人生に疲れたら、サウナに行け。110度の密室で人生のフィールドワーク、ONE MEDIA明石ガクトのサウナ愛

最近、経営者や若いビジネスパーソンの間でサウナがブームとなっている。筆者はいまだにハマっていないが、一度魅力に気づいた人びとがサウナに抱く「狂信」は著しいものがあり、サウナを取り巻く文化圏は、独特な雰囲気を纏っている。

そんななか、「サウナで、人生のなかで一番辛い時期を乗り越えた」と語るほどサウナー(※サウナ好きな人の総称)なのが、動画コンテンツの制作を手がけるスタートアップ「ONE MEDIA」の代表、明石ガクト氏だ。自身のSNSでは知人にサウナを布教しており、その活動が認められたのか(?)、フィンランド大使館から「サウナ名誉広報官」の認定を受けたほどだ。

今回メルカリマガジンでは、明石氏の「サウナに必ず持っていく」アイテムと、そこに紐づく明石ガクト流の「サウナの作法」に迫っていく。記事を読み終える頃には、きっとあなたはサウナーへの第一歩を踏み出すことになるだろう。
(編集/メルカリマガジン編集部、写真/熊田勇馬)

サウナアイテムとは、「ととのい」を持続させるフォロースルー

――明石さんは経営者のなかでもかなりのサウナ好きとして知られていますが、「サウナアイテム」にもこだわりがあるんですか?

アイテムにこだわりがあるか?と聞かれればあります。しかし、サウナがもたらす「ととのい(※サウナと水風呂に交互に入ることで訪れる、なんともいえない気持ちの良い体験のこと。諸説あり)」にアイテムが必須かと聞かれれば、そうではありません。サウナがあれば、ととのいはそこにあるわけですから。

――では、明石さんにとって「サウナアイテム」とはどのようなものなのでしょうか?

サウナアイテムはいわば、「ととのいを持続させるフォロースルー」です。サウナの効果を高めてくれる補助アイテムのようなものですね。

たとえば、好きなアーティストのライブに行ったとき、レアなバンドTシャツを着ていくと「通」な感じがして、周囲から注がれる目線が気持ちいいじゃないですか。そんな感じで、サウナに通なアイテムを持っていくことで、優越感から、気持ち良さが持続すような気分がするんです(笑)。僕にとっては、サウナ好きの聖地「サウナしきじ」のタオルがそれですね。

――そもそも、サウナにハマったのはどういったきっかけがあったのでしょうか?

サウナにハマったのは2015年。実は、サウナ歴はそれほど長くないんです。会社の業績が芳しくなく、心身ともに疲労していたときに、とある社員にオススメしてもらったことがきっかけでした。興味を持って調べてみると、ファンから聖地と呼ばれている「サウナしきじ」が実家の近所にあることがわかったんです。「どうせサウナ童貞を捨てるなら、ここで捨てるしかない…!」静岡に帰省し、一人でしきじに入りました。

そしたら、目覚めました。

――ツイートでも「人生の中の一番辛い時期をサウナで乗り越えた」と言っていますが、サウナのどんなところに助けられたのでしょうか。

僕にとってサウナは、「再起動装置」です。悩みに悩んで自分の殻に閉じこもり、悪くなった体の「めぐり」を解きほぐしてくれました。サウナと水風呂を往復することで、血管が開いて血流がよくなる。すると体のめぐりが良くなって、どんどんポジティブな気分にさせてくれる。そして、ポジティブになれると、これまで悩んでいたことの答えがぽろっと見つかったりするんです。

フォロースルーを完璧にする、明石ガクトのサウナグッズ

Patagoniaの「メンズ・テクニカル・ストレッチ・ショーツ」

(パタゴニア)

やっぱり、サウナにいくときは身軽さを大切にしたい。できるだけ荷物を少なくしたいんです。とはいえ、ととのった後に、履いてきたパンツをもう一回着用するのも気持ち悪いじゃないですか。

この相反する両極端を同時に実現するのが、Patagoniaの短パンです。中にボクサータイプのサポーターがついてるから、パンツを履く必要がない。さらに、ストレッチ素材で涼しい。身軽で気持ちのいいサウナ体験を実現するために、欠かせないアイテムです。

サウナ用シューズ「ELEMENT CORE」

(SPECTUSSHOE CO.)

僕の場合、一刻も早くサウナ室に行きたくて、もう入り口で靴を脱いでいる時間すら惜しいんです(笑)。だけど、仕事柄サンダルでは出歩けないし、かといってスニーカーは脱ぐのが面倒臭い。そんなときに出会ったのが、この靴でした。ディスクで簡単に靴紐の調整ができて脱ぎ履きが簡単で、さらにコンパクトなので、靴箱に入らない心配もありません。

文庫本(みうらじゅん、リリー・フランキーなど)

『誰も知らない名言集』(リリー・フランキー著/幻冬舎)

僕にとってサウナにいる時間は「デジタルデトックスタイム」でもあります。だから、あまりスマホは開きたくない。文庫本をめくっている健康的な感じが「フォロースルー」なんです。

内容は、オムニバス形式で短いエッセイがたくさん入っているのが好きですね。著者はだいたいみうらじゅんかリリー・フランキー。サウナから上がったあとは不思議と、ちょっとエロが入った作品を求めたくなっちゃうんです。

サウナが導いてくれる、人生のフィールドワーク

――アイテム以外にも、明石さん流の「サウナの作法」をお聞きしたいのですが…。明石さんは水風呂とサウナ、何往復するのでしょうか?

はい出た〜、素人の質問(笑)。すぐそうやって時間や回数にこだわるの、はっきり言って「浅い」です。

――すみません…。

ビジネスの世界でも、KPIとか売り上げ目標にとらわれていたら本質を見失っちゃうでしょ。それと一緒。たしかに多くのサウナ好きは「3セットが基本」と言いますが、外の天気やサウナ内、水風呂の温度、そして自分の体調…と、同じ状況でサウナを体験できる日は2度と来ないんですよ。頼りになるのは自分の感覚だけ。五感を研ぎ澄ませて自分の心身と向き合い、「今水風呂だ!」「今から出る!」を決めていくのがサウナの「作法」です。

…って説教おじさんみたいになってしまいましたが(笑)。要は数字にとらわれず、自分だけのサウナとの向き合い方を見つけてほしいですね。仕事やスマホから解放され、自分自身と向き合うことでしか潰せない時間を、ゆっくり味わってほしいと思っています。

――健康やマインドフルネスを目的にするのではなく、自分と向き合う時間にしてほしい、と。

はい。それに、自分と向き合ってサウナに「集中」していくと、施設ごとのローカルルールを見つけるときがあって。それが楽しいんです。たとえば、京都の「白山湯」に行ったとき、洗い場を観察していくと、水風呂にある小さい桶を、使った人が必ず水が入った状態にして戻しているのを発見する。そしてもう少し見ていると、水を入れずに置いてってしまった桶が溢れた水に流されてしまうのを見つけるんです。

「あ、流されてしまうのを防ぐために水を入れているのか」とわかると、次から僕もしっかり水をいれる。そんな風にローカルルールを感じ取りながら、その場の作法に合わせていくのが、サウナを楽しむコツかもしれません。内なる自分の世界と、外の世界。人生のフィールドワークをさせてくれるのが、サウナですね。

……と、アツくサウナの魅力を語ってくれた明石さんでしたが、取材時は手術明けのタイミングだったこともあり、1ヶ月以上サウナに通えていないそう。「来週通院してよかったら絶対行く!!」と意気込んでいましたが、果たしてサウナ通いは再開できたのでしょうか…。

仕事やプライベートに疲弊し、サウナに興味を持ったそこのあなた!もし仕事がおわったあと時間があれば、サウナで「人生のフィールドワーク」を体感してみては?

明石ガクト(あかし・がくと)
2014年6月、新しい動画表現を追求するべくONE MEDIAを創業。 独自の動画論をベースにSNSやLINE、OOHなどあらゆるデジタルスクリーンに対応する動画をプロデュース。2018年にNewsPicks Bookから自身初となる著書『動画2.0』を出版。その他、情報番組やバラエティ番組にもコメンテーターとして出演。
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WRITTEN BY

長谷川リョー

(はせがわ・りょー) 修士(東京大学 学際情報学府)、リクルートホールディングスを経て独立。『SENSORS』編集長。編集協力に『10年後の仕事図鑑』(堀江貴文、落合陽一共著 SBクリエイティブ)、『日本進化論』(落合陽一著 SBクリエイティブ)など。好きな騎手は荻野極くん。馬主になるのが夢。

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