アウトドア2023.01.27

【おすすめ寝袋11選】キャンプ好きが本当に愛用している寝袋(シュラフ)をリサーチしてみた

キャンプに欠かせないギアの一つといっても過言ではないのが、寝袋(シュラフ)です。夏場はなくても大丈夫と思われがちですが、快適さが段違いです。しかし見た目では違いがわかりにくいので、何を選べばよいか困っている初心者の方も多いのではないでしょうか。

そこで、2018年からキャンプ道具の徹底レビューを発信し、キャンプ用品のプロデュースをされている、登録者数25万人超のYouTubeチャンネル『タナちゃんねる』さんに、おすすめの寝袋とその選び方について教えてもらいました。

(執筆/メルカリマガジン編集部、写真/タナちゃんねる、編集/株式会社モジラフ、メルカリマガジン編集部)

おすすめの寝袋(シュラフ)の選び方【素材で選ぶ】

寝袋の中綿には「ダウン」もしくは「化学繊維」が使用されており、素材によって使い心地が異なります。水鳥の羽毛であるダウンは、芯がなくフワフワで、軽量で圧縮しやすいため、持ち運びしやすくなっています。
ダウンであれば、荷物を少なくしたいソロキャンプの際も、人数分の寝袋が荷物になりがちなファミリーキャンプの際にも便利です。柔らかく寝心地も抜群で、一般的に保温効果に優れているため、冷え込む冬の夜も夏の朝も暖かく過ごせるでしょう。

しかし水に弱く、カビが生えてしまうこともあります。使用後は汗や結露の湿りを飛ばしたり、定期的にクリーニングしたりと手入れが大切です。

対して化学繊維を使用した寝袋は、比較的リーズナブルかつ自宅で洗えるものが多いため、手入れがしやすいのが特徴です。初めて寝袋を購入する場合や、複数人で揃えたいときにおすすめだといえます。しかしダウンよりも重くかさばりやすいので、荷物を軽量・少量に抑えたい場合にはやや使いにくいかもしれません。どちらにも一長一短があるので、まずはご自身にとって使いやすい方を選ぶことが大切です。

ちなみに保温性は中綿の充填量によって左右されます。少しでも暖かく過ごせる寝袋が欲しい場合は、中綿の充填量が1,200g以上あるものを選びましょう。

寝袋(シュラフ)の形もポイント【マミー型/封筒型】

寝袋の形状は「マミー型」と「封筒型」の2つに大別されます。形状が違うことで、使い勝手や寝心地が異なるので、両者の違いを押さえておくことが大切です。マミー型はミイラのように頭までスッポリと被れるため、外からの冷気が入り込みにくく、シュラフ内の暖気が逃げにくくなっています。

マミー型は、特に寒さ対策が必要な地域での宿泊や、寒がりな方にぴったりです。また寝返りを打っても脱げにくいので、就寝中に体を冷やさないでいられるのも嬉しいポイント。ただし密着性が高いため、人によっては窮屈に感じてしまうかもしれません。一般的には軽量でコンパクトに収納できるものが多く、バックパックに取り付けられるものもあります。荷物を軽量にしたいソロキャンプや公共交通機関でのキャンプに適しています。

対して封筒型(レクタングラー型)の寝袋は、封筒のように長方形で、一般的な布団のような感覚で使用可能です。マミー型ほど密着していないので、サイズ感にゆとりがあり、ダイナミックに寝返りをうちやすくなっています。寝袋にまだあまり慣れていない方には取っ付きやすい形状だといえます。またほとんどの商品が連結できるようになっており、家族やカップルで添い寝がしやすくなっているのも魅力です。

封筒型の寝袋はファスナーを全開にすれば、掛け布団としても活用できるので、毛布やブランケットの代わりにして荷物を削減できます。ただしマミー型と比べるとかさばりやすいのと、密着性が薄く保温性では劣るのが難点。バイクや車でのキャンプなど、荷物に余裕がある場合の使用に適しています。

寝袋(シュラフ)購入の際は絶対に知っておきたい「快適使用温度」の話

寝袋を選ぶ際に知っておきたいのが「快適使用温度」という表示。寝袋には主に限界温度・使用可能温度・快適使用温度の3つが書かれています。このうち限界温度と使用可能温度については、あくまで“使用できる範囲”の表示であるため、快適に過ごすためには快適使用温度の表示をチェックすることが大切です。

一般的に、寝袋を実際に使用する時の気温から、+5℃~10℃程度の快適使用温度の寝袋を選ぶと、過ごしやすいといわれています。朝晩の冷え込みなども考えると、余裕を持って暖かく過ごせるものを選ぶと安心。宿泊場所の最低気温を調べて、最低気温が快適使用温度の範囲に収まるものを選びましょう。

よくありがちなことですが、あまりギリギリの性能の寝袋を選ぶと、寝袋内で丸まって一晩過ごすことにもなりかねないので、現場の最低気温を基準に考えることをおすすめします。

ベテランキャンパーたちが実際に使用している寝袋(シュラフ)11選

それではここから、私が実際にキャンプ場でベテランキャンパーたちに取材してみて、本当におすすめできると感じた寝袋をいくつかご紹介していきましょう。

Coleman (コールマン):EXTREME WHEATHER MUMMY SLEEPING BAG

マイナス18℃まで快適に過ごせる寝袋で、真冬の北海道でも暖かく過ごせる驚きの性能です。南極の冬の平均気温がマイナス20℃なので、いかに破格の性能かわかります。厚みのある暖かい生地で、首元はドローコードで絞れるようになっているので、暖気を逃がさず外からの冷気をシャットアウトしてくれます。

頭のフード部分も絞れるようになっており、頭部から冷気の侵入を防ぐことが可能。またジッパーの内側にも生地があり、隙間からの冷気侵入を徹底的にブロックしています。また足元にはジッパーがあり、暖か過ぎる場合は足を外に出して寝袋内の温度を調整できるのも魅力です。もちろん、カイロや湯たんぽを入れる際にも便利です。

また自宅で洗濯が可能なため、手入れしやすいのもメリットでしょう。ただし、畳んだ際にあまりコンパクトにならないので、持ち運びには不便です。寒い地域で極寒の冬キャンプを楽しみたい方や、寒がりな方におすすめです。

Coleman(コールマン):コージー

封筒型で横幅が84cmあり、大人でもゆったり眠れる寝袋です。寝返りもしやすく、ぴったり密着するのが苦手な方にも使いやすいでしょう。また新商品であるコージーⅡは抗菌機能付きなので、嫌な臭いが発生しにくくなっています。しかも洗濯機で丸洗いできるので、清潔に保ちやすい商品です。

また頭付近の内側にポケットが付いており、スマホが収納できるようになっています。寒いなかでも、寝袋の外に手を伸ばさなくても手元にスマホを置いておけます。就寝前にスマホをいじるのが習慣の方や、アラームをセットしたい方には嬉しい機能です。

ゆとりあるスペースで眠りたい方や、手入れのしやすい寝袋が欲しい方にぴったりの寝袋です。

HillStone(ヒルストーン): 封筒型寝袋

こちらもゆとりある封筒型。寝袋から出ることなく脚を曲げて、リラックスした体勢で座れるほどのサイズ感です。また2つ並べて連結すれば、合計で横幅150cmに。大人2人でも使用できる広さの寝袋になります。カップルや夫婦で、並んで就寝できます。

また封筒型ではありますが、肩口の紐を絞ることで、マミー型のように頭を覆うことも可能。肩口から入ってくる冷気をシャットアウトできるようになっています。

快適温度は10℃。冬場の使用にはあまり適しませんが、秋春や夏であれば問題なく使用できるでしょう。広げられるので掛け布団としての使用も可能です。

連結できるゆとりある寝袋を探している方や、冬以外の季節にあうものを探している方は検討してみてはいかがでしょうか。

NANGA(ナンガ):AURORA light 750 DX

ダウンが使用された寝袋で、ボックス同士が支えあう「台形ボックスキルト構造」になっていることで、ダウンの片寄りを抑え、効率的に保温してくれます。快適使用温度はマイナス8℃となっているので、冬でも問題なく使用しやすくなっています。

寒さを感じやすい足元のダウンが多めになっていることや、フード部分が立体構造になっていることで、全身を暖かく包み込んでくれる寝袋です。ファスナーの嚙み込みで生地が破れたり、ファスナーが壊れたりしないように、YKKの特殊ファスナーで噛み込みにくくしており、噛み込んでも最小限のダメージで済むようにしています。

しかもファスナーは蓄光機能付きなので、暗くても開け閉めしやすくなっています。足元が冷えやすい方や、ダウンのふかふかした寝心地が好きな方におすすめです。

NANGA(ナンガ):AURORA light 900 DX

同じくナンガの寝袋で、こちらは快適使用温度マイナス10℃となっており、より寒い地域でも使用可能なモデルです。オーロラライトは商品名のナンバーが上がるごとに対応性能が高まる形式で、「900」はナンガの寝袋のなかでもトップクラスの値。空気を多く含んだ良質なダウンが空気の断熱効果を発揮し、高い保温性を誇ります。

900gものダウンが使用されているので、ふわふわとした暖かさに包み込まれながらの就寝が可能。またオーロラテックスという防水性の高い生地が使われており、雪が降るような真冬の時期のキャンプでも使いやすくなっています。

冬キャンプや雪中キャンプなど、寒い地域・季節でのキャンプに抜群の性能を発揮する逸品です。

NANGA(ナンガ):AURORA light 600 DX

中綿の量が多く保温性能の高いものは冬の厳しい環境でも快適に過ごせますが、特に夏場など他の季節では暑くて使用できなくなってしまいがち。しかしこちらのモデルは中綿のダウンが600gと上記の2つと比べると少ないため、快適使用温度はマイナス4℃。暖か過ぎないことでオールシーズンで使用できる寝袋なので、置き場所にも困りません。

またナンガの寝袋は永久保証なため、もし破損しても修理してもらえます。寝袋は1年中使うことで、傷みやすくなりがちですが、ナンガであればその点も安心です。

オールシーズンで使えるダウン寝袋を探している方は、こちらをぜひ選択肢に入れてみてください。

SABBATICAL(サバティカル):AURORA DX

人気のアウトドアメーカー、サバティカルとナンガのコラボ商品で、ナンガの山岳向け寝袋をキャンプ用にデザインしたものです。ダウンの量に応じてAURORA 350DX~AURORA 900DXまで5段階あり、それぞれショートとレギュラーに分かれているので、自分にあったダウン量・サイズのものを選べます。

また450・600にはカップラーと呼ばれる連結タイプの寝袋もあり、夫婦やカップルなどでペアで使用するのに最適です。このモデルは保温性を保ちながらも体の動きは妨げないカッティングパターンになっており、寝返りしやすいのはもちろん、寝袋に入ったまま座れるようにもなっています。

保温性は確保しつつ、ゆとりある寝袋で眠りたい方におすすめです。

SnowPeak(スノーピーク):セパレートオフトンワイド 1400

快適使用温度はマイナス2℃と氷点下でも安眠できる寝袋で、その名のとおり「日本の布団のような寝袋」をコンセプトに作られています。1996年から15年以上続くシリーズで、それまで寝袋といえば寒い季節でも快適に眠るためのものでしたが、暑い季節にも涼しく快適に眠れるよう作られました。

寒さに強い寝袋ほど夏には暑過ぎて使えないのが一般的ですが、オフトンシリーズは「掛け・敷き」に分かれており温度調節ができるため、冬以外の季節でも使いやすくなっています。例えば足元だけ開けて熱を逃がしたり、完全に掛け・敷きに分離させてお腹にだけ掛けたりと、季節や気温に合わせて使用することができます。

また両サイドにはファスナーがついており、他のオフトンシリーズと連結させることも可能。冬も夏も快適に過ごせる寝袋を探している方におすすめです。

Takemo(タケモ):スリーピングバッグ

タケモは「本物と呼べる良いものをより安く!」をコンセプトに寝袋を展開する日本のメーカー。シンプルな構造でコストを抑えながらも、高性能・高品質の商品を販売しています。販売されている商品はマミー型のワンシリーズのみ。中綿のダウン量や構造が異なる「2・3・5・7・9・11」の6モデルが展開されています。

商品名の数字が上がるほど寒冷地での使用に向いた構造になっており、スリーピングバッグ11では最低使用温度マイナス30℃にまで到達します。ご自身のキャンプでの使用状況に合わせてモデルを選択するのが大切です。また最低使用温度が同クラスの大手メーカー製品と比べると、大変リーズナブルな価格になっており、高品質でありながらも低価格を実現しています。

性能面は担保しつつ、なるべくリーズナブルなギアを購入したい方はぜひ知っておきたいブランドです。

Takemo スリーピングバッグを探す

モンベル独自のスーパースパイラルストレッチシステムが採用された「伸びる寝袋」で、高品質ダウンがボックス構造で封入されています。軽量コンパクトながら高い保温性を備えているのが特徴で、使用快適温度はマイナス13℃。厳しい寒さでも快適に過ごせるため、冬キャンプはもちろん登山でも使用可能です。

また伸縮率135%と抜群のストレッチ性を誇り、就寝中の動きを妨げません。フィット感があるにもかかわらず窮屈さを感じない快適な寝心地を実現してくれます。寝袋内に余計な隙間を生まないので、冷たい空気の侵入を防いで高い保温性を誇ります。

寒冷地でも快適に過ごせる寝袋が欲しい方や、窮屈さを感じずに快適に眠りたい方には最適な寝袋です。

mont-bell(モンベル):ダウンハガー650 #0

モンベルのダウンハガーシリーズのなかでも、もっともリーズナブルな寝袋です。モンベルの寝袋は#0~#7までの6段階と、最上級のEXP(エクスペディションモデル)で保温性がランク付けされており、それぞれの必要に応じてモデルを選べるようになっています。

こちらの商品は快適使用温度マイナス8℃のタイプ。冬キャンプでも問題なく快適に過ごせる性能を誇ります。。またジッパーが付く方向を左右どちらかにできるので、利き手やテント内の位置などに応じて選ぶことが可能。ジョイントも可能なので、2つ繋ぎ合わせて使用することもできます。

比較的リーズナブルでありながら、冬キャンプでも快適に過ごせるものを探している方はぜひ検討してみてください。

寝袋ほど性能に差のつきやすいキャンプギアはない。信頼できるメーカーのものを選ぼう

一見どれも同じようではありますが、中綿の量や素材はもちろん、詰め込まれた技術やアイデアは大きく異なるのが寝袋です。マイナス18℃でも快適に過ごせる耐極地仕様のものもあれば、掛け・敷き布団に分割することで夏でも快適に使用しやすいものなど、バラエティに富んでいます。

快適に眠れるかどうかは疲労の回復度に大きく影響します。体の疲れは翌日のキャンプやアクティビティの楽しさを左右しがち。できるだけ快適に眠れるものを選びましょう。特に冬キャンプは寒さで眠れなくなるリスクもあるため、キャンプ地の環境に耐えられるものを選ばなくてはなりません。

寝袋は性能に差が付きやすく、値段もそれなりにするキャンプギア。十分に比較検討して、自分のスタイルや、よく行くキャンプ地の環境に合ったものを選ぶことが大切です。

タナちゃんねる

1985年9月16日生まれ。福岡県出身。元テコンドー日本代表。キャンプ用品の買取販売店舗の会社経営兼、登録者数24.2万人超のソロキャンプYoutubeチャンネル『タナちゃんねる』を運営。キャンプ料理、道具レビュー、キャンパー取材などキャンプにまつわる情報を配信中。2021年にはオリジナルブランド『「TOKYO CRAFTS」』を立ち上げ、日本の職人と共同開発し、素材、機能にこだわったオリジナルギアを展開している。プライベートでは山林を2つ所有し、自身の山でキャンプライフを満喫中。 - HP【https://tokyocrafts.jp/】 - HP【https://tanachannell.com/】 - youtube【https://www.youtube.com/c/solocamping_tana

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