ファッション2021.06.24

松重豊が今着たい服とメルカリで買ったもの。「自分に合っていると感じられるか、がすべて」

「50歳を過ぎた頃から服を楽しむようになった」という俳優の松重豊さん。すらっとした長身ゆえに服も靴も「自分に合うサイズがない」というのが悩みの種だったそうですが、オンラインショップや「メルカリ」で自分にぴったりのアイテムを見つけやすくなったことが、今まで以上にファッションを楽しむきっかけになったとか。

そんな松重さんが「メルカリ」で手に入れたアイテムとは? 下町のメーカー・久米繊維工業との意外なコラボが話題となった「【mattige】Tシャツ」実現の裏話も教えてくださいました。
(執筆/小川智宏、撮影/西田香織、スタイリスト/増井芳江、ヘアメイク/林裕子、編集/メルカリマガジン編集部)

自由な買い物

――以前、FMヨコハマ『深夜の音楽食堂』で「最近メルカリで出演時の衣装を買った」とお話されていましたよね。今日はメルカリで手に入れたものをいくつかお持ちいただいて、実際に身につけていただきましたけど、服をオンラインで買うことも多いですか?

そうですね。たとえば音楽も、昔は本当に情報が少なかったから、レコードジャケットの写真がかっこいいからとりあえず買ったけど、聴いてみたらとんでもないものだったみたいなことってあったじゃないですか。だから限られたお小遣いの中でどうやりくりするかっていうのはすごく難しかったんですけど、今は配信で月々1,000円ぐらい払えば聴き放題になってますよね。

それと同じような感じで、洋服も、店に行って買うこともあれば、今はネットでも買える。店で店員さんとやりとりすると、「ちょっと短いけどいいか、付き合いがあるから買っちゃうか」って買ったはいいけど結局着なくなったりすることも多いじゃないですか。でもネットでちゃんとサイズとかの情報があれば、それで買う方が便利だし失敗はないし、オンラインショッピングは当たり前になってきましたよね。便利になったなと思います。

本当にここ10年ぐらいで、消費者側の環境が激変したっていう感じがするんですよ。だから、積極的に自分に合う服、サイズ感や素材感、あとは「このブランドでこのサイズだったら間違いなく合う」っていうのがわかっていれば、それを指名して買える。買うチャンスが広がったなと思うんですよね。
――確かに、好きなときにじっくり選んで買えますからね。

あとは、僕と買い物に行くと妻が嫌がるんですよ(笑)。やっぱりお店の方にも松重豊だということに気づいて気を遣っていただいたりっていうこともあるので、そうなるとなんとなく買わざるを得なくなったりして(笑)。だから女房の買い物に行くときも「ちょっと、外にいてくれる?」っていうことも多いんですよ。だったらネット環境の方が全然自由だなって思いますし、特に去年ぐらいからはお店に行くこと自体がはばかられるようになってきたし。僕も含めて、この1年でその便利さをわかった人が本当にいるんじゃないかな。

――結構ご自分でお買い物されるんですか?

どうでしょうかね。僕の場合、スタイリストさんが来てくれる仕事もあるんですけど、そうじゃない仕事もやっているんですよ。地方の番組とかだと、自分で私服を3着持ってかなきゃいけない仕事とかもあるんです。そういう仕事を準レギュラーぐらいでやっているので、やっぱりちょっと数は必要だなと思って買っていますね。

――2021年4月に「久米繊維工業」とコラボした「【mattige】Tシャツ」が発売になりました。個人オーダーされたのがきっかけだったそうですが、それを聞いて、すごくこだわりのある方なんだなと思いました。
前に久米繊維さんと「Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)」がコラボして、久米繊維さんが50年以上前から作っている「セイヤング」というTシャツのリブを細くしたやつを出したんですけど、それをすごく気に入っていたんです。そのコラボは短期間で終了してしまったんですけど、忘れられなくて。それでダメもとで「リブの細いやつを別注できますか?」って問い合わせたんですよね。当然、それなりのロット数を作らないと難しいっていうことだったんで、これは無理かなと思ったんですけど、ダメもとで自分の仕事を明かして「宣伝とかで協力できることがあれば何でもやりますから」ってお願いして。それで作っていただけることになったんです。それでこの間発売したら、初期ロットが完売したので、僕はとりあえず責任を果たしたかなと(笑)

だからコラボ云々とというよりも、僕の好きなTシャツを手に入れることができたっていう話なんですよね。
――製造元に問い合わせるっていうのが相当な行動力ですよね。

そのヨウジのTシャツを見たら久米繊維って書いてあって、日本のメーカーじゃないですか。調べたら墨田区にあって。やっぱりあそこのTシャツっていいんですよね。「セイヤング」は今のオーバーサイズの流行とは違って細身だし、着丈が長いし、生地もすごく拘っていて。くたびれ方がいいんですよ。1年着たら次の年には残念な形になってるようなものじゃない。Tシャツって一番肌に近いものだし、毎日着る、肌が触れるものですから、やっぱりそれが基本だったんですよね。

サイズ、着心地、肌触り。「自分に合う服」を探す日々

――普段身につけるものを選ばれるときも、肌触りや素材というのは重要なポイントですか?

そうですね。1回身に着けるとやみつきになるものってあるじゃないですか。やっぱりそういうものに常に囲まれてたいなっていうふうに思いますね。素材感、質感、肌触り、着る物に関してはそれがもうすべてといっても過言ではないと思ってます。

スタイリストの増井芳江さんと、10何年付き合ってるんですけど、僕のこの体に合うものをよく見つけてくれるんです。そこが出発点なんですよ。そこからいろいろとブランドも知るようになりましたし。「スズキタカユキ」とかも好きなんですけど、本当に素材がよくて。着心地が、あれを着たらもう他のものを着たくなくなるぐらいにいいんです。そういうもののほうがやっぱり着ていて気持ちも上がりますし、そこからプライベートでも着心地のいいものをチョイスするようになっていきました。今日撮影で着たこのディースクエアードのジーンズも、メルカリで買ったんですけど、タイトなのにストレッチが効いていて全然きつくないんです。

ディースクエアードのジーンズ

あとはサイズですね。「48」っていうサイズがあれば、レングスが僕のくるぶしまで隠れるだけの丈があるんで、試着しなくても買えるブランドなんです。メルカリで探したらちょうど自分のサイズがあったので。

――サイズも重要ですよね。

僕が50歳になったぐらいからサイズ展開も増えて、体に合うサイズも手に入るようになって……昔はね、日本には僕に合うサイズが入ってこないようなブランドも多かったんですけども、ここ10年ぐらい、ちょっと大きめのサイズも用意してくれるところが増えたので、自由に買えるようになった。

――その「ディースクエアード」のジーンズをはじめ、今日はメルカリで手に入れたアイテムをいくつかお持ちいただきました。お履きになっているブーツは「オールデン」の405ブーツ、通称「インディブーツ」ですね。
これは、NHKのドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』で考古学をやっていた大学の総長の役をやっているんですけど、考古学者といえばインディ・ジョーンズ、インディ・ジョーンズといえば「オールデン」のインディブーツっていうことで、小道具のスタッフがメルカリで買って用意してくれたんです。わざわざ俺のために買ったの?って訊いたら「そうなんですよ、メルカリで」って。それでメルカリの使い方を教えてもらったんです(笑)

「オールデン」の405ブーツ

――そうなんですね! 履き込まれた表情がすごくいいですね。

実際僕は役でこれを履いてるんですけど、この大きさでこの重さで、疲れるだろうなと思ったら、全然疲れない。やっぱり疲れないだけの理由が「オールデン」の靴にはあるんだなって。なかなか手の届きにくい価格帯の靴なので、そうそう試着することなんてできないじゃないですか。たまたまメルカリで買ったものを小道具さんが用意してくれたんで、良さを知ることができた。そういうちょっとした冒険ができるていうのは、非常に便利だなって思います。

それで、そのあと検索して、「トリッペン」の靴を買ったんです。
ここの靴も本当にいいんですけど、僕の足に合うサイズは正規では入ってこないんですよ。昔は店員さんと仲良くなって、注文したけど買わなかったお客さんのやつとかが出たら連絡をもらって買いに行ったりしていたんです。それでメルカリにあるかなと思って「トリッペン 44」って検索したら出てきた。

トリッペンの靴

――「トリッペン」のどういうところがお好きなんですか?

履き心地がいいんですよ。ああいうカジュアルな革靴で、デザインも独特だし、他に代わりがないんですよね。だから44っていうサイズ展開さえあれば履き続けます。ソール自体は革でできていて割と硬めなんですけど、履いていて疲れない。足に負担をかけない絶妙な硬さとアーチの形状っていうのがあると思うんですけど、やっぱりうまく計算しているんだろうなって思います。職人というか、ちゃんと体のことを考えている人が作ったものに、ずっと包まれていたいって思うんですよね。

――やはり身につけたときにいかに心地よいかというのが一番重要なんですね。

肌が一番わかってるんでね。「肌が合う」っていう言葉がある通り、まさしく着るもの履くもの、すべてが自分の肌と体型に合っていて、触れ合っていて嫌じゃないっていうこと、好きっていう感覚が第一ですね。
ある程度年食ったら、人にどう見られようが、自分がこの襟がいいんだとか、それこそ久米繊維さんでも、この張り、この厚み、この触り心地っていう。それで幸せなんだなって思います(笑)

松重豊(まつしげ・ゆたか)
1963年生まれ、福岡県出身。蜷川スタジオを経て、映画、ドラマ、舞台と幅広く活躍。 昨年には、初の著書「空洞のなかみ」を上梓する。7月9日からドラマ「孤独のグルメ season9」がテレビ東京系にて放送開始。映画では、10月30日「老後の資金がありません!」が公開される。

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