スポーツ2022.08.09

プロゴルファー山本豪さんが選ぶ、ゴルフ初心者でも使えるおすすめクラブ&便利グッズ11選

ゴルフをはじめたばかりだけど、道具にはこだわりたい。「モノから入る」のも趣味の楽しみのひとつです。

2017年に日本プロゴルフ協会のプロテストに合格した山本豪さんは、兵庫・小野GCで腕を磨き続ける28歳。2021年の国内メジャー・日本プロゴルフ選手権では、急きょメルカリで購入したドライバーで決勝ラウンドに臨み、トップレベルの選手と熱戦を繰り広げていたことがゴルフ界の一部で注目を集めていました。

今回は山本さんに、初心者におすすめなドライバーとアイアン、愛用しているクラブ、さらには便利な練習器具まで、アイテムの特徴をふまえ紹介していただきました。
(取材・執筆:黒木貴啓、編集:ノオト、メルカリマガジン編集部)

日本最古のメジャー大会を、メルカリで買ったドライバーで

――山本さんは普段どのようにゴルフアイテムを選んでいますか?

山本:
ゴルフショップで試して気に入ったものを買うか、ゴルフ仲間と練習のときに「それちょっと貸して」と使わせてもらって、よかったらネットで購入することが多いです。

特にスイングを確認するときの自撮り用スタンドなどの小物は、気になったらすぐ試してみますね。使いやすかったものはずっと愛用しています。

――昨年の日本プロゴルフ選手権では、メルカリで買ったドライバーで決勝ラウンドを回ったと記事で読んで驚きました。よくメルカリでゴルフ用品を買っているのでしょうか?

山本:
メルカリはよく利用するんですけど、実はゴルフ関連のグッズはあまり買っていないんです。買うのは中古のルアーとか、趣味の釣りのアイテムばっかりで(笑)。

それでも選手権のときにメルカリで購入したのは、予選前の練習中にエースドライバーのヘッドにヒビが入ってしまったからです。

当時使っていたのは、テーラーメイドの「SIM 2」で、スペアは持っていませんでした。だけど試合で急に練習で使っていたものから替えたくない。近くのゴルフショップや中古ショップを探し回ったんですが、発売からまだ2ヶ月ばかりの新しいモデルで市場にあまり数がなく、見つからなかったんです。

「やばいどうしよう」と困っていたところ、たまたまメルカリに1本だけ出ているのを発見して、すぐ購入しました。予選には間に合わなかったので仕方なく昔のドライバーで挑みましたが、決勝が決まったときにちょうど届いたので、ようやくいつもの1本で本番に臨めた感じです。

――そんなトラブルが……。決勝では第2ラウンドを首位1打差、通算7アンダー・3位タイで終え、第3ラウンドでは片山晋呉さん、石川遼さんと同組で回っていました。同じ型といえども、届いたばかりの中古クラブでトップレベルの選手と競り合う状況はなかなか恐かったのでは?

山本:
恐怖も多少ありましたが、やるしかないと割り切っていました(笑)。試合中に3番ウッドも壊れてしまって、そちらはたまたまホテル近くの中古ゴルフショップで買い替えることができました。トラブルが続きましたが、開き直ることで結果的に賞金も多少もらえたのでよかったですね。

――今回は愛用品とともに初心者へおすすめのクラブも紹介いただきますが、初心者が選ぶときのポイントは何かありますか?

山本:
プロが試合で使っているような品質の保証されたメーカーの数年前のモデルを低価格で手に入れるのがいいと思います。

初心者の方は何を選んだらいいのか右も左もわからないでしょうし、打ち方が定まっていないと思うんです。であれば、持っていてある程度の格好がつくメーカーのもので、上達したときすぐに買い替えても損しないような、リーズナブルなクラブを選んでおいたほうがいいんじゃないでしょうか。いきなり高いものを選んでしまうと、いざ自分に合わなかったとき手放しづらくなってしまいます。

パターに関しては、有名人やお気に入りのプロが使っているのと同じモデルを選んでみるのもおすすめです。あの人と同じパターでうれしい、と気分が上がったほうが練習するのが楽しくなるので、上達につながりやすいと思います。

山本豪プロ 初心者おすすめクラブ&ゴルフアイテム

初心者おすすめドライバー:キャロウェイ「マーベリック マックス」

山本:初心者にコスパ重視でおすすめしたいドライバーが、キャロウェイが2020年に出した「MAVRIK MAX(マーベリック マックス)」です。マーベリックシリーズは、有名な女子プロゴルファーも現役で使っているドライバーで、性能としても時代性という意味でも、持っていて全然恥ずかしくありません。

機能としては、一言でいうと「やさしい」。基本的には球がフェースにつかまりやすく、上がりやすく、初心者でも比較的芯に当てやすいと思います。またネックのネジを緩めて、ロフト角、ライ角を変えるなど、自分のスイングに合わせてある程度調整できるのもポイントです。

何よりも、2つ前のモデルなので今なら値段がお手頃のはず。初心者のうちはまずはこれで練習して、慣れてきたタイミングで違うクラブに買い替えていくのがいいと思います。

初心者おすすめアイアン:スリクソン「Z585」

山本:スリクソンは国内はもちろん、海外の一流プロも使っている日本のメーカーです。ゴルフ界の今の流れとして、ドライバーは海外製のほうが飛距離が出てコントロールもしやすく圧倒的に人気ですが、アイアンは日本製のほうが制球性の精度が高くて海外選手からも支持が厚いですね。

「Z585」は名器とまでは言いませんが、信頼できるメーカーだから作りがいいし、感覚を出しやすい。ちゃんとしたスイングをすればしっかり飛んでくれる。なんといっても中古だとセットで約5万円、1本1万円くらいと、品質に対して価格帯がリーズナブルです。

実は完全初心者向けのクラブではないのですが、振りが雑でも飛んでくれるような“やさしすぎる”アイアンで変なクセをつけてしまうよりは、これでちゃんとしたスイングを獲得したほうが上手くなると思います。練習してある程度いいスイングができるようになったら、次のアイアンに移行していきましょう。

初心者の練習におすすめな便利グッズ1:NMC パットコントロールプロ

山本:こちらはパットの練習器具です。レールの上からボールが落ちないように転がすタイプの練習器具はたくさん出ていますが良し悪しがありまして。初心者のうちは何度もボールを落として、イライラして練習する気が失せてしまうことが多いんです。だけどこれは、透明なプレートに白い線が引いてあり、その上をまっすぐ転がすだけというすごくシンプルな作りになっています。

透明なのも大きなポイントでして。よくプロの選手がグリーンに直接チョークでラインを引いて、真っすぐ打ち出せているか確認する練習をやっているんですが、この器具だとグリーンに載せるだけで同じような練習ができて便利なんです。実際のグリーンでも、何もない芝生の上にガイドラインをイメージしやすい。

あとはボールを置くところに付属のバーを貼ることで、パターフェースを打ち出しに対してきちんとスクエアにセットできているか確認できるんです。パターフェースがずれるとボールは白い線から絶対に外れるので、正しいストロークや打ち出しを身につけるのにすごくおすすめな練習器具ですね。

初心者の練習におすすめな便利グッズ2:「Selfie GOLF」

山本:ゴルフの練習では、自分のスイングを自撮りして確認するのが上達への近道。この「Selfie GOLF」はスマホを固定する器具のなかでもゴルフ練習に特化した作りになっています。クリップでクラブやアライメントスティックを挟むと"自撮り棒”化できますし、ゴルフバッグに差し込んで立てて使うことも可能です。

パットのときは地面の上にスマホを立てられて、さまざまなショットでの撮影に使えます。自撮り器具は似たようなのを3つぐらい試しましたが、これが一番コンパクトでキャディーバッグにいれても邪魔にならないです。もう5、6年愛用していますね。

初心者の練習におすすめな便利グッズ3:レーザー距離計 NIKON「COOL SHOT 20GII」

山本:カメラメーカーのNIKONが2019年に出した、ゴルフ用のレーザー距離計です。距離計を使うと、ラウンド中に目標まで何ヤードあるのかを計れるだけでなく、自分の飛距離を知ることができます。ゴルフの上達を目指す人は、ゆくゆくは絶対に必要になってくるアイテムですね。

COOL SHOTシリーズは距離計の中でもコンパクトで軽い。ラウンド中にポケットに入れたり、腰にケースごと着けても苦になりません。なんといってもカメラレンズを作っているNIKON製なので、測定の精度が高いんです。今はいろんなメーカーから安いものが出ていますが、ものによっては測定距離に5ヤード前後の誤差があったりするんです。そのあたりも踏まえてコストパフォーマンスの高い距離計です。

初心者にもおすすめの愛用ボール:ブリヂストン「TOUR B X」

山本:ゴルフボールはここ2、3年で、ブリヂストン製の質が圧倒的に良くなりました。具体的には、耐久性、スピン性能、飛距離、個体差のなさ、いずれも優れていて総合点が高い。

試合ではどうしても危険だけど攻めないといけない、ハイリスクハイリターンのショットを狙う場面があります。そういうときに困るのが、ボール内部の芯がずれていたりと、外的要因によってミスショットが出ること。ブリヂストンのボールは個体差がなくなりミスにとても強くなりました。自分だけでなく、賞金ランキングの上位の人はだいたいブリヂストンのボールを使っています。

初心者にもおすすめの愛用ティー:Tour Tee PRO

山本:オーストラリアのメーカーが、耐久性と使いやすさを目指して作ったプラスティック製のティーです。自分は打感が重いのと、今使っているドライバーのヘッドの構造上、木のティーを使うと折れやすいので、耐久性に優れたこちらのほうが使い勝手がいいですね。

あとカップ(ボールを載せる部分)がラバーになっているので、ボールがこぼれづらい上に、載せるのもラクです。「PRO」は通常のTour Teeに比べて細く、カップも小ぶりなので特に愛用しています。

山本豪プロ 愛用クラブ&ゴルフアイテム

愛用ドライバー:テーラーメイド「ステルス プラス ドライバー」

山本:テーラーメイドが2022年2月に出したドライバーの最新モデルです。ドライバーはここ3、4年、業界の進化が目覚ましいのですがテーラーメイドも例に漏れず。これまでのモデルはフェースがチタン製だったのですが「ステルス」シリーズではより軽いカーボン製になりました。カーボンを60層重ねることでチタン並みの硬さを持ちながら、インパクトのときに変にボールを弾かず、ヘッドも軽い。ハイブリッドな良さを兼ね揃えたドライバーになっています。

近年は高打ち出し、低スピンのほうが飛距離が出ると言われていて、自分はこのヘッドだと低スピンになりやすいため使うようになりました。そもそもテーラーメイドのドライバーはヘッドスピードが速くてハードヒッター向け。攻めた設計が多いのでクセを感じる人もいるでしょうが、ハマる人にはすごくハマると思います。

愛用アイアン:三浦技研 アイアンセット(ワンオフ)

山本:一昨年から使っている、兵庫・市川にある老舗アイアンメーカー・三浦技研のアイアンです。今も金型から鋳造した後、職人が1本1本手で削って作り上げています。世界でも超一流選手から支持を受けるメーカーですね。

鉄は純度が高いと硬く、不純物があるとやわらかくなるのですが、三浦技研のアイアンは鉄の純度が限りなく高い。なのでインパクトはちゃんと弾くんだけど、やわらかい感覚もあって、打感がすごく気持ちいいんです。

自分用に3番~PW、52度、58度をセットで作り、ライ角やFP値(フェースプログレッション)もロフトも調整してもらいました。プロとはいっても、自分専用のアイアンを作ってもらえるのはだいぶ上のレベルじゃないと難しいのですが、三浦技研は自分みたいな若手にもしっかり向き合って、信用できる一級品を作ってくださいます。これを仕事道具にしてお金を稼がないといけないプロにとって、大変ありがたいメーカーですね。

愛用パター:タイトリスト「スコッティ・キャメロン」サークルT スペシャルセレクト Flowback F5.5

山本:パターの名ブランド「スコッティ・キャメロン」シリーズの中でも、市販モデルではなく、ツアー専用モデル「サークルT」の1本です。2021年の日本プロゴルフ選手権のときに使った14本のクラブのうち、唯一提供していただきました。

スコッティ・キャメロンはステンレスの塊を削り出して作っているのが特徴で、合う合わないがあるとは思いますが、ソリッドな打感が気持ちいいです。自分はロフトがあるパターの方が合うから特に愛用しています。コレクター要素も高く、サークルTとなるとお高めなので初心者向けとはいい難いです。

愛用サングラス:オークリー「Portal X」

山本:ゴルフ用レンズはオークリーの独壇場と言ってもいいんじゃないでしょうか。スイングしていてもズレ落ちないし、何よりレンズの屈折が少ない。直視した場合とレンズ越しの場合とで、ボールの距離に視差が生まれないのが素晴らしいです。

自分は花粉症なのですが、この「Portal X」は形的に顔とレンズの隙間からあまり花粉が入ってこない。トータルバランスがすごく高いです。ゴルフ用レンズでこういう四角い形状は少なく、デザインがスタイリッシュで気に入っています。趣味の釣りのときもかけていますね(笑)。

山本豪(プロゴルファー)
1993年生まれ、東京都出身。父の薦めで7歳からゴルフを始め、2009年、2010年と関西高等学校ゴルフ選手権で優勝。日本大学ゴルフ部では2015年に全日本大学ゴルフ対抗戦・団体の部で優勝。2017年に日本プロゴルフ協会のプロテストに合格。

48 件

WRITTEN BY

メルカリマガジン編集部

誰かの「好き」が、ほかの誰かの「好き」を応援するようなメディアになりたいです。

好きなものと生きていく

メルカリマガジンは、「好きなものと生きていく」をテーマにしたライフスタイルマガジンです。いろいろな方の愛用品や好きなものを通して、人生の楽しみ方や生き方の多様性を紹介できればと思います。