家電2022.12.28

おすすめの食洗機を家電おじさんが本気でセレクト【13選】

食器洗いの負担を大幅に削減できる家電「食洗機」。自宅で過ごす時間が増え、自炊の機会が増えた昨今、購入を検討された方も多いのではないでしょうか。とはいえ、サイズや機能が幅広く、なかなか決めかねているという方のために、工場見学で食洗機の製造工程を見に行くほどのオタクである「家電おじさん」こと家電評論家・藤山哲人さんが、選び方やおすすめの商品を教えてくれました。

(執筆・写真/藤山哲人、編集/株式会社モジラフ、メルカリマガジン編集部)

手洗いよりも食洗機の方が合理的

まず皆さんに声を大にして言いたいことがあります。食洗機を使いましょう!
よく、食洗機をおすすめすると「手で洗った方が早い」「手洗いの方が節水できる」「手洗いの方がきれい」「置き場所がない」と言われることがありますが、これらはすべて誤りです。

例えば、食器洗い洗剤では「お皿の油はよく落ちるけど、手に優しい」という売り文句を耳にします。しかし、食洗機はそもそも手では火傷してしまうくらい熱い、60~70℃のお湯で食器を洗ってくれます。しかも、食洗機用の洗剤には「油汚れを強力に落とす」成分が入っており、この時点で手洗いは食洗機に勝てません。

また手洗いでは、何度か洗剤を継ぎ足して食器を洗いますが、食洗機の洗剤は強力なので、つぎ足さずともすすぎまでずっと循環します。さらに泡が立たない泡切れのよい性質の洗剤のため、すすぎの水もわずかで済みます。

使う水量も3人分の食器20数点であれば、洗いからすすぎまで最大6リットルの水で済みます。つまり、2リットルのペットボトル約3本分です。漬け置き洗いをしたら、それだけでも2リットルは使いそうです。食器20数点をペットボトル3本の水で洗うのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

お皿をキレイに洗うという点でも、はたまた節水の点でも、手洗いよりも食洗機の方に大きなアドバンテージがあることは間違いありません。

食洗機のおすすめの選び方。中古の購入を検討している場合は、できるだけ使用歴が短いものを

食洗機は比較的経年劣化が見られない家電ですが、突然エラーメッセージを表示して動かなくなるパターンと、どこからかはわからないけれど、突然水漏れするパターンなどがあります。

前者は給水と排水バルブの破損であることが多いと言われています。8年ぐらい経過するとプラスチックの樹脂部品などがもろくなり、壊れてしまうためです。また後者は食洗機内部の配管のジョイント部分が劣化して起こります。

どちらも製品寿命近くになるとよく発生するトラブルなので、中古品を購入する場合はできるだけ使用歴が短いものを購入するといいでしょう。また中古の冷蔵庫ほどは以前の臭いは残りません。

どうしても気になるようなら酸素系の漂白剤を使って空洗いするといいでしょう。塩素系でもよいのですが、酸素系に比べて金属を腐食させやすいので、配管にヒビや傷がある場合などは寿命を早めてしまう可能性があります。

まずはサイズから。どの食洗機が最適かを考える

食洗機選びでやってしまいがちなのは、「何人用かどうか」と、家族の人数から選んでしまうことです。最近の賃貸やマンション、建売住宅は広いキッチンを売りにして、食洗機置き場も確保している物件などもありますが、それはおそらく2020年以降の物件でしょう。

日本の多くのキッチンは、食洗機を置くことが前提になっていない作りなので、「何人用なのか」よりも「それが置けるかどうか」を考えるべきでしょう。食洗機を置いたことで調理台のスペースがなくなってしまった、コンロと流しが分断されて作業効率が悪くなったという話をよく耳にします。こうした理由で、購入してから数年後には食洗機を手放している方もいるようです。

まずは量販店やWebなどで食洗機の寸法をチェックして、洋服の型紙のようなものを作ってキッチンに置いてみて、作業に問題がないかを確認します。またパナソニックやAQUAなどのメーカーでは、スマホでキッチンを撮影すると、そこに食洗機が置けるかどうかを試せるAR(拡張現実)アプリをリリースしています。写真で撮影した場所に、いろいろな向きで食洗機を設置してみましょう。また、ドアの開閉なども確認できるため、実際に設置して使うときのイメージを明確にすることができます。

なお、場合によってはキッチンの高さにあわせた小さな棚を自作するなどもよいでしょう。いずれにしても、わずか20~30cmほどのスペースが重要になってくるので、慎重に選ぶことが大切です。

4人家族だけど3人用の食洗機しかなかったといってあきらめることはありません。何回かに分けて洗えばいいのです。お皿を置くスペースが余ったら調理器具も洗えます。

また油系の汚れは食洗機、水性の汚れ場手洗いと分けて洗ってもいいでしょう。それでも食器洗いの時間が大幅に削減できます。

一方、タンク式の食洗機は2〜3人向けから4人向けが最大サイズです。それ以上になると水の使用量が増えるので、どうしても分岐水栓式(既存の水栓に取り付けて、食洗機に水やお湯を取り込むための部品)になってしまいます。

ビルトイン式の食洗機で注意して欲しいのは、海外の製品です。海外はお茶碗の文化がないため、深さのある食器が入れられる場所が少なくなっています。またごはんを食べないので、カップと同じ場所(水流の弱いところ)にしか置けない場合もあります。ごはんツブの汚れは、日本の洗剤を使うと糖分を分解する成分が配合されているので問題ありませんが、念のためメーカーのカスターマーサービスなどに電話して、日本の洗剤を使ってで洗った場合にきれいになるかを確認しましょう。

食洗機をタイプ別に分けると「タンク式」「分岐水栓式」「ビルトイン式」の3つ

食洗機選びの第1歩は、新築もしくは改築のキッチンに導入するか否かです。シンクの下に埋め込む「ビルトイン食洗機」は、キッチンにきれいに収まり一体感もあるのでインテリアの雰囲気を壊しません。ただコンセントの増設工事、アース線の工事などの配管工事が必要になるため、電気工事士の資格を持っていて、かつ水道工事にも慣れている方でもなければ、自分で後から取り付けることはできません。つまり新築か改築などの際に施工業者に取り付けてもらう必要があります。

分岐水栓式の食洗機は、水道工事が必要になる食洗機です。水道工事は免許不要なので、自分で工事をしても構いません。ただし慣れていないと工具が必要になったり、水漏れの原因になるので注意が必要です。もし自分で取り付けたい場合は、少なくても水洗の取替え工事や温水便座の取り付け工事をした経験などが欲しいところです。なお分岐水洗は既存の水洗に分岐部分を取り付け、お湯とお水をそれぞれ(どちらか一方でもかまいません)食洗機に引っ張ってきます。それゆえ、既存の水洗器具のメーカーの製品を分岐水栓として使用しなくてはならない場合があるので注意してください。分岐水栓の価格は、数千円からレバー式の混合水栓(ひとつの蛇口から、湯と水を混合して吐水することのできる水栓金具)になると2〜3万円することがあります。また10年以上前の水栓ともなると、水栓そのもの(4~5万円)から交換が必要な場合もあります。

電気は通常のコンセントに差し込むだけです。ただし水を使う家電なので、電子レンジなどと同じ要領でアース端子に付属の緑色のアース線をつなぎます。もしアース線が足りない場合は、ホームセンターなどで延長用のアース線を購入し、しっかり結線したうえでビニールテープなどで絶縁してください。

もっとも取り付けが簡単なのはタンク式です。取り付けの簡単さから分岐水栓式を追い越す勢いで新製品が発売され、人気の食洗機となっています。コンセントとアース線の接続と、排水をシンクに流すホースをセットするだけです。食洗機を使うたびに4~6リットルの水を食洗機に注ぐ必要がありますが、日に何回も使わなければ、そこまで面倒ではありません。ただ注意しておきたいポイントとして、注ぎ口の場所と水を注ぐカップが吊り戸棚や壁と当たらないことを事前に確認しておいてください。また食洗機の取り付け方向によっては、水が注ぎづらい場合などもあるので、ネットで購入する場合は事前に量販店などで取り付け方向や注ぎ口の位置を確認するといいでしょう。

おすすめ食洗機:1〜3人暮らし向けの。「ミニ」サイズ

まずは一人や二人暮らしで、人数は少ないけど忙しいので食器洗いの時間はできるだけ短くしたいという方に向けた食洗機をご紹介します。ド定番はパナソニックの「プチ食洗」シリーズで、水道工事が必要なタイプです。それ以外は水道工事不要のタンク式が多く、使う水の量も3~4リットルと、とても手洗いではできないような少ない水量で食器を洗ってくれます。はじめて食器洗い洗濯機を使った方は、その仕上がりに驚かれるでしょう。

AQUA(アクア) ADW-GM1 :リーズナブルなうえ、中が見える楽しさもある食洗機

2022年ごろから有名になりだしたAQUA(アクア)は、もともと日本の三洋電機です。昨今、家電メーカーに外資が入っていますが、三洋も世界最大の中国の家電メーカーHaier(ハイアール)の資本が入りました。

その際にAQUAという社名に変わりましたが、事実上Haierの高級家電ブランドとそれを製造する会社という形になっています。それゆえ、設計はすべて日本で行なわれているので、お茶碗などの深いお皿にも対応し、ごはん茶碗を洗うことを前提に設計されています。

写真の製品はADW-GM1。マイナーチェンジごとに製品番号の下1桁の数字が増えており、2022年現在ではGM3が最新機種です。できるだけ経年劣化の少ない、末尾の数字が大きいモデルを購入するといいでしょう。なお、跳ね上げ式のドアなので、食洗機上部にスペースが必要になります。給水は分岐水栓です。

Panasonic(パナソニック)NP-TCR4:パナソニックの定番食洗機「プチ食洗」シリーズ

タンク式の食洗機が登場するまでは、「3人向けの食洗機といえばパナソニックのプチ食洗」と言われるほどの定番商品でした。給水は分岐水栓形式になっています。

庫内がそれほど大きくないので、洗えるお皿の最大直径は22cm程度。大きな30cm皿は入らないので注意してください。食洗機のドアは1枚で、手前に倒れるタイプのため、上部はギリギリまで棚があっても大丈夫ですが、ドアを開いたときシンクの水栓にあたらないかを注意してください。

日本のキッチン事情をよく考えて設計されていますので、コンロと反対側のシンクの横に25.9cmの隙間があれば設置できます。ワンルームのようなキッチンだと厳しいかもしれませんが、比較的新しい2DKのマンションのキッチンであればギリギリ設置できるかもしれません。スマホのARアプリや、家電量販店に直接行ってみて、事前にサイズ感を確認してから購入するといいでしょう。また非常に息の長い製品なので、購入時には年式を必ず確認してください。

IRIS OHYAMA(アイリスオーヤマ)KISHT-5000:信頼のタンク式で大人気

アイリスオーヤマの人気商品です。キュービック型でデザインも可愛らしく、設置も置くだけで簡単。コンセントとアース線の接続をするだけなので、業者に設置してもらう必要はありません。

排水ホースはエアコンの水が出るホースと同じ太さに設計されており、シンクに出しても邪魔になりません。また排水は5リットル程度なので、どうしてもシンクまで排水を引っ張れない場合はバケツで受けてシンクに流すことも可能です。

ドアは1枚で手前に開くタイプ。また背面は6cm以上のスペースを空ける必要があるので、見た目よりも設置スペースに苦労するかもしれません。

さらに給水口が本体背面近くの上部にあるため、給水用の作業スペースが上部に70cmほど必要になり、奥に置いてしまうと背が低い方は給水時作業がやりづらくなる可能性もあります。シンクの水栓の位置には注意してください。性能面では文句なしの商品ですので、設置のポイントさえ注意しておけば非常に便利に使えます。

siroca(シロカ)SS-MU251:タンク式食洗機を世に広めた食洗機。紫外線消毒機能も

日本ではまだあまり知られていないメーカーですが、設計や製造管理、品質管理を日本でしっかりやりつつ、コストを抑えるために中国工場に製造委託をしている家電メーカーです。

一時経営難になりましたが、技術に明るい新社長を迎えてから、飛ぶ鳥を落とす勢いで快進撃を続けています。なかでも数年前から手がけているタンク式の食洗機は、汚れがよく落ちるのに低価格と評判です。

食洗機はたいてい1メーカーから1台しかリリースしませんが、sirocaは2022年12月現在で現行モデルを5機種リリースしており、これは食洗機のナンバーワンメーカーのパナソニックに迫る勢いです。

こちらの商品の容量は3人程度までですが、上部のカゴを外すと27cmのお皿も洗えます。また給水方式はタンク式ですが、給水が面倒になった場合や水道工事ができる場合は、分岐水栓方式に後から切り替えることもできます。

特徴は乾燥後に行うUV(紫外線)による除菌。赤ちゃんの食器洗いなど、しっかり除菌したい場合に便利です(ただし、哺乳瓶の吸い口は紫外線で劣化するものもありますので注意してください)。なお、ドア1枚で手前に開くタイプなので、シンクの水栓との位置関係に注意してください。

THANKO(サンコー)ラクアmini:基本は1人暮らし向けだがギリギリ2人分まで洗える超コンパクトモデル

他のメーカーがあまり開発していない1人暮らし用の食洗機です。サイズとしては、友人などが来た場合にギリギリ2人分の食器が洗える大きさです。

THANKO(サンコー)は、秋葉原に拠点を置き、中国で開発された家電をバイヤーが日本に持ち帰ったり、日本で大まかな設計をしたのちに中国の工場で試作などを行う「ファブレス」という自社工場を持たないスタイルの家電メーカー。

ただ長年の実績と中国の工場との信頼関係、そして品質管理が徹底しているので、破格のわりに高性能なのが特徴です。他社が手を出さないような、ありそうでなかった家電を出すのが得意で、本製品のように1人暮らし向けの食洗機というニッチな製品があります。もちろんタンク式の給水で、使用する水はすすぎも含めて3.2リットルと経済的。また他社にはないカラーバリエーションとして黒も揃えています。

給水は上部から、ドアは大きめで手前に引き出すタイプなので、設置場所には注意が必要です。メーカーのホームページには、設置サイズが詳しく掲載されているので、事前に自宅のキッチンの寸法を測っておくといいでしょう。

THANKO(サンコー)ラクア:タンク式食洗機の名作

筆者が知る限りでは3年ほどまえに日本ではじめてタンク式の食洗機を販売し始め、3万円を切る安さで爆発的に売れた食洗機です。

以降sirocaやアイリスオーヤマなどが続々と販売を開始し、2020年に「タンク式の食洗機がある」ということを国内に大々的に知らしめた1台です。容量は3人向けで22cmのお皿まで入ります(上段のお箸やフォークを洗うカトラリートレイを外すと、あと2cm程度大きくできます)

入荷するたびに売り切れを繰り返していましたが、少しずつマイナーチェンジを行っているようで、洗浄力はもちろん乾燥後にUV除菌もできるようになりました。ドアは1枚で前開きなのでシンクの水栓の位置に注意してください。

またラクア最大の特徴は、便利なオプション品が多いことです。キッチンにピッタリ入る専用ラックをはじめ、上部から給水できる専用ジャグなど、便利グッズがたくさんあります。食洗機が欲しいけどスペースの問題であきらめていた方は、オプションでなんとかなるかもしれませんよ。東京近郊の方なら、THANKOの実店舗が秋葉原にあるので実物を見ることもできます。

標準サイズのおすすめ食洗機

4〜5人向けの食洗機が「標準」サイズとなります。このカテゴリーは圧倒的にパナソニックが強く、ラインナップも豊富に取り揃えています。ただこのサイズになると1回の食器洗いで8~10リットルの水を使うので、水道から直接水やお湯を引く分岐水洗式がメインになります。

ただ唯一、このサイズでタンク式の食洗機を販売してるのがパナソニック。4人用と少し小さめですが、通常の食洗機が置けない29cmの幅さえあれば設置できるスリムタイプになっています。

なお、大は小を兼ねるので、2〜3人家族でも5人用の食洗機を購入しておくことで、調理に使ったなべなども一緒に洗えてより便利に使えます。

Panasonic(パナソニック)NP-TA4:家族4〜5人向きのパナソニックエントリーモデル

10年ほど前は大手家電メーカー各社が食洗機を発売していましたが、次々と撤退してしまい、現在大手はパナソニックが残るのみです。

実は食洗機を日本で始めて開発したのがパナソニック。最初の製品は1960年に発売されたもので、洗濯機のような大きなものでした(容量は3人程度)。そこから今日まで脈々と改良が続けられ、パナソニックの独走となった今も、後付けタイプでも現行機種が6機種もあり、迷ってしまいます。

NP-TA4は、分岐水栓方式の4〜5人用モデルの中でもエントリーモデル(低価格で初心者向けのモデル)にあたります。とはいえ洗浄力は他と変わらず、付加価値をすべてそぎ落としたシンプルなモデルです。

特徴は最近流行りのマイボトルや保温用タンブラーなど、底の深いものをしっかり洗えるホルダーが付いていること。4〜5人となると少し水の量が増え、3人用の5〜6リットルの倍の量、約11リットルの水を使います。

ここまでは冷たい水道水を使ってもよかったのですが、ファミリー向けになると分岐水栓からお湯を取ったほうが経済的で、電気でお水を温めて使うよりも素早く洗浄できます。

なお、ドアは2つ折で手前に開く方式。パナソニックはキッチンの写真を撮影して、そこに指定の食洗機を置いたイメージを表示できるARアプリがあるので、これを活用して置き場所の検討をするといいでしょう。

ファミリータイプは本製品を含め3機種とも奥行きが340mmありますが、ドアの開きを上部にした奥行き290mmのスリムタイプもあります。

Panasonic(パナソニック)NP-TH4-W:4〜5人向けのファミリーモデルで、自然乾燥でもすぐ乾く

先に紹介したNP-TH4は価格重視のエントリーモデルでしたが、こちらのNP-TA4は洗浄するお湯の温度コントロールを行い、省エネ機能を搭載した中級モデルです。またカラーバリエーションは2色用意されています。

こちらも分岐水栓方式で容量は4〜5人分、食洗機を使ったことがある方が2代目として買い換えるのに最適です。

とくにオススメしたいのは、小さいお子様がいるご家庭。幼児用の食器は、一見メラミン(ラーメンのレンゲなどに使われる樹脂)のように見えるプラスチック素材でも、高温で洗うと変形してしまうものがあります(食器に耐熱60℃の表記があるか確認してみてください)。

これらはあまり低温で洗うと菌が繁殖してしまいますし、油汚れも落ちにくくなります。そこで50℃という、滅菌しながら油汚れも落とせ、食器を痛めないギリギリの温度で洗うこの製品がとても便利なのです。これはパナソニック独自の機能です。

また逆に80℃の高温の温水を使って最後にすすぎをする機能も備えています。通常は60~70℃ですすげば十分とされていますので、より高温にすることでさらにしっかり油汚れが落ちるというわけです。

また80℃すすぎを使うと、洗い上がりの食器はかなり熱くなります。そのため、乾燥機能を使わなくても洗い上がり時にドアを開けておけば、数時間で自然乾燥します(マニュアルには書いてありませんが、筆者の使い方テクニックです)。

さらにパナソニック独自の「エコナビ」も搭載。汚れ度合いをセンサーで判断し、運転時間や水温を自動調整して電気代を約5%ほど節約してくれます。

Panasonic(パナソニック)NP-TZ300-W:NP-TZ300-W:ボタンが一切見えないシンプルデザイン。自動ドアオープンが便利

こちらはファミリータイプの分岐水栓方式で4〜5人分クラスの最上位モデルです。

サイズや洗浄力は、エントリータイプのNP-TA4、スタンダードタイプのNP-TH4と変わりありませんが、最大の特徴はボタンが「一切ない」こと。そのため、とてもシンプルなデザインでキッチンに溶け込みます。

また、カラーバリエーションも用意されています。操作スイッチは本体にタッチするとライトで浮かび上がり、スマホのように操作できます。ボタンの凸凹がないので汚れてもフキンでサッとひと拭きでキレイになります。

さらに、エアコンや空気清浄機でお馴染みの「ナノイーX(従来のナノイーよりも除菌・消臭効果が高いタイプ)」が搭載されています。そのため、夕食後の食器を入れて、翌日朝食を食べたら再び食器を入れてタイマー予約でまとめて洗うという使い方ができます。

また本体のオープンマークに手を触れると自動でフルオープンするので、食器を持ったままドアを開けて、庫内に食器が入れられます。なお容量としては4〜5人分あるので、夕食と朝食の汚れ物をまとめて洗えます。そのため、水道も電気代も節約できます。

またNP-TH4にも搭載されていた低温洗浄や80℃高温洗浄、エコナビの機能も備えているので、より安心、キレイ、省エネの食洗機ライフが楽しめます。

Panasonic(パナソニック)NP-TSP1:パナソニックのタンク式食洗機がついに登場

数あるパナソニックの食洗機のなかで、2022年12月現在で唯一タンク式の食洗機がNP-TSP1です。

容量は少し少ない4人向けですが、正面の突起部を含めた奥行きは341mm、実際には258mmの奥行きがあれば設置できるスリムタイプ。ここまで紹介してきたパナソニックの食洗機は、設置するために301mmの奥行きが必要だったので、4cm以上スリムになった計算です。

また、高さもそれほど大きくなってはいませんが、ドアが上部に跳ね上げ式になっているため、設置場所に612mm以上の高さが必要になります。吊り戸棚がある場合などはご注意ください。

タンクに入れることのできる水量は8リットルで、これまでの5人用の分岐水栓が使う11リットルの食洗機に比べ水の使用量が少なくて済みます。節水したい場合にもおすすめします。

なおタンク式の食洗機として利用できますが、あとから分岐水栓工事をすることも可能です。多くのタンク式食洗機は上部から水を注ぎますが、本器は正面の突起部のフタが開き、そこから注水します。専用のカップも付いているうえに、注水口が低いので背の低い方でも楽に入れられるのが特徴です。またエコナビを搭載しており、食器の汚れ具合によって自動的に節電してくれるのも助かります。

ここではご紹介しませんでしたが、突起がない分岐水栓専用モデルもあります。容量も4人向けで設置サイズや機能はタンク式とまったく同じです。

ビルトインタイプのおすすめ食洗機

ビルトインタイプの食洗機は、新築やリフォーム時に業者に取り付けてもらうのが普通です。ただし、新しいものに入れ替える場合などは、食洗機の回りにコンセントや給排水が通っているので、特に免許がなくても自分で取り付けることも可能です。とはいえ、水道工事などの経験がないと水漏れの原因となるため注意してください。

日本のビルトイン食洗機メーカーは、パナソニックを筆頭にリンナイ、クリナップ、三菱電機などがあります。いずれも日本のキッチンの規格に合ったものがラインナップされているので、取り付けの心配はありません。

ただミーレなど海外製メーカーの食洗機を導入する場合は注意が必要です。電源となるコンセントが200Vの必要があったり、インチとセンチを間違えてうまくキッチンに収まらなかったり、水道の規格が違うため変換ネジなどを使う必要がある場合も。海外製の食洗機は、必ず施工業者に依頼してください。

なおビルトイン式の食洗機は、製品の製造期間が長いので、モデルによっては最新機種でもかなり使い込まれ、経年劣化したものがあります。ビルトイン食洗機の寿命は10年と言われていますので、フリマアプリなどで中古を購入する際は出品者に必ず年式を確認し、残り寿命を計算してから購入しましょう。

また扉や引き出し部分のネジ回りと、ドアのパッキンの写真を送ってもらうのもポイントです。ビルトイン食洗機の水分の逃げ場は限られているので、ネジに緩みなどがあるとそのまわりからサビ付きます。ネジ回りの写真を送ってもらい、サビが酷いようなら水漏れなどを起こしてしまう可能性があるので、購入を見送ったほうがいいかも知れません。

さらにパッキンについても、もし汚れが目立つ場合は水漏れや蒸気漏れする可能性があります。ただしこちらはメーカーで補修部品として購入できるので、自分で修理が可能です。

Panasonic(パナソニック)NP-45MD9S:キッチンスッキリ! お鍋も洗える大容量タイプ

キッチンにビルトインできるタイプの食洗機は、基本的には施工業者に取り付けてもらうほうがいいでしょう。ただし、水栓とコンセント、アースが来ている場合は、あくまで自己責任となりますが、ご自身で工事することも可能です。

またドアの開きにも注意してください。写真の食洗機は、箱全体が手前スライドするタイプです。深さがあると下の食器が取り出しづらい場合があります。

扉のみ手前に倒れて、上下のカゴを引き出すタイプもあります。こちらは食器へのアクセスが簡単ですが、経年劣化でパッキンが痛み、水漏れしやすい構造なので注意してください。

通常はキッチンの棚に合わせて幅が45cmに(大型キッチン用の幅60cmタイプもあります)なっています。あとは深さが25cm程度のミドルタイプが5人用、深さ35cmほどあるものが6人用タイプとなっています。

写真は幅45cm深さ35cmの6人用です。また別売で正面の化粧パネル(キッチンの収納ドア色に合わせる板)を購入できます。洗浄力は外付けタイプとほぼ同じですが、本器の場合は80℃の高温すすぎがありません。

Rinnai(リンナイ)RKW-404A:ビルトイン食洗機として人気メーカー

ビルトインタイプの食洗機の世界でも、ラインナップが豊富なパナソニックに人気が集中していますが、それを追う存在がリンナイです。

ビルトインタイプを販売している会社は他にクリナップ、三菱電機ぐらいしかありません。なお、パナソニックのビルトイン食洗機同様に、キッチンの棚にあわせた化粧板を別売で購入できます。

リンナイの食洗機の特徴は、パナソニック製より少し容量が多いという点です。洗浄力などはそれほど変わりないので、食器が多い家庭や鍋などをまとめて洗いたい場合などに検討してみてはいかがでしょうか。

超音波タイプのおすすめ食洗機

2022年になり突如登場したのが超音波式の食洗機です。洗い桶に水を溜め、ティッシュペーパーの箱ほどの超音波発生装置を入れると、超音波が汚れを浮き上がらせ、食器がきれいになるというものです。

特にこの後にご紹介するBDPの超音波食洗機は、クラウドファンディングの目標額50万円を大きく上回り、3億6千万円近い資金を集めて注目されました。

現在、市販バージョンも発売されていますが、使用する際にややクセがあるのでレビューやそのしくみを十分理解してから購入するようにしてください。

基本的に「洗剤は不要」とされている食洗機ですが、それは水溶性の汚れの場合のみです。油汚れは超音波で落ちますが、水を溜めた洗い桶からお皿を引き上げたときに油が再付着してしまいます。市販の食器洗い洗剤を使い、お皿の表面に汚れが戻らないように「表面活性剤(食器洗い洗剤に配合されいます)」で保護するのがよいでしょう。

泡がたくさん出て困るという場合は、食洗機用の洗剤を使います。ただしこちらは油を落とす成分が強力なので、ゴム手袋などをして手の皮膚を防護してからお皿を引き上げるなどの工夫が必要です。

BDP(ビーディーピー) The Washer Pro:2022年世界が驚いた超音波を使った革命的食洗機

写真はコントローラ部分です。これにつながるコントローラと同じ大きさの超音波発生を水を溜めた洗い桶に入れて、洗いたい食器と一緒に桶に入れ、コントローラから「食器」ボタンを押すと洗浄が始まります。

先にも書いたとおり油汚れの場合は、洗い桶からお皿を引き上げたときに汚れが再付着するので、市販の食器洗い洗剤、もしくは食洗機用の洗剤を併用することをおすすめします。

「海鮮」や「青果」のボタンは、洗い桶にこれらの食材を入れて超音波をONにすることで、手洗いでは取れない汚れが取れ、特に「海鮮」のモードでは食材の生臭さが消えます。むきエビなどを洗浄すると、驚くほど汚れが取れるので、もう片栗粉で何度もむきえびを揉み込むなんていう下ごしらえが不要になります。

なお、超音波をONにした状態で水に手を入れると少し痛さを感じます。怖いと感じたら、一旦停止してから手を入れるといいでしょう。

食洗機の設置工事をする際に気をつけたいポイント

外付けの食洗機の場合は、最初に説明したとおり「何人用」かどうかよりも、「そもそもキッチンにこの食洗機が設置できるか」から検討するようにしましょう。パナソニックやAQUAでは、スマホでキッチンを撮影して、そのスペースに食洗機が納まるかをテストしてくれるAR(拡張現実)アプリを配布していますので、ぜひ活用してください。

それ以外の場合は、必ず幅、奥行き、高さに加え、空けなくてはならない空間、水を給水するスペース、ドアがどのように開くか、水栓と衝突しないかどうかをチェックします。メーカーホームページには、ドアを閉めたときと空けたときの寸法が記載されています。これを新聞などを型紙にして、実際のキッチンに当ててみるといいでしょう。見た目や目測だけでの導入は、失敗してしまう可能性が非常に高いです。

分岐水栓の工事は、少なくてもキッチンの混合水栓の取替え工事やシャワートイレの取り付け工事をやった経験があるなど、自分で水道工事をやったことのある方ならご自身でしてもいいでしょう。未経験の方は施工業者にお願いすることをおすすめします。

またファミリー向けの4人以上の食洗機は、消費電力が1000Wほどかかります。漏電などのリスクを避けるため、できるだけ1個のコンセントから電源を取りましょう。もし電源が足りない場合は、1500Wまで対応できる延長コードを使ってください。電子レンジやオーブンレンジと同じコンセントから電源を取ると、ブレーカーが落ちてしまいます。

またアースをしないで使う方が非常に多いようですが、食洗機は水を使うので「必ず」アース線を壁のアースコネクタにネジ止めしてください。もし電線が足りない場合は、アース線を延長して使いましょう。電気に詳しい方が回りにいれば、手伝ってもらってもいいでしょう。そうでない場合は、近所の電気店などに工事を依頼してください。それほど高い工事費(おそらく1万円以下)にはなりません。

ビルトインタイプの食洗機を新規に取り付ける場合や、海外製の食洗機を導入する場合は、施工業者に必ず工事を依頼するようにしましょう。

藤山 哲人(ふじやま・てつひと)

1967年生まれ。『家電Watch』『現代デジタル』『文春オンライン』など多数の媒体で執筆。あらゆる家電を自分で実際に使い込み、分解して機能を調査・比較する技術系家電ライター。最近は「家電おじさん」「体当たり家電ライター」の異名でテレビなどでの解説も大人気。TBS系列バラエティ番組『マツコの知らない世界』には6回出演。

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