そんな加賀美さん、実は自他共に認める“メルカリ・ラバー”。しかしその使い方ははっきり言って、変わりすぎている。直近で購入した商品を聞くと、素人が描いた鉛筆画、昔に流行った芸能人のキャラクターグッズ、大根やこんにゃくの巨大クッション、さらには「ウ◯コ」と書かれた謎のフィルム写真など、誰もがつい見過ごしてしまうような、一見価値があるかどうかすらわからないモノでばかり。メルカリのような二次流通は、既存市場で価値のあるものから順に売れていくのが常だが、このアプローチはそれとはまったく逆行している。なぜ、加賀美さんはそれらを買い求めるのだろうか。
今回はメルカリ社内きってのアート好きで知られる、プロダクトマネージャの横田結も参加。モデレーターはカケルメルカリチームの長嶋太陽。3名による大放談をお送りする。(執筆/長畑宏明、撮影/池野詩織、編集/メルカリマガジン編集部)
※対談・取材は飛沫防止シートの使用や除菌を徹底した上で行っております。
加賀美健(かがみ・けん)
現代美術作家。1974年、東京都生まれ。社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)STRANGE STORE(ストレンジストア)をオープン。
横田結(よこた・ゆい)
2017年11月にメルカリへ入社後、シェアモビリティサービスのプロダクトオーナーを務める。現在はプロダクトマネージャーとしてメルカリとメルペイのUX統合を推進。今ふらっと行きたいギャラリーは「メゾンエルメス フォーラム(銀座)」。次の旅行で訪れたいミュージアムは「ルーヴル・アブダビ(アラブ首長国連邦)」。
長嶋太陽(ながしま・たいよう)
2018年3月にメルカリへ入社。コピーライター/エディターとしてメルカリの様々な制作物を手がける。現在はコンテンツチームの一員として、ブランディング施策の企画・立案などを行う。
くだらないことを毎日考えるように「訓練」する。
長嶋 今日のゲストは、現代美術作家の加賀美健さんです。 ファッションとカルチャーの分野では知らない人はいないかと思いますが……!
長嶋 もちろんです。ただ、ITの分野ではご存知ない方も多いかもしれません。加賀美さんってご自身のことはどのように紹介されているんですか? 「アーティスト」で特に違和感ないですかね?
加賀美 現代美術の作家ですかね。でも誰かにプロフィールを渡すときは、大枠で「アーティスト」と書くことが多いかもしれません。とはいえ特に……こだわりはないですよ。
長嶋 (笑)。加賀美さんの活動の中心って、どこかに定めているのでしょうか?
加賀美 活動の“中心”は、あえて持たないようにしているんです。一般的なアーティストのイメージだと「代表作」みたいなものが真ん中にあると思うのですが、僕は飽き性だし、オファーいただいたお仕事はなるべく受けるようにしているので、見ている人はどれが本筋か分からない。でも、それが狙いなんです。時代的にも、色々なジャンルのことをやって発信した方が面白いかなって。
長嶋 発信といえば、加賀美さんは日々メルカリで買ったものをご自身のSNSでアップされていますよね。その投稿を見るだけでも、普段からすごい頻度でメルカリを使ってくださっていることがわかります。この空間(加賀美さんが運営するショップ「STRANGE STORE(ストレンジストア)」にメルカリで買ったものって、どれくらいあるのでしょう?
加賀美 めちゃくちゃありますよ。その壁にかけてある作者不明の石川遼くんの油絵とか。たしか3,000円くらいだったかな。「すごいの出てるよ!」って友達が教えてくれたんですよ。
加賀美 3,000円で「高いよ!」っていう人もいるだろうし、「安い!」って思う人もいる。そういう価値が固定していない状況自体が面白いんじゃないですかね。
長嶋 あ、そういえば、今僕たちがいるこの場所を紹介していませんでしたね。ここは「STRANGE STORE」というお店で、加賀美さんが手がけられたアパレルやグッズが売られている他、たくさんの私物が展示されています。
加賀美 このお店自体も実は作品なんですよ。自分が所属しているギャラリーを通せば、誰でもお店が買えるんです。もちろん、買ってくれたら飾ってあるものも全部差し上げます。逆に、そこにある加トちゃんのお面だけが欲しくても、それだけでは売ることができないから、お店ごと買わなきゃいけないっていう。
加賀美 この物件自体は買えないので、たいていはこの空間を別の場所に再現してあげることになると思いますけどね。もしくは、ここの家賃を払い続けてもらうか。僕に「お店を営業し続けてください」ってお願いする場合もあるだろうし(笑)、いろんなかたちがあり得る。
長嶋 アートの文脈の中では、こういうことってあるんですかね?
横田 美術館に展示されていた砂の城を買った人のために、それを別の場所で再現する、みたいな話は聞いたことがありますが、お店をまるごと売るっていうケースは珍しいかもしれませんね。加賀美さんが「今は時期的に売りたくないな」っていうタイミングはないんですか?
加賀美 いや〜、もうね、早く売れてほしい(笑)。「STRANGE STORE」は売れて終わり、っていうのが一番綺麗じゃないですか。
横田 加賀美さんってこの空間が物語っているように、発想が独特ですよね。 そういう発想はどう鍛えているのでしょう?
加賀美 日々の訓練です。毎日、朝起きて、夜寝るまでくだらないことばかり考えています。そうなるとマラソンと同じで、習慣になるんですよね。
横田 「くだらない」に対して超ストイックなんですね。そういう意味ではどこかお笑い芸人的な。
加賀美 紙一重ですよ(笑)。でも、一般の人に説明してもわからないですよね? だからこそ面白がってもらえるんじゃないかな。アーティストって歳は取るけど、発想は幼稚でいなければいけないから難しい。だから日々の訓練が必要なんですよ。
検索ワードを餌に、メルカリという海で釣りを楽しむ、ような感覚。
長嶋 加賀美さんが、最初にメルカリを使ったきっかけを教えてもらえますか?
加賀美 ずっとヤフオクをやっていたんですけど、せっかちな性格だから、欲しいものはすぐに買いたいんです。オークションは待たなきゃいけない。そういうことを話していたら、友達に「メルカリだったらすぐに買えるよ」って教えてもらって。それでやってみたんですよ。5年前くらいかな。
長嶋 最初は何を検索したんですか?
加賀美 たしか「のりピー」(笑)。ちょうどその頃、80年代くらいのアイドルやタレントのグッズを探していて。
長嶋 「のりピー」って、酒井法子さんですよね・・・? そのキーワード、もともと気になっていたものですか?
加賀美 2009年くらいから、徐々に彼女に興味を持つようになって。僕が小学生の頃は恵比寿に彼女のグッズを専門に扱うお店があったんですよ。この前、久しぶりに足を運んでみたら、今は美容院になっていたけれど。それである日、「そういえばのりピーって色んなグッズを作っていたな〜」って思い出したんですよね。アートと一緒で、いきなり自分の価値観がひっくり返って、何かに興味を持ちはじめることってあるじゃないですか。「これは集めないとマズイな!」って。天の声が聞こえたんですよ。(のりピーのグッズを指差しながら)持ってみます?
加賀美 今は小さいぬいぐるみでも5,000円くらいするし、そこにある大きなものはこの前、ヤフオクで20万円の値がついてました。
長嶋 もはやお宝ですね。加賀美さんってメルカリで買い物をするときに価格を判断基準にするんですか?
加賀美 しますね。価値があることを知っていて高い価格で売っている人からは買いたくなくて、「もう要らないです」っていう感じで安く出品している人とか、そのモノの価値をいまいち分かっていない人をいつも探しています。
横田 それは、なぜですか?
加賀美 高い金を出せば何でも買えちゃうわけで。 傍から見れば、ただの安物買いの銭失いなんでしょうけど(笑)。この「ウ◯コ」って書かれたフィルム写真なんか、もう最高ですよね。これもメルカリで見つけたんですよ。
加賀美さん メルカリって「魚釣り」みたいなものだと思うんです。けっこう難しいんですよ。めちゃめちゃ探して、いい商品に出会えなかったら「今日は釣れなかったなあ」みたいな感覚になる。検索ワードが「餌」みたいなもので。メルカリのすごいところは、メルカリでしか出会えないモノがあるところなんですよ。だってこの写真、ヤフオクで競ります? 競らないよね(笑)。そういう、一般的に価値のないモノも売られているから好きなんですよ。
長嶋 メルカリを「魚釣り」と表現するのは斬新ですね!初めて聞いた表現かも。
加賀美 だから釣れた時はテンションが上がるんですよ。商品の状態よりも、その商品に出会えた喜びを感じて。
長嶋 それで言うと加賀美さんって、出品者の評価は気にされますか?
加賀美 たとえば洋服の畳み方がどうとかって気にする人もいるみたいだけど、僕は「欲しいものが手に入ったんだから別にいーじゃん」って思っちゃうタイプ。仮に買ったモノが破れていたり、ボタンがとれていたりしても、それで相手に悪い評価をつけることはないですね。さすがに靴が届いてソールがついてなかったらアレですけど(笑)。あ、ソールがついてなかったら、逆に面白いからすぐに写真に撮って作品にしちゃうかな。ネガティブをポジティブに捉えたい性格なんです。
長嶋 それって、今の時代を生きる上でとても大事な考え方だなと思います。他にディグっているモノはありますか?
加賀美 80年代の雑誌かなぁ。僕が小学校の頃、いつもテレビに出ていた人、たとえばビートたけしさんとか志村けんさんとかタモリさんとか、あのへんの人たちが『宝島』のインタビューで話していることが、今読むとすごく面白い。雑誌自体がバブルのときに作っていたものだから今とはテンションが真逆でしょう? それも斬新で。
長嶋 面白いですね。加賀美さんにとって「価値があるもの」を言語化しようとすると、どういうものになるのでしょう?
加賀美 うーーん……っと、それは、一般的に価値がないモノ、ですね。(価値が)全くないとは思わないけど、「それ本当に必要?」と思えるモノに価値を感じるんです。たとえば最近はこけしを集めていて。これまで見向きもしなかったのに、突然「こけし、良い!」と思いはじめちゃって。メルカリで買い集めてます。
加賀美 いやぁ、分からないんですよ、それが。むしろ理由が分かっていたら、そもそも買ってないと思います。人のオススメでもないですし。
長嶋 人の動向はあまり気にしない?
加賀美 しないです。「梨花さんがインスタにこけしをアップしていたから買わなきゃ!」とか、そういうことではないし(笑)。
横田 逆に、他の誰かがすでに発見していたら、もうつまらなく感じますか?
加賀美 そういうケース自体がレアですけどね。でも、そうなっちゃうと自分の中で違うのかも。
横田 最近、加賀美さんのインスタで「変なおじさん」のフィギュアをアップされていましたよね?
長嶋 今までの買い物に比べると、だいぶ高額ですね。
加賀美 そうなんです。 でもそれでも相場よりはだいぶ安いんですよ。 替えの“腕(部品)”と箱が欠けているからだと思うんですが。これは見つけてから、買うかどうか、丸1日悩みましたね。でも買って良かったです、本当に。
長嶋 それは実際に商品が届いたときに思うんですか?
加賀美 いえ、届いて開封したときは「格好良いな」くらいで。でも、改めてちゃんと撮影してインスタに載せたときに、「これは面白いな……買って良かった!」って思うんです。
長嶋 自分が何かを欲しいっていう感情って、いろんな影響を受けていると思うんですけど、加賀美さんの場合はそこに行き着く流れがまったく読めないですよね。検索窓に「変なおじさん」って入れる発想は、誰も教えてくれない。
加賀美 そうだねぇ、自分でもわからない。
長嶋 加賀美さんの検索ワードってどんな感じなんですか? 最近だとメルカリで何を検索したのか、知りたくて。
加賀美 あ、保存しているから見せますよ。上から読んでいきましょうか。
横田 えーー! めちゃくちゃ気になる!!
横田 マツケンサンバ! ここに貼ってあるポスターですか(笑)。
加賀美 そうそう(笑)。続けていきます。スウォッチ、コンバース9/2 USA製、ラルフローレン キャップ、ポロ キャップ、シンプソンズ、加賀美健、Kenkagami、ピーポくん、チャッキー 人形、加藤茶、サンフランシスコジャイアンツ、ダービージャケット、フォーティナイナーズ、けろけろけろっぴ(2回目)、ビーバスアンドバットヘッド、コンバース9/2、のりピー、ピーポくん(2回目)、なめ猫、田代まさし、酒井法子、元気がでるテレビ……終わり!
横田 これは圧巻のインスタレーションですね(笑)。ワードの並びがもうすでに作品っていう感じがします。ところどころ実用的なものが混じっているのもリアルで面白いですね。
加賀美 「こけし」の次が「伝統こけし」っていうのが、またいいでしょ?
マーケティングでは得られない、出品者と購入者の間にある「ズレ」こそが面白い。
長嶋 まだ一般的に価値がないモノに価値を見出すという、この感覚は昔からずっと一貫しているんですか?
加賀美 そうだと思います。変な話ですが、今でも道端のゴミとか拾っちゃうから家族には嫌がられていて。一家で毎年サンフランシスコへ旅行にいくんですけど、それも高い航空券買ってゴミを拾いにいっているようなもの。向こうは路上に落ちているゴミの量がとにかくすごい。でも、最近は朝に市が雇っているゴミ収集の人がやってくるから、僕はその前の薄暗いうちから道へ出てゴミを探すんです。考えられないようなものが落ちてますよ。
長嶋 どういうゴミを面白いと思うんですか?
加賀美 うーん、本当に尋常じゃないくらいの量が落ちているから、そこでピンとくるかどうか、だけなんですよね。
横田 そのゴミの背景を想像することはあります?
加賀美 ああ、それはたまに。どうしても「気になるでしょ!」っていう配置のときがあって。ハイヒールが2足並んでいる横に、一口かじったベーグルが並んでいたりするからさ(笑)。そういうときはテンションがあがっちゃって、なかなかやめられない。
横田 たしかに、「流行ってないモノ」だから買ってるつもりでも、それはあくまで世の中の流行りを意識しているからこその行動だったりしますし。
加賀美 僕はずっと自分の軸でしかモノを買わないから、それはよく分からないなぁ。自分で面白いと思って買うことが当たり前だと思っちゃってるからかな。
長嶋 今、目の前に加賀美さんがメルカリで買った様々なものが置いてありますが、まさに加賀美さんらしさを強く反映したものばかりですね(笑)。
横田 これ、すごい触り心地ですね。本当にこんにゃくみたい。
加賀美 あとは大根のクッションとひょっとこのお面。
長嶋 (加賀美さんが袋から大事に取り出すのをみて)ひょっとこは未開封ですか?
加賀美 いや、これはすごく大事にしているモノだから袋に入れて保管しているの(笑)。たしか、この商品説明には「お母さんがひょっとこのお面を集めていました」って書いてあったんですけど、そのお母さんに会いたいよね! って、話しているうちにだんだん興奮してきちゃった(笑)。あとはこれ、渡哲也さんの鉛筆画。
横田 これはうまい!(笑)
横田 どれも普通のマーケットには出ない代物ですねぇ。
加賀美 見つけた瞬間にテンション上がっちゃって、気づいたら購入ボタンですよ。
加賀美 ほとんどそう。あとはさっきも話したみたいに値段が大事。高かったら買いません。自分の中で「これくらいだったら良いかな」っていう基準があるんです。
長嶋 コレクション欲みたいなものって、あるんですか? 執着心というか。
加賀美 執着は特にないんですよね。いわゆる一つのジャンルを突き詰めるコレクターではないので、色んなものをひろーく、あさーく集めている感覚です。で、その総体を眺めるとなんとなく僕っぽい、っていう。そんな感じかな。
横田 アーティストでありながら、キュレーターの性質をお持ちなんですね。そもそもなぜ素人の絵のようなものを買うんですか?
加賀美 アートピースとして純粋に格好良いじゃないですか。買ったときに「娘がはじめて描いた絵なんです。本人も喜ぶと思います」っていうコメントが返ってきたりして、それはそれで喜ばしいことなんですけど、僕はあくまで格好良いから買っています。
長嶋 加賀美さんが実際にお金を出して購入することで、誰かの創作意欲を後押ししている部分もありますよね。
加賀美 うーん、どうなんでしょうね。嬉しいは嬉しいんじゃないですか、たぶん。そうそう、この前トム・クルーズが描かれた絵を買ったら、その人がまたトム・クルーズ描いて出品しているのを発見しまして。
長嶋 (笑)。お買い上げに?
加賀美 ええ、もちろん買いましたよ! 僕が二回連続で買うもんだから、出品者から「トム・クルーズ、お好きなんですか?」って聞かれちゃったりして(笑)。出品者と購入者である僕の温度差も面白いところ。だって、たぶん描いた本人に会って僕が「このトム・クルーズの絵、格好良いですね!」ってベタ褒めしたとしても、その人からしたら「?」だと思うんですよ。いくら僕が惹かれた理由を説明したところで、「この人はなんで買ってくれたんだろう?」って疑問に感じると思います。そのくらいの差が、かえって面白いんですよね。
加賀美さんが手がける「転売Tシャツ」がメルカリで転売?
長嶋 そういえば、加賀美さんは「転売用Tシャツ」も作っていますよね。
長嶋 転売について何か思うところはありますか? 実際、加賀美さんの手がけたコラボものとか作品が出品されているケースもあるかとは思いますが。
加賀美 「わざわざ、面倒臭くないのかな?」って思いますよ。だって、転売するために何時間も並んで買うわけでしょう? 準備とかも含めると手間がすごいと思うんですけどね。自分は、転売するくらいだったら働くかな。考え方が古いんですよ。僕は楽をしてお金を得る世代の人間じゃなくて、歯を食いしばりながらやってきたタイプなので。あと、素人の鉛筆画を買っているくらいだから、そもそも何が流行ってるのか分からないっていう(笑)。
長嶋 なるほど……。メルカリのサービスに対して、何か要望があったら聞いてみたいです。
加賀美 えーーー……特にないですよ(笑)。もっと変なものを出品してほしい、っていうのはありますが、これはメルカリに言ってもどうしようもないか(笑)。
長嶋 唐突ですが、メルカリのCEOになったらどんなことしたいですか?
加賀美 ははは。面白いことを聞きますね。そうですね、映画を作りたいです。
横田 映画ですか!?
加賀美 ある人がメルカリで何かを買うんですが、その「モノ」が売った人に会いたくて元の持ち主のところへ向かう旅を描く、っていうのはどうですかね? あ、でもそれがおもちゃだと『トイ・ストーリー』になっちゃうか(笑)。だったら、主人公はこのカツオ(最近、加賀美さんがメルカリで購入したカツオのソフビ人形)にしましょう。で、売った人も売ったことを悔やんでいる。売った人を主人公にして、売ったものを取り戻そうとする話でもいいですね。で、最終的にはその人の家に泥棒に入っちゃう。
加賀美 タイトルは『メルカリ物語』。いかにも地味な映画ですね。結局は買った人と売った人が結ばれて、ラストシーンでリビングに飾ってあるキューピット役のカツオにフォーカスが当たる。って、自分で話しながらめちゃくちゃダサいなこれ!(笑)
加賀美健(かがみ・けん)
現代美術作家。1974年、東京都生まれ。社会現象や時事問題、カルチャーなどをジョーク的発想に変換し、彫刻、絵画、ドローイング、映像、パフォーマンスなど、メディアを横断して発表している。2010年に代官山にオリジナル商品などを扱う自身のお店(それ自体が作品)STRANGE STORE(ストレンジストア)をオープン。