大河ドラマを着る。草彅剛が120年前のヴィンテージ・ジーンズを選ぶ理由

2021年9月30日(木)より、メルカリの新しいテレビCM「メゾンメルカリ・新品じゃなくても」篇が全国(一部地域を除く)で放映開始になります。今回「欲しい料理道具が結構高くて...」と悩む青年役を演じ、オリジナルソングの「それ、新品じゃなくてもいいんじゃない?」を愛用のギターとともに弾き語りしてくれた草彅剛さんに、ご自身が大切にしている「新品じゃないもの」にまつわるお話を伺いました。撮影現場に持参してくれた私物は、なんと120年前に生産されたヴィンテージ・ジーンズ。草彅さんの想像力豊かな買い物哲学は、日々の楽しみを増やし、お財布にも地球環境にも優しいという、一石三鳥の素晴らしいものでした。(取材・文/長嶋太陽、編集/メルカリマガジン編集部)

テレビCM「メゾンメルカリ・新品じゃなくても」篇撮影風景

120年の歴史の中でこのジーンズを何人の人が大事に所有してきたのかな?とか、ロマンを感じるんです

――CM撮影、お疲れさまでした。草彅さんが歌う「それ、新品じゃなくてもいいんじゃない?」というフレーズが頭に残っています。

はい!!!  あ、今日ずっと歌ってたから、声が大きくなっちゃった(笑)。これはもう、まさしく僕の歌ですよ。新品じゃなくてもいいんじゃない?って本当に思っています。僕の持ってるものは半分以上中古品なので。いや、半分どころじゃなくて、8割かな。  

「それ、新品じゃなくてもいいんじゃない?」の楽曲MV撮影風景

――ヴィンテージがお好きなのは前回も伺いましたが、そこまでとは!

もしかして僕はメルカリのCMをやるために生まれてきたのかな(笑)。中学校からずっとヴィンテージ好きですからね。ジーンズとか、このコマーシャルで弾いている私物のギターも古いですし、そう考えたら所有している新品って、ほとんど思いつかないかも。さっきから大げさに聞こえるかもしれないけど、でも本当に中古の物をよく買っています。

――好きなものがずっと一貫しているんですね。

中学生の頃、ヴィンテージのブームがあって、とにかくかっこいいなって惹かれたんですよね。それからもうずーっとです。何か特別なぬくもりを感じるというか。30年以上飽きもせず、僕はずっと中古品を追い求めてます。

――今回、草彅さんの私物のジーンズをお持ちいただいているんですよね。リーバイスですか?とんでもなく貴重なものなのかなと…。

草彅さん私物のヴィンテージ・ジーンズ

これ、実はリーバイスじゃないんです。

――え、そうなんですか?

どこのブランドかわからないんです。でも僕が持ってるジーンズで一番古いものっていうことは確かで。普通ジーンズには後ろのポケットが二つあるんですけど、片側だけなんです。これは1900年頃、今から120年ぐらい前のジーンズに見られるディテールなんですよね。後ろのポケットにアーキュエイトステッチ(※)が入っていて、これはリーバイスのアイコンなんですけど、当時はまだ特許を取っていなかったからリーバイス以外でも使われているんです。よく見るとベルトループもついてなくて、サスペンダーボタン仕様になっているんですけど、1920年ぐらいになるとベルトループがつき始めるので、そこからも年代が推測できるっていう。まさしく中古品の神様みたいなジーンズですよね。

※リーバイスのジーンズのバックポケットに入っている弓状のステッチ。
――ステッチだけ見て、リーバイスのデニムかと思っちゃいました。

もしリーバイスだったらとんでもない値段になっちゃいますね(笑)。ただ、これも滅多に見かけない貴重なものであることは間違いないです。すごくいい匂いがするんですよ。
――このデニムの金額……聞いてもいいですか?

これね、買ったときは、100万円以上したと思う。リーバイスだったら何千万ってしちゃうと思います。買ったのはもう10年ぐらい前だからもうちょっと値段が上がっているかもしれないですね。ただ、僕は価値がどうということよりは、120年の歴史の中でこのジーンズを何人の人が大事に所有してきたのかな?とか、何十人が穿いて、そして僕のところに来たのかな?とか、そういうところにロマンを感じてしまうんです。そこが好きですね。今度僕がこれをメルカリに出品したらまた誰かのところに行くわけですからね。

理由はわからないけど気に入っちゃう部分って、人それぞれ違うと思うんですよね

――本のジーンズが歴史の中でいろんな人のところを行き来してきたと思うと、大河ドラマのような趣がありますね。

確かに、まさに大河ドラマですね。1900年だったら、NHK大河ドラマの『青天を衝け』で僕が演じる徳川慶喜が生きていた時代と重なるので。日本では多くの人がちょんまげで袴を履いている時代に、アメリカの人はこんなジーンズを穿いていたんだなと思うとまた面白かったり。 もしかしたら慶喜もジーンズを穿いていたかもしれないですよ。彼はナポレオン三世から西洋のものを積極的に取り入れていたから。

――ジーンズを穿いた将軍、面白いです。

スーツ姿でハットをかぶっている写真が残っていたりするから、本当にジーンズを穿いたことがあってもおかしくないです。そういう想像ができるのも、ヴィンテージならではの喜びなんですよね。

――その他に、最近購入したヴィンテージのアイテムは何かありますか?

別のジーンズを買っちゃいました。なんでそんなジーンズばっかり穿くんでしょうね(笑)。もういらないと思うんですけど、なんか欲しくなっちゃって。つい先日、『なぎスケ!』のロケで穿いたジーンズをそのまま買いました。

――どんなジーンズだったのでしょう?
 
1950年ぐらいのものなんですけど、お尻にちょっと穴が開いていて、それを何か違うデニム生地でパッチワークみたいに貼り合わせていて、それで少し値段が安かったんです。なんていうか、そういう唯一無二の個性に惹かれて。ここまでダメージがあるものは持ってないし、パッチワークで補修してあるっていうのは本来ちょっとネガティブな要素だけど、逆にそれがいいんじゃないかなと思って…買ってしまった。やられてしまいましたね。
――前回のインタビューでも傷や歪さを含めて魅力だとお話しいただきましたね。

そうですね。古いものって新品にはない個性があるんです。なぜか理由はわからないけど気に入っちゃう部分って、人それぞれ違うと思うんですよ。誰かが使って崩れてる感じにぐっとくることもあるし。時間の経過の中でしか生まれ得ない風合いやディテールが、僕にとってはとてつもない魅力に思える。自分にしか気付けない魅力と出会えるのが、すごく好きですね。 しかもお財布に優しかったりもするじゃないですか。

――草彅さん自身は、私物を誰かに譲ったことはありますか?

ありますね。ジーンズとか結構あげちゃったりして、後悔するっていうことをよくやっています。挙句の果てに、「やっぱり返して!」って言ったり(笑)。人としてやっちゃいけないことですけど、よくありますよ。ブーツなんかも、気分いいときは「いいよ持ってって!」って言うんですけど、1週間ぐらい経つと何であげたんだろうっていう後悔の念に駆られて、 新品の物を買って、あげたやつを返してもらったり。仲がいいからこそできることなんですけどね。本当に悪いなと思いつつ、なんで僕が新品を買ってあげてるんだろう…とかも思ったりします(笑)。

――買ってあげるって、いい人すぎませんか?(笑)

いやあ、むしろダメじゃないですか。あげたものを返してって言うのは。だからもう新品を買ってあげるしかないですよね。 基本的には結構気前がいいので、ぽんぽんあげちゃうんですよね。

――回り回って自分のために…みたいなこともあるのでしょうか。

そこまでは考えてないんですけど、何かあげると、ちょっと優しくしてもらえたりはしますよね。1週間ぐらいは(笑)。

100年後、僕は確実にいないですけど、僕が持ってるものはもしかしたら誰かが使ってるかもしれない。

――草彅さんが持っているものの中で、100年後もきっと残るだろうと思えるものはありますか?

結構多いと思いますよ。僕が持ってるものの中では、デニムもそうですし、ブーツもそうですし、今日弾いたギターとかも。ギターは木なので、湿気に気をつけたり、メンテナンスは必要ですけど、ちゃんと大切にすれば長く使えます。お皿なんかもそうですね。 むしろ残らない物を選ぶ方が少ないかもしれません。

――自分の大切にしているものが、もしかしたらいつかヴィンテージとして誰かに届いていくかもしれないと思うと、なんとも壮大な気持ちになります。

ものって、自分のものであっても、そうじゃないっていうか。100年後、僕は確実にいないですけど、僕が持ってるものはもしかしたら誰かが使ってるかもしれない。そう思うと、僕が自分で買ったものも、借りているだけなんじゃないかなって思えるんですよ。天国にはものを持っていけないわけだから、なんていうか、いいものを借りちゃってるなみたいな、そんな気持ちにはなりますね。

――その考え方ってすごくロマンチックであると同時に、環境にも優しいのかなって思ったりします。

そうですね。考えてみると、僕が所有しているものの大半は人が使っていたもので、結果的に環境とか地球に優しくしてたわけですよね。 すべては借りものっていう。

――「すべては借りもの」、すごくいい言葉ですね。

新しいものも使っていれば古くなる。古いものをもう一度見直してみるっていう考え方は、今回歌った「それ、新品じゃなくてもいいんじゃない」の歌詞にある通り、地球にだっていいことなのかも。難しく考えるよりも、まずは身近なものを長く大切にすることから始めるといいのかもしれませんね。何より僕はそういう買い物が楽しいんですよ。

草彅剛(くさなぎ・つよし)

生年月日:1974年7月9日
血液型:A型
プロフィール:
1974年生まれ、埼玉県出身。
「新しい地図」を立ち上げ、俳優、声優、歌手、司会者、YouTuberと幅広く活躍。
役作りに没頭する姿と迫真の演技が業界内外で高く評価されている。
「ミッドナイトスワン」では、第63回ブルーリボン賞・主演男優賞を受賞。

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メルカリマガジン編集部

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