趣味2022.07.21

手軽に買える骨董品!化石を集めるならまずは「アンモナイト」から【ロマンの塊】

はるか昔に地球に存在していた生き物の痕跡、それが化石です。数百万年から数億年という、気の遠くなるほど長い歴史をもった「ロマンの塊」のような化石ですが、実は種類を選べば手軽に手に入ることを知っていますか? 天然のアンティークともいえる化石集めは、究極の骨董趣味と言えるのではないでしょうか。

映画『ジュラシック・パーク』で恐竜に目覚め、そこから化石にも関心が芽生えたというデイリーポータルZ編集部の安藤さんに、化石集めの魅力と始め方について解説していただきました。

(執筆・撮影/安藤昌教 編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)

いま、恐竜がおもしろい

安藤

古賀さん、好きな恐竜はなにドンですか。

古賀

そんな丼みたいな質問あるかな。

サウルスでもいいですよ。

安藤いちおしのパキケファロサウルス。ジュラシックワールドでも活躍していた。

出典: ピクスタ

しいていえば『のび太の恐竜』に出てくるやつが好きですかね。ピー助。

フタバスズキリュウですね。

名前出てくるの速いな!

面倒くさい話をすると、あれは厳密には恐竜ではないんです。

え、ピー助、恐竜じゃないの? じゃあなんなのあれ。

海に住む爬虫類の仲間です。プテラノドンなんかの翼竜も恐竜とは別の流れです。

がびーん。じゃあ恐竜ってなんなの?

ティラノサウルスやトリケラトプスなんかは恐竜です。鳥類も恐竜の一部と考えられていて、つまりスズメやニワトリは絶滅せずに現代まで進化し続けた恐竜の子孫です。

ピー助は恐竜じゃないのにスズメは恐竜なのか。

あとから人が決めた定義では、ですけどね。

化石にはロマンがある

古賀さんの家にはどんな化石がありますか。

安藤所有のモササウルスの歯。デイリーポータルZの記事「化石をいったん埋めてしばらくしてから掘ると楽しい」(※1)より

え! うちにはひとつもないです。あるものなの? 化石。ていうかそもそも化石ってなんなんでしたっけ?骨?

化石にもいろいろ種類あるんですが、基本的には生き物の遺骸や痕跡が土に埋まって石になったものです。何億年も前の生き物の痕跡が残っているってだけで実はものすごいレアなんですが、そんなレアな化石が実はわりと手軽に手に入るんです。上の写真のモササウルスの歯の化石は静岡の奇石博物館で買いました。恐竜じゃなくても、アンモナイトや植物の化石なら値段も安いし種類も多いので集めがいがあります。

アンモナイトの化石は、デパートの壁にいるやつ(※2)ですよね。

そうですね。アンモナイトは殻の中に住んでいた軟体動物です。タコとかイカの仲間ですね。アンモナイトは絶滅する前、めちゃめちゃたくさんいたんです。だから化石も多いです。

人間くらいいたのかな。

生息していた時期もめちゃめちゃ長かったんです。人間なんて目じゃないです。

あ、だから数も多いのか。

アンモナイトは古生代から中生代に生きていたんですが、3億年以上いたと言われています。人間なんて誕生からたかだか数万年じゃないですか。恐竜とかアンモナイトに比べると桁違いに短いです。地球の歴史からしてもほんの一瞬なので、へたしたら化石すら残らない可能性があるんじゃないかなって思います。

わしらはデパートの壁になれないのか。

なりたかったですか。

ええ、できれば三越の壁になりたいです。

百貨店の壁には化石が入っていることがある。デイリーポータルZの記事「百貨店には化石が埋まっている〜専門家と街の石材を見て歩く」(※2)

これから集めるなら「アンモナイト」!

世界中で高値で取引されている骨董品なんて、古くてもせいぜい数百年前のものじゃないですか。その点化石は数億年前とかですから、桁が違います。

超骨董品ですね。

そんなに古いのに安いものなら数百円から買えるんです。というわけでこれから集めるならアンモナイトがいいと思いますね。なにしろ数が多いし、形も多様で面白いから。

このくらいのアンモナイトなら数百円から買えます。

なんと! 数億年が数百円で! 恐竜の化石はなかなか出てこないんですか?

恐竜の化石は貴重だし、手に入ってもちっちゃくてどこの骨だかわからないのが多いですね。

夏休みに開催される恐竜展で、安藤が恐竜と言われて買った化石。どこの部分なのかは不明。

一時期ハリウッドセレブの間で恐竜の化石を集めるのが流行って、高い種がどんどん買われていったことがあったんです。

意外すぎる流行だ。ヨガとかスタバとかじゃなく恐竜。

ニコラス・ケイジがティラノサウルス買ったりしてました。いいんですけど、お金持ちがコレクションで買っちゃうと、研究者が研究できないんです。

家にティラノサウルスがあったらめちゃよさそうですが、それはたしかにそうだ。

ティラノサウルス。たしかにこれが家にあったらたまらないだろう。

出典: ピクスタ

だから良識のある収集家はレプリカでがまんします。僕だってトリケラトプスほしいですが、買うならレプリカでしょうね。

今年は『ジュラシック・ワールド』の新作が公開されるので恐竜ブームが再燃しますよ。だから今のうちに集め始めておいた方がいいです。

ブームが始まる前、まさに今がチャンスですね。化石を買うならやっぱりまずはアンモナイトですかね。

やっぱりアンモナイトですね。数も種類も多くて集めがいがあります。あと三葉虫も数が多いのでおすすめです。

三葉虫の化石。

基本的なことなんですが、みんな化石ってどこかから掘ってくるの?

僕は家にあるものはほとんど買ったものですね。いくつかは多摩川で掘ってきたものもありますが。メルカリにもたくさん出ていますよ。

サメの歯の化石。

案外カジュアルに買えるんですね、化石。

子どもの頃は化石は全部貴重で、見つけたら博物館に持って行って調べてもらうものだと思っていました。もちろん貴重なものもたまに発見されます。いまでも新種がばんばん出てくるのも化石の魅力ではありますね。

思いをはせつつ『ジュラシック・ワールド』の新作を見たいと思います。

僕はデパートの壁の化石を見に行ってきます。

安藤昌教(あんどうまさのり)

デイリーポータルZ編集部勤務。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活躍中。好きなものはカメラと恐竜。あとサメが出てくる映画。

古賀及子(こがちかこ)

デイリーポータルZ編集部員兼ライター。声が大きくせっかちで、起きるのも歩くのも食べるのも早い、5人きょうだいの長子です。好きなものはパソコンとぬいぐるみ。梱包作業も好きなので誰かのメルカリ発送をいつでも手伝いたい。

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