今、レッドブルは日本でも「イケているイメージ」がありますよね。当時はブランディングの面でどのようなハードルがありましたか?

長田 日本ではそれまで、「エナジードリンク」ではなくて「栄養ドリンク」のイメージが強かったんです。栄養ドリンクって、基本は疲れた時に飲むもの。レッドブルが打ち出していた「いろんなことに挑戦する」っていうノリとは異なりますよね。

田面木 レッドブルは「仕事が終わったあと、クラブで朝まで踊りたい!」っていうアグレッシブなニーズを顕在化させましたよね。

長田 まさにそのイメージを求めていました。他と比較して値段も高かったので、みなさんに手にとってもらうまで時間がかかりましたね。

田面木 「翼をさずける」というコピーはそのニュアンスを完璧に言い当てていると思います。一方、日本の栄養ドリンクは「24時間戦えますか。」で、ハードワークのお供という印象が強かった。そういった市場の中で、どうやって「元気なところからさらにブーストさせる」という考え方を浸透させたんですか?

長田 「飲用機会」という業界用語があるんですけど、「レッドブルはアスリートが勝ちたい時、あるいはお客さんが応援したり参加したい時に飲むもの」という印象をつけるために、ブランドを体験してもらうイベントを多く仕掛けました。要は、どこにでもレッドブルがある場作り、ですね。

田面木 とにかくあらゆるイベントの現場にレッドブルを届けてゆく、と。そういえば大きなレッドブルの缶を搭載した車をよく見かけました。

長田 あれは、全国各地の大学生の人たちが試飲を通して“翼をさずけに”いっているんです。公式では彼女たちのことをウィングスって呼んでいて、ブランドの思想を体現するアンバサダーであり、最先端の消費者の意見を聞かせてくれる重要な存在でもあった。社内スタッフともよく交流していました。会社で働いていると、実際のお客さまのニーズを実感することが難しくなってしまうからこそ、ウィングスという存在を通して、レッドブルのリアル体験をシェアしてもらっていたんです。

田面木 その場で缶の蓋を開けて渡す、っていうオペレーションも徹底しているんですよね?

長田 そのままカバンに入れるとぬるくなって味が落ちてしまう。正しい美味しさを伝えられないと意味がないので、そこまでこだわりました。

田面木 なるほど。ブランディングは、大きな戦略と、細部のこだわりに宿るのかもしれません。

街もサービスも「体験」を通して、本当の価値が伝わってゆく。

次は、毎年のようにその姿をアップデートし続ける「渋谷」の話題へ。ところで、「渋谷という街」にはどんなイメージをお持ちだろうか。観光やビジネスのハブとしては大いに存在感を発揮している一方で、表層的ではない多様な魅力を伝えるのにはどうやら一苦労ある様子。全国の認知度が90%を超えるメルカリも、実は同じ課題を抱えている? ここからは両者が抱える課題と、目指す未来について、率直に語っていきます。
田面木 ここからは「渋谷」のお話を伺いたいです。実は、私と渋谷は縁が深くて……と言ってもハチ公の出身地が僕の地元・秋田県大館市なんですよ。ちなみに、いま大館駅前にもハチ公の像があります。

長田 渋谷のハチ公の2倍くらいの大きさなんですよね(笑)。

田面木 ただ、待ち合わせにはまったく使われていません(笑)。閑散としていますね。それと以前ハチ公近くにあった「青ガエル(外国人旅行者向けの観光案内所などに使用されてきた東急5000系車両)」も大館市が引き受けました。あそこはもうほとんど渋谷です。あとは人の数だけ!

長田 あ、いま「本題にいってください」というカンペが出ていますね(笑)。

田面木 失礼しました、渋谷愛が出過ぎちゃいましたね(笑)。本題いきましょう。

長田 そもそも田面木さんは「渋谷未来デザイン」をご存知でした?

田面木 もちろん名前は聞いたことがあって、MIYASHITA PARKなど「渋谷未来デザイン」の関わっているプロジェクトはよく知っています。まず聞いてみたいのですが、「渋谷未来デザイン」として考える渋谷の課題って何なのでしょうか?

長田 新型コロナウイルス以前と、それ以降で、やはり大きく変わってしまいましたね。これまではオーバーツーリズムというか、一極集中でスクランブル交差点にはお客さんが来ている一方、公園通りや奥渋など、他のエリアはなかなか回遊されていなかった。観光客は、渋谷のスクランブル交差点を見たら、すぐに浅草へ移動しちゃったり。ホテルも少ないですし、拠点としてのブランディングが必要だなと思っていました。

田面木 コロナ禍が起きてからは、どういう変化があったんですか?

長田 そもそも街から人がいなくなったので、バーチャルといった新しい形で街の魅力を伝える必要があります。会社のオフィスもたくさんありましたが、これからどうなるかわからない。今後その場所を別の用途でどう活用するか、という発想が生まれてきています。文化的なコンテンツを機能させることができればいいなとか、色々と考えているところですね。
田面木 そういえば、毎年渋谷がフィーチャーされるハロウィンは今年どうされるのでしょう?

長田 そもそも、年末のカウントダウンとは違って、渋谷として公式にハロウィンのイベントはやっていないんです(笑)。だから、「危険なのでハロウィーン目的で渋谷を訪れないでほしい」という来訪の自粛のメッセージは出しつつ、今年はバーチャル化(「バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス」)にトライします(きゃりーぱみゅぱみゅやBiSHなどが出演した本イベントは計6日間の開催で約40万人を動員。*本体談はイベント前に実施されました)。

田面木 バーチャルであれば世界中から参加できますしね。今って、渋谷の多様な魅力を知らない方にも伝えていく段階だと思いますが、レッドブル時代に「エナジードリンク」の市場を開拓した経験から今に生かされていることは?

長田 レッドブルと異なるのは、「渋谷」っていう言葉の認知度はほぼ100%なんです。ただ、まだ表面的なイメージしか浸透していない。街って本来は中に入って「体験」するものじゃないですか。私たちは、渋谷で住みたい、働きたい、集まりたい、勉強したい、って思ってもらいたいんですよね。

田面木 そこはメルカリと似ているところかもしれません。メルカリというワードの認知度は国内で90%以上なのですが、アクティブユーザーは月間1755万人。つまり、知っているけれど体験したことがない、という人が大半で。

長田 その原因ってどういったところにあるのでしょう。たとえば、メルカリに対するネガティブなイメージってどんな感じなんですか?

田面木 コロナ禍において、社会全体でさまざまな物資の需給バランスが変化し、従来どおりの判断基準では対応しにくいケースが発生して課題となりました。その体験を踏まえ、メルカリでは「有識者会議」を立ち上げて、経済学や企業倫理、ESG等の有識者やステークホルダーを交え、社会にとって必要な マーケットプレイスのあり方を検討する場を設けています。あとは、お客さまからの「値下げ交渉が煩わしい」という声もあります。ただ、ここは、逆にメルカリの魅力として受け取ってくださる方もいるんですよね。多様な人々が集まるマーケットだからこそ、様々な視点から様々な意見が集まりますが、本質的には「自分が大事にしていたものを他の人がまた使ってくれる」という価値観や、その楽しさを浸透させたいんです。

長田 わかります。渋谷も表層では「若者の街」と言われるんですが、本来はどんな人でも受け入れられる多様性にあふれた街なので、同じような悩みがありますね。

田面木 渋谷は「多様性」とどう向き合っていこうと考えているんですか?

長田 渋谷はあくまで住民の税金がメインで成り立っている街なので、何よりも住民の心境が大事。だから目指すのは、子育てがしやすくて、シニアの方々にも優しい環境づくり。一方で、スタートアップの企業にもどんどん入ってきてほしい。まだまだグローバルに開かれていないので、世界中のビジネスパーソンたちが「ここにくると活躍できる」と感じられるような場所にしたいんです。

田面木 まさに、すべてを受け入れられる街、ですね。

長田 そうです。レッドブル時代に対峙していたのは「消費者」なんですけど、今は「生活者」。みなさん、もうすでに渋谷区にお住まいだから、別に毎回“選んでいる”わけでないんですよね。だから私たちとしては、今いる方に気持ちよく生活していただけるようにしなきゃいけない。根本的に考え方が違うので。

田面木 そこには、すでに多様な人々が住んで生活しているわけですよね。マーケティングとはそもそも発想が異なるというのは納得です。

長田 だからこそ、明確な答えはないんです。さまざまな立場の人たちとコミュニケーションを重ねながら、一つずつアクションをして、より良いゴールを探し続けるということなのかな、と。

田面木 多様性にどう取り組んでいくか、という問いは、サービスに向き合う上でも非常に重要なものです。でも、やっぱりサービスと区政は異なるもので、メルカリみたいな営利サービスは使われなければ終わりなんですけど、街はすでにそこに住んでいる人がいるからこそ、難しいですよね。そういう意味では、サービスに向き合うという視点での意見になるかもしれませんが、新しくなっていくことをなるべくポジティブに受け入れたいと思っています。全員の意見を反映することができない難しさは、会社運営を通して、ものすごく実感するんです。どちらかの方向に舵を切って、そこに共感してくれる人を増やすためにひとつひとつ努力し、方向修正をして、それでも前に進んでいけたらいいのかな。

まだ見つかっていない良いところを掘り起こす。それこそがメルカリと渋谷未来デザインに共通する価値。

トークの最後には、長田さんからのメルカリに対する素直なフィードバックをいただいた。そこから浮かび上がってきたのは、渋谷未来デザインとメルカリのあいだに共通するひとつの価値。2020年以降の社会で生きる私たちは、消費から発掘へと価値観を変えていくべきなのかもしれない。
田面木 最後、単刀直入に、今のメルカリについてアドバイスいただけますか?(笑)実際長田さんはメルカリのユーザーだとお聞きしていますが、使い勝手はいかがでしょう?

長田 私はメルカリとヤフオク、両方使っていまして。感想としては……まずメルカリの方がシンプルに取引ができる。オークションだとずっとアラートを気にしていなきゃいけないので、それを楽しむ一面もありつつ、買いたいものが決まっている時はメルカリの方がだんぜん楽ですよね。逆に、出品ラインナップで選ぶと、ヤフオクの方が充実しているジャンルがあるのもたしか。子供用品とか大型家具はヤフオクからよく買っています。

田面木 ジャンルごとの充実度はまだばらつきがあるんですよね。そこは課題かもしれません。ただ、家具に関しては「梱包・発送たのメル便」っていう便利なサービスがありまして、ヤマトさんが梱包から発送まで一括でやってくれるんですよ。僕も最近オフィスチェアを売りました。長田さん、出品はされますか?

長田 それがね、しないんです。

田面木 それは何か理由があるのでしょうか?

長田 まず値付けの基準が分からない。あと周りからよく「売れた後の対応が大変だから、長田さんは時間ないと思うよ」って忠告されるので、なかなか腰が重くて。洋服とか靴を捨てられない性格なので、本当はどんどん出品できたら助かるんですけどね。

田面木 なるほど。まず値付けに関しては、同じような商品を検索するのが鉄板ですよ。早く売りたかったら売れている値段よりも安くすればいいんです。出品作業に関しては……習慣化するのが一番ですね。僕は普段からワードローブを1軍と2軍に分けています。それと、わざとリビングの見えやすいところに塊をダン!と置いて、「片付けなきゃー」と思いながらカシャカシャと撮影するっていう。

長田 すごい!それは尊敬しちゃいます。私はマメじゃないからな〜(笑)。私のように出品代行を希望する人って、すごく多いと思いますよ。

田面木 出品のハードルを超えられない人が多い、ということはまさにメルカリの大きな課題なんですよ。実際に「一度使ってもらうこと」が有効だということはわかっていて、そのタッチポイントを増やすために、メルカリステーションなどのリアルの場をつくったりしています。

長田 それこそMIYASHITA PARKの屋上などで簡単に体験できるスペースを作るのはどうでしょう?

田面木 お、いいですね。一番最初に出てきた「ウィングス」の発想に近いような試み、すごくやってみたいです。

長田 一度レッドブルを飲んだ人は、もう一度買ってくれることが多いという調査結果もありました。リピート率、すごいんですよ。生の体験ってすごく大事なんです。

田面木 そうか、答えはそこにあったのか。……ウィングス、やりましょう!

長田 メルカリ用の名前を考えなきゃ、ですね。でも、メルカリって、眠っていた価値を目覚めさせるサービスですよね。この視点は私たちが今向き合っている渋谷区にも適用できると思います。まだ気づいてもらえていないだけで、良いもの、価値のあるものはそこにたくさんある。その掘り起こしをやりたいんですよ。

田面木 これってまさにSDGsの文脈なんですよね。新しいものを生み出し続けて消費するのではなく、そこにある価値を発見し、広義のリユースを推し進めていく。メルカリと渋谷未来デザインの共通する価値は、そんな「眠っている価値を目覚めさせる」ところにあるのかもしれません。

長田新子(おさだ・しんこ)
2007年にレッドブル・ジャパン入社。最初の3年間をコミュニケーション統括、2010年から7
年半をマーケティング本部長として、日本におけるエナジードリンクのカテゴリー確立およびレッドブルブランドを日本市場で浸透させた実績をもつ。9月末にて退社し独立。現在は、一般社団法人「渋谷未来デザイン」にて理事兼事務局次長を務める。今年5月には書籍『アスリート×ブランド 感動と興奮を分かち合うスポーツシーンのつくり方』を上梓。

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メルカリマガジン編集部

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