始めて約1年半で、すでに50足以上を購入。オフの日や旅先ではもちろん、仕事の合間でもメルカリで「いつも運命の1足を探しちゃうのよ」と笑う。
購入したスニーカーは普段からどんどん履くという高田さんのコレクションの中から、メルカリで出会った特に思い入れのある3足と、旅先で見つけたお気に入りの1足を紹介してもらった。
(執筆/紺野銀、編集/メルカリマガジン編集部、撮影/業天大和)
高田さん
なんでスニーカーを好きになったんだろうね……僕たちが子供の時代は、まだ「スニーカー」なんて呼び方はなくて「運動靴」でした。高校時代に、オニツカタイガーのバスケットシューズが流行ったけど、まだまだ高嶺の花でね。ようやく20歳ぐらいになって、コンバースを知るようになった。当時はまだ男がファッションのことを考える時代じゃなかったし、着るものもオヤジのお古ばかり。とてもじゃないけど、足元まで意識は及ばなかったよね。
高田さん
10年前ぐらいかな、フランスの老舗メーカーの「パラブーツ」にハマって。中でも、アッパーにアザラシの毛をあしらったモデルが好きだったんだけど、ワシントン条約が改正されて輸入禁止になっちゃった。同時に日本でも「パラブーツ」が人気になってきて、それで少し気持ちが冷めちゃったんだよね。それからスニーカーにシフトするようになったのかな。
ナイキやコンバース、プロケッズから、ヴィヴィアン・ウエストウッドやマーク・ジェイコブス、ジュンヤワタナベ……いろいろ買いますよ。ブランド同士のコラボ商品が多いのも、スニーカーを好きになった理由ですね。
高田さん
これはナイキの「エアジョーダン11」です。1995年に発売されたモデルで、〝Bred〟と呼ばれる黒と赤の人気のカラーリング。シリーズでは「エアジョーダン9」のデザインが好きで持っていたんだけど、残念ながら加水分解でソールがボロボロになっちゃって……。次はどうしようと思ったときに、この「エアジョーダン11」を手に入れました。このモデルは加水分解しない、ということを知ったのも購入する動機なりました。初めてメルカリを利用するきっかけになった一足です。
高田さん
これは今日履いてきた最近のお気に入りなんだけど、メルカリで10000円で見つけたの。『新品未使用』ではなかったけど、すごく綺麗でしょ。できるだけ新品を探してはいるんだけど、これなら全然問題ないよね。ギャルソンとか自分が好きなブランドで、サイズが合って状態が良いものを見つけると、嬉しくなっちゃうよね。もちろん大人だから定価で買おうと思えば買えるんですけど、こういうのをお得に買うっていうのが楽しいんだよ。掘り出し物があるから、メルカリはやめられないのよ(笑)。
高田さん
これは「エアジョーダン1」の記念モデルなんだけど、なんの記念かはよく分かってないの(笑)。とにかく「レアな一品です!」と商品説明にあったから、慌ててメルカリで購入したのだけは覚えてる。赤バージョンもあったけど、そちらは迷っているうちに売切れになりました。2007年に発売された人気モデルだそうで、発売直後に即完売したんだって。グラフィックボディはあまり見ないし、サイドのデザインがいいでしょう? どうやら「エアジョーダン」で初めてマイケル・ジョーダン本人の写真や、「エアジョーダン1」のグラフィックがプリントされたモデルらしくて。スニーカーは、やっぱりデザイン的にはハイカットに惹かれます。この高さが絶妙で、これ以上高くても低くてもダメ、というところがいいんだよね。
高田さん
最後に、これは旅先で見つけたんだけど、コンバース「チャック・テイラー」とアンディ・ウォーホールのコラボ。昔、ウォーホールが「チャック・テイラー」に自分で絵を描いて履いていたんだって。それで今度はコンバースが、ウォーホールの代表的な作品であるキャンベル・スープの絵をデザインしたモデルを発売したというわけ。コラボの理由も粋だよね。
僕が買ったこの青のバージョン以外にも、赤のバージョンやウォーホールの顔がデザインされたものとか、全部で5パターンぐらいある。本当は、ウォーホールの有名なバナナの絵――ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのアルバム・ジャケットで有名な絵ね――をデザインしたものがほしかったんだけど、出会わなくてね。一番レアかもしれない。70歳を過ぎた人間が履くには、ちょうどいいデザインなんだけどね。
高田純次(たかだ・じゅんじ)
1947年、東京・調布市生まれ。都立府中高校を経て、68年に東京デザイナー学院を卒業。『適当論』『高田純次のチンケな自伝』など著書も多数。現在テレビ番組「じゅん散歩」「ぴったんこカン☆カン」にレギュラー出演。