80-90年代「平成レトロ」なファンシー食玩の魅力

子どものころに大好きだったお菓子のおまけ「食玩」は、手にとりやすく、お気に入りを集めたことがある人も少なくありません。そして、大人になった今手にとってもみても思わず「懐かしい」と心が踊ってしまうもの。
 
そんな「食玩」のなかでも「80-90年代のレトロファンシー食玩」の魅力に惹かれ、コレクションし続けている人がいます。
 
イラストレーターの愛原るり子さんは自宅に600点ほどの食玩アイテムを持つおもちゃコレクター。TwitterやInstagramでもそのコレクションは人気です。
 
愛原さんに「レトロファンシー食玩」の魅力を語っていただきます。話を聞くのは、同じく80-90年代の少女カルチャーに心酔するライター・さくらいみかさんです。
 
(執筆/さくらいみか、撮影/佐坂和也、編集/メルカリマガジン編集部)
はじめまして。少女マンガ雑誌の『りぼん』を集めているコレクター&ライターのさくらいと申します。自宅にある『りぼん』の冊数は80-90年代発行分を中心に、200冊ぐらい。『りぼん』に加え、この時代の少女向けに作られたモノに目がありません。キャラクターに装飾があしらわれた「ファンシーアイテム」についても見始めるとどっぷり当時に引き戻され、なかなか現代に戻ってこられなくなります。
 
さっそく、80-90年代のファンシーアイテムを集める愛原るり子さんに、コレクションを見せていただきつつ、ファンシー食玩の魅力についてお話を伺っていきます。

はじめてのファンシーアイテムは「セーラームーン」

さくらい

愛原さんがファンシーアイテムに目覚めたきっかけは何ですか?

愛原

子どものころにサンタさんにもらった「セーラームーンR(93年)」のコンパクトです。大人になってから「それを今でも持ってるよ」という人のブログを見て、「懐かしい!」って扉が開いて収集のきっかけにもなったんです。
 
その後「おジャ魔女どれみ(99年)」ぐらいまでは、流行っていたアニメのおもちゃ全般に興味を持って、手に入りやすいものを母親に買ってもらっていました。そのうち少し前の世代の作品のおもちゃも知るようになって「かわいいおもちゃって、こんなにいっぱいあったんだ!」と衝撃を受け、全部集めたくなっちゃって。おもちゃを集めることに人生を費やしていますね。

愛原さんのご自宅のコレクション棚(撮影:愛原るり子)

さくらい

愛原さん自身が「おもちゃの対象年齢」から外れてからずいぶん経ったあと、懐古趣味の方向にいったんですね。私も自分が買い始める前の『りぼん』も集めていて、すごく大切にしています。

愛原

わかります。知らない作品のものも、希少性もあわせてすごくかわいいな、欲しいなと思ったりします。古いものになると、ポップなデザインがレトロでかわいいのが魅力だなと思ってて。

さくらい

自分がリアルタイムで通ってないレトロさや珍しさに惹かれるっていうところも共通してますね。

本体だけではなく、パッケージも気に入ったものはS字フックにかけて飾っている(撮影:愛原るり子)

「金メッキ」は平成レトロを象徴するもの

話は、愛原さんのコレクションの平成初期「食玩系ファンシーアイテム」に移ります。食玩は「食品玩具」の略称で、いわゆるお菓子のおまけです。

ミラクル☆ガールズ ブレスレットとペンダント

さくらい

愛原さんが所有されているアイテムは、80年代末~90年代中盤(平成初期)のものがほとんどなんですね。この時代に多く生産されいるものなんですか?

カバヤ食品「赤ずきんチャチャガム」のおまけ

愛原

食玩はずっと継続されて発売されているんですけど、「金メッキがキラキラ!」というデザインはこのころだけ。90年代後半に発売されたものにも、稀に使われてるんですけど、00年代になるとかなり少なくなくなってきて。

さくらい

確かに、「金メッキ」の食玩って最近見ない気がする。すごくかわいいのに…。

愛原

食玩だけじゃなくおもちゃ全般で、平成初期(80年代末~90年代中盤)で象徴的なのは「金メッキ」ですね。

さくらい

80年代までさかのぼると、どんな特徴があるか教えていただけますか?

愛原

80年代前半だとシンプルなのにキュートな形をしていてポップなものが多いんですけど、80年代後半になるとだんだんデザインが豪華になっていくんですよ。80年代は形で勝負、90年代になると「素材」という要素が加わった、という感じです。

さくらい

なるほど…すると「平成レトロの真骨頂は金メッキ!」という感じなんですね。金メッキ以外に、この時代の食玩の特徴ってありますか?

愛原

「パステルカラー」や「濃い赤や緑の色使い」もこの頃の特徴です。
 
最近のおもちゃって、既製品の宝石っぽいストーンが使われてるんですが、80-90年代のおもちゃはその商品のためだけに作られたオリジナルのストーンが使われてるんですね。細かい色味にもこだわった特注品だと、既製品にはない変わった色のものが多いんです。

チープでかわいい「セボンスター」

続いて、女の子に人気のキラキラなペンダントが入った、ロングセラーの玩具菓子「セボンスター」について。2019年に発売40周年を迎え、復刻デザインの商品や記念本も発売されました。コレクションをしている人も多くSNS上でコレクター同士の交流も盛んです。

さくらい

つぎは「セボンスター」のペンダントについて教えてください! 最初に発売されてから現在まで40年続くシリーズですが、発売年によってデザインの差はあるのでしょうか?

今年で40周年を迎えた、キラキラのペンダント入りの玩具菓子「セボンスター」

愛原

下の写真は、90年代前半と00年代の最初ぐらいまでのものです。土台とチェーンが「金メッキ一色」という感じなのが90年代前半の特徴で、90年代後半になると土台もカラフルになってきて多様性が出てくるんですね。

さくらい

やっぱりここでも「金メッキ」が時代の特徴なんですね!

90年代前半は、金メッキ一色

徐々に土台もカラフルになって、印象も変わってくる

土台と「宝石」の色の組み合わせにもバリエーションがある

さくらい

「セボンスター」の魅力を一言で言うと、ズバリ何ですか?

愛原

「チープなかわいさ」ですね。ファンシー雑貨やかわいいコスメを集めている人なら分かってくれると思います(笑)。「スイマー」とか好きな人が多いですね。

それなら「宇宙百貨」が好きな人も多そうですね。ちょっとおもちゃっぽい雰囲気というか。

四季ごとに新作が出るので、デザインのバリエーションが豊富

90年代後半のもの

今の「セボンスター」にない不思議な形のモチーフが多い

さくらい

上の写真の90年代後半の「セボンスター」の魅力はどんなところですか?

愛原

土台がカラフルなメッキになっていたり、オーロラやラメのプラスチックに宝石が乗っていたり、いろんなバリエーションがあるところだと思います。オリジナリティがあってすごくかわいいんですよ。「どれが当たるかな」という楽しみもあります。特に「直感でデザインが気に入ったもの」をメルカリで探したりしています。

さくらい

メルカリで探しているんですね。

愛原

2014年ごろから使っていますよ。「作品名 食玩」、「セボンスター レトロ」、「セボンスター 90年代」、「セボンスター レア」などのキーワードを入れて探しています。今まで見たことないようなデザインのものや「絶対90年代だ!」というものが見つかって、つい買ってしまいます。

さくらい

パッと見て「90年代だ!」ってすぐに分かるんですね。私も「りぼん」で「この年代のものはなかなか出ない」みたいなのがあるので、珍しいのを見つけると飛びつくのはよく分かります。

愛原

衝動買いしちゃいますよね!

平成レトロおもちゃの「宝石」の魅力

さくらい

ひと通り眺めてみると、こういう食玩やおもちゃにあしらわれている宝石の色って最近見ない濃さですよね。食紅がたくさん入ってるような鮮やかさというか、食べたら身体に悪そうな色。いいですよね、この毒々しさ!

左「姫ちゃんのリボン」の「魔法のハートタクト」、中上「魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて」の「メロディペンダント」、中下「魔法使いサリー(第2期)」の「マハリクマハリタコンパクト」、右「美少女仮面ポワトリン」の「へんしんコンパクト」

愛原

ですよね! これって本当にこの「おもちゃ」「食玩のため」だけに作られたものなんです。昔のおもちゃはすごくオリジナリティがあったなーと思います。

さくらい

この時代のおもちゃや食玩は「世界観をしっかり表現するためだけに作りこまれたもの」が多かったのに対し、最近は既製品のアレンジが多くなった印象ですよね。おもちゃに限らず例えばアニソンとかも、昔は「その作品の世界観を表現するためだけに作られたアニソン」が多く、味があって贅沢な感じがありましたね。歌の中にキャラクターの名前が入ってたり、設定が込められてたり。

愛原

今は歌手とのタイアップなどの形式が主流で、そういうのなくなっちゃいましたもんね。

さくらい

それと同じですね。今の時代では出せない味があるからこそ集めがいもあるんですが、「ファンシーアイテム」や「りぼん」に限らず、ほかのジャンルのコレクターさんにも共通している部分なんでしょうね。

80~90年代は、子ども向けの凝ったものが全力で作られていた良い時代だったなと再確認できました。そのおかげで今、大人がコレクションしていても楽しいのかもしれませんね。愛原さん、ありがとうございました!

愛原

ありがとうございました!

・・・

今まで知る機会がなかったジャンルだったのに、お互いの興味が「少女向け」という共通点があったからかたくさん共感ポイントがあった、そんな対談になりました。
 
そして数々のアイテムを見ているうちに、「金メッキ」で「毒々しい宝石」というデザインの雑貨がすごく欲しくなってしまいました。自分の中に眠ってた「懐かしさ」の感覚が、愛原さんと話してるうちに刺激されたのだと思います。眺めるだけでその時代に戻った気分になれるようなものって、人と話しても盛り上がるし、ワクワクもします。そんなものと今後もたくさん出会えたらいいなぁ。
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メルカリマガジン編集部

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