(執筆・撮影/安藤昌教、編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)
初心者むけロードバイクのススメ
安藤
今日は岡本さんの事務所におじゃましているんですが、入るといきなりロードバイクが出迎えてくれますね。しかも1台じゃない。
岡本
ロードバイクはハマるにつれて台数が増えていって、でもある時点を超えると次は減っていって、最後には1台に行きつくと言われています。
安藤
岡本さんはまだ行きついていない状態というわけですね。
岡本
はい。まだまだ増えそうな感じです。
安藤
僕は普段ビアンキのクロスバイクに乗っていまして、これが7万円くらいして高かったなーと思っているんですが、今は十分満足しているんですよね。現状では増える予定はないです。。
岡本
ビアンキのクロスバイクもすごく乗りやすくて人気がありますよね。でもいちどロードバイクに興味を持ってしまったらもうダメですね!安藤さんもこっち側に来ちゃいますか。
安藤
行けるもんなら行きたいんですが、僕くらいの初心者がロードバイクに手を出すとなると、何を選んだらいいのかを今回は教えてほしいんです。ちなみにこの岡本さんのロードバイク、これはおいくらくらいなんですか。
岡本
これで80くらいです。
安藤
無粋なことを聞きますが、80っていうのは金額?重量じゃないもんな。もしかして80万円ですか?
岡本
はい。80万円くらいです。これでもこのCervelo(サーベロ)というブランドの中では中間グレードです。
安藤
この価格で中間グレードなのか。ということは上を見たらさらに上があると。
岡本
そうですね。Cervelo(サーベロ)だとどうかな、30万円くらいから始まって、上は200万円くらいまであると思います。
安藤
200万円?え?車?
岡本
ちょっと前までは40万円も出せば高級車が買えたんですけど、今はずいぶん値上がりした印象ですね。
安藤
それは性能が上がったからですか?
岡本
性能も上がっていますし、フレームの形状とかパーツも良くなっています。
安藤
軽量化されているとかそういうことですか?
岡本
フレームについては空気抵抗を少なくするために形状が進化してますし、もちろん軽量化もされていますね。中でも一番進化したのはホイールです。このバイクに付いているホイールは、チューブが入っていないタイプでカーボン製です。
安藤
でたよカーボン。釣り竿でも自転車でも、趣味が高じるとカーボンで作りたくなるんでしょうか。チューブが入っていないとどういいんですか。
岡本
軽量化するにはカーボンですね。チューブレスだとパンクしにくくなります。このタイヤは少し太目のを履いているんですが、なかなか合うのがなくてちょっと苦労しました。
安藤
タイヤって消耗品だと思うんですが、もしかしてこれも高いんですか。
岡本
12,500円でした。
安藤
タイヤ代だけで自転車が買えるぞ。
ロードバイクはペダルもブレーキも、いちいち奥が深い
岡本
せっかく安藤さんが来てくれたので、ちょっと乗りに行きましょうか。いまペダル付けますね。
安藤
岡本さんすみません、僕にこの80万の自転車に乗れる気がしないのと、あとペダルって自転車に一生付いているものなんじゃないんですか?
岡本
ペダルは靴によって変わります。僕は普段はビンディングの付いた靴を履いているので、こういう普通のペダルではないんです。安藤さんと僕とだと身長差もほとんどないし、乗れると思いますよ。
安藤
いや、メンタル面で乗れないと思います。これ、ブレーキも見たことない形状のやつが付いていますね。
岡本
最近はディスクブレーキも珍しくなくなりました。雨の日の制動性能が高いんです。
ディスクブレーキは、ホイールの中心を挟んでブレーキを掛ける仕組み。一方リムブレーキはホイールの外周部分を挟んでブレーキを掛ける仕組み。リムブレーキがスタンダードだったが、現在はディスクブレーキも増えてきている。
ロードバイク初心者だったら何を買うか議論
安藤
岡本さんが今の知識で初心者だったら、何を買いますか?
岡本
悩みますね。どういう乗り方をしたいかにもよります。レースなのか、旅なのか、そしてどこまでこだわるのかにもよる。
安藤
生き方みたいな話になってきたな。ロードバイクって一種類じゃないんですか。
岡本
一言でロードバイクといってもいろいろあるんです。長い距離を走るエンデュランスとか、未舗装の道を走るグラベル、トライアスロン用のもありますし。
安藤
初心者なんですが。
岡本
でも将来的にレースにも出ますよね。
安藤
これは「はい」と言わないと話が進まないやつですね。そうですね、将来的に、というのであれば可能性はゼロではない。
岡本
レースを意識した安めのバイクならCANYON(キャニオン)がおすすめですが、そこそこ自転車の知識が必要だと思います。CANYONの持ち込み修理に対応している自転車屋さんを見つけてから買うのがいいでしょうね。
安藤
だから初心者だと何度も言っているじゃないですか。
岡本
総合的に見て、レースにも使えるけど、長い距離を楽に走ることができるエンデュランスロードがオールラウンドに活躍するかなーって思います。これだと完成品で12万円くらいから買えますよ。
安藤
80万円とか200万円とか聞いてたから12万円!安い!って一瞬なったけど、冷静に考えるとこれに付属品とか揃えると20万円くらいいきますよね。ぜんぜん安くないぞ。
岡本
ちょっと前まではもう少し安かったんですが、今全体的に値上がり傾向ですね。なので気に入ったのが見つかったら買っておくべきです。
安藤
ちなみに乗り出し10万円で設定するとどうなりますか?
岡本
そのくらいの予算だとブリジストン・アンカーですかね。
安藤
あるじゃないですか!最初からこれを見せてほしかった。
岡本
これでも十分いいんですが、レースにはちょっと対応できないかなと思うので、どうせならフレームだけでもいいのを買っておいて、あとでパーツを揃えていくのがいいと思いますよ。
安藤
10万円でフレームだけ買うのか。
岡本
ですね。
安藤
でもタイヤがないから乗れないですよね。
岡本
少しずつ揃えていけばいいのです。
安藤
自転車沼の深いところが見えてきた気がします。
岡本
京都のビルダーが販売しているこのVIGORE(ビゴーレ)という自転車もおすすめです。
安藤
これはこれでクラシックな見た目でかっこいい。日本製なんですね。
岡本
そうです。これはフレームが鉄(クロモリ)なので、ちょっと重いけど一生乗れます。
安藤
カーボンとかアルミよりも寿命が長いんですか?
岡本
そうですね、カーボンなんかは基本的に割れたら直せないと思った方がいいです。そう考えると寿命は10年くらいでしょうか。
安藤
僕は今入ってはいけないグループに誘われている気がしています。
ロードバイクを始めるには車体以外に何を揃えたらいいのか。具体的なところを聞きましたので、次回をお楽しみに。
安藤昌教(あんどうまさのり)
デイリーポータルZ編集部勤務。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活躍中。好きなものはカメラと恐竜。あとサメが出てくる映画。
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岡本 紳吾(おかもとしんご)
ロードバイク歴30年以上。東京表参道でweb制作会社を経営していたが、いろいろあって会社を長野県茅野市に、事務所を隣の原村に移転。コーヒーの焙煎を本格的に始め、これまでの制作スキルを生かして豆売りECを開始。 八ヶ岳珈琲研究所:https://h.coffee/