アウトドア2023.01.27

【ダッチオーブン】キャンプの達人たちが実際に愛用しているアウトドア用の鉄鍋10選

キャンプの醍醐味のひとつでもある、「キャンプ飯」。数あるアウトドア調理器具のなかでも、ダッチオーブンは「煮る・焼く・蒸す・炒める・揚げる・燻す」と幅広く使えるため、1つ持っておくと料理のバリエーションが豊富になります。

とはいえ、形状や素材もさまざまなため、特に初めての購入時はどれを選ぶべきかわからず悩まれる方が多いはず。そんな方のために、キャンプ道具のインフルエンサーで、登録者数25万人超えのYouTubeチャンネル『タナちゃんねる』を運営し、多くのキャンパーさんの取材もされているタナさんにダッチオーブンの選び方や、おすすめの商品を選んでいただきました。

(執筆/メルカリマガジン編集部、写真/タナちゃんねる、編集/株式会社モジラフ、メルカリマガジン編集部)

ダッチオーブン選びの基礎知識。まずは素材で検討する

ダッチオーブンは使用される素材によって特徴が異なり、使いやすさや見た目の雰囲気に差が出ます。まずはどの素材のダッチオーブンにするか決めておくと選択肢が狭まり、選びやすくなるでしょう。それぞれの素材ごとの特徴を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

「ステンレス製」なら軽くて簡単に手入れできる

ステンレス製のダッチオーブンは、鉄素材のダッチオーブンでは必要となる使用前のシーズニング(サビ付きやすい鉄製のダッチオーブンやスキレットの鍋などに、最初に油をなじませる作業のこと)が不要で、しかもサビにくいため、初心者でも手入れしやすく手間がかからないのが特徴です。

特別な手入れを必要としないので、一般的な鍋のように扱えます。またサビにくいため、洗浄後は自然乾燥でも問題ありません。また軽量で持ち運びしやすく、移動時の負担になりにくいのも魅力です。

ただし表面が汚れやすかったり、耐熱性の面でやや劣ったりするため、焚き火にくべて使用するには不向きです。また火の通りにムラがあり、食材に満遍なく火を入れにくいのもデメリットだといえます。軽くてメンテナンスの手間がかからないため、初心者や手入れが面倒な方におすすめの素材です。

「鋳鉄(いがね)製」は使い込むほど愛着が増す

使用前のシーズニングがほぼ必須で、他の素材に比べると手入れの手間がかかりますが、使い込むほどに表面などの表情が変化していくのが魅力です。

正しく手入れを行って使い込んでいけば、黒光りする「ブラックポット」に変化していき、味わい深い漆黒のダッチオーブンになっていきます。見た目がかっこいいのはもちろんですが、油が鉄肌に馴染むことで油なしでも焦げ付かないようになります。こうした変化や、モノとして育てる過程を楽しめるのも鋳鉄製の醍醐味でしょう。

ただし、使用後に洗剤やたわしを使うと油が落ちてサビの原因になったり、食べ残しを放置してもサビにつながったりと、素材としてデリケートな側面があるため、繊細に扱う必要があるのが難点です。アウトドアらしいデザインが好みの方や、自分だけのギアに育てる過程を楽しめる方はぜひトライしてみてください。

「黒皮鉄板」は手軽にアウトドアらしさを楽しめる

「黒皮」と呼ばれる酸化皮膜に保護されているため赤サビが発生しにくく、またたわしで洗っても劣化しにくいので鋳鉄よりも手軽にアウトドアらしさを楽しめます。

シーズニングや手入れがまったく不要になるわけではありませんが、手入れしやすさの点から初心者から中級者でも扱いやすい素材だと言えます。黒皮鉄板は微細な凹凸に油が馴染みやすく、熱伝導率も高いため、フライパンや中華鍋にもよく使用されている素材です。

また急激な温度変化や衝撃にも強く、長年使い続けられるような耐久力の高さも持ち合わせています。食材への火の通りが良いモノを選びたい方や、手軽に本格的なダッチオーブンを扱いたい方は検討してみてください。

ダッチオーブン選びのポイント。何人で使うか(サイズ)と、自宅のキッチンでも使うかどうか

ダッチオーブンを選ぶ際は、「何人で使うか」を想定しておくと、必要なサイズを割り出すことができます。例えばファミリーキャンプなど4人程度で使用するなら10インチのものが適切ですが、大人数で使用するには小さく、1~2人で使用するには大きすぎるでしょう。

使用人数によって適切な大きさが異なってきます。以下を参考にサイズを選んでください。

  • 1人用:6インチ
  • 2人用:8インチ
  • 4人用:10インチ
  • 6人以上:12~14インチ

  • キャンプには大人数でしか行かないのであれば10インチ以上の大きめサイズを、少人数でも大人数でも行くなら10インチほどの汎用性が高いものを選ぶなど、ご自身のキャンプスタイルに応じて選びましょう。

    サイズにはさまざまな大きさがありますが、特に10インチは約7合炊きで1kgの丸鶏が入る大きさがありながら、家庭用ガスコンロやIHにも収まるため、比較的使いやすいサイズだと言えます。アウトドアだけでなく自宅のキッチンでも使いたい場合は、10インチまでのダッチオーブンがおすすめです。

    また、サイズ選びは大きさだけでなく、重量も考慮しましょう。大きくなるほど重さも増すため、持ち運びが大変になり結局倉庫に眠ったままになりかねません。使用する人数やキャンプスタイル、作りたい料理などを考慮して、適切なサイズのものを選びましょう。

    ベテランキャンパーも愛用する、おすすめダッチオーブン

    ダッチオーブンの選び方がわかったところで、多くのキャンパーさんを取材し、キャンプを楽しんできた私がおすすめのダッチオーブンを紹介します。

    いずれもベテランキャンパーが愛用する人気商品ばかりですので、ダッチオーブンの購入を検討しているキャンパーさんは、ぜひ参考にしてみてください。

    CAPTAIN STAG(キャプテンスタッグ) ダッチオーブン

    キャプテンスタッグのダッチオーブンは14cm~30cmまでの5サイズあり、使用人数やキャンプスタイルなどに応じて適切な大きさを選べるようになっています。

    インチではなくセンチで表記されているので、直感的に大きさがわかりやすいのも嬉しいポイント。ソロからファミリーキャンプまで、幅広く対応しています。

  • 14cm:5.5インチ
  • 20cm:8インチ程度
  • 22cm:8.7インチ程度
  • 25cm:10インチ程度
  • 30cm:12インチ程度

  • 鉄鋳製のため、シーズニングなどの手入れが必要になるものの、使い込んだブラックポットは、新品にはない貫禄があります。またダッチオーブン用のバッグやロストル(底網)、リッドリフター(高温のダッチオーブンのフタを持ち上げるための道具)など、併せて使える公式オプションアイテムが豊富に揃っているのも魅力です。

    本格的なダッチオーブンを使用したい方や、必要機材一式を同じメーカーで揃えたい方にぴったりなアイテムです。

    Snow Peak(スノーピーク) 和鉄ダッチオーブン28

    丸みを帯びたフォルムが特徴的で、強靭で粘りのある鋳物素材でできているため、ダッチオーブンとしては異例の薄さ&軽さを実現しています。新潟県燕三条の鋳物成型技術による軽量性と、持ちやすさにこだわったハンドルのおかげで、持ち運びもしやすくなっています。

    「ダッチオーブン=重い」というイメージを覆すような製品で、荷物の多いファミリーキャンプなどでも使いやすいダッチオーブンです。

    またポット、スキレット、フタの3点セットになっており、組み合わせ次第でスキレットでハンバーグを調理したり、ポットで丸鶏を調理したりと使い分けられます。IHヒーターにも対応しているので、家庭での使用も可能です。

    本格的な鉄鋳製ながら軽量なダッチオーブンが欲しい方や、さまざまなキャンプ飯を楽しみたい方におすすめです。

    Snow Peak(スノーピーク) コンボダッチデュオ プレート×2ハンドルセット

    デュオキャンプの食事がより楽しく便利になるセット。薄くて軽いダッチオーブンと、プレート2枚、スキレット、リッド(フタ)の組み合わせです。

    スキレット・プレート用には着脱式のハンドルも付属。スキレットやプレートでもそのまま火にかけて調理を楽しめます。ダッチオーブンで煮込み料理を作りながら、プレートやスキレットで他の料理を作るなど、このセット1つで複数の料理を同時並行できる優れものです。

    また、いずれもまとめて収納できるようになっており、例えばプレートは2枚とも直径18cmのポットに収まり、スキレットはポットのボトムに収まるようになっています。デュオキャンプ用のダッチオーブンを探している方や、調理器具をコンパクトにまとめたい方に試していただきたい逸品です。

    Coleman(コールマン) ダッチオーブン 12インチ

    コールマンのダッチオーブンは鉄鋳製ですが、すでに植物性オイルで処理済みのため、わざわざシーズニングする必要がなく、初心者でもすぐに調理を始められるようになっています。

    「鉄鋳製のダッチオーブンに憧れるけど、シーズニングが面倒」という方でも安心して利用できます。サイズは8インチ、10インチ、12インチの3種類なので、使用人数などに応じて適切な大きさを選びましょう。

    また2022年9月にリニューアルされており、「脚の廃止」「フタ裏がフラットに」「底網の追加」といった仕様変更が行われています。発売時期によって仕様が異なるので、購入の際はいつの時期に発売されたモデルか確認するようにしましょう。

    SOTO(ソト)ステンレスダッチオーブン 10インチ ST-910

    シーズニングやサビ防止のための油を塗る手間が不要なステンレス製のダッチオーブン。残った料理をそのまま置いておけるので、保管や温めなおしができるのもメリットです。

    サイズは8インチ、10インチ、12インチの3種類から選べ、ソロキャンプからファミリーキャンプまで幅広く対応しています。また収納ケースや底網、リッドリフター、ダッチオーブンスタンドがセットになっているため、追加で関連アイテムを購入する必要がありません。

    余計な出費がかさまないのは、まだギアが揃っていない初心者キャンパーには嬉しいポイントでしょう。手入れの手間がかからないダッチオーブンが欲しい方や、ギアの揃っていない初心者キャンパーはぜひ検討してみてください。

    UNIFLAME(ユニフレーム) ダッチオーブン10インチ

    アウトドアらしさ溢れる見た目で人気の黒皮鉄板製ダッチオーブンです。素材が黒皮鉄板のため洗いから保管までの手入れもしやすくなっており、初心者から中級者でも扱いやすくなっています。

    本体とフタがぴったり噛み合うよう精密に作られているため、しっかり密閉して熱を逃がさずに圧力をかけられます。また本体底面がフラットになっているので、ツインバーナーや家庭のキッチン(ガス・IH)で使用しやすいのも魅力です。

    また公式の周辺アイテムとしてポットハンガー(ダッチオーブンを吊るして焚き火調理ができるアイテム)や底網、底上げネット、ダッチトートなどが用意されています。こだわりたい方はユニフレーム商品だけで統一することもできます。手入れがしやすい無骨なダッチオーブンを使用したい方や、しっかり熱や圧力を加えられる調理器具が欲しい方におすすめです。

    LODGE (ロッジ)コンボクッカー CAST IRON

    スキレットと深鍋が一体になったセットで、それぞれを別々に使えるのはもちろん、スキレットがフタを兼用するおかげで深鍋と合わせてダッチオーブンとしても使用できます。

    ロッジのキャストアイアン(鋳鉄)製品は、すでに購入時にはシーズニング済みの状態になっているので、買ってからすぐに使えるお手軽仕様になっています。ダッチオーブン以外の用途にも使えるため、「ダッチオーブンが欲しいけど、使わなくなったらもったいない」と悩んでいる初心者キャンパーにぴったりな商品です。

    ただし、本体を吊るすためのフックがないので、トライポッドを使用しての焚き火調理はできません。それぞれ現場での使用方法を想定したうえで購入するようにしましょう。

    LODGE(ロッジ) 12インチ ダッチオーブン

    同じくこちらもロッジの製品で、底部に脚が付いているダッチオーブンです。脚があることで、炭や薪が燃えて崩れても傾くことなく直立してくれるのがポイント。またフタにふちが付いているため、上に炭を載せて上下から火を入れるのに適しています。例えばローストビーフやデザートなど、上火調整が必要なオーブン料理を作りやすくなっています。

    フタ裏はやや窪んだフラットな形状で、フライパンとしても使用可能です。このフタを使って朝食のハムエッグなど、簡単な調理を手早く行えます。サイズは10インチと12インチの2タイプ。それぞれ浅型・深型があるので、どのような料理を作りたいのか想定したうえで、使いやすい方を選びましょう。焚き火での使用がメインで、昔ながらの脚付きのダッチオーブンが欲しい方、フタに炭などを置いての調理を行いたい方に向いている定番アイテムです。

    PETROMAX(ペトロマックス)ダッチオーブン ft1t

    鉄鋳製のダッチオーブンで、ft0.5t~ft18tまで8サイズ展開されています。表記が独特(ftはフィート、tは厚みを表すthickness)なのでわかりにくくなっていますが、1〜2人用ならft0.5t~ft3tが、3〜4人用ならft4.5tかft6t、5人以上にはft9t〜ft18tが適しています。

    最大サイズであるft18tは、容量16リットルと大きなサイズになっているため、大量の煮込み料理を作る際などに重宝するサイズ感です。フタに独特の意匠が施されており、見た目のかっこよさに惹かれて選ぶ方もいるようです。

    大容量のダッチオーブンが欲しい方や、見た目にもこだわりたい方におすすめです。

    PETROMAX(ペトロマックス)ローフパン k4

    厳密にはダッチオーブンとは言えませんが、アウトドアで焚き火調理をする際におすすめしたい調理器具を紹介します。箱型のスキレットでもあるローフパン k4です。

    底の深い長方形型のため、パンやパウンドケーキなどの調理に適しています。例えば食パンを焼いて、朝から焼きたてのパンを楽しんだり、パウンドケーキを焼いてデザートに楽しんだりと、他とは違ったキャンプ飯を楽しむことが可能です。

    他にもミートローフやラザニア調理などにも適しており、ある程度の人数でパーティー的に食事を楽しむのに適しています。キャンプで本格的なパンやケーキを作りたい方や、パーティーメニューを作りたい方はひとつ持っておきたい調理器具です。

    村の鍛冶屋 TSBBQ 6インチステンレスダッチオーブン

    初心者でも手入れしやすいステンレス製のダッチオーブンで、「アウトドアでも自宅のキッチンでも使用しやすい調理器具」をコンセプトに作られています。一般的にステンレス製のダッチオーブンは、鉄製に比べ熱伝導率が低いのが欠点ですが、熱伝導率の高いアルミを挟んだ3層構造にすることで、熱が伝わりやすくなっています。

    サイズは6インチ、8インチ、10インチの3種類から選べるので、ソロ・ファミリーなどキャンプスタイルを問わずに使用が可能です。また鍋の底面から側面にかけて緩やかなカーブがかかっているので、鍋の内側で対流が生まれ、吹きこぼれにくくなっています。

    IHやガス、ハロゲン、オーブン、電気プレートなど幅広い熱源に対応しており、自宅で気軽に使用しやすいのも魅力です。手入れの手間を省きながらも、おいしく調理できる熱伝導率の高いダッチオーブンを探している方にぜひ試していただきたい逸品です。

    LOGOS(ロゴス) SLダッチオーブン8インチ

    出荷前にシーズニングされているため購入後すぐに使えるダッチオーブンです。家庭用のガスコンロやIHでも使用可能なタイプなので、アウトドアでも自宅のキッチンでも調理を楽しめます。

    また重量のあるダッチオーブンを持ち運びしやすくするために、丈夫で油が染みにくい専用キャリーバッグが付属しています。。サイズは8インチ、9インチ、10インチ、12インチの4サイズ展開です。

    またクワトロポッドやアイアンウッド囲炉裏テーブル、焦げ付き防止用のラックや五徳など、ダッチオーブンと組み合わせて使用することができる同ブランドの姉妹ギアも豊富に用意されています。姉妹品と組み合わせれば、さまざまなアウトドア料理にトライすることができるでしょう。

    ダッチオーブンを長く使うために。使用後の手入れが大事な理由

    ダッチオーブンが1つあるだけで、煮る、焼く、蒸す、炒める、揚げる、燻すと、多様な調理方法を行えるようになり、キャンプ飯のレパートリーがグッと広がります。また1つで複数の役をこなしてくれるので、いくつもの調理器具を組み合わせる必要がなくなるのも魅力です。

    とはいえ、素材によっては手入れが必要なアウトドアギアです。特に鉄製のダッチオーブンはサビやすいので、欠かさずメンテナンスを施すようにしましょう。メンテナンスのポイントは、使用後に火にかけて水分をできるだけ飛ばし、油を薄く全体に塗ること。ただ、手間をかけるほど愛着が増していくもので、やがて自分だけのギアへと生まれ変わっていきます。

    もちろん、手入れが面倒な場合は、ステンレス製のダッチオーブンもおすすめです。
    ダッチオーブンは、皆さんのキャンプをより豊かなものにしてくれる非常に魅力的なギアです。ぜひご自身のキャンプスタイルや使用人数などに合ったものを選んで、バラエティーあふれるキャンプ飯を楽しんでください。

    タナちゃんねる

    1985年9月16日生まれ。福岡県出身。元テコンドー日本代表。キャンプ用品の買取販売店舗の会社経営兼、登録者数24.2万人超のソロキャンプYoutubeチャンネル『タナちゃんねる』を運営。キャンプ料理、道具レビュー、キャンパー取材などキャンプにまつわる情報を配信中。2021年にはオリジナルブランド『「TOKYO CRAFTS」』を立ち上げ、日本の職人と共同開発し、素材、機能にこだわったオリジナルギアを展開している。プライベートでは山林を2つ所有し、自身の山でキャンプライフを満喫中。 - HP【https://tokyocrafts.jp/】 - HP【https://tanachannell.com/】 - youtube【https://www.youtube.com/c/solocamping_tana

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    メルカリマガジン編集部

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