旅行2021.04.28

好きが高じて移住。沖縄在住者が選ぶMade in沖縄・本島の名品たち

旅をして日本各地の文化を楽しむ機会が減った今、名産品を通して旅気分を味わうことができないだろうか。そんな思いから、日本各地の魅力と名産品を語ってもらう「推しの名産品」シリーズ。第3回は『灯台もと暮らし』創刊編集長、ライター・フォトグラファーの伊佐知美さんに沖縄の土地や名産品の魅力について書き下ろしてもらいました。
(執筆・写真/伊佐知美、編集/メルカリマガジン編集部)

数年間の世界一周を経て、沖縄へ

沖縄に通い始めて10数年。好きが高じて、うっかり2020年から住み始めてしまった筆者です。
 
「沖縄に引っ越すことにしたんだ」というと、誰もが「いいなぁ」「最高だね」と言ってくれます。私は「そうなの、本当に心の底から最高なの……! 超絶楽しいです」と答えてしまいます。
  
こういうとき、相手は社交辞令で言っているのかもしれないので、返しは謙遜するのが美徳のような気もします。がしかし、どうしても本音が出ます。
何と言っても、私は旅が大好きで、日本一周はもとより、数年かけて世界を2周、70カ国250都市ほどを旅した後、沖縄を選んで住まわせてもらった身。「沖縄最高おおおう」という気持ちがはみ出て仕方がないところを、ぜひお許しいただけたら……。
 
え? 沖縄の最高なところ、具体的に、ですか? うーん、本当にたくさんありますし、本島か離島かによってもすごく変わるのですが(宮古、石垣、波照間、与那国、久高島大好きです!)、今回は私が暮らしている本島に限りましょう。際限がないですからね。
といっても語りつくせないほどあるのですが、まず海がきれいです。
夕陽も素敵です。
流れ星も見えます。
風も台風も暑さもすごいですが、それでもあまりある自然の力の尊さを日々感じます。人間以外の力を如実に感じる土地で過ごす時間は、美しいです。
日々の仕事風景はこんな感じです。
 
さらには、約150年前まで日本ではない別の国、琉球王国という国家だった歴史背景からも分かるとおり、本州とは異なる沖縄独自の風習・文化がたくさんあって、それに触れさせてもらえる環境も非常に魅力です。
 
そして、本記事の、本題に(やっと)入ります。そういった「独自性のある」沖縄本島の素材や文化を尊重し、2021年現代バージョンとしてアップデートした特産品・空間を作り出す人が今とても多く、見所が続々と増えているのです(ミーハー・旅人の伊佐調べ)。
 
ということで、この記事では、ちんすこうや紅芋タルト、泡盛など、多くの方がすでに知っている王道の沖縄土産ではなく、今現在の沖縄の空気感と島素材の魅力が感じられるような、在住者イチオシのプロダクトを勝手に羅列させていただきたいなと。
なお、紹介するプロダクトはすべて、筆者がプライベートでも愛用する自腹買いアイテムです。
 
おうち時間の充実がまだまだ喫緊の課題になりそうな2021年春、読んでくださる方の豊かなおこもりタイムに少しでも役立ったら嬉しいです!
では参ります。

シマノネ・お茶入り缶 <さんぴん茶、ハイビスカス茶>

「シマノネ」は、「沖縄県立芸術大学」と「ゆいまーる沖縄株式会社」の協業から始まった、沖縄発のデザインブランド。
 
器やガラス、調味料などさまざまな商品が並ぶ中、今回紹介するのはお茶入り缶です。
 
沖縄に引っ越したばかりの頃、沖縄生まれの友人に「お散歩する時、ハサミを持っていくといいよ。野草でお茶淹れるとおいしいからね」と言ってもらって、とても驚いた記憶があります。それくらい、沖縄ってお茶に馴染み深い土地らしいのです。
 
私は家でグアバ茶やカラキ茶、月桃茶などをよく飲みますが、とっつきやすさでいうと、上の写真のさんぴん茶(ジャスミン茶)と、名前に馴染みのあるハイビスカス茶などが入りやすい種類かなと。
 
ハイビスカス茶は、ローゼル由来で、真っ赤で酸っぱい味が特徴なので、もしかしたら好き嫌いが分かれやすいかもしれませんが!
 
中でも「シマノネ」のお茶は、味も美味しいけれど、何と言っても見た目がかわいいので大好き。 お茶を飲み終わった後、缶はアクセサリーケースや別の食材保管に使っています。

TIMELESS CHOCOLATE

2014年に、沖縄初となる「Bean to Bar(カカオ豆からチョコレートバーになるまで一貫して製造を行うこと)」スタイルのチョコレート専門店として誕生した「TIMELESS CHOCOLATE」。

高温・多湿というチョコレートにとって不利な状況で活動を続けるのには理由があります。それは、チョコレートの原料として欠かす事のできない、沖縄の島一面に広がる”サトウキビ畑”が目の前にあるという事。亜熱帯気候ならではの恵まれた環境とミネラル豊富な土壌があり、島ごとによって異なる味わいを持つサトウキビと共に成長していきたい

(公式サイトより引用)

原材料は、カカオ豆とサトウキビの2種類のみ。サトウキビは、黒糖やザラメなど商品によって味わいが変わります。
 
素材本来の味わいや産地の特徴をストレートかつフレッシュに表現したい! という作り手の想いと、かわいいパッケージ、そしておいしさに心を鷲掴みにされたままの筆者……(ちなみに、筆者は見た目のかわいさに心を掴まれがちです)。
 
何種類か買って、お酒のお供にしつつ食べ比べするの、オススメです。

atlier cafe bar 誠平 コーディアル

沖縄北部・今帰仁(なきじん)にある「atlier cafe bar 誠平」のコーディアル(ハーブやフルーツをシロップに漬けこんだもの)は、沖縄の果物やハーブの恵みがたっぷりと詰まったひと瓶。
 
水や炭酸、お湯で割るのが一番手軽で、あとは私は紅茶やヨーグルトに入れたり、赤ワインに混ぜたり。気分が乗った時は、時折オリーブオイルやビネガー、塩と混ぜてドレッシングするのも◎!
 
とにかく、筆者の沖縄ライフに必須といっても過言ではないほど、大切なひと時を提供してくれるアイテムです。見かけたら黙って買って、まずは一口飲んでみてほしい……(乱暴)。
 
数種類あるので、いくつか部屋に常備するとQOLが上がります。

作家・岸本ウラチさんの作品

わかります。わかりますよ。本記事のサムネイルを見た時から、じつは気になっていたんですよね? この子の存在が……。
 
何を隠そう、沖縄本島はやんばる(北部)エリアで活動されている、漆喰作家・岸本ウラチさんの作品で置物です。おそらくこの子のモチーフは、やんばるに生息するという鳥「ヤンバルクイナ」。
 
見てください。
正面から見ても……
後ろから見ても、愛くるしいこのフォルム!(?)岸本ウラチさんの作品は、沖縄の生き物を象ったものが多くて、そしてさらに、一点ものなんですよ……。
 
私が知ったきっかけは、知人がコレクションしていたからだったのですが、最初は知人が岸本ウラチさんの作品の何に対してそんなに熱量高く語っているのか謎に思っていました。
 
けれど今は、大好きです。何か魔力があるのだと思います。あなたも一度手に取れば、その魅力がわかるはず。ほら、どんどん気になってきたでしょう……?

沖縄の焼き物・やちむん

変な熱量を込めてしまった文章が数行続いたので、あとはサクサクいきましょう。沖縄といえば、はずせない焼き物が「やちむん」です(というか、焼き物のことを沖縄のことばで言うと、やちむん、になるのです)。
 
好きなものを買い集めていたら、食器棚に入り切らないくらいの量になってきてしまいました。私は明るい色合いのものが好きで、南城、糸満、読谷エリアの工房で買ったものが多いです。
焼き魚や野菜炒め、パスタやサラダなど、さまざまな料理に意外と合わせやすいやちむん。工房によって器の雰囲気がぜんぜん違うので、お気に入りを探すの、楽しいです。

沖縄生まれのアクセサリー

写真左から、真鍮の指輪、沖縄の植物由来のボタニカルダイのピアス2種、やちむん工房の作家さんが独自でつくったという、やちむんピアスです。
 
工芸展やポップアップショップ、工房などで少しずつ買い集めたものが多いですが、こんなに小さくてかわいいものが、島のどこかで作られていると思うとキュンときます。
 
沖縄で身に付けるものは、沖縄の日差しに似合うものがいい(持論)。

紅型ポストカード

「紅型(びんがた)」とは、琉球染物、沖縄を代表する伝統的な染色技法のひとつで、沖縄県内のさまざまな工房・作家さんがいまも製作に励んでいらっしゃいます。
 
私はやんばる(北部)エリアを活動拠点にされる紅型作家さんのファン。
 
テキスタイルやバッグ、ランプなど商品はいろいろありますが、まずは買い求めやすい価格帯で、かつ部屋に置いておくだけでパッと雰囲気が華やぐポストカードから始めるのはいかがでしょう?

樂園百貨店の月桃ルームミスト

「樂園百貨店」は、那覇に実店舗兼カフェを置く、ストーリーのある沖縄各地のお土産やライフスタイルアイテムを揃えるリゾートライフブランド。
 
県内の素敵な雑貨や食べものなどもセレクトしているのですが、自社開発商品の販売も盛んで、中でも私は沖縄産の植物を生かしたルームミストやアロマが好き。
 
写真は「月桃」という沖縄に自生する植物由来のルームミストで、爽やかながらもどこかスパイシーな香りがします。
 
仕事中の気分転換や、車内の快適さアップのためなど、日常のいろいろなシーンで活躍してくれるので重宝します。

暮らしにすこし、沖縄を

写真に写しながらも、まだまだ紹介しきれなかったアイテムもたくさん……。がしかし、話が止まらなくなってしまいそうなので、今回はこの辺りでお開きといたしましょう。
 
ちなみに、筆者はお酒が大好きで、沖縄はマイクロブルワリーも盛り上がっているところなので、次回があったら、その時はビール特集をお届けさせてくださいませ(笑)。では、ありがとうございました。

伊佐知美

沖縄在住の編集者、フォトグラファー。これからの暮らしを考える『灯台もと暮らし』創刊編集長。日本一周、世界二周、多拠点居住などの「旅×仕事暮らし」の数年間を経て、沖縄本島・読谷村に移住。海とさとうきびに囲まれて暮らしています。著書に『移住女子』。

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メルカリマガジン編集部

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