(執筆/安藤昌教、撮影/JUNERAY、編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)
ロマネコンティに合うグラスとは
安藤
今回もワインエキスパートのJUNERAYさんにお話を聞きます。JUNERAYさんはワインのプロでありながら、ガラス食器のコレクターでもあります。JUNERAYさんよろしくお願いします!
JUNERAY
お願いします!
安藤
これまでの対談で、初心者向けのグラスとワインについていろいろ聞きました。今回はワイン上級者として、JUNERAYさんがいつか飲んでみたいワインとかってあったりしますか?
JUNERAY
いつか飲んでみたいワインはやっぱりロマネコンティかなあ。
安藤
ロマネコンティは僕みたいな素人でも名前だけは聞いたことありますよ。途方もなくお高いという噂も。
JUNERAY
ほとんど都市伝説みたいな位置づけになりつつありますね。いま何百万円なんだろう…というレベルです。
安藤
あ、そういうレベルですか…。それは興味を通り越してちょっと恐ろしい。
JUNERAY
でも単なる都市伝説ではなく、実際にとてもおいしいと聞くので、人生で一回くらい飲めたらいいな~とは思いますね。
安藤
その時に使うならどのグラスでしょう。
JUNERAY
うわー、難しい!!
安藤
はい、無茶を承知で聞きました。もう想像レベルで結構ですので。
JUNERAY
だとすると、ザルトのブルゴーニュグラスですかね。
安藤
これはまた折れそうなほど脚が細いですね…。
JUNERAY
はい、意味がわからないくらい細いし薄いんです。持ってる手に力を込めたら割れるんじゃないかってくらいに。
安藤
手に力が入って折れたらロマネコンティもろともこぼれますからね。
JUNERAY
だ、大丈夫です、気を付けますから!!
安藤
グラスの部分もでかいですね?でかいと何がいいんですか?香りが多く出る?
JUNERAY
そうですね、香りを閉じ込めておくための空間が広がると思ってください。ロマネコンティは栓を抜くとお店中ロマネコンティの香りになるという伝説があるほど香りが豊からしいです。
安藤
すごい…。
やはり高いワインの実力を引き出せるのは高いグラスなんでしょうか。
JUNERAY
そうですね。グラスが薄くて口当たりがいいとか、曲線の具合が良くて香りが感じられやすいとかの理由で、ちょっといいグラスの方がいいかなと思います。安いグラスでもダメではないんですが、高いグラスはワインの実力を引き出すためにありますから。
ワインに合う料理って?悩んだら国を合わせる!
安藤
ワインはやはり食事といっしょに楽しむものなんですか。
JUNERAY
うーん、伝統的にはそうなのかもしれないですが、わたし自身がそうしないので「ぜひ!」とは言い切れないかもしれないです。もちろんワインと相性のいい料理を一緒に楽しむっていうのはあると思うんです。でも複雑な料理に複雑なワインを合わせると疲れちゃうこともあるんですよね。だから必ず食事と一緒に、と考えなくてもいいのではと思います。
安藤
なるほどー、相性は確かに大切そうですね。JUNERAYさんは普段は単体でワインを飲むんですか?
JUNERAY
ワインそのものの香りと味を知りたいので、単体で飲むことも多いですよ。ただ空きっ腹にお酒はやめましょう!
安藤
確かに料理と一緒だと相性もあるだろうし、ワインがメインになりにくいかもしれないですね。
JUNERAY
たとえばイタリアの気軽なワインにピザ!なんてすごくいいと思うんです。でもワインそのもので香水みたいな強い香りがするものもあって、家でこれに合わせる料理が自分で作れるか…って悩んじゃうんですよね。
安藤
そういう時にはチーズとか癖のあるもので対抗するんですか?
JUNERAY
そうですねえ、わたしも何かつまもうと思ったらチーズを買ってしまいがちです。でもチーズは種類によって合う合わないがあるので、なかなかこれ!と限定しにくいですね。個人的にはギリシャのハルミチーズとかノルウェイのイエトオストがすきです。
JUNERAY
料理と合わせるなら、それこそ国で合わせると楽ですよ。イタリアの料理にはイタリアワインを、和食には国産ワインを、みたいに。
安藤
それは確かに相性がよさそうですね。
JUNERAY
悩んだら国で合わせる、これでお願いします。
最近飲んだおすすめのワインと、合うグラスたち
安藤
最近JUNERAYさんが実際に飲んだ中で、よかったワインとかグラスってありますか。
JUNERAY
レイナルド・エオレの「オー」というワインを飲みまして。
JUNERAY
白ぶどうの皮を漬け込んで作った「オレンジワイン」と呼ばれるものです。
こちらはピノグリという、ちょっと不思議な色の果皮のブドウを使っているため、色鮮やかできれいなんです。
安藤
オレンジワインっていうジャンルがあるんですね。確かにきれい。
JUNERAY
きれいですよね。イチゴや桃、ジンジャーなどの繊細な香りを逃さないよう、小ぶりな丸い形のグラスでいただきます。
JUNERAY
もうひとつはプレリット・ロッソというワインです。
JUNERAY
こちらはわたしが大好きな生産者さん、ダミアン!メルロー×カベルネ・ソーヴィニヨンという、フランスのボルドースタイルのワインなので、合わせて「ボルドー型」と呼ばれる口の開いた形のグラスに注ぎました。
安藤
お気に入りの生産者さんがいるという時点で羨ましい。
JUNERAY
チョコレートのような甘い香りと洗練された酸味があり、数週間くらいかけて少しずつ飲みたいワインです。
安藤
ワインとはちょっと離れてしまいますが、前にJUNERAYさんがデイリーポータルZの記事で書いていたクラフトジンを買ってみました。養命酒製造が出している香の森というやつです。
JUNERAY
おお!クロモジを使っているというジンですね。興味ありました。どうでしたか?
安藤
買っただけでまだ飲んでいないんです。たとえばこれだとどのグラスを使えばいいんですか?
JUNERAY
どうやって飲みます?ロックだったら普通にロックグラスでいいと思います。できれば氷は大き目で。
安藤
ひとまずロックで飲んでみたいと思います。僕は養命酒とかイエーガーマイスターみたいな、甘くて臭い酒をちびちび舐めるのが好きでして。
JUNERAY
甘くて臭い酒…、薬酒系ですね!スーズとか。
安藤
クラフトジンは甘くはないですよね。
JUNERAY
ジン自体は甘くないので、甘くしたいなら何か加えなきゃですが、ひとまずロックで飲んでみてほしいです。この時期なら柚子の皮をちょっとだけ入れてみてもいいかもしれないですね。クロモジとか、使っている植物が日本のものだから日本の柑橘系と相性がいいのではと思います。
安藤
それはいいなー、やってみます!
安藤昌教(あんどうまさのり)
デイリーポータルZ編集部勤務。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活躍中。好きなものはカメラと恐竜。あとサメが出てくる映画。
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JUNERAY(じゅーんれい)
日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート、クラフトビアアソシエーション認定ビアテイスターのライター。元家具屋で花屋でバーテンダー。好きなものは酒と花。
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