デジタルカメラが欲しいけれど、違いがよくわからず、何を買ったらよいか迷っている人は多いのではないでしょうか。かつて沖縄でカメラ屋をやっていたことがあるというデイリーポータルZ編集部の安藤昌教さんが、プロ向けではなく趣味のカメラ愛好家向けのおすすめ機種を教えてくれました。
(執筆・撮影/安藤昌教、編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)
(執筆・撮影/安藤昌教、編集/デイリーポータルZ編集部、メルカリマガジン編集部)
デジタルカメラの進化は趣味のカメラ愛好家の使用用途を超えてしまったのか
デジタルカメラの進化のスピードは速い。それは日々感じていることなのだけれど、最近はちょっと様子が変わってきているように思う。
少し前までは画素数やオートフォーカスの速さみたいな、わかりやすい進化で競い合っていたのだけれど、このところの新製品は何がどうよくなったのか、僕らにはよくわからないのだ。
僕たち趣味のカメラ好きというのは、新しいカメラが出るとカメラ屋さんに行って触り、家にあるカメラとの差に愕然とし、メルカリなどのフリマアプリや中古販売サイトを見ながら眠れない夜を過ごし、意を決して今ある機材を売り、瞳孔の開いた状態で新製品を買う、という生き方を繰り返してきた。
しかしここ5年くらいだろうか。正直、カメラ屋さんで新製品を触ってもわくわくしなくなってしまったのだ。
もちろん今でもカメラは進化し続けているのだけれど、ある時点を越えたあたりから、その進化のすごさがよくわからなくなってしまったのである。3年前、5年前のカメラでも十分に満足だし、僕らみたいに道端の草を撮ったり寝てる猫を撮ったりするくらいの用途においては、最新の機能なんていらないのではないか。
そう、デジタルカメラの進化は多くのユーザーの解像度を超えてしまったのだ。
となると頑張って最新のカメラを買い続ける理由はもうない。むしろ少し前の機種を探せば新品の時の半額くらいで売られていたりするので、これを狙う方が賢いと言える。もちろん新品を買い続けられる財力のある人はそれを続けてほしい。そういう人が手放したカメラがまた市場をにぎわしてくれるので。
少し前までは画素数やオートフォーカスの速さみたいな、わかりやすい進化で競い合っていたのだけれど、このところの新製品は何がどうよくなったのか、僕らにはよくわからないのだ。
僕たち趣味のカメラ好きというのは、新しいカメラが出るとカメラ屋さんに行って触り、家にあるカメラとの差に愕然とし、メルカリなどのフリマアプリや中古販売サイトを見ながら眠れない夜を過ごし、意を決して今ある機材を売り、瞳孔の開いた状態で新製品を買う、という生き方を繰り返してきた。
しかしここ5年くらいだろうか。正直、カメラ屋さんで新製品を触ってもわくわくしなくなってしまったのだ。
もちろん今でもカメラは進化し続けているのだけれど、ある時点を越えたあたりから、その進化のすごさがよくわからなくなってしまったのである。3年前、5年前のカメラでも十分に満足だし、僕らみたいに道端の草を撮ったり寝てる猫を撮ったりするくらいの用途においては、最新の機能なんていらないのではないか。
そう、デジタルカメラの進化は多くのユーザーの解像度を超えてしまったのだ。
となると頑張って最新のカメラを買い続ける理由はもうない。むしろ少し前の機種を探せば新品の時の半額くらいで売られていたりするので、これを狙う方が賢いと言える。もちろん新品を買い続けられる財力のある人はそれを続けてほしい。そういう人が手放したカメラがまた市場をにぎわしてくれるので。
カメラ好きによるカメラ好きのためのおすすめのカメラとレンズたち
そんなわけで今回は、最前線でカメラを使うプロ以外の、僕たちのような単なるカメラ好きが今買うなら、という視点でおすすめのカメラを紹介したい。どれも最新ではないけれど、いいカメラばかりです。
おすすめデジタルカメラ:SONY α7Sシリーズ
SONYのα7シリーズは発売から10年が経過し、その間に初代から五代目まで順調に進化してきた。そんな中でも今回おすすめしたいのが、α7シリーズのなかでも高感度モデルであるα7sシリーズである。
周りのデジカメが画素数をどんどん増やしていく中、α7Sだけは10年間画素数を増やさなかった。そのままの画素数で三代目まで進化したのだ。
これは実はすごいことで、例えるなら中学校の頃に買ったジーパンを今でも履き続けてきたおかげでリアルなビンテージデニムが出来上がって大人になってモテた、みたいな感じだ。変わらないことでその存在が孤高のものとなった。
なぜα7Sの画素数が初代から変わっていないのかというと、光が少ない暗い場所でもきれいに写すため、画素数を減らして1画素ごとに受ける光を増やしたかったからである。そもそも普通にたのしい写真ライフを送るには、画素数なんて1200万画素もあれば十分なのだ。
ちなみに僕は10年前に買ったα7Sの初代を今でも現役で使っている。今買うなら最新型の三代目ではなく、二代目を推したいが、なんなら初代でも十分だと思う。
これは実はすごいことで、例えるなら中学校の頃に買ったジーパンを今でも履き続けてきたおかげでリアルなビンテージデニムが出来上がって大人になってモテた、みたいな感じだ。変わらないことでその存在が孤高のものとなった。
なぜα7Sの画素数が初代から変わっていないのかというと、光が少ない暗い場所でもきれいに写すため、画素数を減らして1画素ごとに受ける光を増やしたかったからである。そもそも普通にたのしい写真ライフを送るには、画素数なんて1200万画素もあれば十分なのだ。
ちなみに僕は10年前に買ったα7Sの初代を今でも現役で使っている。今買うなら最新型の三代目ではなく、二代目を推したいが、なんなら初代でも十分だと思う。
初代α7Sならば、今メルカリを探すとだいたい10万円前後で買える(2022年11月現在)。二代目だと15万円くらいだが、最新の三代目となると一気に値上がって40万円くらいする。これらすべて画素数に関しては変わらず1220万画素なのである。なんなら三代目は1210万画素に落としてきたくらいだ。
もちろん代を重ねるにつれ、画素数以外の部分はちゃんと進化を遂げてきた。ざっくり説明すると、初代に手振れ補正が付いたのが二代目であり、さらに動画性能を上げたのが三代目である。僕みたいにほとんど動画を撮らないのであれば二代目を、ということになる。
もちろん代を重ねるにつれ、画素数以外の部分はちゃんと進化を遂げてきた。ざっくり説明すると、初代に手振れ補正が付いたのが二代目であり、さらに動画性能を上げたのが三代目である。僕みたいにほとんど動画を撮らないのであれば二代目を、ということになる。
ついでにこのα7Sを買うときに、おすすめしたいレンズがある。SAMYANG(サムヤン)という韓国ブランドの焦点距離24mmのレンズだ。
SONYのα7Sシリーズを買うときに悩むのが一緒に買うレンズだろう。ズームレンズを買っておけば万能なのは確かだけれど、どうせならちょっとこだわりたい。
もちろん純正のZeiss(カール・ツァイス)のレンズは良く写るし最高なんだけれど、いきなり買うにはちょっと勇気のいる値段だったりする。
もちろん純正のZeiss(カール・ツァイス)のレンズは良く写るし最高なんだけれど、いきなり買うにはちょっと勇気のいる値段だったりする。
そこでサムヤンである。
サムヤンは韓国の光学機器メーカーで、このところ立て続けに魅力的なレンズを出してきている。α7Sに1本だけつけっぱなしにしておくなら、と考えたら、僕はこのサムヤンの焦点距離24mmのレンズをおすすめする。
サムヤンは韓国の光学機器メーカーで、このところ立て続けに魅力的なレンズを出してきている。α7Sに1本だけつけっぱなしにしておくなら、と考えたら、僕はこのサムヤンの焦点距離24mmのレンズをおすすめする。
このレンズ、まず小さくて軽い。そして最高によく写る。そうなると「でもお高いんでしょ?」と聞きたくなるが、これがまたびっくりするほど安いのだ。いいんですか本当に?というくらい、コスパのいい短焦点レンズである。
レンズの明るさがf2.8と、最近のレンズの中では暗めだが、α7Sはセンサーが大きいのでちゃんと背景をぼかせるし(f値が小さいほど明るくて背景がよくボケます)、レンズの暗さはそもそも暗いところに強いことが売りのα7Sではまったく問題にならない。
レンズの明るさがf2.8と、最近のレンズの中では暗めだが、α7Sはセンサーが大きいのでちゃんと背景をぼかせるし(f値が小さいほど明るくて背景がよくボケます)、レンズの暗さはそもそも暗いところに強いことが売りのα7Sではまったく問題にならない。
少々暗い場所でもα7Sとの組み合わせだとだいたい失敗しない。写真は今年の地味ハロウィンより。この記事の写真は全部この組み合わせで撮っています(デイリーポータルZの記事「地味ハロウィン2022開催レポート」より)
実際に僕はこのセットでたくさんの取材をこなしてきた。特にパーティーやイベント会場みたいな、ちょっと薄暗くて、人がたくさんいてピント合わせも難しい、みたいな現場にはこのレンズ一本で行く。24mmくらい広角だと少々ピントを外しても見られるし、このレンズの特徴なのか、四隅がぐっと減光して落ちるのがまたドラマチックでいい。
というわけで、「デジタルカメラ本体はSONYのα7S、レンズはSAMYANG AF 24mm F2.8 FESONYα フルサイズ用」これがいまこそ買うべきセットだと思うのです。
というわけで、「デジタルカメラ本体はSONYのα7S、レンズはSAMYANG AF 24mm F2.8 FESONYα フルサイズ用」これがいまこそ買うべきセットだと思うのです。
おすすめデジタルカメラ:SIGMA DP1シリーズ
SIGMAのDP1Merrillというデジカメは生産が終了して久しいが、今でも中古市場で高い人気を誇る機種である。なんなら毎年じわじわと値上がりし続けてすらいる。そんなカメラは他にはライカくらいで、新しい物がいいものであるとされるデジカメ界では本当に珍しい現象なのだ。
DP1Merrillのどこがそんなにいいのかというと、これはもうなにをおいても画質である。正直これまで世に出たカメラの中で、これ以上の写りをするカメラを僕は知らない(個人の感想です)。これはフォビオンという特殊なセンサー(デジタルカメラ用の撮像素子)を積んでいるからであって、このSIGMAのセンサーは、他社がどれだけ画素数を上げても追い抜けない凄みがあるのだ。
DP1Merrillのどこがそんなにいいのかというと、これはもうなにをおいても画質である。正直これまで世に出たカメラの中で、これ以上の写りをするカメラを僕は知らない(個人の感想です)。これはフォビオンという特殊なセンサー(デジタルカメラ用の撮像素子)を積んでいるからであって、このSIGMAのセンサーは、他社がどれだけ画素数を上げても追い抜けない凄みがあるのだ。
逆に画質以外は個人的にはものすごく使いにくい。オートフォーカスは遅いし連写なんかも諦めた方がいい。撮りたいものからある程度離れないとシャッターすら押せないし、複雑なホワイトバランス調整なんて絶望的である。そんな、カメラとしての基本性能を無視してまでも、出てくる写真には言葉を失わせる凄みがあるのだ。僕はこのDPシリーズを4台持ってしまっている。
おすすめデジタルカメラ:FUJIFILM GFX50R
GFX50Rはこれまでに何度もディスコン(販売終了)の噂にさらされ今に至る。
クラシックな見た目の中判カメラで、通常の一眼レフなんかに比べて大きな画像センサーを内蔵している。僕らみたいな変態レベルのカメラ愛好家にはこういった洗練され切らない形状をしたカメラがむしろ好ましく映るのだけれど、そんなこと言ってるのはきっとごく少数で、実際これに続く後続機はもう現れないのではないかとも思う。そういう意味でも、買えるうちに買っておくべきカメラなのだ。僕はそういう気持ちで買った。高かった。
このカメラは画質がなにしろ圧倒的である。その辺に落ちている石を撮ってもその違いがわかるくらいにすごい。ただの石にもこんなにたくさんの色が入っているのか!と感動する。見たまんま以上にリアルに写る気がするのだ。
クラシックな見た目の中判カメラで、通常の一眼レフなんかに比べて大きな画像センサーを内蔵している。僕らみたいな変態レベルのカメラ愛好家にはこういった洗練され切らない形状をしたカメラがむしろ好ましく映るのだけれど、そんなこと言ってるのはきっとごく少数で、実際これに続く後続機はもう現れないのではないかとも思う。そういう意味でも、買えるうちに買っておくべきカメラなのだ。僕はそういう気持ちで買った。高かった。
このカメラは画質がなにしろ圧倒的である。その辺に落ちている石を撮ってもその違いがわかるくらいにすごい。ただの石にもこんなにたくさんの色が入っているのか!と感動する。見たまんま以上にリアルに写る気がするのだ。
でかくて重くて電池をたくさん消費するので正直使いやすいカメラではないけれど、圧倒的な画質を見てしまうと、もろもろの苦労がどうでもよくなる。SIGMA DP1の時も同じようなこと言っていた気がするが、ちょっと前に言ったことを次々と忘れていくような人でないとカメラ好きは務まらないのだ。理屈で考えたらカメラなんて1台あればいいのだから。
GFX50Rのいいところは、マウントアダプターといって、違うメーカーのレンズを変換して付けることができるオプションが、気持ちわるいくらいにそろっていることである。
例えばヤシカマウントなんていう、なにそれみたいなレンズですら取り付けて使うことができてしまう。何十年も前にフィルム一眼レフで使っていたレンズを、高性能なデジタルカメラで再利用することができるというのは、ほらなんていうんだっけ、そうだSDGsだ。サステナブルでエコなカメラなのである、高いけど。
他にもニコンのDfとかソニーのRX1とか、ちょっと古いけどまだまだ最高に使えるデジカメはたくさんある。新品の高いカメラを自慢気に使っている人の横で、ちょっと使い込まれた古いカメラを楽しそうに使う、そんな人に、わたしはなりたいと思う。
他にもニコンのDfとかソニーのRX1とか、ちょっと古いけどまだまだ最高に使えるデジカメはたくさんある。新品の高いカメラを自慢気に使っている人の横で、ちょっと使い込まれた古いカメラを楽しそうに使う、そんな人に、わたしはなりたいと思う。
こんな記事を書いておいてあれですが、次回は今買うべきフィルムカメラというテーマでお話したいと思います。カメラは全部いいカメラです。
※1 デイリーポータルZの記事「地味ハロウィン2022開催レポート」
安藤昌教(あんどうまさのり)
デイリーポータルZ編集部勤務。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活躍中。好きなものはカメラと恐竜。あとサメが出てくる映画。
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