ノスタルジー2019.10.31

玉城ティナの「今」と「あの頃」をつなぐ、カメラと小説とプリ帳、そして「地獄ノート」

モデルとして、俳優として、活躍の幅を広げ続ける玉城ティナさん。小学生の頃に漫画版を読んでいたという『地獄少女』の実写映画では、主人公・閻魔あいを演じています。役柄同様ミステリアスな魅力を語られることの多い彼女ですが、お話を聞いてみると身近さを感じさせるエピソードがいくつも出てきました。「あんまり物に執着がない」と語る彼女が、それでも大事にしているというアイテムをヒントに、彼女の人となりに迫ります。(執筆/渡辺紺、編集/メルカリマガジン編集部、撮影/小田駿一、スタイリスト/中本宏美、ヘアメイク/今井 貴子)

フィルムカメラで旅先の風景を

写真を撮ることが好きで、普段から愛用しているのはフィルムのカメラです。デジタルが主流になった今も愛されていて、そういう変わらない良さを受け継げるといいなと思って使ってます。20歳を超えてから、新しくものを買い足すより、すでにあるものを長く使うようになってきたかもしれないです。それまではすぐに人にあげちゃったりして手放すことも多かったんですけど、1つのものを大事にして一緒に生きていこうって考えるようになったのが、その頃だったのかな。
旅行が好きなので旅先で風景を撮ることが多いですね。1人旅だと誰にも何も言われないので、気ままに写真ばっかり撮ってます。最近はアジアが好きで、ラオス、ブータン、台湾に行きました。

写真が記憶の架け橋に

本人私物の LEICA M7/ CONTAX T3(左から)

私、なんでもすぐに忘れちゃうんです。現在至上主義なんですよ。日常の中にあった大切なことも平気で忘れてしまうので、そのときの感情や感覚をカメラで記録している部分もあると思います。写真を撮ることって、物事を過去にしてしまう行為でもあるので、その点については注意しておかなきゃという気持ちがありつつも、記憶の架け橋にはなってくれるのかなって思いながら撮ってます。

地元を思い出す小説

他に大切にしているのは小説ですね。振り返ると女性作家さんの本を読むことが多いです。江國香織さん、窪美澄さん、島本理生さん、村田沙耶香さんとか。硬い文体が好きではないので、柔らかい文体の小説を選んでいる感じです。半径が狭めというか、身近な設定だとなお好みです。
最近読んだ中でいうと、村田沙耶香さんの『しろいろの街の、その骨の体温の』という本が特に印象深いです。ニュータウンが舞台になっていて、そこに閉じ込められているような感覚が描かれているんですけど、地元に住んでいた頃の感覚を思い出したりしました。沖縄って島ならではの閉鎖的なところがあるので、そういう部分が似ているのかなと。

村上春樹はやっぱりよかった

村上春樹さんは王道すぎてずっと敬遠してきたんですけど、『東京奇譚集』を読んでみたらやっぱりおもしろかったんですよ。あと、新作の『女のいない男たち』もおもしろかった。たまにTwitterなんかで村上春樹さんの文体を模写してるのを見かけますけど、それくらい個性が確立して親しまれてるってすごいことですよね。何十年後も大事に読み継がれる作家さんってこういう人なんだと思うんです。

プリクラを見ているとあの頃に戻る

基本的に過去にはぜんぜん執着しないんです。「まあ戻れないしね」って思っちゃうので。だからけっこういろんなものを捨てて上京してきたんですけど、逆にずっととってあるものが、中学生や高校生の頃に撮ったプリクラをまとめたプリ帳。実際はプリ帳っていうか、プリクラをまとめて入れた箱なんですけど。上京のタイミングでいろいろ捨てて、大きく気持ちが切り替わったところがあるんですけど、これだけは時折あの頃に戻りたくなったときのために必要というか。
もう本当に、落書きなんて「何書いてんだよ」ってことばっかり書いてあるし、服装なんかも今見ると「ワオ…」ってなっちゃうようなものなんですけど(笑)、これも含めて自分なんだよなって改めて感じたりします。

本人私物のプリクラケース

メルカリで服を売ったことがある

過去に執着しないし、手元に限られた大事なものが残っていればあとは手放してしまうことが多いので、着なくなった洋服をメルカリに出品したこともあります(笑)。買い取ってくださったかたは売り手が私だなんてもちろん知らないはずですけどね。使わなくなったカメラは身の回りの人に譲ったりしたし、自分には必要なくなったものでも捨てちゃうのもったいないので、必要な人に行き渡ればいいなと思っているんです。

自分の気持ちを整理する「地獄ノート」

今回出演する『地獄少女』では、誰かに恨みを持つ人がアクセスする「地獄通信」というサイトを通じて復讐の代行をする「閻魔あい」という役をやらせていただいてるんですけど、私自身はもし実際に「地獄通信」があってもぜったいアクセスしないですね。何かに対してすごく嫌な気持ちを抱いてしまったり、ネガティブな感情が溜まることがあったら、私はノートに自分の気持ちを書き出して整理するんです。地獄ノートっていうか(笑)。
何に対して自分がそう思っているのか原因が知りたいので、原因の選択肢を1つずつ書き出して潰していくと、答えが浮き出てくるかなと思うんです。もちろん感情的になることは人並みにあるけど、なるべくそうやって自分の中で整理して前に進んでいきたいと思ってます。

玉城ティナ (たましろ てぃな)
1997 年、沖縄県出身。14 歳で講談社「ViVi」の最年少専属モデルとなり、一躍人気モデルに。昨年、同誌を惜しまれながら卒業。2014 年、ドラマ「ダークシステム恋の王座決定戦」(犬童一心監督/TBS)のヒロインで女優デビュー。 2015 年、SABU 監督「天の茶助」で主演の茶助(松山ケンイチ氏)の妹・茶子役でスクリーンデビュー。2018 年、映画「私に XX しなさい!」(山本透監督)で初主演。最近の出演作に、「DINER ダイナー」(蜷川実花監督)、「惡の華」(井口昇監督)、11月15日に主演の「地獄少女」(白石監督)、2020年1月31日に「AI崩壊」(入江悠監督)が公開。

『地獄少女』 
11月15日(金)新宿バルト9ほか全国ロードショー
©地獄少女プロジェクト/2019映画『地獄少女』製作委員会
配給:ギャガ

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メルカリマガジン編集部

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