(執筆・撮影/安藤昌教、編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)
ベース本体の次は何を買ったらいい?
安藤
前回はベースという楽器について、基本から最初の1本の選び方、おすすめについて聞いたので、今回は楽器以外に買っておくべきもの、あったら便利なものを聞いていきたいと思います。先生は今回も宮城剛さんです。宮城さん、よろしくお願いします。
宮城
お願いします!
安藤
ベースを始めるにあたって、前回の記事(メルカリマガジン「【ベース初心者に捧ぐ】「僕は向いているのかもしれない」と思ってしまうおすすめベースはこれだ」)を参考に楽器は買ったとしましょう。次はどうしたらいいですか?
宮城
買ったんすか!何買ったんすか!
安藤
まだ買ってないですが、ここは買ったということにしてください、話が進まないので。
宮城
なんだ、安藤さん、ギターの時はすぐに買ったので、今回も当たり前のように買ったのかなと思って。
安藤
ギターは買ってから1週間くらい練習したんですが、いまはすっかり放置してしまってるんです。この状態でベースを買ったら同じことの繰り返しのような気がしてしまって。
宮城
でもこの対談が終わるころには買ってますよ、きっと。
安藤
正直すでにメルカリで目星は付けてあります。で、もしそれを買ったとしますよね、そしたら次に買うのはやっぱりアンプですか。
宮城
そうですね、アンプはあった方がいいです。ぜひベースアンプというのを買ってください。
安藤
これはギターアンプと共用はできないんですか?
宮城
音が出ないことはもちろんないんですが、ギターとベースでは設計された音域が違うので、大きな音を出したり長く使っていたりするといつか壊れるかもしれません。だからベースにはベース用を買っておいた方が無難ですね。
安藤
スタジオなんかに行くとベースのアンプってでっかいじゃないですか。あれってどうしてあんなにでかいんですか。でかくないとだめなの?あれはさすがに家に置けないですよ。
宮城
低い音を出すためには空気をゆっくり大きく振動させる必要があるので、スピーカーの直径も大きくなってしまうんです。正直スタジオみたいなサイズのアンプは家には必要ないですが、ライブなんかで使うとなるとあのサイズになりますね。
安藤
そういえばオーディオでも低音用のウーファーってでかいですもんね。
宮城
そうですね。スタジオなんかであのでかいアンプから音を出すと、振動が伝わってきてすね毛が揺れますよ。
安藤
ベースの弦とすね毛が共振してるんですね。
宮城
そのくらいベースの音というのは人間の感覚と近いものがあるんです。だから大事なんです。
安藤
そんなでかいアンプで低い音出してたら近所迷惑になるのでは。
宮城
間違いなく叱られるでしょうね。なので最近だとヘッドフォンアンプというのがあって、これが最高におすすめです。
安藤
これは可愛いですね。楽器に直接刺してそこからヘッドフォン出力できるんですか?
宮城
そうです。これもギター用とベース用があって、エフェクターも入ってるしAUX(外部入力端子)もあるので、PCやタブレットから好きな曲を入力して流しながら一緒に演奏できちゃいます。僕はこのVOXのを持っていますが、フェンダーも同じようなのを出していますね。どちらでもいいと思います。
安藤
夢のような機械だ!これはぜったい買います。
ベースもエフェクターがいるのか?
安藤
ヘッドフォンアンプにはエフェクターも入ってるってことなんですが、ベースでもギターみたいにエフェクターを揃えていくものなんですか。
宮城
ギターみたいに歪ませてソロをやる、みたいな場面は、あるにはあるんですがめったにないので、エフェクターは最初は買わなくていいと思います。慣れてきてエフェクターを買うとしたらコンプレッサーですかね。これは歪ませるというよりも、音を圧縮して粒立ちをそろえてくれるんです。
安藤
音圧が安定して聞きやすくなる感じですか。やっぱりベースは音楽の土台だから安定感が重要なんですね。
宮城
そうです。でもコンプレッサーは初心者が使うと逆に下手になっちゃうこともあるので注意です。エフェクターが音の強弱を揃えてくれると自分で気にしなくなっちゃうので。なので、最初はエフェクターはいらないんじゃないかな。ピッキングで強弱の練習をした方がいいと思います。
その他には何を買ったらいい?
安藤
他にはどうですか、チューナーとかストラップなんかはギターと共用でもいいものですか?
宮城
そうですね、だいたいのものはギターと共用で大丈夫だと思います。ケースはサイズが違うのでギターケースだとはみ出しちゃいますが。あとスタンドもギタースタンドと共用でいいですが、変形ベースの場合は釣り下げ型のスタンドがおすすめです。
安藤
楽器とアンプをつなぐケーブルはベース用を買った方がいいですか?
宮城
シールドケーブルもギターと共用で問題ないです。家で弾くなら3mで十分ですが、5mくらいあるといいかな。それ以上長いと家では邪魔ですね。そもそもケーブル自体が邪魔だ!っていう人はワイヤレスのもあります。
安藤
練習するときは立って練習するのと座って練習するのと、どっちがいいんでしょう。
宮城
最初は弾きやすい方でいいんですが、慣れてくると立って弾くのが楽しい曲と、座って弾くのが楽しい曲が出てくると思います。なので曲に合わせてですかね。立って弾くにはストラップが必要なので、ひとつ持っておくといいでしょうね。ストラップはギターと共用で大丈夫です。
どうやって練習するのがいいのか
安藤
チューニング(音合わせ)って毎日やるものですか?
宮城
慣れるまでは弾く前に毎回かならずチューニングした方がいいです。ズレたまま弾いていると気持ち悪いんですが、その気持ち悪さが感じられるようになってほしいので。
安藤
ベースを練習するときには好きな曲をコピーするところから始めたらいいんですか?それとも宮城さんみたいに、先に弦の音とかフレットの並びとかの、いわゆる音楽理論から勉強した方が有利だったりします?
宮城
僕はピアノをやっていたのでその時に学んだ理論が他の楽器にも役に立っていますが、楽器はべつに音楽理論を知らなくても弾けるようになると楽しいので、まずは楽しくやるのが一番じゃないでしょうか。タブ譜(タブラチュア譜。ギターやベースの指板を図にしたような譜面)買って来て好きなバンドの曲をコピーするのがいいと思いますよ。
安藤
僕も最初はタブ譜から入ったんですが、それだとある程度コピーできるようになると壁にぶちあたると思うんですよね。理論を知らないから楽譜通りにしか弾けない。アドリブとかに対応できないんです。ほら、ジャズやってる人たちって「キーはGで」とか打ち合わせたあといきなり弾き始めて、それでもセッション出来ちゃうじゃないですか。ああいうのに憧れるんです。
宮城
たしかにそこはある程度理論を学ばないとですね。座学が必要になってきます。ベースだとギターの太い方から4本の弦を抜き出しているんですが、それぞれの弦のそれぞれのフレットがどの音なのかを覚えておくことはぜったい必要になりますね。
安藤
やはり勉強しないといけないのか。そこのハードルが高くて挫折しちゃう人っていると思うな。僕なんですが。
宮城
でもみんながみんなプロを目指すわけじゃないじゃないですか。基本的に音楽は楽しむものなので、楽しく集まって演奏できればいいと思うんです。なのでタブ譜で好きなバンドをコピーして楽しければそれでいいし、さらに楽しむために理論の勉強が必要になったらその時に勉強したらいいのかなと思いますよ。
安藤
なるほど!では僕はベースを買ったら大好きな人間椅子のコピーから入りたいと思います。
宮城
はい!そこまで明確だったら今すぐ始めるしかないと思います。
安藤昌教(あんどうまさのり)
デイリーポータルZ編集部勤務。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活躍中。好きなものはカメラと恐竜。あとサメが出てくる映画。
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宮城剛(みやぎつよし)
本業は映像制作をしているバンドマンでエアギタリスト。趣味はバンド活動で、数種の楽器演奏ができることもあり、バンドができるなら担当楽器はなんでも良いがポリシー。マンガを読むのも大好きで、休日の過ごし方はバンド活動とマンガを読むかのどちらかです。
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