小林武史がずっと愛用しているもの

音楽家として第一線で活躍する一方、サステナブルな社会の仕組みづくりへ挑戦しつづけてきた小林武史さん。自身の生活で日々使うものも、時の洗礼を受け、長く使えるものに惹かれるといいます。小林さんが長年愛用する、とっておきの3つのアイテムをご紹介いただきました。(執筆/牧信太郎、編集/メルカリマガジン編集部、撮影/岩澤高雄)

ステージと日常で使い分けるヘッドホン

小林さん

まずはヘッドホン。SONYとBOSEを使い分けています。SONYのは、ステージで僕がずっと使っているものです。何個も持っています。ステージでは、イヤーモニターを使う人も多いのですが、僕の耳の形のせいもあり、少し音の空間が狭く感じるんですよね。そうなるとやはりヘッドホンがよくて、これはレンジがフラットなので、最もバランスが取りやすいんです。特にライブハウスとか大きな会場でやったりすると、低音が出やすいヘッドホンだとブーストしてしまう。このSONYはリバーブ感なども含めて空間がイメージしやすいので、この20年間くらいライブで愛用しています。

(手前)SONY モニターヘッドホン MDR-CD900ST(奥)BOSE QUIETCOMFORT 35 2 BLACK Bluetoothヘッドホン

小林さん

BOSEの方は、ご存知の通りノイズ・リダクションが特徴ですよね。アイソレートが最もしやすい。スイッチを入れた瞬間に外界の音が閉じるヘッドホンです。移動の時にいろいろなものを聞くにはぴったりで、しかもふくよかな音なんです。装着感もソフトです。最も日常的に使うのに適しているので使い分けています、こちらは基本的には日常用なので、スマホにペアリングします。スタジオや家であればいい再生装置があるから、このヘッドホンは日常の移動をしながら使っています。

水の描き方に魅せられた、デイヴィッド・ホックニーのスイミング・プールの連作

写真提供:クルックフィールズ ©David Hockney

小林さん

若い頃からデイヴィッド・ホックニーの作品が好きでした。彼は自身の中に多次元のチャンネルや視点を持っている人だと思います。コラージュであったり、ミニマリズムであったり、色彩も豊かです。実際に画面も多視点から見た図法で描かれていますよね。20代の後半の若い時に、彼の一連のプールの作品を見て、泳ぐこと、海の中に入ることも含めて、水の気持ち良さに関して、なんて素敵な描き方なんだと思いました。2018年にニューヨークのメトロポリタン美術館で彼の大規模な回顧展を見ました。ほとんどの初期の頃から全ての作品があって、見れてよかったですね。この作品は、90年の半ばくらいに買いました。その頃はサンタモニカに家があって、そこにしばらく飾っていましたが。それから転々とニューヨークに行って、東京にきて、今は木更津にあります。

10代から着つづけるユニフォームとしての革ジャン

小林さん

ステージの上でもステージから降りても、革ジャンを着ています。例えば知事と会う時でもそのまま着て行ったりしていますね。普通ならスーツを着ていくべきところでも、革ジャンならOKみたいな気がして(笑)。今日はドルチェ&ガッバーナの赤ですが、だいたいKAZUYUKI KUMGAI(ATTACHMENT)の黒のものを着ています。一番最初に着たのは10代だったと思います。やはり若い時に影響を受けたのがロックだったので、僕はこの革ジャンの文化を残していきたいと思っています。カウンターとかマイノリティのためのユニフォームみたいな感じですね。

写真提供:クルックフィールズ

小林さん

アナログとデジタルのバランスについて考えています。どちらにも良さがありますよね。音楽制作をする若い人たちも、長く残る本質的なビンテージの良さというのと、デジタルだからこそできることのバランス感がいい人もたくさんでてきています。僕もそういう感覚で物に接しているかもしれない。たとえばYEN TOWN BANDやMr.Childrenの『深海』は、編集やミキシングはデジタル処理だけど、生音を出して録るプロセスはアナログのもので、もう2度と作れないモノになっているんですよね。

小林武史(こばやし・たけし)
音楽家、ap bank代表理事。
サザンオールスターズやMr.Children、宮本浩次といった日本を代表する数多くのアーティストのレコーディングやライブプロデュースするほか、映画音楽なども手掛ける。
2003年に “サステナブルな社会” をテーマに取り組む非営利団体「ap bank」を立ち上げ、自然エネルギーの推進や野外音楽イベント「ap bank fes」を開催。東日本大震災以降は被災地支援を行い、2017年より宮城県石巻市牡鹿半島にてアートと音楽と食の総合芸術祭「Reborn-Art Festival」を実施、2019年は述べ44万人が来場した。

2005 年には “サステナブル” をコンセプトに経済社会のなかで実践していく運動体として「kurkku」をスタート。2010年には農業生産法人「耕す。」を立ち上げ、食の根幹である一次産業としての農業に着手。食の循環を可視化するプロジェクトとして、2019年千葉県木更津市に「KURKKU FIELDS」を第1期グランドオープンした。

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メルカリマガジン編集部

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