アウトドア2022.10.14

キャンプは道具に沼る。外遊び人たちの偏愛品。vol.3 people showroom.代表 山田昭一

この連載では、アウトドア道具を見て、買って、使っている外遊び人たちが、個人的に推せるものについて自由に語ります。

3回目となる今回のゲストは、メーカーのPRやブランディングを手がける「people showroom.」の代表を務める山田昭一さん。山田さんといえば、キャンプをスマートに楽しみ、釣りやサーフィンなどさまざまなアウトドアアクティビティにも精通する、アウトドア界の先を行く存在。

今回は、そんな山田さんにお気に入りのアウトドアギアを持参いただき、キャンプにハマった経緯や釣りの楽しみ方について話を伺いました。
(撮影/山田裕之、取材・執筆/笹谷淳介、編集/古賀結花、メルカリマガジン編集部)

アウトドアの原点は、山登り。

― 山田さんといえば、アウトドアシーンで引っ張りだこの印象です。とくにキャンプがトレンドのど真ん中にある昨今は、雑誌やメディアで見かけない日はないほど。実際、アウトドアにのめり込んだのはいつなんでしょうか?

山田 18歳くらいだから、かれこれ25年くらいかな。もともと学生の頃、山岳部に所属していたんですよ。どちらかというと趣味サークルに近いものだったんですけど、自分は山岳ガイドの免許も取って結構本気でした。

実技項目のひとつにアイスクライミングがあったりして、取得のハードルが結構高くてなかなか取れないんですよ。そこから長いこと山登り1本でした。
― ちなみに当時はどんな山を登っていたんですか?

山田 日本にある高い山はほとんど登りましたね。縦走したり岩場を攻めたり、ハードに楽しんでいました。ただ雪山登山の途中で凍傷になってしまって…今でも冬は痛みます。だから山登りはもうめっちゃ過酷、特に冬は過酷すぎる!

ということで、みんなでライトに遊べる趣味がほしいなと思い、スタートしたのがキャンプです。

― なるほど。キャンプはいつから始めたんですか?

山田 20代はずっと山登りだったから、ちゃんとやりはじめたのは30歳くらいですかね。じつは割と遅めのスタートです。

― 登山からキャンプって意外と大きな方向転換だと思うのですが、魅力を感じた部分はどこなんですか?

山田 当時は同僚や友人、つながりのある人たちとよく行っていて、キャンプって極めていったらおもてなしができるなと思ったんです。山登りは正直大変でキツいし、登るだけで精一杯な部分があるけど、キャンプは誰でも一緒にできるから楽しそうかもって思ったんです。だからハマってからは真冬以外、月1のペースでは行ってました。その頃は道具もあまり選択肢が多くなかったから、幼少期に親父と使っていた〈コールマン〉のテントや〈ダンロップ〉の寝袋、そういうのでキャンプを楽しんでいましたね。
― 幼少期にもキャンプ体験があるんですね。

山田 野生的なキャンプをしてる親子がいるとかで、地元の新聞に載ったこともあります(笑)。小学生のとき北海道に住んでいて、よくキャンプに連れて行ってもらっていました。その新聞が親父の自慢みたいで、スクラップしてとってありましたね(笑)。今考えるとその記憶が大人になっても残っていて、キャンプ=楽しめると思ったのかも。

アイテム選びの極意はタフなものを選ぶこと。

― 今の山田さんのキャンプスタイルはどんな感じでしょう?

山田 性格がズボラなんで、とにかく楽をしたいんですよね。正直、靴も履きたくないから極力サンダルで過ごしていたいくらい。あと最近思うのは、キャンプの今の流行ってアースカラーだと思うんですけど、それに乗っかるのがちょっと嫌で、もっと色を取り入れたいと思ってます。服でもテントでも明るいものがいいし、特にギアや小物はカラフルな色モノがいいなって。

― 確かにアースカラーはここ数年、アウトドアだけでなくファッションでも取り入れられていますね。

山田 個人的な持論なんですけど、アースカラーで固めるとセンスに関わらずそれなりにかっこいい雰囲気に仕上がるんですよね。でもそもそも、見た目にそんなに捉われなくてもいいんじゃないかなと思います。

キャンプサイトをおしゃれにつくり込むのが好きな人もいると思うけど、ぼくは雑多な感じが好きというか。丁寧にダストボックスなんて用意しないで、ゴミはビニール袋に入れてその辺にポンと置いてるような感じが好きです(笑)。

― なるほど。その考えに辿り着くまでにはたくさんのギアを買って試していた時期もあったんじゃないでしょうか?

 以前、アウトドアメーカーの〈スノーピーク〉に勤めていた頃は社販も含め、たくさん買っていたと思います。でも徐々に取捨選択していって、この頃はテントも一張りくらいしか持ってないし、ギアも全然持ってないですね。ちなみにテントは〈ゼインアーツ〉の「ギギ1」。コスパもいいし、設営も楽。それだけで十分なんです。

― ちょっと意外でした。もっとたくさん持っているものかと。アイテムを選ぶときのポイントも教えてください。

山田 長く使えないものはすぐ壊れちゃうし、タフなものが残っていくので、選ぶ時もそこをとくに考えているかもしれません。〈スノーピーク〉の「焚火台L」なんかはかなり長く使っているけど、丈夫で壊れない。とある企画で、その頑丈さを試すために車で焚き火台を轢いてみるっていうのもやったことがあったけど、それでも1ミリも壊れませんでしたから!

キャンプ+αでアウトドアをとことん楽しむ。

― 山田さんといえば、渓流釣りと一緒にキャンプを楽しんでいる印象もありますが、釣りはいつ頃から?

山田 最近はとくにそのスタイルが多いかもしれないですね。とはいえ釣りはまだやり始めて6年くらいなので、まだまだ未熟です。
― 6年で未熟…。釣りってやりはじめるきっかけに出会うのが難しいイメージなのですが、何からスタートすればいいんでしょうか?

山田 “興味あるから連れてって”と言われていろんな人を渓流に連れていくんですけど、続く人は本当に1割くらい…。多分、1回やって満足しちゃうからだと思うんですよね。結構難しいのでそのハードルもあるのかも。最近ぼくも海釣りに挑戦したんですけど、渓流とはまた全然違っていて、やり方はまったく分かりませんでした。でもやりたいなと思うなら、まず道具について調べて揃えて、ガイドさんにお願いするのがいいと思いますよ。ぼくも最初はそれでしたから。

― 釣具メーカーや釣具屋さんがガイドをやっていたりしますよね。

山田 そうそう。でも道具は自前で持ってこいというスタンスだから、めちゃくちゃ調べないといけないんですよ。それができれば、釣りをはじめられますよ!

― 山田さんが釣りにハマったきっかけはなんだったのでしょうか?

山田 キャンプの先がなかったからですかね? 山登りをやっていたときはベースキャンプがあって、そこから出発して岩を登って帰ってきて、みたいなことを繰り返していたから、その感覚にまた戻りたいなと思ったんです。キャンプはあくまでもベースで、何かアクティビティをプラスして、帰ってきて寝る。

もちろん、キャンプはキャンプでそこにずっといて飲んで食べて、も大好きなんですけ
ど、アクティビティを一緒にやった方がいいかなと思ったんです。キャンプって飽きてやめちゃう人も多いんですよね。最上級のギアにたどり着いて、お腹いっぱいになってやめちゃうみたいな。
― キャンプには目に見える成果がないからなんでしょうか?

山田 そうかもしれないですね。まったりしすぎてアドレナリンが出ないですし(笑)。だから、キャンプと何かを組み合わせるとより楽しくなると思います。釣りがあったり、ファストパッキングがあったりとかすると道具もまた変化していって、楽しくなる。人それぞれのライフスタイルに合ったものが見つかってきます。

― ちなみに山田さんは最近狙ってるアイテムはありますか?

山田 子供が生まれたので、カヌーとかが欲しいですね。男の子なんですけど、おいおい子供が小学生くらいになったらカヌーを担いで北海道に行きたいなと思います。これからは子供メインになりそうです。

― 今後、ご家族でキャンプに行くご予定は?

山田 しばらくはまったくないんですよ。子供はまだ小さすぎるし、行くなら宿に泊まりたいって奥さんが…(笑)。でも両親がキャンピングカーを所有しているから、それを買い取るかって話も出てて、それでキャンプに行けたらいいなと思ってます。

― お子さんをきっかけにライフスタイルが変化しそうですね。

山田 そうですね、SUPを2人用にしたりとか、子供と使えるのものが増えていきそう絵です。でも子供は“ゲームしたい”とか言うのかなあ…。

山田さんこだわりのキャンプギア7選

その道を25年進み続け、ギアに関して酸いも甘いも嚙み分けた(?)山田さん。アースカラーには目もくれず、色鮮やかなものを持ってきてくれました。キャンプスタイルにいい“抜け”を出してくれるセレクトをどうぞ。

ドベルグのサングラス

〈ドベルグ〉が初めて作った、キャンパーのためのサングラスです。サコッシュが付属されていたり、サングラスホルダーも付いていたりで心くすぐる感じなんですけど、サングラスホルダーはうっかり無くしてしまいました…。〈ドベルグ〉が作るアイテムってどれもかっこよくて面白いアイテムばかりなんです。クサビやペグも雰囲気いいし、本当につくりたいものをつくってるブランドで、そういうバイブスがすごくいいなって。ファッション的にもイケてるものを多く出しています。コラボに注目されることが多いですが、オリジナルアイテムも徐々に増えているので気にしてみていただけたら!

ポストジェネラルのスローケット

ヴィンテージのラグとかブランケットがもともと好きで、これはチベタンタイガーがすごくリーズナブルに買うことができたので。ブランケットってなにかと使えるじゃないですか。テント内に敷いたり、椅子に掛けておいたりするだけでもちょっとおしゃれになる感じ。色味もかわいいし、気に入っています。

リバティロープスのスマホストラップ

これは、〈リバティロープス〉というブランドで、本来であれば携帯に装着できるんですけど、ぼくはポーチにつけています。手頃で、ロープの織り方もたくさん種類があって、カラー展開も豊富。フェスのときや撮影中にめちゃくちゃ重宝するアイテムです。

ジ アイロンフィールドギアの鉄板

これは個人的にどうしても欲しかった仕様の鉄板を、〈アイロンフィールドギア〉にお願いしてつくってもらったモノです。もしかしたら製品化して発売されるかも。この穴からお肉の余分の油が落ちるようになっています。日本のBBQは炭で料理をするけど、ぼくは欧米のように薪を使った直火料理が最近の気分です。桜の木とか欅とかいろんな種類の薪を使うと、煙で食材に香りが付きます。そうすることで安いお肉もめちゃくちゃうまくなるんです。 誰でもおいしく肉料理がつくれる優れものですね。直火料理をもっと流行らせたいです!

ネイタルデザインのシェラカップ

テーブルの上を彩る、かわいいシェラカップ。買ってまだ半年くらいですけど、最近はこれしか使っていません。シェラカップって間違えて持って帰ったり、帰られたりして、減ったり増えたりしちゃうけど、これなら人と被らないので安心です。

SUBUのシューズ

難燃仕様の〈SUBU〉です。が、その機能はそんなに活躍してなくて、履き心地がいいので単にリラックスシューズとして使っています。アウトソールもしっかりしているからキャンプ場でも十分履けます。真冬でも足裏カイロを貼れば、結構履けちゃいます。ルームシューズとしても使えるので、家の中でもたまに履いてますね。コスパもよくておすすめです。

Be Protected Everydayのブヨ対策 虫除けスプレー

虫よけスプレー的なアイテムで、ブヨやダニにも使える優れものです。虫よけスプレーって匂いで少し具合悪くなっちゃうものも多いんですが、これはディートフリーで子供やペットにも安全に使えるので、最近イチオシのアイテムですね。先日撮影でブヨだらけのところに行ったんですが、まったく刺されずでした!

山田昭一

people showroom.代表。古着店や大手セレクトショップに勤務したのち、大手アウトドアメーカーに転職。PR業務に携わる。2018年に独立後、2021年1月に、メーカーのPRやブランディングを手がける合同会社「yamayama」を設立。2021年10月には同社のショールーム「people showroom.」をオープンする。 @peopleshowroom2021 【https://www.instagram.com/peopleshowroom2021/

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メルカリマガジン編集部

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