秋元康氏とテレビ東京のタッグで新たなユニットが生まれた。それが「青春高校3年C組」だ。10代の“生徒”たちが様々な企画に挑戦するバラエティ番組で、“クラス”の方針は「理想のクラス」をつくること。スポーツマンにマドンナやお笑い担当、オタク、ヤンキー、引きこもり、留学生…。それぞれの背景を生かした、多種多様なキャラクターの生徒46人が集う。
決してイケメンや美女ばかりではない「限りなく普通の10代たち」が、主張をぶつけ合いながらも、目標に向かって一緒に成長するリアルな姿に共感が集まっている。“個性的であれ”という戦場の中で、彼らが見つけた「アイドル像」とは?
1月に楽曲『君のことをまだ何にも知らない』でメジャーデビューした頓知気さきなさん(アイドル部)、兼行凜さん(アイドル部)宮本ひなのさん(ダンス&ボーカル部)小沼綺音さん(軽音部)の4人に、奮闘の日々とハードな“学園生活”の中で愛用するアイテムを聞いた。(編集/メルカリマガジン編集部、撮影/田川雄一)
「青春高校3年C組」で人生が変わった
クラス内には「アイドル部」や「軽音部」など多様な部活が存在し、約40名の生徒たちは様々な企画に挑戦する。その内容は番組とはいえ、かなりハードだ。なにせ『ゴッドタン』や『キングちゃん』などテレビ東京で尖ったバラエティの数々を手掛けてきた、佐久間宣行さんがプロデューサーを務めるのだ。曜日によって変わる「担任」のラインナップも本気だ。千鳥やメイプル超合金、バイキング小峠英二、バナナマン日村勇紀、バカリズムに三四郎…。バラエティ界の最前線を走る芸人と、テレビ初体験の若者たちがカメラの前でやり取りを展開していく。
「青春高校3年C組で人生が変わった」と語るのは頓知気さきなさん(20)だ。頓知気さんは、アイドルユニットZOCの“少年院出身”という強烈な肩書を持つ戦慄かなのさんの実の妹だが、「姉とは真逆の性格で何事も荒波立てたくなくないタイプでした。幼少期から家で1人で居るのが好きだったんです。休日も遊ばないで夏休みとかも3日間くらいしか外に出てなかったんですよ」と振り返る。内気で引きこもり気味だった頓知気さんは、デビューシングルでセンターを務める。
アイドル部で青春高校3年C組最年少の兼行凜さん(16歳)は加入をきっかけに、思い切って全日制の高校を辞め、通信の高校へと進路を変えた。「通信なので友達もそれほど多くなくて。だから今は青春高校が本当の学校みたい。青春高校3年C組ではいろんな社会の一面を見せてもらいました。自分自身では…何より変わったのが見た目かも(笑)! 青春高校に入る前ってメイクしたことなくて」と振り返る。「本当に垢抜けたよね。16歳とは思えないくらい色気がすごい!末恐ろしい…」と頓知気さんもその変化には驚いたという。
バンジージャンプに催眠術に、虫を食べる… 過酷な企画の数々
軽音部の小沼綺音(19歳)さんはバラエティの洗礼を受けた一人だ。
「誰かが泣くと絶対、総合演出の三宅(優樹)さんが携帯持って来てカメラで撮るんですよ。涙コレクターなんじゃないかっていうくらい。挙句、三宅さんもそのVTR見て泣くし(笑)」と苦笑いする。
事実、同番組には「涙がつきもの」と言っていいくらい生徒たちは「泣く」。涙の理由は番組内で生徒たちが挑戦する過酷な企画の数々だ。大縄跳びを全員で100回飛ぶまで帰れなかったり、催眠術にかけられたり、ときには虫を食べさせられたり…。底意地の悪い企画のように思えるが、佐久間さんは「それでもこの番組と関わって、自分の人生がちょっと変わってポジティブになって、(多くの子が)”夢を叶えてみたい”と思うようにもなった。この中に芸能界を支えていくスターになり得る子が何人かいるような気がしている」(『ザテレビジョン』インタビューより)と生徒たちの変化を語る。
「1人10kmを走ってつなぐ企画で。私は愛知と静岡の県境の所を走ったんですけど、自分が知らない道だから怖いんですよ(笑)。行ったこともない県だから、雰囲気も違うし…。なにより運動神経が悪くて…10kmはきつかったです」
彼女たちはプロデューサーの佐久間さんのことを「お父さんみたいな存在」と慕う。「一人の大人としてどう仕事に接するか、どう人と向き合うかみたいな大事なことを教わったんですよ」と微笑む4人。なんともたくましい。
令和アイドルたちのこれから
今やアイドルの可能性は未知数だ。YouTubeやInstagramにTikTokなどのSNSまで、輝ける場所は無限に広がりつつある。言い換えれば、求められる才能も多様化している。青春高校3年C組のハードな企画な数々は、過酷な時代をサバイブする「実地訓練」ともいえる。
番組の肩書や、ユニット名の冠がなくなったときに、「個」としてどこまで通用するのか。AKB48以降のアイドル乱立時代から「アイドルのセカンドキャリア」が取り沙汰されてきた。”ポストアイドル時代”をどう生きるか。そんなトレンドの変化を彼女たちは感じ取っている。
宮本さんはテレビに出る傍ら、Twitter、LINE、InstagramなどメジャーなSNSはすべて使いこなしているという。「やっぱりいろんなメディアを通じて発信するのは当たり前になっているのかな、と思っていて。私の憧れは指原莉乃さん。(番組のレギュラーの)中井りかさんの存在も本当に参考になる。私たちとMCの芸人さんとの間に立って番組を仕切るのって本当に難しいと思うんです」と先輩たちの背中を見つめる。
多様性がぶつかり合うアイドル界で、日々成長する4人。そのハードな “学園生活”での愛用品を聞くと、それぞれのバッグの中から個性を感じるアイテムが飛び出した。
青春高校アイドル部で流行中!頓知気さきなのタングルティーザー
頓知気さん
これは「タングルティーザー」っていう、櫛みたいなもので、4,5年前から使っています。私結構髪の毛が細くて絡まりやすいんですけど、これ使うと抜けずに綺麗にとかせるんです。めっちゃ風が強くて髪がボサボサになった後とか、ハードな撮影の後とか(笑)、どんなに絡まっててもとかせます。
私の使っているものは2つセットで1500円くらいでコストコで買いました。かわいい柄と癖のある柄の2つセットだったのですが、かわいい柄はお姉ちゃんに持っていかれてしまって…(笑)。あまりに便利すぎて、青春高校のアイドル部のみんなに貸して、勧めたら、みんな使っているくらい、私達の中では流行中です。
宮本ひなのが学校にも仕事にも持っていく必需品
宮本さん
ひとつめは香水です。インテグレートの『アナと雪の女王』とコラボの限定品で、去年の11月ごろに買いました。元々香水が好きで、家から出る前や番組の前にちょっとつけたりするんですが、中でもこれは石鹸みたいな匂いがして気に入っています。特に仕事終わりの電車の中でこの香水の匂いがするのがなんか好きで(笑)。フルーツ系やバニラ系だと主張が強すぎて嫌な人もいると思うんですが、これは使いやすいですね。
宮本さん
ふたつめはが任天堂スイッチです。ソフトはポケモンのソード(・シールド)をやっています。クリスマスのプレゼントにスイッチ本体とマリオカートをまとめて親から買ってもらったんです。一番強いのだとレベル100のポケモンもいます。特にお気に入りは伝説のポケモンのザシアンで93レベルあるんですよ。ストーリーは全部クリアしたんだけど、ポケモンはやりこみ要素がたくさんあって。ポケモンもただ集めるだけじゃなくて、「厳選」っていって、強いポケモン同士をくっつけてより強いポケモンや色違いのポケモンを出したり…。まだまだ楽しめそう!実は、家だけじゃなくて収録の間も持ち歩いてて、暇さえあればやりこんでます(笑)。
メイクデビューした兼行凜オススメの成功コスメ
(左上から時計回り)「CCリップオイル」(KATE)、オーデコロン「ハリーア ノヘア」(OHANA MAHAALO)、ヘアカーラー(メーカー不明)、「DAIYA FUDE フェイス デュオ」(SHISEIDO)、「Lip Blossom」(JILL STUART)
兼行さん
絶対に持ってないと外に出られない5点セットを持ってきました。まずは資生堂のブラシ。私、メルカリで色々ブラシを探して買うんですけど、これはマジでいいです。3つの機能があるんです。先端の部分がぷにぷにになっていて、ファンデーションを広げられる。それで、側面のこの部分で当てて広げて、やり過ぎだなって思ったときに使ってはたくじゃないですけどちょっと落として周りに広げることもできちゃう
次は前髪を巻くカーラーで、薬局で買いました。髪の毛って湿気に弱いんですが、アイロンを外に持っていけないので、そういうときにコンパクトに持ち歩けるものを探していて。これだと大体10分から15分で髪の毛が巻けるんですよ。やっぱり前髪がキマっていないと気持ちも決まらない(笑)。
香水はohana mahalがお気に入り。PLAZAとかに売っているものなんですけど、安くて、手に入りやすくて、かといってそんなに匂いもきつくない。爽やかな感じです。
そしてJILL STUARTのリップ。これはアイドル部のメンバーの兎遊ちゃんに誕生日でもらったものです。キャップの先に小さな鏡が付いていて、鏡を見ながら、つけることができるんです。
最後が、KATEのリップグロスで、保湿もできるんです。乾燥から守ってくれるもので、これも薬局とかで売っています。コンパクトなのもいいですね。今、私の中でコンパクトサイズのバッグが流行中なので、普通のグロスって結構長いし幅があったりするんですけど、これって結構ちっちゃいし入れやすいので便利です。
兼行さん
メイク道具以外にもスマホは手放せないですね。気に入っているのはスマホケースに入れてあるこちら! ステッカーのように見えますが、Tシャツのタグなんです。ひよりさんというデザイナーさんが好きで。服飾学院というデザイナーの学校に行っていて、自分で服とかバックとかを売っている方なんですけど、これはその方のフリマで買った服のタグなんですよ。Tシャツとかについてきたタグがめちゃかわいかったので、そのまま入れて使ってます。
読書家・小沼綺音に響きまくった大文豪の名作小説
小沼さん
私は小説が好きで、よく移動時間とかに読んでます。今日はとっておきの1冊を持ってきました。夏目漱石の『こころ』です。高校の授業で実際に使った本なので、線が引いてあったり、付箋が貼ってあったりするんです。特に「恋は罪悪ですよ」、あの言葉が響いて。私はまだ19歳で人生経験が浅いから何とも言えないですけど、なんだか恋愛は軽いものじゃないんだなって思いました。授業中、周りの子たちにはそこまで響いてなかったかもしれないけど、私にはとにかく響いた…!
他にも、『こころ』では夏目漱石の比喩表現がうまいなと思うところがあって、「カラやカフスと同じ事さ。汚れたのを用いるくらいなら、一層はじめから色の着いたものを使うがいい。白ければ純白でなくっちゃ」ってところ。これは作中で「先生」が言ったセリフなんですけど、純白で汚れのない奥さんを喩えて言うシーンで。こういう比喩表現が素晴らしいなと思います。
太宰治の『人間失格』『桜桃忌』なども読んだのですが、すごく鬱々とした気持ちになってしまって…。現代作家だと重松清さんや江國香織さんや恩田陸さんが好きです。もっと同世代の子と色んな本の話がしたいんです!
1月22日のCDデビュー以来、連日のリリースイベントに登壇するなどアイドル活動にも忙しい毎日を送る4人。2月に発売された「WHITE graph」では頓知気さんが表紙に大抜擢された。乃木坂46の白石麻衣さんや西野七瀬さんが表紙を飾ってきた雑誌とあって、アイドルファンの間では、話題を呼んでいる。
彼女たちの起こした波はスタジオという小さな教室を超えて、広がりつつある。きっと、世間が君たちのことを知るのはこれからなのかもしれない。
青春高校3年C組
2018年4月から始まったテレビ東京のバラエティ番組「青春高校3年C組」。各メンバーが“部活動”に所属し、アイドル部・Blue Springおよびハイスクールベイビー、男子アイドル部・バトラーズ、ダンス&ボーカル部・ディアフレンズ、軽音部・地球の音に分かれて音楽活動を行っている。2020年1月発売のデビューシングル「君のことをまだ何にも知らない」は表題曲の歌唱をアイドル部が担当。番組のプロデューサーである秋元康が楽曲のプロデュースおよび作詞を手がける。バラエティ番組「青春高校3年C組」は毎週月曜から金曜の17:30~17:55に放送中で、4月からは月曜日深夜の放送が決定している。