トレイルランニングとは、アスファルトで整地されていない道を走る競技です。数あるランニングの種類のなかで、あえてトレイルランニングを選ぶ理由について、トレラン歴10年のデイリーポータルZの安藤さんが話してくれました。
(執筆/安藤昌教、編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)
(執筆/安藤昌教、編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)
トレイルランニングの中毒性
ある程度まで走れるようになってくると「“走る”のがツライ」から「“走れない”のがツライ」に変わってきます。これは本当に変わってきます。仕事や家事で走る時間が作れないと体がおかしくなるんです。これはもう一種の中毒だと思っています。
ランニング中毒は走ることで解消されるかと思いきや、走れば走るほど症状は悪化します。フルマラソンを何度か経験していくと、なんとかしてタイムを縮めたくなる「スピード病」を併発します。他にもとにかく距離を伸ばしたくなる「ウルトラマラソン病」、自転車や水泳にも挑戦したくなる「トライアスロン病」などなど、症状の種類はさまざまです。
これらの症状の一つとして「トレイルランニング病」があります。始発に乗って山のふもとの駅で降り、トイレでジョギングウエアに着替えて、ロッカーに荷物を預け、道なき道を山頂めがけて駆けていく。最高。最高ですが、これはもう完全に病気です。
ランニング中毒は走ることで解消されるかと思いきや、走れば走るほど症状は悪化します。フルマラソンを何度か経験していくと、なんとかしてタイムを縮めたくなる「スピード病」を併発します。他にもとにかく距離を伸ばしたくなる「ウルトラマラソン病」、自転車や水泳にも挑戦したくなる「トライアスロン病」などなど、症状の種類はさまざまです。
これらの症状の一つとして「トレイルランニング病」があります。始発に乗って山のふもとの駅で降り、トイレでジョギングウエアに着替えて、ロッカーに荷物を預け、道なき道を山頂めがけて駆けていく。最高。最高ですが、これはもう完全に病気です。
山なので登りはだいたいキツイです。でもトレランをやっていなければ一生踏むことのない道を自分の足だけで登っている感覚は、普段の生活では得難い興奮を味わうことができます。
下りのスピード感も病みつきになります。次に足を置く場所を高速で計算しながら鹿のようにかけ降りる体験は、好きな子と初めて映画に行くくらい興奮します。いや、映画ならDVDで見たらいいのでトレランの方が最高です(同じくトレラン病の病床から書かれた本もたくさんあるので読んでみてください)。
下りのスピード感も病みつきになります。次に足を置く場所を高速で計算しながら鹿のようにかけ降りる体験は、好きな子と初めて映画に行くくらい興奮します。いや、映画ならDVDで見たらいいのでトレランの方が最高です(同じくトレラン病の病床から書かれた本もたくさんあるので読んでみてください)。
こうして山の中をにやにやしながら走っているうちに日が暮れて、帰ってくるのは終電近く。なんならそのまま夜通し走って夜明けを迎えるのも最高だと思います。二晩目までがんばって幻覚が見えてきたりすると「よっしゃ!」って思いますよね。トレイルランナーは明るいヘッドライトを持っているので夜でも走れます。
トレランの魅力ならどれだけでも書けるんですが、読者が引いていく音が聞こえてきた気がするのでいったんこのへんにして、ここからは僕がこの前走ってきたトレイルランニングのレースを振り返りながら、そこで使ったアイテムについて解説したいと思います。
トレイルランニングのレースに出場しました
兵庫県で開催されたkami100というトレイルランニングのレースに参加してきました。1周37キロの山岳コースを3周する周回レースです。制限時間は25時間でした。
トレイルランニングのレースは短いものは10キロくらいから、長いものになると100キロ超、中には1週間くらいテントを背負いながら走り続ける、なんてレースもあります。そういう中では、このkami100はわりとまともな、というか常識的な距離設定だと思います。
レースにも地域性がある
関西でのレースは初めての参加ということもあり、なにからなにまで新鮮でした。まず運営とボランティア、参加者が、当たり前だけどみんな関西弁だったこと。
そんなのレースに関係ないだろう、と思うかもしれないですが、今回のレースは一人で参加したにもかかわらず、いつも以上にたくさんの人と話をした気がしたんですよね。エイド(大会のコース中に設置される食べ物や飲み物を補給する場所のこと)でも本部でも駐車場でも、とにかくみんなフレンドリーに会話していました。
「どうです?次の周回いけそう?」「軽やかやなー、まだまだやね」「どっから来はったんです?神奈川?まじで?」「これ食べて食べて」(関西弁イントネーションで再生してください)
おかげで参加ランナー300人強というそれほど大規模な大会ではないのに、レース中はほとんど一人になることがなかったです。中には夜中に大声で歌を歌っている人もいて、山の中でそれを聴いて、妙におかしくて周りの人とずっと笑ったりしていました。
これが関西ノリなのか、今回の出場者がたまたま明るい人たちだったのかはわからないですが、個人的にすごく好きな雰囲気のレースでした。
そんなのレースに関係ないだろう、と思うかもしれないですが、今回のレースは一人で参加したにもかかわらず、いつも以上にたくさんの人と話をした気がしたんですよね。エイド(大会のコース中に設置される食べ物や飲み物を補給する場所のこと)でも本部でも駐車場でも、とにかくみんなフレンドリーに会話していました。
「どうです?次の周回いけそう?」「軽やかやなー、まだまだやね」「どっから来はったんです?神奈川?まじで?」「これ食べて食べて」(関西弁イントネーションで再生してください)
おかげで参加ランナー300人強というそれほど大規模な大会ではないのに、レース中はほとんど一人になることがなかったです。中には夜中に大声で歌を歌っている人もいて、山の中でそれを聴いて、妙におかしくて周りの人とずっと笑ったりしていました。
これが関西ノリなのか、今回の出場者がたまたま明るい人たちだったのかはわからないですが、個人的にすごく好きな雰囲気のレースでした。
レースは雨対策がなにしろ大切
今回は雨のレースでした。マラソンとかトレランのレースは少雨決行の場合が多いので、雨対策が完走へのカギとなります。今回のレースでは、雨もですが気温も思っていたより上がらず、スタート時点で10℃を下回っていました。
体を動かしていないと足から冷えてくるので、ロングタイツと、持っているレインウェアを全部着た状態でスタートしました。ロングタイツはモンベル、レインウェアはエーグルのゴアテックス、防水のグローブはワークマンで買ったやつでした。手袋が濡れると指先が冷えて食べ物のパッケージを破れなかったりして困るので、濡れたら周回ごとに取り替えられるように準備しました。
コースは周回の前半に1回、後半に1回、それぞれ別の山のピークを目指します。その2つの山を林道がむすぶレイアウト。トレランのレースはコースによっては急な山登りが大半で走れるのは下りだけ、みたいなこともあるんですが、今回は登りも下りも、適度な傾斜で走れる割合が高かったです。その分、シューズとウェアの選択も慎重になりました。
今回よかったのがシューズの選択。ナイキのペガサストレイルとホカのスピードゴートを持って行ったんですが、レース中はずっと雨予報だったので、ゴアテックスでミッドカットのホカのスピードゴートを選択しました。
結果的にこれがよかったです。いくらゴアテックスでも深い沼みたいなところに入るともはや関係ないんですが、ミッドカット(足首までサポートするシューズ)だとずいぶん違う気がします。あまりレースではミッドカットのシューズを履いている人を見かけないんですが、僕はこれからも天気が悪いときには積極的に履くと思います。足首までしっかり締めることで、泥の入りを最小限に抑えてくれました。
レースは2周目の途中から土砂降りになり、日も暮れて気温がぐっと下がりました。ゴアテックスのレインウェアの下にモンベルの薄手の長袖を追加で着て、トレランポールを持ってとにかく派手に体を動かして体温を維持することに集中しました。一番肌に近いところにファイントラックを着ているので、気温が変化しても汗冷えしません。
3周目の途中に眠さで2度ほど意識を失いかけました。林道で歩きながら寝てしまい、浅い側溝に片足だけ落ちてびっくりして起きる、これを何度か繰り返しているうちにすっかり目が覚め、それから先は特につらいことはなかったです。
2周目までは雨と霧とで視界が真っ白でしたが、3周目の途中で雨が止み、日が昇ってくると実はすごく景色のいいコースだったことを知りました。ちょうど紅葉シーズンでもあり晴れたら最高だと思います。
2周目までは雨と霧とで視界が真っ白でしたが、3周目の途中で雨が止み、日が昇ってくると実はすごく景色のいいコースだったことを知りました。ちょうど紅葉シーズンでもあり晴れたら最高だと思います。
僕はトレランの大会ではたいていリュックの前のポケットに小さい防水のデジカメを入れています。iPhoneもリュックに入れているんですが、手が泥だらけなので防水デジカメの方が扱いやすいです。
今回のレース、タイムは正直たいしたことなかったですが、最初から最後まで楽しく完走することができました。走っている間はもちろんツライこともあるんですが、ゴールした瞬間に全部最高の思い出に書き換えられるのが不思議です。トレランに限らず、マラソンって毎回そうなんですよね。
ゴールで迎えてくれた運営の方に「最高でした!ぜったい来年も来ます」って言っちゃったので、来年も走ると思います。
どうでしょう、トレイルランニングの魅力をちょっとだけでも感じてもらえたでしょうか。
フルマラソンでは物足りなくなってきたランナーのみなさん、だまされたと思って一度山を走ってみてください。一人じゃ不安、という人は連絡ください。一緒に走りましょう。
どうでしょう、トレイルランニングの魅力をちょっとだけでも感じてもらえたでしょうか。
フルマラソンでは物足りなくなってきたランナーのみなさん、だまされたと思って一度山を走ってみてください。一人じゃ不安、という人は連絡ください。一緒に走りましょう。
安藤昌教(あんどうまさのり)
デイリーポータルZ編集部勤務。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活躍中。好きなものはカメラと恐竜。あとサメが出てくる映画。
- twitter【https://twitter.com/andomasanori】
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